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親と同居って実際どうなの?メリット・デメリットや体験談を紹介

セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

親が高齢になってきて「同居した方が良いのでは」と考えたことはありませんか。別居していると健康状態や生活状況を把握しにくいため、不安に思っている方もいるでしょう。ここでは、親と同居するメリット・デメリット、同居成功のポイントなどについて解説します。成功例や失敗例などの体験談もまとめていますので、親との同居を検討中の方、同居で悩んでいる方はご一読ください。

この記事のまとめ

親と同居すると、健康状態を把握しやすい、家事・育児を分担できるなどのメリットがあります。その一方で、介護により子どもの負担が増えたり、一緒に生活することでストレスが溜まったりする可能性も否定できません。
同居を成功させるためには、事前にルールを決めて干渉しすぎないことが重要です。生活リズムや価値観が違うのは当たり前のことであるととらえて、受け入れる覚悟もしておきましょう。
同居が難しい場合は、近所に住んだり見守りサービスを利用したりするのもおすすめです。また、ストレスを溜めこみすぎないように、相談窓口を調べておくと良いでしょう。

高齢者のひとり暮らしが増えている?

まずは、高齢者のひとり暮らしに関するデータを見てみましょう。

内閣府が発表した「令和4年度版高齢社会白書」によると、ひとり暮らしを送る高齢者の割合は年々増加しています。65歳以上の男性のひとり暮らしの割合は、1980年の時点で4.3%でしたが、2020年には15.0%まで増えました。また、女性のひとり暮らしの割合も、11.2%から22.1%まで増加したことがわかります。

単身高齢者が増加している背景にあるのが、高齢化や家族構成の変化です。ライフスタイルの近代化や働き方の変化により、三世代世帯は減少しています。また「子どもに迷惑をかけずに自立したい」と考える方が増加したことも、単身高齢者が増えている理由のひとつであるといえるでしょう。

参照元:内閣府|令和4年版 高齢社会白書

親と同居するメリット

単身高齢者が増加している一方で、親との同居を開始する方もいます。同居のメリットを以下にまとめました。

親の健康状態を把握できる

高齢者は、複数の病気を抱えていることも珍しくありません。別居していると、周りが気づかないうちに病気が進行してしまうケースもあるでしょう。

このようなリスクは、親と同居することである程度軽減できます。健康状態を近くで観察し、変化に気づいて受診につなげることが可能となるためです。親に万が一のことがあった際にも早急に対応できるでしょう。

家事や育児を分担できる

家事や育児の分担ができることも、親と同居するメリットです。ご自身が仕事で忙しい時は、家事にまでなかなか手が回らないこともあるでしょう。

このような場合も、親がいればサポートを受けられます。生活上のサポートを受けられるのは、子どもだけではありません。高齢の親にとっても、身体に負担のかかる作業を任せられるというメリットがあります。

経済的負担が軽くなることもある

親との同居は、金銭的な面でもメリットがあります。家賃や光熱費、食費などを折半できるだけでなく、親を扶養に入れられれば税金の控除も受けられます。特に、単身者が親と同居するケースでは、ひとり暮らしのときよりもお金を貯めやすいでしょう。

家族での食事が日課となれば外食の機会も減るため、食費を節約することも可能です。別居していた時より経済的負担が減れば、将来の資産形成にも役立ちます。

親と同居するデメリット

次に、同居のデメリットを紹介します。

ストレスが溜まる

デメリットの1つ目は、生活リズムや価値観の違いからストレスを感じる可能性があることです。関係性が近いからこそ、過度に干渉されて煩わしいと感じることもあるでしょう。

また、うまく家事分担ができないケースでは、さらにストレスが溜まってしまうこともあります。親が家事をできない、病気をかかえているなどの場合は、ご自身の負担だけが増えてしまう可能性も否定できません。

親の介護が必要な場合は子どもに負担がかかる

親が介護を必要とする場合は、子どもに精神的・体力的な負担がかかります。仕事を続けながら家事・育児だけでなく親の介護までするのは、簡単なことではありません。場合によっては介護のために退職を余儀なくされ、経済的に苦しくなるケースもあるでしょう。

また、現在は親が元気であっても、病気やケガによりいつ介護を必要とする状態になるかわかりません。親が高齢になればなるほどその可能性は高くなると考えておいたほうが良いでしょう。

生活能力が低下する

独身の方が同居する場合は、親に家事を頼りすぎて家事能力が養われにくいというデメリットもあります。細かいお金の計算なども親任せにしている方は、金銭感覚が周りとずれてしまう可能性もあるでしょう。そうならないためには、すべてを親任せにするのではなく、しっかりと分担することが重要です。

生活環境の変化が体調へ悪影響となる場合がある

同居のストレスが、親の心身状態に影響を及ぼす可能性もあります。生活環境の変化による精神的負担は、認知症の発症や悪化の要因として知られています。

同居する際に親が住み慣れた土地から離れるケースでは、うつ病にも注意が必要。築いてきた交友関係が断たれたり地域との関わりがなくなったりすることで、社会的役割を喪失する可能性があるためです。気力低下や睡眠障害などの症状に周りが気づき、早期に受診することが求められます。

親との同居を成功させる4つのポイント

親とうまく同居していくためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。同居成功のポイントを見ていきましょう。

親と同居する場合はルールを決める

生活・買物・介護など、後でトラブルになりそうなことについては、事前にルールを決めておきましょう。お金に関することは特にもめる可能性があるため、しっかりと話し合っておくのがおすすめです。

どちらがどれだけ負担するのかを決めておけば、同居後に「親が生活費を入れない」といったトラブルを避けることができます。

お互いに干渉しすぎない

お互いに適度な距離感を持って生活することも、同居を成功させるための重要なポイントです。関係性が良いからといってあまり近づきすぎてしまうと、お互いにストレスになる可能性があります。長い間良好な関係を続けていくために、干渉しすぎないようにしましょう。

生活リズムや価値観の違いを理解する

長年離れて生活していると、親子であっても価値観の違いが生じるものです。また、定年退職後の親と仕事をしている子どもでは、生活リズムも当然異なります。

しかし、親の価値観や生活リズムの違いを変えるのは困難でしょう。そのため、同居する際は違いを理解して受け入れる努力が必要です。お互いに思いやる気持ちを持てば、気持ち良く暮らしていくことができるでしょう。

親との同居について夫婦間でよく話し合っておく

義理の両親と同居する場合は、さらにストレスが溜まる可能性があります。このような事態になった時には、同居を解消する、ご自身だけ別居するなどの選択肢も。

ただし、パートナーに突然「同居を解消したい」と伝えたのでは、受け入れてもらえないことも多いでしょう。そうならないためには、親と関係性がうまくいかなくなったときの解決策を、あらかじめ夫婦で話し合っておくのがおすすめです。

親と同居する際のお金について

親と同居する際の生活費について、親の家で同居する場合と子どもの家で同居する場合に分けてご説明します。

親の家で同居する場合

親の家に子どもが同居する場合は、子世帯が生活費を支払うのが一般的です。

総務省統計局が発表している2021年の「家計調査報告」によると、単身者の月々の消費支出平均は食費41,731円、水道光熱費11,383円です。これらを合わせると53,114円となることから、子世帯が親世帯に支払う生活費の相場は、1人当たり50,000円程度と考えて良いでしょう。

なお、同居の親を扶養に入れる場合は、所得税・住民税の控除を受けられます。所得税の控除額は、親の年齢が70歳未満で380,000円、70歳以上で580,000円。また、住民税の控除額は、親が70歳未満で330,000円、70歳以上で450,000円となっています。

参照元:総務省統計局|家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)

子どもの家で同居する場合

子どもの家に親が同居する場合は、親が生活費の一部を渡して、病院代・介護費用などを親自身で支払うのが一般的です。2021年の「家計調査報告」によると、65歳以上の単身無職世帯における食費は月平均36,322円、水道光熱費は月平均12,610円、合わせて48,932円です。

親の家で同居する場合と同様に50,000円前後となりますが、親の経済状況なども考慮する必要があります。そのため、親に家事全般を頼み、生活費をいくらか支払ってもらうといった形を取ることも少なくありません。

なお、税金の控除額については、親の家に同居する場合と同様です。

参照元:総務省統計局|家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)

同居が難しいならこんな方法もおすすめ

親が心配で同居を検討していても、本人が「同居したくない」と断るケース、家族が納得しないケースもあるでしょう。そのような場合には以下のような選択肢もありますので参考にしてください。

近所に住む

同居以外の選択肢のひとつが、親に電車や車で1時間以内のところに住んでもらうというものです。適度な距離を保ちつつ健康状態を見守ることが可能ですし、子育てなどが大変な時には手を借りることもできます。そのため、お互いにストレスを溜めずに良い関係を築きやすいでしょう。

見守りサービスを利用する

見守りサービスは、親の様子を確認してもらえるサービスです。定期的に電話をかけてくれるものや室内の様子がカメラで分かるもの、食事や生活用品を届けてくれる宅配型のものなど、さまざまな種類があります。また、緊急時に駆けつけてくれるサービスもあるため、親のライフスタイルに合わせて選びましょう。

くらしのセゾンが提供する「見守りサービス相談窓口」は、お客さまの困りごとに合わせて、オーダーメイドのプランをご提案しています。「様子を知りたい」「万が一のときにそなえたい」「快適な暮らしをサポートしたい」という方は、ぜひご相談ください。

見守りサービス相談窓口の詳細はこちら

老人ホームを利用する

同居が難しい場合は、老人ホームを利用するのもおすすめです。介護を必要とする方向けの施設だけでなく、自立して生活している方向けの施設もあります。お金はかかりますが、手厚いサポートを受けながら生活を送ることができるでしょう。

【体験談】親と同居した3つのケース

親と同居した体験談を、失敗例も含めて3つ紹介します。

ケース1

「私たち夫婦の家に、義理両親と同居しています。まだまだ元気ですが仕事をしていないので、同居前から私たちが電気代、義理両親が水道・ガス代を負担しています。最初から決めていたので揉めることもなく、関係性も良好です。子どもの習いごとの送迎など、手が回らないところをサポートしてくれるので助かります。」

事前に話し合いをしたことで、トラブルになることなく親と同居できたというケースです。お金などのルールは、同居前から決めておくのがおすすめ。

ケース2

「キッチン・トイレ・お風呂など、ほとんどのスペースを共有する形で義理両親の家に同居したのですが、就寝や食事の時間が違うため生活リズムが合わずに苦労しました。

1年くらいはそのまま生活していたのですが、お互いに耐えられなくなってリフォーム会社に相談しました。ミニキッチンやトイレなどを新たに設置したことで生活を分けることができ、今ではストレスなく同居できています。」

生活スペースを分けるためにリフォームをした方の体験談です。間取りに余裕があれば、お互いが快適に過ごせるようにリフォームすることもできるでしょう。これから家を建てる場合は、スペースをどの程度共有するか話し合うことが重要です。

リフォームのご相談はくらしのセゾンでも承っています。

ケース3

「母が亡くなり、ひとり残された父を家に呼び寄せて同居することにしました。しかし、家のことや子育てのことにまで口出ししてくるようになり、関係性が険悪になりました。そのタイミングで、近所に高齢者向けマンションがあることを知り、話し合いの結果入居してもらいました。

最初はマンションでしぶしぶ生活していた父ですが、自由度が高いため気に入ったようです。私自身も適度な距離感を保ちつつ、穏やかに過ごせています。同居が難しい時は、こういった方法も良いと思いました。」

親の過干渉により同居がうまくいかなくなった事例もあるようです。このケースでは、近居を選択したことで良い関係性が保てるようになったそうです。お互いにストレスなく生活したい、干渉されたくないという場合は、近居も検討してみましょう。

親と同居に関するQ&A

最後に、親との同居に関する疑問にお答えします。

世帯分離はできる?

親と同居していても、親子がそれぞれ生計を立てられる場合は世帯分離が可能です。世帯分離とは、住民票上の世帯を分けることをいいます。分離させると世帯収入が減るため、介護費用の負担を軽減できる、低所得者向けの給付金を受給できるなどのメリットがあります。

ただし、これらの行政からの援助は、低所得の世帯であることが認められた場合のみ。そのため、世帯分離をすることにメリットがあるのかどうかをしっかりと検討することが重要です。

シングルマザーは児童扶養手当を受給できる?

所得など受給条件を満たすことができれば、児童扶養手当の受給は可能です。対象となるかどうかについては、自治体に相談してみましょう。

親との同居に限界がきたらどうする?

同居を解消する他に、親側・子ども側それぞれが相談できる窓口を用意しておくのがおすすめです。介護の相談ができる地域包括支援センター、自治体の介護保険を担当する窓口などを確認し、親の主治医や民生委員なども相談先の候補に入れておきましょう。

おわりに

親との同居は、親の健康状態を把握できる、家事・育児を分担できるなどのメリットがある一方で、お互いにストレスを溜めこむ結果になってしまうことも少なくありません。親と同居する前にしっかりと話し合ってルールを決め、お互いの違いを理解し干渉しすぎないようにすることが重要です。

同居がつらいと感じる時は、周りに相談する、行政や民間のサービスに頼るなどの選択肢もあるため、無理せずに検討してみましょう。

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