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火災が発生する原因の代表格をチェック!リスクを軽減する対策まで徹底解説

火災が発生する原因
セゾンのくらし大研究 編集部

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火災は、大切な財産や命をいとも簡単に奪ってしまいます。火災原因の多くはうっかりミスによるものです。そのため大きな火災に発展しなくても、ヒヤリとした経験をしたことがある方も多いでしょう。今回は住宅火災に言及し、火災が起きる原因や対策をまとめました。万が一火災が起きた場合の行動についても触れるので、ご家族やご自身を守るためにも、ぜひ一度目を通してみてください。

この記事のまとめ

住宅火災の多くは、コンロやたばこ、電気機器の使用といった身近なものが原因で起きています。そのどれもが消し忘れや火の不始末といった、うっかりミスによるものです。火の使用時はそばから離れないことや目を離さないことが重要ですが、安全装置付きのコンロや電気機器といった商品を使うことでも、リスクを減らせます。

また被害を最小限に食い止めるには、消火器や防炎品を取り入れることも大切です。それでも火災が起きてしまった場合には、慌てず大声で周囲に知らせ、姿勢を低く保ちながら避難するなど、命を守るための行動を取りましょう。

日本における火災の実態

火気注意 火災

日本における2022年1月~9月の火災件数は、全体で27,432件と非常に多い件数が報告されています。さらに火災による総死者数は1,027名で、その内住宅火災で亡くなっているのは624名でした。

火災が起きた場所は、建物火災が 14,781 件、次いで車両火災2,486 件となっていることから、圧倒的に建物での火災が多いということがわかります。火災の原因はどれも些細なことで、正しい対策方法を知っていれば、防げるものばかりです。うっかりミスは誰にでもあるため、いつご自身が当事者になってもおかしくはありません。他人ごととして捉えるのではなく、どうすれば建物火災を防げるのか確認しておきましょう。

出典元:令和4年(1月~12月)における火災の概要(概数)について  |総務省消防庁

建物火災の原因トップ4

総出火件数の 27,432 件を出火原因別に見ると、「たき火」2,488 件 (9.1%)、「たばこ」2,434 件(8.9%)、「コンロ」1,946 件(7.1%)、「放火」 1,580 件(5.8%)、「火入れ」1,520 件(5.5%)の順となっています。 このことからも、火災原因となるものは身の回りにあるものばかりということがわかります。

では、住宅での火災を防ぐには、どのような対策を取れば良いのでしょうか。ここでは、出火原因ごとの対策方法を見ていきましょう。

コンロ

コンロによる火災原因の多くは「消し忘れ」です。特に天ぷら油に着火して火災に至るケースが25%を占めており、目を離したすきに火災が発生しています。

また、油かすやごみくずに火が燃え移ったり、身に着けている衣類へ着火したりと、可燃物がコンロと接触することが原因での火災も多く発生しているようです。

出典元:住宅火災の出火原因で最も多いこんろ火災 |東京消防庁

たばこ

タバコ

たばこによる火災も多く発生しています。原因の多くは不始末によるもので、たばこは建物火災の出火原因となるだけでなく、死亡事案に至る可能性が高いことも報告されています。

たばこによる出火は、たばこの火が消えずに残っていることが直接的な原因となります。具体的には吸い終わった後のたばこをゴミ袋に入れたところ着火したケース、吸い殻をポイ捨てしたことで枯れ葉に火がついたケースなどです。

きちんと灰皿に捨てた場合でも、残っていた吸い殻を火種として出火してしまうこともあります。小さなたばこの火と思うかもしれませんが、可燃物に燃え移ればあっという間に燃え広がってしまうのが、たばこによる火災の恐ろしいところです。

電気機器 

電気機器もまた、主な火災原因のひとつです。特に冬場に使用する電気ストーブには注意しましょう。火を使わないため安全なように思えますが、たばこと同じように可燃物への接触で火災を発生させてしまいます。

カーテンや毛布など、燃えやすいものの近くで使用するシーンがどの家庭でも散見されますが、これが火災を引き起こす要因となります。「火を使わない」という安心感が、油断を招いてしまうのかもしれません。

配線系

たこ足配線や束ねたコード、電気プラグにホコリが溜まるといったことでも火災は発生します。たこ足配線が火災の原因になるのは、コンセントを差す個数ではなく、容量オーバーによるものです。容量を超えた電力がコンセントにかかり続ければ、いとも簡単に発火してしまうことに注意しましょう。

発火の原因はたこ足配線だけではありません。コンセントに溜まったほこりから発火してしまうこともあるのです。特にテレビや冷蔵庫といった電気製品はコンセントを差しっぱなしで使うケースが多いのではないでしょうか。

長年差しっぱなしのコンセントを放置しておくと、コンセントのプラグにほこりが溜まります。そこに湿気が付着することで、火災の発生する原因になります。ほこりに付着した湿気は、差し刃の間で電気を流し、ほこりに引火することで火災を発生させてしまうのです。

「トラッキング現象」と呼ばれるこの現象の怖い点は、電気製品の電源を切っていても発火の原因となりうるところです。留守中や夜中など、発見が遅れればそれだけ被害は大きくなるでしょう。

意外と知らない火災の原因も要チェック!

火災の原因

代表的な火災原因以外にも、思いもよらないことが原因で発生する火災があります。ここでは、火災を引き起こす意外な要因について見ていきましょう。

収れん火災

意外な火災原因のひとつは収れん火災です。太陽の光がレンズや鏡の反射で1ヵ所に集まることを収れん現象といい、その場所に可燃物があると火災に至る場合があります。小学校の理科の実験を思い出す方も多いかもしれません。日常生活で収れん現象を引き起こす条件が整うなど、にわかには信じがたいかもしれませんが、実はその収れん現象が原因で火災に至る場合もあるのです。

例えば水の入ったペットボトルや金魚鉢、透明な吸盤に太陽光が当たれば、収れん現象が起こり得ます。その時に、近くに可燃物などがあれば収れん火災が発生してしまいます。

部屋の奥まで太陽光が差し込んだ場合に、火災が発生しやすいといわれており、季節との関連なくいつでも起こる可能性があります。水の入ったペットボトルや金魚鉢でまさか発火するとは考えにくいため、火災対策をしっかり行っている家庭でも見落としてしまいがちなので、注意しましょう。

電子レンジによる火災

レンジ 火災

電子レンジによる火災も毎年発生しており、意外なことに、電子レンジからの発火は増加傾向にあるようです。電子レンジが発火する原因は、誤った使い方にあります。

例えば、必要以上に長い時間加熱する、加熱不可の包装ごと加熱する、といった使用方法はNGです。電子レンジによる火災は、思いの外簡単に発生することがわかっています。東京消防庁が行った再現実験では、120gの焼き芋を700Wで加熱したところ、6分26秒で燃焼が起きたそうです。

食品に含まれる水分が蒸発して、食品が炭化することで、そこに発生した可燃性のガスが帯電し、電子レンジの熱から引火します。日常での使用頻度が高い電子レンジですが、使用方法を間違えるだけで、大規模な火災を引き起す可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

出典元:火災に注意!電子レンジを安全に使用しましょう!|東京消防庁

衣類乾燥機による出火 

乾燥機に残った衣類からの出火も、意外な火災として報告されています。洗濯後に乾燥機をかけてそのまま放置するといったありふれた行動が、原因となっているようです。

この場合注意したいのは、アロマオイルなどが染み込んだ衣類を乾燥機にかけるケースです。洗いきれなかったオイルは酸化反応で発熱し、自然発火することがわかっています。特に乾燥機などの密閉空間では、オイルから発生した熱が蓄積し、温度が上昇します。火の元が近くになくても、条件さえ整えば発火の危険性があるのです。

電子蚊取り器による出火

電子蚊取り器による火災も、思わぬ条件が重なった火災原因のひとつです。一般的な蚊取り線香と違い、直接火をつけて使用するわけではありませんが、可燃物が近くにあれば引火するリスクが高まります。

特に注意したいのは、就寝時に使う場合です。電子蚊取り器を布団の近くに設置して就寝したところ、寝返りの際に布団に巻き込み出火したという事例が報告されています。

火災発生のリスクは環境によってもアップする!

火災

火災は、空気が乾燥している場合に起こりやすいのが特徴です。そのため冬場に火災が多くなるイメージですが、実際には春先の気象条件の方が、出火の発生原因が整っていることがわかっています。関係してくるのは、空気の乾燥と風の強さです。

春先は、偏西風で乾いた移動性高気圧と低気圧が、大陸から交互にやってくる傾向にあります。乾燥した空気は火災を引き起こしやすく、そこに強い南風が吹くことで、さらに火は燃え広がりやすくなってしまうのです。実際にたばこの吸い殻から炎があがるまでの時間は、夏より春の方が倍以上早いと報告されています。

火災を発生させないために!ご自身でできる対策とは?

火災を発生させないために、ご自身でできる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは住宅での火災を想定し、取り入れたい対策について紹介しましょう。

火を扱う際は目を離さない

基本的な火災対策ではありますが、コンロやマッチなど火を使う場合には、目を離さないことが重要です。先に紹介したように、コンロによる火災原因の多くは消し忘れにあります。

消し忘れないためには、火の使用中そばを離れないこと、目を離さないことといった、基本的な対策を徹底するしかありません。出火の危険性を少しでも減らすためには、火の近くに燃えやすいものを置かないことも有効です。

コンセントや配線周りはこまめに掃除する

配線 火災

コンセントや配線回りの掃除も火災対策には欠かせません。条件が整えばいつ出火してもおかしくないのが、トラッキング現象です。

コンセントとプラグの間は、ほこりが溜まらないようこまめに掃除しましょう。冷蔵庫やテレビの奥など、掃除しにくい場所についてはコンセントカバーを使用するのもひとつの手段です。少しの手間で火災原因を排除できるので、忘れずに取り入れておきましょう。

電子機器は正しく使用する

電子機器は、間違った使い方をするだけで爆発的に出火してしまいます。火災を防ぐには説明書をきちんと読み、正しく使うことが重要です。また古すぎる電化製品は、それだけで出火のリスクを高めます。経年劣化による発火を防ぐためにも、異常を感じた場合は、速やかに買い替えましょう。

もしものときの備えも取り入れよう

2004年に消防法が改正され、すべての戸建て、アパート、マンションに住宅用火災報知器を設置することが義務づけられました。住宅用火災報知器は、音や音声で出火の発生をいち早く教え、大切な命を守ってくれます。

では、住宅用火災報知器以外に命を守るには、どのような対策があるでしょうか。万が一に備えるための火災対策法を3つ紹介しましょう。

消火器を常備する

小さい炎であれば、消火器を使って消すことができます。一般家庭では、万能に使える粉末消火器か、強化液消火器を準備しておくと良いでしょう。家庭用消火器はAmazonや楽天といった通販ショップ、ホームセンター、消防設備に関する専門会社から購入できます。簡単に使用できる、小ぶりサイズの消火器も初期消火には有効です。

いくつか種類があるため、置く場所に適したものを選ぶと良いでしょう。購入後は、万が一の際にもすぐに使えるよう、消火器の使い方も把握しておくことが重要です。

安全装置付きのコンロや電気機器を取り入れる

安全装置付きのコンロや電気機器の使用も、手軽に取り入れられる火災対策としておすすめです。安全装置がついたコンロや電気機器は、異常な過熱や火が消えた場合に自動的にガスの供給を止め、スイッチを切ってくれます。

安全装置がついたコンロとして、Siセンサーコンロを思い浮かべる方も多いかもしれません。Siセンサーコンロは、揚げものの調理の際に油温をチェックしてくれたり、消し忘れ防止で自動消火機能がついていたりとさまざまな機能で火災予防に役立ちます。

さらに、安全装置がついているのはコンロだけではありません。炎の異常や地震などの揺れを感知して、運転を停止する機能がついたストーブも多数販売されています。うっかりミスによる火災を防ぐためには、こういった便利な電気機器を活用するのもひとつの方法です。

防炎品を取り入れる

防炎性能を持った商品のことを防炎品と呼びます。その名のとおり火がついても燃え広がりにくく、火災の延焼速度を遅らせる効果が期待できるでしょう。

寝具類やカーペット、カーテンなど、防炎品の種類はさまざまです。身の回りの生活用品に防炎品を取り入れておけば、火災による被害をできるだけ小さく食い止められます。

7万が一火災が起きた際に取るべき行動とは?

火災

どれほど対策していても、放火による出火など防げない火災があることも事実です。万が一の場合に備えて、取るべき行動を紹介しましょう。

火災が起きた場合は、まず大声で周囲に火災を知らせ、慌てずに119番通報を行うことが大切です。避難時は煙を吸わないように姿勢を低く保ち、ハンカチで鼻や口を押さえながら素早く建物から出ます。急いでいてもエレベーターは使わず、下に向かって逃げるのがポイントです。気が動転してしまうかもしれませんが、いざというときに落ち着いて行動できるよう、日頃から繰り返し確認しておきましょう。

おわりに 

住宅火災は、思わぬうっかりミスで発生してしまいます。火災の原因は身の回りにあふれており、いつご自身が当事者になるかはわかりません。条件さえそろえばあっという間に出火し、燃え広がってしまうのが火災の怖いところです。

火災対策はどれも基本的なことばかりですが、備えるためには、まず知ることが重要となります。放火などの防げない火災については、火災発生時の取るべき行動を押さえておくことで、万が一に備えましょう。火災から大切な命や財産を守れるのは、ご自身の行動だけです。

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