毎年6月頃、旬の梅を使った簡単な手作り梅酒のレシピをご紹介します。基本の材料や分量、注意点に加え、ホワイトリカー以外のお酒を使用したバリエーションも解説。3〜6ヵ月の熟成期間を経て、安全でおいしい梅酒を楽しむコツをお伝えします。アルコール度数20度以上のお酒を使用し、適切な準備と保存方法で、様々な風味の梅酒作りにチャレンジしましょう。
この記事でわかること
- 梅酒の基本的な作り方と必要な材料、道具
- 美味しい梅酒を作るための注意点とコツ
- 瓶の選び方、消毒方法、梅の下準備、保管方法
- ホワイトリカー以外のお酒(焼酎、日本酒、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー)を使った梅酒の作り方とその特徴
- 梅酒作りにおける法的な注意点(アルコール度数20%以上のお酒使用の必要性)
- 梅酒の適切な熟成期間、飲み頃、長期保存の注意点
梅酒作りの基礎知識
梅酒は作り方がとてもシンプルなため、初めての果実酒作りにおすすめです。まずは自家製梅酒の基本の作り方をチェックしていきましょう。
梅酒作りはいつから始める?
梅酒を作る時期は6月頃が良いでしょう。なぜなら、梅酒づくりに必要な生の梅がスーパーで出回るのが、5月下旬~6月中旬頃だからです。この時期に地域で梅の実採取イベントが開催されることが多いことからも適しています。時期を逃さないよう、梅酒に使う梅を手に入れましょう。
梅酒作りに必要なものは?
おいしい梅酒の作り方をご紹介する前に、必要な材料と道具を確認しておきましょう。必要なものは次のとおりです。
- 青梅
- 氷砂糖
- ホワイトリカー
- 密閉できる瓶
- 竹串
氷砂糖やホワイトリカーの分量は使用する梅の量によって決まります。目安として、梅1kgに対して、氷砂糖は50~80%、ホワイトリカーは1.8Lが必要です。
ホワイトリカー以外でも作れる?
ホワイトリカーは梅酒などの果実酒を作るのに最適なお酒です。なぜなら、ホワイトリカーは蒸留を繰り返した無味無臭のお酒で、アルコール度数が高いからです。
ホワイトリカー以外のブランデーやウイスキー、焼酎といったお酒で作ることもできます。ベースのお酒を変えることで異なった味わいが楽しめるので、複数の梅酒を作って飲み比べてみるのも良いでしょう。
梅酒が飲めるまではどれくらいかかる?
梅酒は漬けてから3ヵ月後から飲むことができますが、ちょうど良い飲み頃は半年過ぎた頃です。
梅酒は漬ける期間が長いほど熟成しコクが出ますが、1年半以上漬けていると濁りが出てきます。1年以上置いておく場合は、1年ほどで梅を取り出しましょう。漬ける期間が長ければ長いほど良いというわけではないという点に注意しましょう。
一般的に、2~3年を過ぎると管理が難しくなるといわれています。開閉により雑菌が混入する場合もあり、保管場所の影響も受けるため開封したらできるだけ早めに飲み切りましょう。
梅酒はアルコール類なので作り方や保管方法に問題がなければ、期間が長くても腐敗などせずに楽しめます。なかには、保管場所が熟成に適した環境だったことで、10年ものの梅酒を味わっている方もいるほどです。
梅酒に合う梅の種類はどれ?
使用する梅は、完熟前の青梅がおすすめです。青梅は完熟梅に比べて実が硬いのが特徴です。強いお酒に浸けても潰れにくく、でき上がった梅酒は口当たりが軽いため、初めて作る方に向いています。
梅は全国各地で生産されていますが、梅酒作りに決まった品種はありません。しかし、果肉や果汁の多い中~大粒の梅を使うことで美味しい梅酒ができます。なかでもおすすめの品種は和歌山県産の南高梅です。
南高梅は皮が薄く果肉も柔らかで大粒の梅。同じく和歌山県産の古城梅(こじろうめ)は実が硬いため梅酒作りに最適です。希少な品種なので店頭で見かけたらぜひ手に入れてみてください。
また、小粒の梅であれば鮮やかな赤紫色が特徴のパープルクイーンが梅酒作りに人気です。まるでロゼワインのようなきれいな色の梅酒に仕上がります。
梅酒づくりを始める前に知っておきたい準備と注意点
失敗せずに梅酒を手作りするための注意点とポイントについてまとめました。
瓶の容量(目安)は梅の約4倍
密閉できる瓶のサイズは梅の量に合わせて用意しましょう。瓶の容量の目安は、梅の約4倍です。梅1kgの分量の場合は4~5L容量の瓶を用意してください。雑菌の繁殖やカビの発生を防ぐためにも、瓶の洗浄と消毒をしっかり行いましょう。煮沸消毒が安心ですが、実施前にしっかり瓶の耐熱温度も確認しましょう。
瓶の煮沸消毒の方法
煮沸消毒の手順は次のとおりです。
- 瓶が入る大きな鍋に水をたっぷり入れる
- 鍋底に布きんを敷いて、瓶を入れる
- 瓶を入れた状態で火にかける
- 沸騰後、5~10分したあと火を止める
- やけどに注意して瓶を取り出し、逆さまにして自然乾燥させる
蒸留酒はアルコール度数20%以上のものを選ぶ
梅酒に使用するお酒のアルコール度数は最低でも20度以上あるものを使用します。なぜなら、酒税法により自家醸造で使用するお酒の扱いについて定めがあるためです。自家製果実酒を作る場合、アルコール度数20度以上で課税されているお酒を使用する必要があります。
その他、米や麦、ぶどうなどとは混和させない、販売はしてはいけないなど、自家酒造についてのルールがいくつかあり、20度以下のお酒を使用する場合も違法行為となるため注意しましょう。
20度以上あれば酒税法としては梅酒作りに問題ありませんが、使用するお酒のアルコール度数は35度以上がおすすめです。アルコール度数35度以下だと、梅の熟成が進みにくくなったり、カビの発生や腐敗などが起きやすくなったりするためです。
梅はしっかりと洗い乾かす
梅酒作りに使う梅はしっかりと洗って、乾かすことが重要。梅を瓶の中で長時間発酵させるため、雑菌が梅に付着したままではカビが生えてしまいます。せっかく作る梅酒なので、一つひとつ丁寧に水分を拭いてあげてください。
直射日光に当てない
保管する際は、直射日光に当てず冷暗所に瓶を置きましょう。温度が上昇すると瓶内部に結露が発生するなどして味が変化する可能性があります。ただし、冷蔵庫は保管場所には向いていません。温度変化が少なく、風通しの良い場所が最適です。
毎日1回瓶をゆすって濃度を均等にする
梅酒作りでは、消毒した瓶の中に梅、氷砂糖、ホワイトリカーを入れます。そうすると、じわじわと氷砂糖が溶けていき、梅のエキスが抽出され梅が液体に浸かるのです。氷砂糖が溶けるまでの間は、瓶全体をゆすって梅に液が浸るようにしましょう。これは瓶内部の糖分を均一にする目的があります。
早く飲みたい場合は冷凍梅を使う方法も
梅酒の作り方には、冷凍した梅を使用する方法もあります。冷凍すると梅の細胞が壊れるため、冷凍梅の梅酒作りでは梅のエキスが出やすく、仕上がりが早くなる点が特徴です。冷凍梅で梅酒を作る場合は梅を洗って水気を拭き、ヘタ取りをした上でジップロックなどに入れて冷凍しておきます。
冷凍されているため、ご自身の好きなタイミングで仕込めるのがメリットです。冷凍梅の梅酒もブランデーや焼酎など、ホワイトリカー以外のお酒を使用できます。
定番レシピ:ホワイトリカー梅酒
では、基本となる美味しい梅酒の作り方をご紹介します。ホワイトリカーで作る梅酒は作り方が簡単で、味もシンプルです。初めての方にぴったりなので、ぜひチャレンジしてみてください。
準備するもの
- 青梅 1kg
- 氷砂糖 500~800g
- ホワイトリカー 1.8L
- 瓶 4~5L
- ザル
- キッチンペーパー
- 竹串
氷砂糖は500g程度あれば問題ありませんが、甘めの梅酒を作りたい場合は800gほど入れると良いでしょう。
手順
- 青梅を水洗いしザルにあげ、一つひとつ表面をキッチンペーパーで拭き、竹串でヘタを取る
- 煮沸消毒してよく乾かした瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる
- ホワイトリカーを注ぎ、ふたをしっかり締める
- 冷暗所で保管し、氷砂糖が溶けるまでの間1日1回容器を動かして糖分を均一にする
3ヵ月程度で梅酒が楽しめますが、飲み頃は半年~1年ほどです。ホワイトリカーそのものには独特の味や匂いがないため、漬けた梅酒は梅の風味や味わいが出やすいのが特徴です。美味しい梅を見つけたらぜひホワイトリカーで梅酒を作ってみてください。
アレンジレシピ集:ホワイトリカー以外
焼酎梅酒
先述したとおり、梅酒は焼酎でも作ることができます。本格焼酎を使用すると、ベースとなる米、麦、芋などの香りや味わいが梅の風味と重なり、味により深みが増すため、どの焼酎を使用するかが大切ですが、なかでもおすすめなのが麦焼酎です。
麦の香りがほんのり香り、梅の味わいを引き立てます。どの焼酎にしようか迷う場合は、焼酎の種類ごとに少量ずつ梅酒を作って、味比べしてみるのも良いでしょう。
材料の割合はホワイトリカーで作る場合と同じですが、今回は少量の梅酒を作る場合の分量をご紹介します。
準備するもの
- 梅 200g
- 氷砂糖 100~200g
- 焼酎 360ml
- 瓶 0.75L
- 竹串
- ザル
- キッチンぺーパー
焼酎によってはアルコール度数が20度に満たないものがあります。必ず、アルコール度数を確認して使用しましょう。
手順
- 梅を水洗いしザルにあげ、一つひとつ表面をキッチンペーパーで拭き、竹串でヘタを取る
- 煮沸消毒してよく乾かした瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる
- 焼酎を注ぎ、ふたをしっかり締める
- 冷暗所で保管し、氷砂糖が溶けるまでの間1日1回容器を動かして糖分を均一にする
焼酎で作った梅酒は1年以上の熟成がおすすめです。熟成が進むほどベースの麦や米の香りもマイルドになり、飲みやすくなるでしょう。
日本酒の梅酒
日本酒で作る梅酒は、お米の風味が味わえる美味しい梅酒に仕上がります。
準備するもの
- 梅 1kg
- 氷砂糖 300~500g
- 日本酒 1.7L
- 瓶 4~5L
- ザル
- キッチンペーパー
- 竹串
日本酒は糖分が多いため、ホワイトリカーで作る梅酒よりも甘めに仕上がります。そのため、甘さ控えめが良い方は、氷砂糖の量を少し減らしてみてください。しかし、氷砂糖が少なすぎると熟成時間がかかるため、少なくとも梅1kgに対し氷砂糖300gほどを使用するのがおすすめです。
手順
- 梅を水洗いし、一つひとつ表面をキッチンペーパーで拭き、竹串でヘタを取る
- 煮沸消毒してよく乾かした瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる
- 日本酒を注ぎ、ふたをしっかり締める
- 冷暗所で保管し、氷砂糖が溶けるまでの間1日1回容器を動かして糖分を均一にする
手順はホワイトリカーや焼酎と変わらず、飲めるようになるのも3ヵ月以降です。アルコールの匂いが気になる場合は半年ほど漬けておきましょう。
日本酒で作る時の注意点
日本酒のアルコール度数は15度前後のものが多いため、注意してください。梅酒作りの際に必要なアルコール度数は20度以上です。20度未満を使用すると酒税法に違反するため、アルコール度数を確認して梅酒作りをしましょう。
ブランデー梅酒
ブランデーは果実から作った蒸留酒です。ブランデーを使用した場合、梅の風味と掛け合わさって香り高くコクのある梅酒に仕上がります。
準備するもの
- 梅 1kg
- 氷砂糖 300~500g
- ブランデー 1.8L
- 瓶 4~5L
- ザル
- キッチンペーパー
- 竹串
ブランデーは甘味があるため、ホワイトリカーで作る時より氷砂糖の量を減らしても良いでしょう。
手順
- 梅を水洗いしザルにあげ、一つひとつ表面をキッチンペーパーで拭き、竹串でヘタを取る
- 煮沸消毒してよく乾かした瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる
- ブランデーを注ぎ、ふたをしっかり締める
- 冷暗所で保管し、氷砂糖が溶けるまでの間1日1回容器を動かして糖分を均一にする
手順は、ホワイトリカーで作る場合と同じです。3~6ヵ月ほどで梅酒として飲むことができます。
ウォッカ梅酒
ウォッカはアルコール度数が高い蒸留酒として有名です。ウォッカで漬けた梅酒は、ホワイトリカーより口当たりがまろやかになります。雑味のないウォッカで作ることで梅の風味が活きた梅酒となるでしょう。
準備するもの
- 梅 1kg
- 氷砂糖 500g
- ウォッカ 1.8L
- 瓶 4~5L
- ザル
- キッチンペーパー
- 竹串
ウォッカにはフルーツやハーブなどを漬け込んだフレーバードウォッカもあります。複数のウォッカを使って少量ずつ梅酒を作り、飲み比べてみるのも良いでしょう。
手順
- 梅を水洗いザルにあげし、一つひとつ表面をキッチンペーパーで拭き、竹串でヘタを取る
- 煮沸消毒してよく乾かした瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる
- ウォッカを注ぎ、ふたをしっかり締める
- 冷暗所で保管し、氷砂糖が溶けるまでの間1日1回容器を動かして糖分を均一にする
ウォッカで作る梅酒の漬け込み期間もホワイトリカーと同じ3~6ヵ月ほどです。
ウイスキー梅酒
ウイスキーは、大麦やトウモロコシ等をベースにした蒸留酒です。銘柄で香りや味が異なるため、梅酒に使うと梅の香りと合わさり、独特の香りとコクが楽しめます。
準備するもの
- 梅 1kg
- 氷砂糖 500g
- ウイスキー 1.8L
- 瓶 4~5L
- ザル
- キッチンペーパー
- 竹串
氷砂糖を少なめにして甘さを控え、ウイスキーの風味をより楽しむのもおすすめです。
手順
- 梅を水洗いしザルにあげ、一つひとつ表面をキッチンペーパーで拭き、竹串でヘタを取る
- 煮沸消毒してよく乾かした瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる
- ウイスキーを注ぎ、ふたをしっかり締める
- 冷暗所で保管し、氷砂糖が溶けるまでの間1日1回容器を動かして糖分を均一にする
3ヵ月から飲めますが、1年以上漬けるとコクが出るとともに口当たりも良くなります。
果汁ミックス梅酒
基本の梅酒に飽きたら、果汁をミックスした梅酒にチャレンジしてみましょう。以下に、人気の果汁ミックス梅酒のレシピをご紹介します。
いちご梅酒
材料
- 基本の梅酒 500ml
- 完熟いちご 200g
- 氷砂糖 50g
手順
- いちごをよく洗い、へたを取ります。
- 清潔な瓶に梅酒、いちご、氷砂糖を入れます。
- 冷暗所で1週間ほど漬け込みます。
- いちごを取り出し、裏ごしして瓶に戻します。
- さらに1週間ほど熟成させれば完成です。
りんご梅酒
材料
- 基本の梅酒 500ml
- りんご 1個(中サイズ)
- はちみつ 大さじ2
作り方
- りんごを皮ごと1cm角に切ります。
- 清潔な瓶に梅酒、りんご、はちみつを入れます。
- 冷暗所で2週間ほど漬け込みます。
- りんごを取り出し、お好みで裏ごしして瓶に戻します。
これらのフルーティーな梅酒は、女性や若い方にも人気があります。季節の果物を使って、オリジナルの果汁ミックス梅酒を作ってみるのも楽しいでしょう。
梅酒カクテル
自家製梅酒をより楽しむために、簡単にできる梅酒カクテルをご紹介します。アルコールの種類によって異なる風味を活かしたレシピをお試しください。
梅酒スプリッツァー(ホワイトリカーベース梅酒用)
材料
- 梅酒 30ml
- 白ワイン 60ml
- ソーダ 適量
- ミントの葉 数枚
作り方
グラスに氷を入れ、梅酒と白ワインを注ぎ、ソーダで満たします。ミントの葉を添えて完成。爽やかな夏の一杯に。
梅酒マンハッタン(ウイスキーベース梅酒用)
材料
- ウイスキーベース梅酒 45ml
- スイートベルモット 15ml
- アンゴスチュラビターズ 2ダッシュ
- チェリー(ガーニッシュ用)
作り方
シェーカーに氷と材料を入れてよく振り、冷やしたカクテルグラスにストレーナーを使って注ぎます。チェリーを添えて完成。
梅酒モヒート(ラム酒ベース梅酒用)
材料
- ラム酒ベース梅酒 45ml
- ライム果汁 15ml
- ミントの葉 8〜10枚
- 砂糖 小さじ1
- ソーダ 適量
作り方
グラスにミントと砂糖を入れてよくつぶします。氷を入れ、梅酒とライム果汁を加えてよく混ぜます。ソーダで満たし、ミントの葉を飾って完成。
これらのカクテルは、梅酒の風味を活かしつつ、新しい味わいを楽しむことができます。自家製梅酒でオリジナルカクテルを作るのも面白いでしょう。
おわりに
梅酒の基本の作り方と、ホワイトリカー以外のお酒を使用する場合のレシピと注意点をご紹介しました。梅酒の材料はシンプルで、作り方も材料を漬け込んで3ヵ月~半年待つだけと簡単です。しかし、長期で保存するためにはしっかりと保存容器を消毒したり、梅の実をきれいにしたりと、雑菌の繁殖を防ぐ必要があります。
また、酒税法により使用するお酒のアルコール度数は20度以上にしなければいけないため、注意してください。梅酒はお酒の種類や氷砂糖の分量を変えることで味わいやコクが変わります。ぜひいろいろな梅酒作りを楽しみましょう。