中古マンションは物件数が多く、購入しようと思っても何を基準に選んだら良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。この記事では、中古マンションのデメリットとメリットを紹介したうえで、新築マンション、中古マンションは、それぞれどんな方に向いているのかを説明します。
また、中古マンションを選ぶにあたっての8つのポイントについても解説します。中古マンション選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事のまとめ
中古マンションは、新築マンションと比較して、耐震性やセキュリティは劣る場合があるものの価格が低く物件数が豊富という利点があり、手に入れやすいでしょう。立地や好みの内装などにこだわる方は、中古マンションに向いているといえます。
中古マンションを購入する際は、きちんと予算を立てたうえで、住みたいエリア、部屋の広さ、欲しい設備などを決め、築年数や管理状態を確認して信頼できる不動産会社を選びましょう。
中古マンションのデメリットとは?
中古マンションの購入を検討する際には、メリットだけでなくデメリットについても見ておく必要があります。
購入後に想定外のことがないように、きちんとデメリットの有無を検証し、あるとすればどのようなものがあるのか、それらは容認できる範囲なのか、しっかり確認すると良いでしょう。
では、デメリットとして考えられるポイントをひとつずつ見ていきましょう。
経年に比例して修繕費がかかる傾向にある
建物は基本的に経年により劣化していくものです。そのため、建物の老朽化が進み築古になるほど購入後に費用がかかる可能性があります。例えば、以下のようなことがあります。
- 劣化した部分の修繕費がかさむ
- 大規模修繕に必要な金額が高額になる(1回1戸当たり100〜120万円など)
- 毎月の管理費、修繕積立金が高い(月20,000~30,000円など)
- リフォーム、リノベーションなどの費用が高くなる場合がある
- 備え付けの電化製品の消費電力が大きい場合がある
セキュリティが乏しい場合がある
築15~20年を超えた物件では、次のような防犯対策が整っていない場合が多いのが現状となっています。
- 共用エントランスのオートロック
- 各住戸のモニター付きインターフォン
- 複製しづらいディンプルキー、宅配ボックスなど
築古物件は、空き部屋がある、所有者が賃貸に出している、など居住者同士の目が行き届きにくくなる可能性があり、防犯上、望ましくない場合もある点には注意が必要です。
騒音などのトラブルがある
マンションは、どんなに防音性が高い構造になっていても、上下左右を他住戸と接しているため、他者の音のすべてを防ぐことができるわけではありません。
さらに中古マンションでは、床や天井が二重構造になっていない、壁が薄いなど防音性に乏しい可能性があります。
また、二重窓などで防音性が高い場合は、断熱効果(防寒性)も高いことが期待できるので、確認しておくと良いでしょう。
耐震性や断熱性が劣る可能性がある
新耐震基準(震度6〜7でも倒壊しない)がスタートしたのは1981年6月のため、それ以前の物件は旧耐震基準(震度5程度で倒壊しない)に基づいて建てられており、耐震性が劣ることが考えられます。
また、断熱性に対する意識が広がったのも比較的最近のことですので、中古マンションでは、断熱材が入っていない、あるいは断熱性の低い資材が使われている、ということもあります。
新築よりも資産価値が低い
日本では一般的に、新築ならではの価値(新築プレミアム)が高く評価される傾向にあります。一方、中古マンションの建物部分は年が経つと劣化するとされていて資産価値が下がります。
ただし、立地や物件の品質・管理状態が良ければ、高値で売却できる可能性もあります。例えば、駅近で利便性の高い物件は、中古でなければ手に入れることができないこともあるでしょう。
中古マンションはメリットもある
中古マンションはデメリットばかりではありません。次に中古マンションのメリットを見ていきましょう。
中古マンション購入を検討する際に、デメリットを上回るメリットがあると判断できるなら、中古マンションの購入の動機につながることは十分あり得るでしょう。
では、メリットとして考えられるポイントをひとつずつ見ていきましょう
新築よりも安く購入できる可能性がある
建物は経年劣化によって資産価値が下がります。そのため、建物部分の値下がり額が売却価格に反映されれば、中古マンションなら同じ間取りや立地の新築マンションと比べて安く購入できる可能性があります。
ただし、中古マンション購入後にリノベーションを行う場合はリノベーション費用が追加でかかりますので、その分を含めたうえで新築マンションと比較すると良いでしょう。
物件が豊富である
中古物件は供給戸数も多いため、選択肢が豊富にあるのは大きなメリットです。住宅に求める条件は人それぞれですが、選択肢が多ければどんな方にとっても希望する物件が見つけやすいでしょう。
居住エリアや間取り、築年数、価格帯などによって幅広い選択肢があるので、希望する条件に優先順位をつけて比較検討できるでしょう。
例えば、通勤に便利な駅の沿線上で探すなど、新築物件だと物件数が少なく価格などの条件が見合うものがなくても、中古物件なら希望の候補が見つかる可能性は高くなるでしょう。
新築よりも資産価値が下がりにくい
中古マンションは、新築マンションと比べて資産価値が保持されやすいというメリットがあります。
新築マンションの場合、購入時には新築プレミアムという新築物件ならではの付加価値がついています。購入後は新築プレミアムの価値は失われます。物件にもよりますが、平均的な新築プレミアムは物件価格の1〜3割程度ともいわれています。
このため、新築マンションはすぐに売却したとしてもこの新築プレミアム分の損失が確定していることになります。例えば、新築プレミアムが1割の5,000万円の物件は、築浅で売ったとしても500万円の損失が確定しています。
その点、中古マンションでは、購入後1年で1割も価格が下落することは少ないでしょう。資産価値の下がり幅が急激である新築マンションと比較すると緩やかといえます。
リノベーションにお金をかけられる
中古マンションは、新築マンションと比較して購入価格を抑えられるため、浮いたお金をリノベーションに充てることができます。
オプションで床材や設備の追加を選べる新築マンションもありますが、中古マンションなら、キッチンの改装や間取りの変更などもっと大掛かりな工事もできるため、自分が理想とする改装ができる場合もあるでしょう。
エリアによっては新築より駅近の物件もある
近年駅近の土地は、そもそも空きスペースがなく仕入れが難しいため、マンションを建てることができないこともあります。あるいは、空きスペースがあっても人気が高く、新築物件では高すぎて購入予算を超えてしまうこともあるでしょう。
その際は、駅近の中古マンションが選択肢として候補になるのではないでしょうか。
新築マンションと中古マンションとどちらが向いてる?
これまで、中古マンションにはデメリットとメリットがあることがわかりました。新築マンションにも同様にメリットとデメリットがあります。
では、こうしたことを踏まえたうえで、新築マンションと中古マンション、どちらがどういう方に向いているのかを見ていきましょう。
新築マンションが向いている方
新築マンションが向いている方は次のような方が想定されます。
- 誰も住んでいない家に住みたい方
- 最新の設備を利用したい方
- 最新デザインの外観や内装の建物に住みたい方
- 新たなコミュニティを自分で作りたい方
最新設備を持ち真新しい住空間の快適性を優先する方は、新築マンションが向いているでしょう。また、マンションの管理組合は、同時期に新たに住み始める方ばかりで作られるので参加しやすいこともあるでしょう。
中古マンションが向いている方
中古マンションが向いている方は、次のような方が想定されます。
- 物件価格を抑えたい方
- リノベーションを楽しみたい方
- 立地や周辺の利便性を優先したい方
中古マンションは、物件価格を抑えて無理のない資金計画を立てたい方に向いています。また、リノベーションをすれば、好みの空間に作り変えることができるので、個性的な住空間を演出することも可能です。
その他、駅近などの立地や周辺にコンビニがあるなどの利便性を追求する方は、中古マンションの方が物件数は多いので選択しやすいでしょう。
中古マンションを選ぶ際の8つのポイント
中古マンションは物件数も多く、やみくもに見に行っても混乱してしまい、なかなか決めることが難しいかもしれません。
物件を選ぶにあたって、どんなことを重点的に見る、あるいは決めておくと、スムーズに比較したり最終的な決断をしたりできるのでしょうか。
ここでは、中古マンションを選ぶ際に考えるべきポイントについて解説します。次の8つのポイントに注意をすれば、スムーズな中古マンション選びを実現することができるでしょう。
予算
まず大切なことは、収入に見合う予算を決めることです。ここで失敗すると、途中で物件を手放すことにもなりかねないので、細心の注意を払って以下の手順で決めていきましょう。
中古マンションを購入してリノベーション(リフォーム)をする人は、以下の金額が必要となります。
住宅購入費用の予算=物件金額+リノベーション費用
住宅ローンの目安は、年収に対してローン(住宅ローン以外のローンも含む)の比率(返済負担率)が25%以内と言われています。例えば、年収300万円の方は1年間に750,000円(月62,500円)までなら比較的無理なく返済できる範囲と考えられます。
住宅ローンは「借りられる金額」ではなく、あくまでも「返せる金額」を借りることが大切です。
中古マンション購入時は、物件費用に加えて、仲介手数料、手付金、登記費用、印紙、火災保険料、融資事務手数料、保証料などもかかることを予算に含めて考えておきましょう。
エリア
住むエリアを限定していくことも、物件を絞るためのポイントです。例えば、以下のような点から考えてみてはいかがでしょうか。
- 通勤・通学しやすい
- 子育てしやすい
- 治安が良い
- 生活の利便性が高い(スーパー・役所・病院などが近所にある)
広さや間取り
居住する方の人数によっても快適に住める広さや間取りが異なるため、購入に適した物件も変わってきます。
国土交通省が平成18年に定めた「居住面積水準」によれば、都心とその周辺でのマンション(共同住宅)での居住者1人に対する広さの目安は40㎡とされています。
- 2人世帯は55㎡
- 3人世帯は75㎡(3~5歳児が1名いる場合は65㎡)
- 4人世帯は95㎡(3~5歳児が1名いる場合は85㎡)
となっています。
参照:国土交通省|住生活基本計画における居住面積水準
内装・設備
どのような内装・設備を希望するかを考えておき、実際に見に行った時にその有無や状態を確認する必要があります。内装・設備には下記のようなものがあります。
食洗機、オール電化、ディスポーザー、エントランスのオートロック、宅配ボックス、ダウンライト、アウトフレーム工法、24時間換気システム、浴室乾燥機能、ピクチャーレール、タンクレストイレなど。
特に後からつけられない建物の構造に関するもの(エントランスのオートロック、宅配ボックスなど)はよく確認しておきましょう。
不動産仲介会社
実際に物件を購入するにあたっては、物件状態の見極めや管理組合への確認事項や交渉など、専門性の高いスキルや経験値が不可欠なため、信頼できる不動産会社を探す必要があります。
中古マンションの購入では、マンション売買を得意とした不動産会社、つまりマンションの売買実績の多い会社を選ぶと良いでしょう。次に、信頼できる営業担当者がいるかどうかもポイントです。電話などの問い合わせの段階で、対応に誠意があるかどうかなどを見極めましょう。
管理状況
特に中古マンションの場合は、それまでのメンテナンス状況がその後の資産価値にも大きく影響するといえます。管理や修繕がきちんとされてきていれば、その築年数に見合う以上の価値を維持していることもあり得ます。
マンションの外観や共有スペース、部屋の内装や使用状態を見て、きちんと管理・修繕されているかチェックしてみましょう。
築年数
築年数によっては、新耐震基準に達していないマンションもあります。1981年6月以前の物件は旧耐震基準に基づいているため、震度5以上の地震があると倒壊のリスクがあることは知っておくと良いでしょう。
新築当時の販売会社・施工会社
新築当時の販売会社・施工会社が実績や信頼のある会社だったかを見ることで、その物件が新築の時点で適切に販売されていたかどうか、ある程度判断することができるでしょう。
おわりに
住宅ローンなどの金銭面の相談は、住宅ローンの相談窓口がおすすめです。
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