日本全国に生息する害虫、ムカデ。毒性があり、噛まれると激痛や腫れなどの症状が出ます。ムカデの被害に遭わないためには、事前の対策が大切です。この記事ではムカデの駆除方法や、噛まれた際の応急処置、ムカデの侵入対策まで具体的に解説しています。ムカデの被害に頭を悩ませている方は、ぜひ参考にして適切な対策をしてください。
ムカデは日本全国に広く生息する、毒性を持つ害虫です。ムカデが多く発生するのは、エサとなるゴキブリなどが住み着いている場所や落ち葉や庭石の裏など湿気が多い場所。ムカデに噛まれると、腫れや激痛、痒みといった症状が出ます。呼吸困難や蕁麻疹など、アナフィラキシーショックを引き起こすことも。万一、ムカデに噛まれた場合は、速やかに患部を洗いステロイド剤などを塗る応急処置をして病院を受診しましょう。ムカデを見つけたら、50℃以上の熱湯をかけたり殺虫スプレーを噴射したりして退治します。ムカデの被害に遭わないための対策には、侵入経路を断つことやムカデが好む高温多湿の環境を作らないことが有効です
ムカデとはどのような害虫か
まずは、ムカデとはどのような虫なのか、ムカデの種類と併せて確認してみましょう。
ムカデはどんな虫?
ムカデは肉食の虫で、日本国内では約130種、世界的に見ると約3,000種が生息しているといわれています。日本国内でよく見かけるムカデは、体長約7〜13cm。体は細長く、漢字で「百足」と表記するとおり、体節から無数の足が生えているのが特徴です。ひとつの体節に一対の足が生えており、177対の足を持つムカデもいます。
特徴である無数の足は外敵から身を守る機能があり、敵に襲われたときには自ら切り離すこともあります。ムカデの寿命は6〜10年程度で、その間に10回以上脱皮を繰り返し、脱皮することで切れた足が再生することもあるようです。
ムカデの種類
日本で主に見かけるムカデは、トビズムカデ・アオズムカデ・セスジアカムカデの3種類です。それぞれの特徴をみていきましょう。
トビズムカデ
鳶のような色をした頭、鳶頭(とびず)から名前が付いたといわれているトビズムカデ。頭は鳶のような赤褐色、胴体は黒色、足は黄色やオレンジ色をしています。体長は8〜13cmくらいが多く、中には15cmを超えるものもいて、日本に生息するムカデでは全体的に大きなほうです。東北以南に生息しており、主に夏場に活動しますが暖かい地方では冬眠しない場合もあります。
セスジアカムカデ
セスジアカムカデは、頭部と胴体が赤褐色で足が黄褐色のムカデです。体長は5〜8cmと小さめで、23対の足があります。胴体の裏に筋があるという特徴が、セスジアカムカデという和名の由来です。北海道から沖縄まで広く生息しており、倒木や朽木の樹皮の裏などで多く見られます。
アオズムカデ
トビズムカデの亜種であるアオズムカデは、頭と胴体は暗青色で、足は黄色やオレンジ色のものが多いですがまれに青色の場合もあります。体長は8〜10cm程度で、主に本州・四国・九州に生息している毒性の強いムカデです。基本的に夜間に活動し、7〜9月にかけて繁殖します。
ムカデが発生する場所は?
日本国内の広い範囲に生息しているムカデですが、特に好む場所があります。どのような環境を好んで生息しているのかを知ることで、ムカデの侵入を防ぐことも可能です。ムカデが好んで生息する主な場所を確認しておきましょう。
エサとなる昆虫がいる場所
ムカデは肉食のため、エサとなる昆虫がいる場所に発生しがちです。特にムカデの好物とされているのが、ゴキブリ。
そのため、ゴキブリが住み着きやすい高温多湿で暗い場所には、ムカデが発生しやすいようです。ゴキブリの対策をすることが、ムカデの侵入対策にもつながります。生ごみの処理やゴキブリが卵を産み付ける可能性がある段ボールの処分など、日ごろから気をつけるようにしておきましょう。
高温多湿な場所
ムカデは元々熱帯雨林に生息しているため、高温多湿な環境を好みます。自然界では倒木や朽木、落ち葉など湿気が多い場所に生息しています。
そのため家に庭木がある場合は、落ち葉がたまっている場所や庭石の裏側などは、ムカデが寄り付きやすい場所といえるでしょう。また、自宅内では浴室やトイレ、キッチンなど湿気が多い水回りは、ムカデが侵入しやすい場所です。
ムカデに噛まれたときの症状は
ムカデには毒があり、その主な成分はセロトニン・ヒスタミン・酵素です。セロトニンは神経に作用する成分で、ヒスタミンの働きを増大させる役割があります。ヒスタミンは、痛みの元となる成分です。酵素は細胞を破壊して毒を浸透させる役割があり、これらの成分が合わさることによりムカデに噛まれるとさまざまな症状を引き起こします。
ムカデの種類によって毒性が異なり体質によっても症状は違いますが、噛まれた直後は激痛や腫れ、かゆみといった症状が出るのが一般的です。まれに、頭痛やめまいなどの症状が出る場合もあります。
過去にムカデに噛まれたことがある場合は、アナフィラキシーショックといって蕁麻疹や血圧低下などのアレルギー症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。
ムカデに噛まれたらどうすれば良い?
万一、ムカデに噛まれたときは、素早い応急処置が必要です。アナフィラキシーショックによる血圧低下や呼吸困難など重度の症状が見られる場合は、すぐに救急車を手配します。症状が軽い場合は、応急処置をしてから病院を受診しましょう。
患部を熱いお湯で洗う
針で刺す蜂などと違い、ムカデの毒は皮膚の表面に付着しているため、噛まれたらすぐに洗い流しましょう。また、ムカデの毒の成分に含まれるたんぱく質は、熱に弱いという特性があります。毒の効力を弱めるために、火傷に注意しながら43℃程度のお湯をかけるのも効果的です。
市販薬を塗る
噛まれた場所を洗い流したら、炎症を鎮めるために軟膏を塗っておきます。市販薬でかまいませんが体質により使えないこともあるため、購入の際は薬剤師に相談しましょう。軟膏はステロイドが配合されたものが適していますが、噛まれた部位によってステロイドの強さを調節します。
大人が使用する場合は、噛まれた部位が手足などであれば強めのステロイドを使用してかまいません。皮膚が弱い方や顔などの皮膚が薄い部位であれば、ステロイドが弱めの薬を使いましょう。また、痒みをともなう場合は、痒み止め成分配合のステロイド剤がおすすめです。
子どもは大人に比べて皮膚が薄いため、ステロイドが弱めの軟膏を選びます。子ども用にステロイドの強さを落とした市販薬があるので、薬剤師に相談してみると良いでしょう。子どもにステロイドを使いたくない場合は、ステロイド非配合の痒み止め軟膏や貼るタイプの痒み止めなどがおすすめです。
早めに医療機関へ
お湯で患部を洗い流したり、軟膏を塗ったりすることは、あくまでも応急処置にすぎません。症状の悪化や長引く可能性もあるため、早めに受診しましょう。繰り返しになりますが、アナフィラキシーショックのような重度の症状が見られる場合は、救急車を呼ぶか直ちに医療機関を受診してください。
ムカデを見つけたときの対処法
ムカデに噛まれてしまうと腫れや痛みの症状のほか、ひどい場合はアナフィラキシーショックを起こしてしまいます。ムカデを見つけたら、速やかに退治することが大切。ムカデは「殺すと集まる」といわれているようですが、科学的根拠はなく潰した際に出る体液に仲間のムカデが集まることもありません。
一度退治した場所で何度もムカデを見かけるとしたら、ムカデが住み着きやすい環境であることが考えられます。ここからは、ムカデを発見した際の撃退法を紹介しますので、万が一に備えて参考にしてください。
スリッパや新聞紙でたたく
ムカデを発見した場合は、逃げられる前にスリッパや新聞紙、雑誌などで叩くという方法があります。叩くときは、ムカデの急所である頭を狙いましょう。しかし、頭を潰しても動き続ける場合があります。ひとまず頭を叩いてムカデを弱らせたら、熱湯や殺虫スプレーをかけて退治してください。
熱湯をかける
熱湯をかけてムカデを弱らせる方法もあります。100℃の熱湯でなくても、50℃以上のお湯ならムカデを弱らせる効果があるようです。床に直接かけると床材を傷めてしまうので、トングで挟んだムカデをバケツに入れて熱湯をかけましょう。
ただ熱湯をかけるだけに比べ、バケツに入れた熱湯に浸けるほうが、ムカデの動きを弱める効果があります。熱湯を使う際は、火傷をしないよう注意してください。
殺虫スプレーをかける
一番手軽な方法ですが、自宅に殺虫スプレーがある場合はムカデに噴射しましょう。殺虫スプレーは、ホームセンターやドラッグストアなどで販売されています。対象となる害虫が異なることがあるので、購入の際はムカデに効果がある成分かどうか確認が必要です。
一度の噴射では、ムカデを退治できないこともあります。その場合は、ムカデが弱まるまで何度も吹き付けましょう。薬剤が床や壁に付くことを避けたい場合は、冷却タイプのスプレーがおすすめです。
罠を仕かける
ムカデを発見したけれど見失った場合、まだ家の中に潜んでいる可能性があります。就寝時に噛まれる可能性もあるため、罠を仕掛けてムカデをおびき寄せ、早めに退治しましょう。
罠は、湿気を好みエサよりも水を求めるムカデの習性を利用します。罠の作り方は、大きめのビニール袋を切り開き、その上に水を含ませた雑巾を数枚積み重ねるだけです。
ムカデを見失った場所に設置しておけば、雑巾の間にムカデが入り込んでくるでしょう。ムカデが入ったことが確認できたら、先ほどご紹介した方法で退治します。
ムカデを家に侵入させない方法は
ムカデの撃退方法をご紹介しましたが、被害に遭わないためには侵入されないよう対策することが大切です。ムカデを侵入させない方法をいくつか紹介しますので、侵入に頭を悩ませている方は一度試してみてください。
侵入経路をふさぐ
ムカデは、ほんのわずかな隙間からでも侵入してきます。例えば浴室やキッチンなどの水回りの排水部分、エアコンのダクト周り、ひび割れた外壁や窓のサッシなどです。排水部分のフタをきっちり閉めたりテープで隙間を塞いだりして、ムカデの侵入を防ぎましょう。まずは、侵入経路を徹底的に断つことが大切です。
湿度を下げる
ムカデの侵入を防ぐには、ムカデが好む高温多湿の環境を作らないことも大切です。除湿剤や換気扇を使用して、湿気がこもらないようにしましょう。窓を開けて風を通し、換気をしながら室温を下げることも効果的です。
ムカデが嫌う香りで対策する
ムカデ対策用の忌避剤を使う方法もありますが、有害成分が気になる場合は天然由来成分のハーブ系の香りがおすすめです。ムカデが嫌うハッカやヒノキの香りを使って対策をしましょう。
ヒノキの香りを使った対策には、ホームセンターなどで販売されているヒノキチオール配合のスプレータイプやシートタイプの忌避剤が便利です。ハッカで対策をする場合は、ドラッグストアで手に入るハッカ油と無水エタノール、精製水で作ったハッカスプレーを使います。
家の周辺を掃除する
ムカデは、湿気を含んだ落ち葉や庭石の裏などに住み着きます。ムカデが好む環境を作らないために、家の周辺の落ち葉や雑草をこまめに掃除しましょう。小さな子どもがいる場合、庭で遊んでいるときにムカデに遭遇することがあるので、特に注意が必要です。
害虫駆除のプロに頼む
ムカデの侵入を防ぐ対策を紹介しましたが、ムカデは床下などの対策が難しい場所からも侵入してきます。また、一度退治したのに何度も見かけるようなら、根本的な対策が必要です。家庭でできる対策をしてもムカデを見かける場合は、早めに害虫駆除のプロの手に委ねましょう。
ムカデの駆除はもちろんのこと、エサとなるゴキブリなどの害虫駆除も、ムカデ対策には効果的です。くらしのセゾンが提供する害虫駆除サービスは、害虫駆除だけでなく予防策の提案までしているので長期に渡る対策ができます。
事前に無料見積もりが利用でき、出張費も不要です。害虫駆除にあたるのは、防除作業監督者など専門資格を保有する知識と経験が豊富なプロ。WEBサイトから問い合わせができるので、ムカデ対策にお悩みの方は一度利用してみてはいかがでしょうか。
おわりに
ムカデはわずかな隙間から侵入してきて、噛まれると激痛や腫れの他、アナフィラキシーショックを起こすこともある毒性の強い害虫です。ムカデを発見したら、熱湯や殺虫スプレーなどで速やかに退治をし、万が一噛まれたらすぐに応急処置をしましょう。
ムカデの被害に遭わないためには、侵入させないよう対策をすることが大切です。家庭でできることは、侵入経路を塞いだりムカデ専用の忌避剤を置いたりする方法。対策をしてもたびたびムカデを見かけるようなら、害虫駆除のプロに依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。