お彼岸は、日本で広く知られている仏教行事のひとつです。しかし、そもそもお彼岸とは何なのか、どのような物をお供えしたら良いのかなど、お彼岸について詳しく知らない方も多いでしょう。この記事では、お彼岸におすすめのお供え物について紹介していきます。お彼岸のときに何をお供えしたら良いのかわからず困った経験のある方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のまとめ
お彼岸の期間は春分の日と秋分の日を起点とし、それぞれ前後3日間の計7日間。昔からこの7日間は、亡くなった故人を偲ぶ大切な期間とされています。
お彼岸の期間には、ご先祖様に日頃の感謝を込めてお墓参りやお墓掃除、仏壇参り、他家への訪問などを行い、それらを行う際にはお供え物が必要。お供え物には、ぼた餅やおはぎ、彼岸団子、花、そうめん、精進料理などを選ぶと良いでしょう。また、故人が生前好きだった物や現金などでもかまいません。お彼岸のお供え物にはかけ紙をするなど、マナーを守り正しく贈りましょう。
お彼岸とは?
お彼岸におすすめのお供え物を紹介する前に、お彼岸がどのような期間なのかについて紹介していきましょう。
お彼岸は亡くなった方を偲ぶ、この世とあの世が近くなる期間とされています。お彼岸は1年に2回あり、1回目は春分の日を起点とした前後3日間の7日間、2回目は秋分の日を起点とした前後3日間の7日間。2023年のお彼岸は、3月18日〜3月24日と、9月20日〜9月26日です。
では、なぜお彼岸は7日間もあるのでしょうか。もともと、お彼岸は仏教者たちの修業期間とされていました。春分の日と秋分の日である中日は祖先を偲ぶ日とし、それ以外の6日間は修行を行っていたのです。そのため、お彼岸は7日間あるとされています。
お彼岸にやるべき基本的な4つのこと
お彼岸では、あらゆるやるべきことがあります。以下では、お彼岸にやるべき基本的な4つのことを紹介していきましょう。
お墓参り・お墓掃除
お彼岸には、お墓参りやお墓掃除を行いましょう。まずはご先祖様に挨拶をし、お墓の周辺から掃除を始めます。
次に墓石に水をかけてブラシやタワシなどできれいにしましょう。香立てや水鉢なども忘れずに掃除するのがポイントです。お墓がきれいになったら、お供え物をして焼香をし、手を合わせましょう。合掌をして日頃の感謝を伝えたら、お供え物を下げてから帰ります。
掃除用具は、お寺や霊園で貸し出している場合もありますが、手持ちの掃除用具があるならそれらを持っていくと良いでしょう。
お墓参り・掃除に行くタイミングは?
「暑さ寒さも彼岸まで」というフレーズを聞いたことがあるでしょう。春のお彼岸、秋のお彼岸ともに、季節が変わってちょうど過ごしやすくなり、お墓参りにも行きやすい時期です。
春、秋それぞれ7日間ありますが、春分の日、秋分の日である中日がお墓参り・掃除に行くベストな日であるとされています。
しかし、この日でないとだめという決まりはないので、行ける日に出向いて掃除をし、ご先祖様に手を合わせましょう。
仏壇参り
仏壇には、故人の位牌とご本尊が安置されており、小さなお寺のようなものとされています。そのため、お彼岸には仏壇参りや仏具の掃除なども行いましょう。
まずは仏壇に手を合わせて掃除のお断りをしておきます。仏壇の掃除は柔らかいタオルなどを用いて、上から下へと行ってください。このとき、カビの原因になるため、水拭きではなく乾拭きで掃除を行うようにしましょう。
仏具を元の場所に戻せる自信のない方は、あらかじめ仏壇の写真を撮っておくのがおすすめです。
お盆のような飾りつけは必要?
お盆には提灯などを飾ったり、祭壇などの棚を使ったりしてお盆飾りをします。では、お彼岸でもそのような飾りは必要なのでしょうか。
お彼岸では基本飾りは必要ではなく、お供え物を供えるだけで問題ありません。しかし「十三仏(じゅうさんぶつ)」というかけ軸を仏壇の周りに飾るケースもあります。
他家への訪問
お彼岸ではお墓参りや仏壇参りを兼ねて、他家へ訪問する地域もあります。他家へ訪問する際は、手ぶらではなくお供え物を持っていくのが常識です。
訪問時のマナーは?
前述したように、他家を訪問する際は手土産やお供え物を持っていきましょう。手土産やお供え物として最適なのは、日持ちする菓子折りや、お菓子以外なら線香、フルーツなどです。
また物ではなく現金を渡す場合もあります。現金を渡す場合は、通常のお彼岸なら3,000円〜5,000円程度、初彼岸であれば5,000円〜10,000円程度がおすすめです。
彼岸会への参加
お彼岸には、寺院などでご先祖様の供養法要である彼岸会(ひがんえ)が行われる場合があります。縁のある寺院がある場合は、参加すると良いでしょう。彼岸会に参加する際は、お布施を用意する必要があります。お布施の金額の相場については以下で紹介していきましょう。
お布施の相場は?
彼岸会の参加時に持っていくお布施の相場は、数千円〜10,000円程度とされています。自宅にお坊さんを呼んで供養法要を行う際は、30,000円〜50,000円程度のお布施が必要です。
その際、数千円をお車代として別にお渡しするケースもあります。お布施は無地の白封筒に包み、「お布施」や「御布施」と表書きをしてお渡しするのが基本です。
お彼岸の一般的なお供え物9選
ここでは、お彼岸におすすめの一般的なお供え物9選を紹介していきます。お彼岸のお供え物に迷っている方は必見です。
ぼたもち・おはぎ・彼岸団子
お彼岸にはぼたもちやおはぎをお供えする風習があります。春に牡丹の花が咲くことに因んで春のお彼岸にはぼた餅、秋に萩の花が咲くことに因んで秋のお彼岸には、おはぎを供えるのが一般的です。
お供えする時期に違いがあるもののぼた餅とおはぎには明確な違いはなく、呼び方が違うだけと覚えておいて良いでしょう。また、お彼岸にぼた餅やおはぎを供えるのには「小豆の赤色で邪気を払うため」「貴重な砂糖を使ったお菓子をご先祖様に捧げ感謝を伝えるため」などの意味があるとされています。
ぼた餅やおはぎに加えて、お彼岸に彼岸団子を供える風習も。かつては里芋をお彼岸に供えていましたが、手に入れられない時期があったことから、里芋に見立てた団子を供えるようになったそうです。
お彼岸に彼岸団子を供えるのは「長い旅で疲れた故人を癒すため」「地上の食べ物を食べることによって故人との繋がりを感じるため」などの意味があります。
ジュース・缶詰
日持ちするジュースや缶詰も、お彼岸のお供え物としておすすめです。ジュースや缶詰は保存がきくため、特に他家を訪問する際には先方の負担になりにくく重宝されるでしょう。
しかし、仏教においてお酒を供えるのは禁止されているため、故人がお酒好きだったとしても、缶ビールなどのアルコール飲料は避けた方が無難です。
果物・お菓子
果物やお菓子も、お彼岸において定番のお供え物です。特に他家を訪問する際は、最中や羊羹、饅頭など、お茶と一緒に楽しめ、家族構成にかかわらず喜ばれる和菓子が重宝されます。
老舗の和菓子屋などでは、お彼岸の時期に合わせてギフトセットや小分けされている物を用意している場合もあるため、チェックしてみると良いでしょう。
また、仏壇には、故人の好きだった果物やお菓子を供えるのもおすすめです。
そうめん
そうめんは精進料理であることや日持ちすることから、お彼岸におすすめのお供え物です。また、仏様があの世へ帰る時に荷物をまとめる紐としてそうめんを使うとされていることから、そうめんは仏事のお供え物として多く選ばれています。
精進料理
精進料理もお彼岸のお供え物としてよく登場します。精進料理とは、修行僧の食事として生まれた、肉や魚などを使用せず野菜類や海藻類、穀類などで作られた料理です。
精進料理は用意が大変なため、近頃では手に入れやすくなったフリーズドライの商品を活用するのも良いでしょう。
花
お彼岸のお供え物として花もおすすめです。花屋などで売られているアレンジメントを供えたり贈ったりするのが一般的ですが、近年はお手入れをしなくても良い造花を選ぶ方も増えています。
花を選ぶ際は、故人の好きだった花や季節の花を選ぶと良いでしょう。一方でトゲのあるバラやアザミ、毒のある花、派手な色味の花はお彼岸のお供え物として向いていません。
線香・ろうそく
線香やろうそくは、消耗品かつご先祖様のために使える物のため、他家への訪問時などに持っていくと重宝されます。線香とろうそくのギフトセットは見栄えの良さに加え、予算に合わせて選べる点がメリットです。大手百貨店などに出向いて探してみると良いでしょう。
故人・遺族の好きな物
これまでおすすめのお供え物をいくつか紹介しましたが、お彼岸のお供え物には原則として決まりがないため、故人や遺族の好きな物を供えるのもおすすめです。
例えば、タバコが好きだった故人であればタバコのお供え物、映画が好きだった故人には映画DVDのお供え物など、故人や遺族の気持ちに寄り添ったお供え物を贈りましょう。
現金
お彼岸のお供え物として現金を包み、香典として贈る場合もあります。一般的な香典の相場は3,000円〜5,000円程度、生前お世話になった方へ贈る香典の相場は5,000円〜10,000円程度です。
また、香典と品物を一緒に贈る場合は、総額で5,000円程度になるように準備すると良いでしょう。あまりに高額な香典を贈ると相手も気を遣い負担になる場合があるため、相場や相手との関係を踏まえたうえで金額を決定する必要があります。
なお、香典を渡す際には、香典袋または不祝儀袋などにお金を入れ、表書きをするのがマナーです。
お彼岸のお供え物には「のし」が必要
お彼岸のお供え物には、礼儀作法としてかけ紙をつける必要があります。このかけ紙は「のし」と呼ばれることもありますが、のしは一般的に祝い事で使われる言葉のため、ここでは「かけ紙」としてマナーを紹介していきましょう。
かけ紙の選び方・つけ方
弔事であるお彼岸では、白黒か双銀結び切りの水引を使用するのが一般的です。昨今ではかけ紙に水引が直接印刷されている物が主流になっています。
かけ紙の表書きと名前の書き方
かけ紙の上部には「御仏前」または「御供」と書き、下部にはご自身の名前をフルネームで記載します。
連名で贈る場合は、一人ひとり名前を記載しましょう。店頭やオンラインショップなどでお供え物を購入した際には、ほとんどの場合でかけ紙をつけてもらえます。忘れずに依頼しましょう。
お彼岸に関するQ&A
ここでは、お彼岸に関するQ&Aを紹介していきます。
お彼岸のお供え物は郵送しても良いの?
お彼岸のお供え物は、郵送してもかまいません。相手の住んでいる場所が遠方であったり出向くのが難しかったりする場合は、日持ちする品物を選び郵送しましょう。
お供え物を送る際は、宅急便やオンラインショップを利用し、現金を郵送する場合は現金書留用の封筒を用意してください。また、お供え物と一緒に手紙を添えて郵送するのが理想です。手紙を添える場合は、信書便で郵送しましょう。
お彼岸のお供え物を供えるタイミングは?
お彼岸のお供え物を供えるには適切なタイミングがあります。以下では、お供え物を仏壇に供える場合、手土産として持っていく場合、郵送する場合、それぞれの適切なタイミングをご紹介。
仏壇に供える場合
仏壇にお供え物を供える場合は、お彼岸の初日に供え、お彼岸の最終日に下げるのが一般的です。7日間も日持ちしない品物を供える際は、中日がメインとなるように供えましょう。
手土産として持っていく場合
手土産としてお供え物を他家などに持っていく場合は、基本的にお彼岸の期間内であればいつでもかまいません。ただし、先方にとって迷惑とならないよう、事前に連絡を入れておくと良いでしょう。お彼岸の期間内での訪問が難しい場合は、お彼岸よりも前の期間に伺うのがおすすめです。
郵送する場合
相手の住んでいる場所が遠方で出向くのが難しい場合や先方との予定が合わず手渡しできない場合は、お供え物を郵送するのがおすすめです。その場合は、お彼岸の初日または中日までに届くよう手配しましょう。
お彼岸のお供え物にお返しは必要?
お彼岸のお供え物にお返しは不要とされています。大々的に法事を行う四十九日やお盆と違い、お彼岸は身内で営む場合が多いためです。ただし、今後のおつき合いのことを踏まえてお返しをしてもかまいません。お彼岸のお返しの有無については事前に家族と話し合っておくと良いでしょう。
お墓参りやお墓掃除に行けない場合は?
体調が悪い、お墓が遠方で出向くのが難しいなど、お彼岸の期間にお墓参りやお墓掃除に行けない方も多いでしょう。そのような方には、お墓参り・お墓掃除の代行サービスの利用がおすすめです。
お墓参り・お墓掃除の代行サービスを利用すれば、ご自身がお墓に出向かなくても墓石の劣化や雑草の繁茂などを防ぐことができます。
くらしのセゾンが提供する「お墓参り・お墓掃除代行サービス」は、お墓参りに行けない方の代りにお墓詣りを代行するサービスです。全国各地のお墓へ出向き、真心を込めて墓石・香炉・花立などの水洗い、草刈り、落ち葉などの清掃をします。作業完了後に発行する写真付き報告書にて、お墓の様子と仕上がりを確認できます。体力や時間に余裕のない方など、ぜひ一度お問い合わせください。
おわりに
お彼岸のお供え物には基本的に決まりがありません。ご先祖様に日頃の感謝を伝えながら、花やお菓子、果物などをお供えしましょう。ただし、他家へお供え物を渡す際は故人や遺族など相手の気持ちに寄り添い、日持ちする物、故人や遺族のために使用できる物にするのが適切です。このコラムを参考に、お彼岸にぴったりのお供え物を選んでください。