住宅購入を検討する際に、住宅展示場へモデルハウスの見学に訪れる方も少なくないでしょう。見学したモデルハウスを気に入った場合、そのまま購入できる場合があります。
本コラムでは、実際のモデルハウスを購入する場面における情報について、メリットとデメリットも含めて紹介します。これから住宅購入を検討している方や、モデルハウス購入がどういう仕組みなのか知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
この記事のまとめ
モデルハウスは購入可能です。モデルハウス購入は大きく2パターンあり、住宅展示場のモデルハウスと、分譲地のモデルハウスの場合です。住宅展示場のモデルハウス購入時には、建物の移設・再建築に必要な土地の確保が必要になります。一方、分譲地の場合は土地と建物含めて購入できるため、売買契約が済めばすぐに住み始めることができます。モデルハウスの購入は、一般的に新築住宅や注文住宅を購入するよりも購入資金が抑えられます。また、モデルハウスを実際に見学することで生活のイメージが湧きやすく、購入後の暮らしがあらかじめ想定できるのもメリットです。
モデルハウスとは?
モデルハウスは、マイホームの購入を検討している方に向けて、ハウスメーカーなどが建てて展示している物件のことです。モデルハウスはハウスメーカーの敷地内に設置されている他、ハウスメーカー数社がモデルハウスを決められたエリア内に設置する住宅展示場があります。
モデルハウスは実際の住宅設備に触れられることや、インテリアのイメージが湧きやすいため、住宅購入希望者のほとんどが一度は見学したことがあるのではないでしょうか。また、モデルハウスには常駐しているスタッフがいますので、見学の場で疑問点について尋ねることができます。
通常の住宅購入に際しては、土地と建物を購入し長く住む目的で建築します。一方モデルハウスでは、あくまで展示目的の一時的な建築です。展示期間が終われば解体および撤去を行い、必要であれば再度新しい別のモデルハウスが建築されることになります。
モデルハウスの購入はどんな方におすすめ?
住宅展示場などに展示されたモデルハウスは、実は購入可能です。モデルハウスの購入に向いているのは、次のような方です。
【モデルハウス購入に向いている方】
- 予算を重視したい
- 間取りや立地に強いこだわりがない
- 細かいことは気にしない
住宅購入の場面でこのような考えを持っている方は、モデルハウスの購入も選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
モデルハウスを購入する方法
見学したモデルハウスを購入したいと考えたとき、実際にはどのような流れで入手できるのでしょうか。
一般的にモデルハウスを購入する場合、土地はご自身で購入、もしくはすでに所有している土地にモデルハウスの住宅部分を建て直すイメージが近いでしょう。または、住宅街の分譲地にそのまま建設されている現地モデルハウスでは、展示期間が満了したら土地ごと販売することもあります。
ハウスメーカーがモデルハウスを販売する場面として、大きく分けて以下の2パターンがあります。
- 展示期間が満了した住宅展示場のモデルハウスを解体後、移設する条件で販売する
- 展示期間が満了した分譲地のモデルハウスを土地ごと販売する
いずれの場合でも、モデルハウスとしての展示期間が満了した後に販売されます。モデルハウスが立てられていた場所によって、モデルハウスを購入する流れが違います。ここから詳しく確認していきましょう。
住宅展示場のモデルハウスを購入し自分の土地に移設する方法
住宅展示場で公開されているモデルハウスを購入する場合、展示期間が満了した後に解体して移設します。具体的には、購入者の所有している土地へ移設し、再建築する流れになります。
したがって、住宅展示場のモデルハウスを購入する場合には、あらかじめ土地を購入、または所有しておく必要があります。
公開期間が終わった分譲地のモデルハウスを購入する
住宅地など分譲地に建てられたモデルハウスでは、公開期間が終わった後に購入できます。いわゆる「現地モデルハウス」と呼ばれることもあり、その区画自体が宅地であるため建売住宅を購入するイメージです。解体せずに、購入後はそのまま引き渡されるため、再建築等に時間を要することがありません。
したがって、分譲地で公開期間が終わったモデルハウスの購入は、別途土地を購入する必要がありません。
モデルハウスを購入するメリット
モデルハウスを購入する主なメリットは、次の4点です。
- 実物を見て購入できるため生活をイメージしやすい
- リーズナブルに購入できる
- 家具や家電などがついてくるケースがある
- すぐに住み始めることができる
それではここから、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
実物を見て購入できるため生活をイメージしやすい
通常の住宅購入では、図面上や完成予想図だけでイメージすることになります。そのため、完成してみて想像とは違う箇所が出てくることもあります。
一方モデルハウスでは、内装や間取りなどを実際に見学できるので、生活した際のイメージがしやすいのが特徴です。そのため、モデルハウスを購入すると具体的なイメージのまま新生活が迎えられるため合理的といえます。
リーズナブルに購入できる
そもそもモデルハウスは展示用物件として建てられているため、一般的な住宅に比べて比較的安価で購入できます。展示用物件であっても、使用されている建材や設備は最新のものを使っています。もちろん、どれも実際に使えるものばかりです。
モデルハウスは見学用だけに作られた家とはいえ、外装から内装まで最新のものを取り入れていることを考えると、リーズナブルに購入できるのは大きなメリットです。
家具や家電などがついてくるケースがある
ハウスメーカーによって異なりますが、設備や家具家電などが一緒に譲り受けられる場合があります。
モデルハウスは、住宅購入を希望する方が家づくりの参考に見学する家です。そのため、その時点でより最新の設備を備えておくことが望ましいです。したがって、モデルハウス購入はリーズナブルでありながら、比較的新しい住宅設備が設置されているということになります。
最新住宅設備や、モデルハウス内に使われている家具家電ごと購入できるとなれば、かなりの費用負担の軽減につながるでしょう。
すぐに住み始めることができる
分譲地のモデルハウスを購入する場合は、売買契約を終えればすぐに住みはじめることができます。先述したように、分譲地のモデルハウスは建売住宅の購入と類似しています。
モデルハウスの建っている土地ごと購入することになるので、家の陽当たりや立地条件も事前に見学したとおりということです。モデルハウスのありのままの状態を購入できるため、住んでみてイメージと違うということも少ないでしょう。
モデルハウスを購入するデメリット
モデルハウス購入で考えられるデメリットについて、以下の4点を紹介します。
- 設備や内装が傷ついている場合がある
- 新築住宅ではなく中古住宅になる
- 人気のモデルハウスは抽選販売の可能性もある
- 新築住宅瑕疵担保保険に加入できない
設備や内装が傷ついている場合がある
不特定多数の方が見学等を行っているため、内装や展示品の家具などに傷や汚れがついているかもしれない
新築住宅ではなく中古住宅になる
モデルハウスは新築一戸建てではなく、中古一戸建て住宅として扱われる
人気のモデルハウスは抽選販売の可能性もある
人気物件の場合は抽選になるケースもあるため、必ず購入できるとは限らない
新築住宅瑕疵保険の対象外となる
新築住宅を販売するハウスメーカーや不動産業者は、住宅瑕疵担保履行法に新築住宅瑕疵保険への加入が義務付けられています。新築住宅を販売したハウスメーカーや不動産業者は、引き渡しから10年間は瑕疵担保責任を負い、万が一不具合等が見つかった場合は補修するなど対応する必要があります。
この場合の新築住宅とは、国土交通省の定義に基づき「完成から1年以内の人が住んでいない住宅」とされます。つまり、通常3年前後は展示するモデルハウスの場合は新築住宅に該当せず、新築住宅瑕疵保険の対象外となります。そのため、モデルハウスを購入し引き渡しを受けて住み始めた後に、欠陥や不具合を見つけても補償されないということになります。
ただし、中古住宅を対象とした既存住宅瑕疵保険に入れることがあります。しかし、既存住宅瑕疵保険の保険期間は最長5年であり、新築を対象にした保険よりも保証期間が短い点に注意が必要です。
モデルハウスを見学する際にチェックしたいポイント
購入を希望するモデルハウスを見学する際に、チェックしておきたいポイントとして以下の4つを紹介します。
- 建物の構造や間取り・広さ
- 外構
- 収納スペースの有無や位置
- 駅やバス停へのアクセス
建物の構造や間取り・広さ
長く大切に家に住み続けるためには、建物の構造(特に耐震等級)は大きな要素となります。同時に、住宅の耐震性確保にはいくつか種類があり、購入を希望している建物がどのような耐震性確保を導入しているのか確認しましょう。
さらに、家全体の間取りや広さのチェックも行い、家族の人数や年齢に応じた住みやすい家になっているかも確認しましょう。
外構
モデルハウスの見学中は、家の中の設備だけでなく外構についても確認しておきましょう。外構とは、門やアプローチ、フェンス、駐車場、植栽などを指します。つまり、建物本体以外で敷地内にある付属物や設備が外構であるとイメージするとよいでしょう。
収納スペースの有無や位置
モデルハウスは、住宅を購入する方が「こんな家に住みたい」と思わせるようなインテリアでコーディネートされています。実際に人が住んでいるわけではないため全体的にすっきり見えがちですが、今後生活することを考えると収納スペースも必ず確認しておきましょう。
駅やバス停へのアクセス
分譲地にあるモデルハウスの場合は、そこにそのまま住むことになります。したがって、通勤や通学で利用する駅までのアクセスも確認しておきましょう。
また、駐車場が必要な場合は敷地内に確保できるのか、できる場合にはマイカーが止められるスペースが確保できるのかも事前にチェックしましょう。マイカーを複数台所有している場合には、別途近隣駐車場の確保が必要となる場合もあるため、併せて確認しておきましょう。
失敗しないために!モデルハウスを購入する際の注意点
モデルハウスを実際に購入する際に注意したい点について、次の4点を紹介します
- 住宅展示場のモデルハウスを建て直す場合に土地が必要となる
- 建物に欠陥がないか事前に確認する
- 周辺環境が住みやすいかどうか調べておく
- モデルハウスの購入は住宅ローンのプロに相談する
この4点について、ここから詳しく解説していきます。
住宅展示場のモデルハウスを建て直す場合に土地が必要となる
住宅展示場のモデルハウスは売買契約後、解体して購入者の土地に再建築することになります。つまり事前に土地の準備が必要ということです。
再建築に際しては、家の広さと土地の広さの関係が都市計画法や建築基準法に違反しないかも確認する必要があります。具体的には、その土地のある地域の規制により、建蔽率や容積率に制限がかかる場合があり、さらに街づくり独自のルールがある場合もあります。
せっかく気に入ったモデルハウスでも、所有している土地には建てられない建物では意味がありません。事前にハウスメーカー担当者や専門家へ相談すると安心です。
建物に欠陥がないか事前に確認する
モデルハウス購入では、注文住宅のように基礎や土台づくりなどの建築工程を目で見て確かめることができません。そのため、欠陥がないか念のためホームインスペクション(住宅診断)などで確認しておくと安心です。
ホームインスペクションとは、家の状態を診断することです。具体的には家自体に欠陥がないかどうか、耐震診断についてなどを専門家が診断します。費用はかかりますが、安心して長く住むためには入居前にホームインスペクションをしておくと安心です。
周辺環境が住みやすいかどうか調べておく
モデルハウスを購入後、再建築する土地周辺の環境については事前に調べておきましょう。分譲地のモデルハウスを購入する場合には、見学時にだいたいの想定が可能です。しかし、住宅展示場のモデルハウスを購入する場合には、見学した場所が実際に再建築する土地ではないため、独自にリサーチしておきましょう。
モデルハウスの購入は住宅ローンのプロに相談する
モデルハウスを購入するにあたっては、綿密な資金計画が大切です。現在の年齢や家族構成などから、無理のない住宅ローン契約が求められます。モデルハウス購入を意識し始めたら、早めに住宅ローンの相談窓口で相談しておくと安心です。最適な住宅ローンについて、専門家のアドバイスが受けられます。
おわりに
モデルハウスの購入は、通常の注文住宅や新築住宅購入より費用面が抑えられるメリットがあります。一方で、新築住宅瑕疵保険の対象外となるなど、補償面での不安もあります。しかし、事前にホームインスペクションを行うことや、別の保険でカバーするなど対策は可能です。
モデルハウスを購入する際には、資金計画も万全に進める必要があります。購入を意識しはじめたら、早めに専門家へ相談しておくと安心です。本コラムを参考に、納得のいくモデルハウス購入を目指していただけますと幸いです。