コニファーを育てているけれど、剪定方法について知らないという方もいらっしゃるでしょう。コニファーの大きさや形を整えるためには、剪定が必要不可欠です。適切に剪定ができれば、見た目が整うだけでなく、コニファーの健康を維持することにもつながります。
このコラムでは、コニファーを剪定する方法や、コニファーの基本的な育て方、代表的な品種についてご紹介。コニファーの剪定をお考えの方はぜひ参考にしてください。
この記事のまとめ
庭や鉢植えで楽しめるコニファーは、健康やきれいな樹形を保つために、適切なタイミングで剪定を行う必要があります。コニファーの剪定の適期は、3〜5月と9〜10月の年2回です。ただし、枝や葉を切る強剪定は3〜5月に行いましょう。剪定方法には「間引き剪定」や「刈り込み」などがあります。ご自身での剪定が困難な場合は、専門会社へ依頼するのがおすすめです。
また、コニファーは高温多湿に弱いため、育てる環境や水の与え方なども注意しましょう。品種によっては、病害虫に強く丈夫で剪定の手間もかからないものもあります。
コニファーの特徴
コニファーとは、ひとつの植物の名称ではなく、鉢植えや地植えに適した針葉樹の総称です。品種によって葉色は異なりますが、1年を通して緑の葉が楽しめる常緑樹です。代表的なものとして、ヒノキ科のゴールドクレスト、日本古来のマツなどがあります。クリスマスツリーで人気のモミの木もコニファーのひとつです。
コニファーが好む環境は、屋外の日当たりの良い場所です。日の当たりにくい場所だと、葉色が悪くなったり軟弱な株になったりする可能性があります。寒さに強く暑さに弱いため、理想の生育温度は15〜20℃です。特に日本の高温多湿の夏は苦手なので、鉢植え・地植えともに、風通しの良いところで管理しましょう。
コニファーに剪定が必要な理由
コニファーの健康と美しさを保つためには、手入れが必要です。
コニファーは、品種によっては成長が早く、縦だけでなく横にも大きくなりすぎてしまいます。枝が伸びすぎると、見栄えが悪くなるだけでなく、重さに耐えられず倒れてしまうかもしれません。また風通しが悪くなり、害虫や病気の原因にもなります。
剪定によって形を整え、枝葉の数を減らせれば、きれいな形を維持することができ、日当たりや風通しが良くなって病気にもなりにくいでしょう。
コニファー剪定に適した時期
剪定をする際に最も注意するべきことは、剪定の時期です。植物にとって、身を切られる剪定は、大きな負担となります。そのため、コニファーが剪定に耐えられる時期に行うのが大切。
コニファーの剪定に適した時期は、基本的に春(3〜5月)と秋頃(9〜10月)の年2回あります。それぞれの時期について、詳しくご説明しましょう。
3~5月の時期
3〜5月の春先は、コニファーにとって休眠期に当たります。休眠期とは、成長が停止している時期のことで、枝を根元から切るような負担の大きい「強剪定」に適した時期。枝の切り口が乾燥しやすいため、病気になりにくく、剪定の負担が軽減できるメリットがあります。また、休眠期に剪定すると、その後の成長期に入ったときに、枝の伸びが良くなるのも特徴です。
コニファーは暑さが苦手なため、真夏などの高温多湿の時期には、強剪定ができません。春先になると新芽が出てくるため、形を整える目的でも、3〜5月にしっかりと剪定を行うのがおすすめです。
9~10月初旬
増えた葉を整える程度の「弱剪定」におすすめの時期は、9〜10月頃です。夏が終わり、コニファーが休眠に入るために、徐々に成長を止めていきます。弱剪定は、余分な葉を手で摘み取る程度でかまいません。力を入れなくても摘み取れる葉だけを取って、形を整えましょう。
コニファーの剪定方法
実際に剪定をする方法をご紹介します。なおこれからご紹介する剪定方法は、樹木に負担をかけるため、3〜5月の強剪定の時期に行うのが適切です。
剪定に必要な道具
まず剪定に使う道具をそろえましょう。剪定方法にもよりますが、下記のような道具が必要です。
- 剪定バサミ
- 刈り込みバサミ
- 剪定ノコギリ
また、切った枝でケガをしてしまう恐れがあるため、作業時は手袋を着用し、長袖長ズボンで行ってください。
「間引き剪定」枝を間引いて減らす
強剪定の時期には、不要な枝や込み合った枝を取り除く「間引き剪定」を行います。理想の形からずれている枝を中心に、枯れた枝や増えすぎて密集している部分の枝を切っていきましょう。
表面の形を整えるだけでは、樹木内部の日当たりや風通しが改善しません。コニファーの健康のために、内部の密集している枝も間引くことが必要です。
「刈り込み」樹形を整える
全体の形を整えるには「刈り込み」といわれる剪定を行います。剪定バサミを使って、表面の伸びすぎた枝を刈り、樹形を整えましょう。外観がきれいになるとともに、新しい葉が表面に出てくるため、樹木の色が美しくなるのがメリットです。
「切り戻し」伸びすぎた枝を短くする
横に広がってしまった樹形のボリュームを抑えたいときには「切り戻し」を行います。切り戻しとは、伸びすぎた枝を短くする剪定方法です。ただし、葉の無い部分まで切りすぎないように注意しましょう。葉を残さなければ、その後に新芽が出ず、枯れてしまう可能性があります。
「芯止め」高さをおさえる
高く成長したコニファーを低くしたいときには、主幹を切る「芯止め」を行いましょう。主幹には、成長点と呼ばれる、細胞分裂が活発に行われる部分があります。成長点があると、縦方向にぐんぐん伸びていくため、芯止めによって成長点を切り取ると、高さを抑えられるでしょう。
コニファー剪定の注意点!
コニファーを剪定する際に、心がけてほしいポイントをご紹介します。
金属製の剪定バサミを避ける
コニファーは、鉄など金属製のハサミに触れると、切った葉が茶色く変色する可能性があります。全体が枯れるほどの失敗にはなりませんが、きれいな外観を保つなら、なるべく金属製のハサミは使用しないようにしましょう。セラミック製や、フッ素樹脂コーティングされた剪定バサミがおすすめです。
剪定後は切り口に癒合剤を塗る
コニファーを剪定したあとは、切り口から病原菌が入るのを防ぐことが必要です。枝の切り口には、殺菌やコーティングの役割を果たす癒合剤を塗りましょう。特に、主幹や太い枝の切り口には、必ず塗るようにしてください。
肥料と水やりを忘れずにする
剪定後は、新しい芽を出そうとするコニファーの成長をサポートするために、肥料や水やりを忘れないようにしましょう。
与えすぎは、根腐れや成長不良につながってしまうため、土の状態を観察して適度に与えることが大切です。
コニファーの剪定が大変な場合はプロに頼もう!
もしコニファーが大きく成長しすぎていて、ご自身での剪定が難しい場合は、専門会社に依頼することも大切です。特に、害虫被害があったり枯れたりしている場合は、樹木の専門知識や経験のあるプロに任せた方が安心でしょう。
くらしのセゾンでは、「庭木のお手入れサービス」を行っています。植木1本からでも剪定可能です。樹木についてお悩みがあれば、ご相談ください。
コニファーの育て方
コニファーの一般的な生育方法についてご紹介します。
植え方
コニファーは、直接庭に植える方法と、鉢植えに植える方法があります。
庭植えの場合
多くの品種の場合、植えつけの時期は、乾燥や湿気が落ち着いている3〜4月、あるいは9〜10月が適切です。夏の暑い時期には向きません。植える場所は、風通しが良く、日当たりの良い場所を選びましょう。コニファーは品種によっては大きく成長するため、十分なスペースを確保することも大切です。
まず植える場所の土を柔らかくしておきます。用土は、専用の土を準備するか、掘り起こした土に対して2割ほどの腐葉土を混ぜて用意しても問題ありません。湿気に弱い品種の場合は、排水性を高めるために、軽石を混ぜるのもおすすめです。
地面に根鉢よりも2〜3まわり大きな穴を掘り、植えつけましょう。深さは根の上部が少し見えるくらいが目安です。土を入れ終えたら、周囲にドーナツ状に土を盛り、しっかり水を与えてください。
鉢植えの場合
鉢植えでコニファーを育てる場合、鉢は、苗よりも1〜2まわり大きいものを準備しましょう。まず鉢底に網を敷き、鉢底石を入れて、用土を1/3ほど入れます。苗の根が少し出る程度の深さで、植えつけましょう。
用土は、コニファー用の培養土を使用するか、赤玉土(中粒)7割と腐葉土3割を混ぜて用意します。排水性を高めるなどの理由で、パーライトや鹿沼土、ピートモスを少し混ぜるのもおすすめです。
肥料と水やり
庭植えでも鉢植えでも、植えつけ直後は、こまめにたっぷりと水を与えましょう。根づいてしまった後は、土の表面が乾いたら水やりを行います。鉢植えの場合、底穴から水が漏れ出てくるまで、しっかりと与えましょう。
庭植えの場合は、長期間雨が降らずに乾燥していない限りは、基本的に水やりはいりません。庭植え、鉢植えどちらの場合でも、水やりの時間は、夏は朝か夕方、冬は凍結を避けるために午前中に行いましょう。
コニファーの成長をサポートするためには、肥料を与えることも大切。鉢植えの場合は、3月と6月末の年2回、緩効性化成肥料を根元に与えます。庭植えの場合は、年に1回、2〜3月の新芽が出始める頃が肥料を与える適期です。窒素分の多い発酵固形油かすなどを、根元に与えましょう。
枯れてしまった場合のお手入れについて
たとえ大切に育てていても枯れてしまうことも。枯れる原因は、高温多湿や乾燥などの不適切な生育環境、病害虫、植え替えによる負担などが考えられます。
もし枯れてしまった場合は、枯れた部分を取り除きましょう。枯れ枝を切り、内側にある枯れ葉は、木をゆすって落とします。病気が原因の場合は、その部分を刈り込んだり、殺菌剤を散布したりすることも必要です。
コニファーの木がかかりやすい害虫や病気
コニファーには、かかりやすい病気や害虫があります。健康に育てるためには、対策を取っておきましょう。
害虫
コニファーが被害に遭いやすい害虫は、ハダニやアブラムシ、コガネムシなどです。害虫は、葉水を行ったり、薬剤を散布したりすることで対策できるでしょう。
くらしのセゾンでは「害虫駆除」サービスを提供しています。駆除だけでなく、予防の相談も可能です。虫にお悩みの方は、お問い合わせください。
病気
コニファーは、赤星病、葉枯病、スス病などになる可能性があります。特に多湿な環境で病気になりやすく、3〜10月頃は注意が必要です。通気性の良い環境を心がけましょう。
種類が豊富なコニファー!おすすめの品種
コニファーにはたくさんの品種があり、特徴もさまざまです。家庭で育てやすい人気の品種をご紹介します。
ゴールドクレスト
ゴールドクレストは、ヒノキ科イトスギ属のコニファーで、日本で最も一般的な品種です。成長が早いため、定期的な剪定が必要になります。
【主な特徴】
- 樹形は自然と整いやすい
- 湿気に弱く、蒸れによって枯れやすい
- 根が浅く、倒れやすい
- 山椒や柑橘系に似た香りを持つ
樹形 | 円錐型 |
高さ | 自然木だと20mほど |
成長速度 | 非常に早い(年間約70cm) |
葉の色 | 明るい黄緑色 |
ブルーアイス
ブルーアイスは、ヒノキ科ホソイトスギ属に分類されるコニファー。新枝の出る5〜6月は、特に美しいシルバーの葉色を楽しめます。樹高が高くなるため、芯止めが必要です。
【主な特徴】
- 病気に強く、丈夫
- 害虫がつきにくい
- 根が浅く、倒れやすい
- 香りが強い品種で、木の爽やかな香りを持つ
樹形 | 円錐型(横方向には伸びない) |
高さ | 8~15mほど |
成長速度 | 早い(年間約30~50cm) |
葉の色 | 白っぽいシルバーブルー |
エメラルドグリーン
エメラルドグリーンは、ヒノキ科クロベ属のコニファーです。多くの家庭の生垣として植えられています。
【主な特徴】
- 寒さ・暑さに強い
- 自然と樹形がまとまるため、剪定の手間がかからない
- 乾燥にもそれなりに耐えられる
- 柑橘系に似た香りを持つ
樹形 | 狭円錐形~円錐形 |
高さ | 1.5~3mほど |
成長速度 | 普通(年間約20cm) |
葉の色 | 春~夏:光沢のある鮮やかな緑冬:やや茶色みを帯びる |
エレガンティシマ
エレガンティシマは、ヒノキ科コノテガシワ属に分類されます。育てやすいため、庭のシンボルツリーとして人気のある品種です。
【主な特徴】
- 丈夫で病害虫の被害を受けにくい
- スリムな樹形で、狭い敷地にも植えやすい
- 自然と樹形がまとまるため、剪定の手間がかからない
樹形 | 狭円錐形 |
高さ | 3~5m |
成長速度 | 早い(年間30cm以上) |
葉の色 | 春先:明るい黄緑色冬:赤茶色~褐色 |
ヨーロッパゴールド
ヨーロッパゴールドは、ヒノキ科クロベ属のコニファーです。ゆっくりと成長するため、生垣に向いています。
【主な特徴】
- 倒れにくい性質がある
- 樹形が自然と整うため、剪定の手間が少ない
- 柑橘系のような、爽やかな香りを持つ
- 日当たりが悪いと、葉色が黄金色になりにくい
樹形 | 円錐形 |
高さ | 3~5mほど |
成長速度 | 早い(年間約30cm) |
葉の色 | 春~夏:黄緑色冬:黄金がかった色 |
シルバースター
シルバースターは、ヒノキ科ヒノキ属のコニファーです。クリスマスツリーや、寄せ植えの材料としても人気があります。
【主な特徴】
- 低木品種で育てやすい
- 自然ときれいな樹形に整うため、基本的に剪定は必要ない
- 日なたよりも半日陰の方が、葉の青みが増す
樹形 | 狭円錐形 |
高さ | 1.2〜2mほど |
成長速度 | 早い(年間30cm以上) |
葉の色 | 涼しげな青みのある緑 |
ラインゴールド
ラインゴールドは、ヒノキ科クロベ属に分類されます。個性的な樹形と色が特徴です。
【主な特徴】
- 球状に成長し、成木になるにつれて徐々に紡錘形になる
- 先端を摘み取る「摘芯」を行うと、半球状のまま育てることも可能
- 病気や害虫に強い
樹形 | 半球状~紡錘形 |
高さ | 1mほど |
成長速度 | 遅い(年間約10cm) |
葉の色 | 春~秋:ライムグリーン・黄金色冬:全体がオレンジ色に色づく |
おわりに
庭木として人気の高いコニファーは、樹高を調整したり形を整えたりするために剪定が必要です。剪定は外観を良くするだけでなく、コニファーが病気や害虫被害に遭うことを防ぐ効果もあります。コニファーを健康に育てるためにも、生育環境を整え適切に剪定を行いましょう。またご自身での剪定が困難な場合は、専門会社へ依頼することも大切です。