一生涯の保障が続く終身医療保険について、概要やメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。定期型の医療保険では定期的な更新が必要ですが、終身医療保険ではその必要はありません。この他にも、終身医療保険に向いている方や向いていない方についてもまとめています。これから保険加入を検討する方向けに、失敗しない保険の選び方についてもご紹介しますのでご覧ください。
終身医療保険とは?
終身医療保険は、一生涯にわたり医療保障が続く保険です。ここからは、終身医療保険の特徴や、定期医療保険との違いについて解説していきます。
終身医療保険の特徴
終身医療保険は、医療保障が一生涯続き、途中で保険料の変更がない保険です。病気やケガで入院や手術等給付事由に該当した場合、生きている限りいつでも給付が受けられます。
終身医療保険の保険料の支払い方法は2つ。一生払い続ける定額タイプ(終身払い)と、一定の年齢までに払い込んでしまう(有期払い・例えば60歳払済)の払済タイプです。
終身払いでは、保険契約が続いている限り保険料を払い続けることになります。
一方、一定の年齢までに払い込んでしまうタイプでは、その年齢まで保険料を支払うことでその後は払い込み不要で保障は一生涯続きます。
定期型医療保険との違い
終身医療保険は、保険期間が一生涯であるため、更新の必要がありません。
一方、定期型の医療保険は、一定期間だけの医療保険です。保険期間が満了したら保険が切れてしまうため、更新するか、新たに別の保険に加入する必要があります。また、定期型の医療保険では更新時に保険料が上がるのが一般的です。終身医療保険では、加入時から一生保険料の変更はありません。
終身医療保険のメリットとは
終身医療保険のメリットについて、次の5つを紹介します。
- 保険料が上がらないので年齢が上がるとお得
- 保障が一生続くので安心
- 生命保険料控除の適用がある
- 解約したら返戻金があることも
- 契約者貸付制度が利用できることも
保険料が上がらないので年齢が上がるとお得
終身医療保険は保険料が一定なので、年齢が上がっても保険料は変わりません。通常の生命保険では、1歳上がるごとに保険料も上がります。
そのため定期型の保険に加入していると、更新時や新規加入時にどんどん保険料が上がることになります。一方終身医療保険は、加入時から一生涯保険料が変わらないためお得です。
保障が一生続くので安心
終身医療保険の最大のメリットは、一生涯の保障です。特に病気やケガのリスクは、子どもからお年寄りまで誰にでもあります。
そのため途中で見直す必要もなく、加入時から生きている限り保障が続くので安心です。
生命保険料控除の適用がある
終身医療保険は、生命保険料控除の対象です。そのため、年末調整や確定申告で、所得税、住民税が軽減されます。
なお、生命保険料控除で受けられる控除上限額は、所得税で最大40,000円、住民税で最大28,000円です。
解約したら返戻金がある
終身医療保険の貯蓄タイプでは、万が一中途解約した場合には契約からの経過期間に応じた解約返戻金が受け取れます。
ただし、払込期間を一生涯にしている場合や、払い込み満了前の解約では既払込保険料を下回ることがほとんどです。終身医療保険の貯蓄タイプは貯蓄性が高いとはいえ、払い込んだ保険料を上回ることは通常ありません。
「契約者貸付制度」が利用できることも
終身医療保険の貯蓄タイプに加入している間、急にまとまったお金が必要になった時に解約返戻金の一部を保険会社から借入できる制度が、契約者貸付制度です。
その時点での解約返戻金に対して一定の割合の貸付が受けられます。注意したいのは、保険会社や保険商品によっては契約者貸付制度が使えない場合があります。事前に利用できるのか確認しましょう。
終身医療保険のデメリットとは
終身医療保険のデメリットについて、次の5点を紹介します。
- 若い時は保険料が割高
- 定年後も支払いが続くことがある
- 保障見直しのタイミングが難しい
- インフレ時には受け取れるお金が目減りする
- 解約返戻金が支払総額を下回ることがある
若い時は保険料が割高
終身医療保険は、一生涯のリスクをカバーする保険です。そのため、定期型に比べて保険料が割高な点がデメリット。つまり、まだ若いうちは収入に対して保険料負担が大きく感じることになります。
しかし、1歳でも若いうちに終身医療保険に加入しておくことで、年齢を重ねるごとに割安に感じられます。そのため若いうちは保険料負担が大きいですが、本来の保険の意義のとおり長く続けることで充分メリットになる要素です。
定年後も支払いが続くことがある
終身医療保険の保険料を終身払いにすると、定年後にも支払いが続きます。たとえ働いている年代では負担に感じない保険料でも、定年後の年金収入がメインとなる年代では保険料負担が大きくなる可能性もあります。
そのため、終身払いで加入する場合には一生涯払っていける範囲の保険料にしましょう。仮に払えなくなってしまうと、せっかくの保険を解約することになってしまいます。
保険見直しのタイミングが難しい
終身医療保険は満期や更新がないので、見直すタイミングが見極めにくいというデメリットがあります。途中で変更を希望する場合は、保障を減額したうえで新しい保障を追加したり、別途他の保険に加入したりすることでカバーできます。
インフレ時には受け取れるお金が目減りする
解約返戻金は契約時に決められるので、お金を受け取る時に物価が上がっていると、契約時よりもお金の価値が減少してしまいます。
解約返戻金が支払総額を下回ることがある
終身医療保険の貯蓄タイプでは、早期に解約すると解約返戻金の額がかなり少なくなる可能性があります。
そのため、万が一保険を続けられなくなった場合に解約すると、ある程度の解約返戻金が戻ることもあります。しかし、そもそも終身医療保険の貯蓄タイプは資産形成を目的としているわけではないため、基本的にはいつ解約しても解約返戻金は既払込保険料より下回っていることがほとんどです。
終身医療保険が向いている方・向いていない方は?
ここからは、終身医療保険が向いている方と、向いていない方について解説します。
終身医療保険が向いている方
終身医療保険が向いているのは、老後の収入や年金の額が多い方です。さらに、一生涯続く医療保障を持ちながら安心したい方には最適です。
老後の収入や年金の額が多い方
終身医療保険に向いているのは、終身医療保険を終身払いにして保険料を払い続けるのに心配が要らない方です。
60歳や65歳払い込み満了にした場合は、終身払いよりも1回当たりの保険料が割高になります。本来なら一生払う保険料を、短期間のうちに払い込んでしまうからです。そのため、終身医療保険の保険料支払いが負担にならない方は、加入に向いているといえます。
一生涯保障を受けて安心したい方
前述のように、終身医療保険は一生涯続く医療保障が最大のメリットです。このメリットの効果を受けたい方は、終身医療保険の加入に向いています。
終身医療保険が向いていない方
終身医療保険に向いていないのは、定期的に保険の見直しをしたい方や、一定期間のみの保障で良い方です。
定期的に保険の見直しをしたい方
終身医療保険では、一生涯同じ保障が続きます。更新がないため見直しの必要がありません。裏を返すと、ライフスタイルに合わせて適宜保障を見直したい方には不向きであるといえます。
一定期間のみ保障が欲しい方
一定期間のみ保障が欲しい方も、終身医療保険は向いていません。一定期間のみ保障が欲しい場合には、共済や少額短期保険など1年更新で加入できるタイプの保険を検討しましょう。
失敗しない保険の選び方
ここからは、失敗しない保険の選び方について、おすすめの方法を紹介します。
必要な保障内容で選ぶ
これから起こりうるお金のリスクについて考え、どれくらい保障が必要かを考えましょう。主なリスクには、生命保険でカバーできる死亡保障や医療保障があります。さらにがんや三大疾病のリスクもあり、何を優先してカバーしたいかについて明確にしておくと良いでしょう。
また、近年注目されているリスクには、長生きすることで老後資金が減っていくリスクや介護状態、認知症にかかるリスクです。これらに関しても情報収集をしておくと安心です。
保障額で決める
現在の世帯構成や年齢、住宅ローンの有無など総合的に判断し、具体的にいくらの備えがあれば安心かを考えます。そして、それに見合った必要保障額が受け取れる保険にすると良いでしょう。
保険の見直しには、セゾンのマネナビ
オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」では、お客さまのライフプラン作成を無料で行っています。将来の必要保障額や必要資金について明確に見える化し、お客さまに合った最適なアドバイスを行います。
担当のファイナンシャルプランナーをご自身で選ぶことも可能で、ファイナンシャルプランナーに何回相談しても無料です。「加入している保険が適しているか」「自身に合った保障内容はないのか」など、早めに相談し見直してみましょう。
おわりに
終身医療保険は、一生涯続く医療保障が最大の特徴でありメリットです。保険料も一生変わらないため、キャッシュフローが明確です。一方、更新がなく見直しが必要ないことから、定期的に保険の見直しをしたい方にとっては使い勝手が悪いと感じるかもしれません。
このコラムを参考に、医療終身保険の特徴とメリット・デメリットについて把握し、実際に加入する判断材料としてお使いいただけますと幸いです。