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死亡届の提出先はどこ?書き方や注意点も知ってスムーズに手続きしよう

セゾンのくらし大研究 編集部

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時折、身内の死亡手続きを取らなかった家族が年金等を不正受給し逮捕されるといったニュースを耳にすることがあります。「家族の死後、手続きをうっかり忘れてしまったらどうなる?」と不安が頭をよぎる方もいるかもしれません。

身内が亡くなったら、自治体に死亡届を提出します。このコラムでは死亡届の書き方や提出先、期限などについて解説します。いざというとき、慌てずに手続きを進められるようにしましょう。

この記事のまとめ

このコラムでは、故人が亡くなったことを自治体に届け出る死亡届の入手方法、入手費用、書き方や提出先など、死亡手続きについて解説します。身内が亡くなった時、どのような方法で死亡届を手に入れ、どんな手続きを取れば良いのかがわかるでしょう。なお、死亡届を提出しなかった場合のペナルティについても説明しています。身内が亡くなり悲しみの中にあっても、このコラムを読めば適切な手続きをしっかり終えることができるでしょう

相続手続きサポート
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死亡届は亡くなった事実を証明する書類

死亡届とは、故人が亡くなったことを法的に証明する書類です。提出先は自治体の窓口です。自治体は死亡届が提出されることにより、故人の戸籍に死亡の記載を行います。死亡届の提出をもって、故人は公的に亡くなったことになるのです。

死亡届が提出されないと、火葬ができません。また保険関係など、死後に生じるさまざまな手続きに死亡届のコピーが必要になります。よって死亡届は、身内が今後の手続きを進める際の重要書類のひとつなのです。

死亡届の書式と費用

死亡届は、死亡診断書(死体検案書)と一対です。1枚のA3用紙が中央で分けられ、左側に死亡届、右側に死亡診断書がついています。

左側の死亡届は、故人の親族や土地の管理人、後見人など、一般に喪主となる方が記入します。右側の死亡診断書は、亡くなったことを確認した医師が死因や死亡年月日を記入します。

死亡診断書は事件性がなく死因がしっかりわかっている場合に担当医などが書くものです。そして死体検案書は、事件性があるときなどに警察医が検案した後、発行されるものです。どちらも同じ書式を使います。

死亡診断書を書いてもらうには費用がかかり、死亡診断書の費用相場は3,000~10,000円ほどです。入院していた場合は、入院費用と同時に精算します。死体検案書の作成費用は、死因の調査費用や遺体搬送料金などもかかるため、数万円になることもあります。

死亡診断書を携行していないと、亡くなった方を移送することができません。よって病院に入院していた場合には、遺族が取り立てて希望しなくても、亡くなった後すぐに死亡診断書を発行してもらえます。

死亡届の主な入手方法

死亡届は、一般的にはご自身で用意しません。故人が亡くなってすぐ、医師が死亡診断書の部分を記入し終えたものを受け取ります。

死亡届は、自治体のWEBサイトからダウンロードが可能な場合もあります。何らかの理由によりご自身で手配しなければならないときは、まず自治体のWEBサイトで書式を探してみましょう。見当たらなければ役所に問い合わせます。故人が亡くなった病院等に事情を話し、もらっても良いでしょう。

死亡届の提出先は3ヵ所のうちいずれかの役所

死亡届の提出先は、以下の3ヵ所のうちいずれかです。役所の戸籍を扱う戸籍課などの窓口へ出向き、提出します。

故人の本籍地の役所

故人の本籍がある住所を管轄している役所で、死亡届を提出できます。

故人の死亡地の役所

故人の死亡地の役所で、死亡届を提出できます。家族と同居していない故人が旅行先や単身赴任先で亡くなり、現地で火葬まで済ませたいといったときに有効です。海外赴任者が亡くなったときには、現地の大使館や領事館に死亡届を提出できます。

届出人の住所登録地の役所

届出人、つまり一般には喪主となる方の住所登録地の役所でも、死亡届を提出できます。亡くなった故人をすぐに親族宅へ連れ帰り、親族の地元で火葬を行いたいときなどに有効です。

死亡届はいつでも提出可能

死亡届は休日や夜間に関係なく、365日、24時間提出が可能です。ただし、休日や夜間は受付のみで、火葬の際に必要となる火葬許可証は発行してもらえない役所もあります。

その場合、火葬許可証を受け取るためには、役所の受付時間内に再度訪問しなければなりません。書類に不備があった場合も、後日対応が必要になります。

戸籍法に則った届出人でないと受理してもらえない

死亡届の届出人になれる方は戸籍法で定められており、届出人になる方には故人との関係性に応じて優先順位があります。

  1. 同居の親族
  2. 同居していない親族 ※1
  3. 同居者
  4. 家主
  5. 地主
  6. 家屋管理人
  7. 土地管理人
  8. 公設所の長 ※2
  9. 後見人
  10. 保佐人
  11. 補助人
  12. 任意後見人
  13. 任意後見受任者

ただし、届出人が記入・押印した死亡届を、第三者が窓口に提出しても問題ありません。この場合、想定される第三者は、葬儀社や葬儀のお手伝いをしてくれる近所の方、親族などです。

※1 親族の範囲は、6親等以内の血族・配偶者・3親等以内の姻族
※2 この場合の公設所とは公立病院や警察を指し、故人に身寄りがない場合など届出人となる可能性あり

死亡届の提出は葬儀会社が代行も可能

届出人の要件は満たしませんが、葬儀社が死亡届の提出を代行することは可能です。ただし、自治体によっては委任状が必要な場合もあります。

また料金がかかることも気に留めておきましょう。代行手続きの料金相場は10,000円程度ですが、オプションではなく葬儀プランの中に含まれているケースが大半です。

死亡届の書き方と提出時に必要なもの

死亡届の記載方法や提出書類など必要となるものについて、順に説明します。

死亡届の記入事項

死亡届に記載するのは、以下のような内容です。間違えたら、間違えた個所に二重線を引いて消し、上部か下部に分かりやすく修正内容を記入しましょう。

そのうえで、二重線を引いたところに届出印を押します。なお訂正方法は自治体によって異なる場合もあるため、念のため確認するのが大事です。

  • 提出年月日
    届出する年月日を記入します。
  • 提出先
    「長殿」の欄に記入がなければ、提出する自治体の名前を書き入れます。「(自治体名)長殿」となります。
  • 故人の氏名と生年月日
    故人の氏名、生年月日を記入し、該当する性別をチェックします。届出人の名前や生年月日を記入しないよう、注意しましょう。
  • 死亡した日時と場所
    右側の死亡診断書を参考に記入します。
  • 故人の住所・世帯主・本籍地・筆頭者
    健康保険証や運転免許証などを参考に、住所や本籍地を正しく記載します。筆頭者とは、戸籍の最初に掲載されている方の名前です。結婚すると新たな戸籍ができ、夫婦のうち氏に変更がなかった方が筆頭者になります。
  • 故人の配偶者の有無
    配偶者がいる場合は年齢を記載し、いない場合は未婚・死別・離別のうち当てはまるものにチェックを入れます。
  • 死亡時の世帯状況と職業
    当てはまるものにチェックを入れます。
  • 届出人の住所・氏名・生年月日・連絡先など
    健康保険証や運転免許証などを参考に、住所地を正しく記載します。
  • 押印
    届出人の氏名欄に押印します。届出印は認印で構いません。ただしシャチハタは不可。
  • 届出人の捨印
    届出印と同じ印鑑を、欄外にしっかり押印します。

ただし、法改正等の理由により押印を任意としている自治体もあります。

死亡届の提出時に持っていくもの

死亡届の提出に必要なものは、以下の3点です。

  • 死亡届・死亡診断書(死体検案書)※原本
    必要事項を記載したものを持参します。
  • 届出人の印鑑
    役所の書類確認により訂正個所が生じた場合、その場で印鑑を押して訂正します。
  • 届出人の身分証明書
    後見人、保佐人、補助人、任意後見人が届出人となる場合は、登記事項証明書か、裁判所の謄本(原本)が必要です。

この他、火葬埋葬許可申請書が必要な自治体があります。

死亡届を提出する際の注意点

死亡届を提出する際は、以下の5つに注意します。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)の全体を複数枚コピーしておく

死亡届を提出する前に、原本の全体を複数枚コピーしておきましょう。

生命保険金の請求や遺族年金の受給など、死亡後の手続きに必要だからです。役所には原本を提出しますが、原本はそのまま受理され、返却されません。前もってコピーしておくと、死亡後の手続きがスムーズです。

もちろん、役所で死亡届の複写をもらうことも可能です。しかし死亡届の複写を発行してもらうには1通350円ほどかかります

死亡後の手続きには、役所で用意してもらう複写ではなく、自宅やコンビニなどでコピーしたものでも十分使えます。届出をする前に、コピーしておくのがおすすめです。

提出期限(死亡を知ってから7日以内)を守る

死亡届の提出には期限があります。提出期限は、死亡したことを知った日から数えて7日以内です。例外として、国外で亡くなった場合は、死亡の事実を知った日から3ヵ月以内です。

期限を守るため、死亡届の届出を優先順位1位の手続きとして捉えましょう。

欄外に火葬場の名称を控えておく

死亡届を提出する際には、利用する火葬場の名前を確認されるケースがあります。尋ねられたときのために、火葬場の名称を控えておくとスムーズです。

火葬埋葬許可証を発行してもらう

死亡届を提出すると、火葬埋葬許可証が発行されます。市区町村により、別途申請が必要な場合もありますが、火葬埋葬許可証がないと火葬できませんので、必ず発行してもらいましょう

火葬埋葬許可証は、火葬許可証と埋葬許可証がセットになったものです。封筒の中に、2枚の書類が入っています。火葬の際、火葬場の係員に許可証を封筒ごと渡すと、火葬許可証だけ受理されます。遺族には埋葬許可証だけが入った封筒が返却されます。

埋葬許可証を使うのは、納骨するときです。納骨当日、霊園や納骨堂の管理者に埋葬許可証を渡すことになります。埋葬許可証を無くすと納骨のときに困ってしまうため、無くさないよう注意が必要です。一般的には、骨壺を入れた桐の箱の中に埋葬許可証を保管しておくと無くさずに済みます。

死亡届を提出しないとペナルティや不都合が生じる

死亡届を期限内に提出しないと、以下のような複数の不都合に見舞われます。

50,000円以下の過料に処される

正当な理由がなく、死亡届の提出が期限内にできなかった場合は、戸籍法により50,000円以下の過料に処される可能性があります。

火葬や納骨ができない

死亡届を提出することで、火葬埋葬許可証を受け取ることができます。よって死亡届を提出しなければ、火葬や納骨ができません。ずっと火葬しなければ、遺体はどんどん傷んでいきます。

年金受給が停止できない

死亡届を提出すると、日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は年金の受給停止手続きをする必要がありません。マイナンバーが登録されていない場合は「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要ですが、この提出には死亡届や、死亡の事実が確認できる住民票の除票などが必要になります。つまり死亡届を提出しないと、年金の受給を停止できません。

本人が亡くなったにも関わらず年金の受給を停止しないと不正受給となり、詐欺罪に問われる可能性があります。年金の受給停止手続き期限は、厚生年金が10日以内、国民年金が14日以内です。

戸籍に死亡した旨が記載されない

死亡届を提出すると、戸籍に死亡したことが記載されます。相続手続きには故人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となりますが、戸籍に死亡したことが記載されないと、書類を揃えることができません。つまり、相続手続きができないということになります。

ただし、戸籍に死亡したことが反映されるまでには、1週間から2週間ほどかかるケースもあるようです。死後すぐに相続手続きをしたい場合でも、資料を取り寄せるためには少し待たなければならない可能性があることを知っておきましょう。

死亡後の手続きのご相談は「セゾン相続 相続手続きサポート」へ

死亡届に始まり、年金受給停止手続き、保険の手続き、相続手続きなど、身内が亡くなったあとにしなければならない手続きは山ほどあります。葬儀後の疲れた身体で、自身の仕事もある中、官公庁に通い続けるのは大きな負担です。やっと役所に出向いても、必要書類に不備があって二度手間になることも珍しくありません。

死亡後の手続きの分かりにくさに悩んだら、ぜひ「セゾンの相続 相続手続きサポート」へご相談ください。士業など死亡後の手続き関連に精通している専門家のご紹介が可能です。死亡後、必要になる手続きは家族によってさまざまです。ご事情を伺い、優先順位の高いものから順番にご案内し、遺族年金など、受け取れる可能性のある給付金についてもアドバイスします。

セゾンの相続 相続手続きサポートの詳細はこちら

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おわりに

死亡届の提出は葬儀社が代行するのが一般的ですが、遺族やお手伝いをしてくれるご近所の方が行うケースもあります。また、遺族自身が提出をしない場合でも、必要事項を記入しなければならないのは遺族です。いざというときのために本籍地や筆頭者を確認しておくと、記入に役立つでしょう。

死亡届を正しく提出すると、死後の手続きがスムーズ。後々のためにも、きちんと提出するようにしましょう。「提出先がわからない」「記入の仕方がわからない」と迷う時は、ぜひこのコラムをご活用ください。

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