くせを活かしたヘアスタイルも素敵ですが、くせ毛にお悩みの方は「雨の日は広がって思うようにまとまらない」「変なところで髪の毛がハネてしまう」と頭を抱えてしまうことがあるでしょう。
そこで今回のコラムでは、くせ毛の直し方をメインにご紹介していきます。そもそものくせの原因を把握し、正しいシャンプーや乾かし方を知ることで、より扱いやすい髪の毛に近づけることができるでしょう。髪の毛のくせにまつわる悩みをお持ちの方は、ぜひご覧ください。
毛がまっすぐ生えないのはなぜ?くせ毛の原因
何もしなくてもサラサラとしたストレートヘアの方がいる一方、髪にうねりやねじれが出てしまうくせ毛の方もいます。その差は一体どこにあるのでしょうか。くせ毛の原因には、遺伝などによる先天的な要素と、加齢やダメージによってくせ毛になる後天的な要素があります。
まずは、くせ毛の原因から紐解いてみましょう。
遺伝などによる先天的なくせ毛
直毛かくせ毛かは、毛根の形状に左右されやすいです。
髪の毛は毛根の一番奥にある毛球で作り出され、押し出されるように頭皮の毛穴から出てきます。初めは柔らかいですが、毛根を通っている間に硬くなるため、毛根がまっすぐだと直毛になりやすくなります。しかし、毛根が曲がっていると、うねりやねじれが生じたまま髪の毛が硬くなり、くせ毛となるのです。
また、髪の毛の内部にあるコルテックスも関係しています。コルテックスとは、髪の毛の85~90%を占めている、主にたんぱく質で構成された繊維の束です。コルテックスは、次に挙げる2種類が存在します。
コルテックスの種類
・オルト様コルテックス:柔らかいたんぱく質、水分を吸収しやすい
・パラ様コルテックス:硬いたんぱく質、水分を吸収しにくい
直毛の場合、髪の毛の内部で2種類のコルテックスが均一に分布しています。しかし、くせ毛の場合は偏りがあり、偏りの程度によってくせの強さも決まるのです。つまり、毛根がまっすぐだとしてもコルテックスの分布に偏りがあると、くせ毛になる可能性があります。
くせ毛は遺伝するケースが多いようです。両親共にくせ毛だと、子どもも86%の確率でくせ毛になるといわれています。ちなみに両親共に直毛の場合、子どもが直毛になる確率は97%です。遺伝する確率は100%ではありませんが、大きな影響があるといえるでしょう。
加齢やダメージによる後天的なくせ毛
くせ毛はすべて生まれつきによるものではありません。加齢やダメージなどが原因で、くせ毛になるケースもあります。
ここでは、5つの要因を紹介します。
加齢
年齢を重ねることで髪の毛に変化が生じてきます。加齢によるくせ毛の要因は、乾燥と頭皮のたるみです。本来、髪の毛は13%程度水分を保有しています。しかし、加齢によって水分保持が難しくなり、髪の毛が乾燥しやすくなります。髪の毛は乾燥すると、うねりやすい傾向があるのです。
また、肌と同じように頭皮も加齢によってたるんできます。頭皮がたるむと毛根の形状が変化し、うねった髪の毛が生えてくる可能性があります。
ヘアケア不足による毛穴・毛根の歪み
ヘアケアが行き届いていないと、くせ毛になるケースがあります。というのも、毛穴に汚れが溜まってしまうと毛穴が歪み、次に生えてくる髪の毛にくせが発生してしまう恐れがあるからです。毛穴詰まりの原因は、皮脂の洗浄不足やシャンプー剤のすすぎ残しがあります。
ホルモンバランスの変化
髪の毛はホルモンバランスの影響を受けます。「子どもの頃は直毛だったのに、思春期を過ぎたらくせ毛になった」「妊娠出産後、くせがあまり出なくなった」という方も多くいらっしゃるでしょう。
ホルモンバランスは、思春期や妊娠出産だけでなく、睡眠や食事、ストレスの状況によっても変化します。ホルモンバランスが乱れることで、髪質にも影響を与え、くせ毛になることもあります。
カラーやパーマによるダメージ
カラーやパーマは髪の毛にダメージを与えやすくなります。ダメージが蓄積すると、髪の毛の内部に空洞ができ、たんぱく質の偏りが大きくなります。その結果、うねりが発生してしまうのです。また、髪の毛内部の空洞は乾燥の原因にもなります。前述したように、髪の毛は乾燥によってうねってしまいます。
反対に、空洞は空気中の水分を取り込みやすくもあります。髪の毛は必要以上に水分を取り込むと、広がったりハネたりしやすくなるのです。「梅雨の時期はくせ毛がより一層強くなる」と実感している方も多いでしょう。
紫外線によるダメージ
紫外線は、髪の毛を構成しているアミノ酸やタンパク質、表面のキューティクルにダメージを与えます。シスチンは紫外線を浴びると違う物質に変化し、酸化してしまいます。これによってたんぱく質もダメージを受け、うねりや広がりの要因となってしまうのです。
キューティクルは髪の毛の内部を守り、水分の蒸発を防ぐ働きがあります。しかし、紫外線を浴びると失われ、髪の毛が乾燥し、うねりの発生へとつながってしまいます。
主なくせ毛の種類と特徴
ここまでで、くせ毛の原因について解説してきました。ただ、ひとことで「くせ毛」といっても、うねりやねじれの状態によって、主に4タイプに分かれます。
続いては、くせ毛の種類と特徴を見てみましょう。
波状毛(はじょうもう)
波状毛は、髪の毛が波のようにウェーブがかかっている特徴があります。日本人に多いタイプで、「くせ毛」と聞くと波状毛をイメージする方が多いかもしれません。波状毛は人によってくせの強さが異なり、大きくウェーブして広がってしまう方や、うねりが軽い方、髪の毛が伸びるとハネてしまう方など、さまざまです。波状毛の原因は毛根の弯曲といわれており、髪の毛が柔らかい方に生じやすいくせです。
捻転毛(ねんてんもう)
髪の毛がねじれてしまうのが、捻転毛です。しかし、細かいねじれのため、一見するとくせ毛ではないような印象を受けやすいでしょう。捻転毛の方は、細かいねじれが原因で髪の毛がごわつきやすい、広がってまとまりにくいといった悩みを抱きがちです。捻転毛は、髪の毛が細くて柔らかい方に多い傾向があります。
縮毛(しゅくもう)
縮毛は、強く縮れた髪の毛のことを指します。縮れ方はランダムで、髪の毛自体が硬くてザラザラしています。強いくせのため、縮毛を緩和するには定期的な縮毛矯正やストレートパーマなどの施術が必要でしょう。縮毛の方は、毛根の歪みだけでなく、髪の毛内部のたんぱく質にも大きな偏りが見られます。
連珠毛(れんじゅもう)
連珠毛は、1本の髪の毛の太さが一定ではなく、太い部分と細い部分が混在しているくせ毛です。まるで紐でつないだ数珠のように、髪の毛がでこぼこしています。くせが強いと立体的にカールしているように見えますが、弱いとストレートヘアに見えるでしょう。連珠毛は髪の毛の細い部分が弱く、そこから切れてしまいやすい傾向にあります。
簡単!くせ毛を直す方法【シャンプー編】
ここからは、くせ毛対策について学んでいきましょう。まずは、シャンプー編です。
前述の通り、頭皮の洗浄不足やシャンプー剤のすすぎ残しがくせ毛の引き金となるケースがあります。そのため、シャンプーのやり方を改善することで、ヘアケア不足によるくせ毛を回避できるでしょう。
以下で紹介する4つのポイントに留意してシャンプーしてみてください。
シャワーの温度はぬるめの38℃前後
髪の毛を洗うお湯の温度は、38℃前後に設定しておきます。ぬるく感じるかもしれませんが、温度が高いと頭皮や髪の毛の乾燥につながってしまいます。反対に、それ以上温度が低いと、皮脂汚れが落ちません。
頭皮や髪の毛の乾燥を防ぎつつ皮脂汚れを落とすには、38℃前後のシャワーが適温です。
髪ではなく頭皮をマッサージするように
まず、シャンプー剤をしっかり泡立て、頭皮をマッサージするイメージで洗いましょう。シャンプー剤を原液のまま頭皮や髪の毛につけてしまうと、すすぎ残しや摩擦の原因となってしまいます。頭皮を洗うときは、指の腹で揉むように洗います。頭皮をマッサージすることで血行が促され、髪質改善へと導いてくれるでしょう。
毛先は、泡を伸ばすようなイメージで洗っていきます。
シャンプーが残らないよう入念に洗い落とす
シャンプーの最重要ポイントは、すすぎです。頭皮にシャンプー剤が残ってしまうのを防ぐために、頭皮から入念に流しましょう。流す時間は、洗った時間の2倍以上が目安です。特に耳の後ろや後頭部はシャンプー剤が残りやすいので、意識してすすぐようにしてください。
シャンプー後は洗い流さないトリートメントでケアする
トリートメントをすることで、ダメージケアが期待できるでしょう。くせ毛の方におすすめなのが、洗い流さないトリートメントです。髪の毛の表面をコーティングし、ダメージや乾燥から守ってくれます。しっかりタオルで水分を拭き取ってからトリートメントを髪の毛につけ、ドライヤーで乾かしていきましょう。
注意したいのが、トリートメントに含まれている水分量です。湿気を吸収すると髪の毛がうねったり膨らんだりしてしまうように、トリートメント中の水分がくせ毛を増長させてしまうこともあります。うねりやボリュームが気になる方は、水分量の少ないミルクタイプやオイルタイプを選びましょう。
くせ毛を直す方法【ドライヤー・ヘアアイロン編】
次に、くせ毛対策に効果的なドライヤーとヘアアイロンの使い方を紹介します。
髪の毛は乾いたときの形状を記憶する性質があります。そのため、お風呂から出てすぐ乾かさないと、くせがついたまま形状記憶されてしまうのです。さらに湿ったままにしておくと、雑菌が繁殖しかねません。くせ毛対策だけでなく頭皮の清潔のためにも、しっかりとドライヤーで乾かしましょう。
ただ単に髪の毛を乾かすのではなく、ポイントを押さえることでまとまりやすい髪の毛に近づきます。
ヘアケア機能のあるドライヤーを選ぶ
ヘアケア機能が搭載されたドライヤーは、うねりの抑制やボリュームダウンを叶えてくれます。ヘアケア機能の一例を見てみましょう。
ヘアケア機能
・大風量(熱による乾燥に頼らないのでダメージを与えにくい)
・マイナスイオン発生(キューティクルを整えると一般的にはいわれている)
・温度の自動調整(一定温度以下に保つ、自動で温冷が切り替わるなど、熱によるダメージを減らす)
家庭用のドライヤーでも、機能的なドライヤーが多数販売されています。乾かすだけでヘアケアができるので、手軽にくせ毛対策ができるでしょう。ただし機能が多いドライヤーは高額なため、ご自身にあった商品を選ぶようにしましょう。
温風と冷風を使い分ける
ドライヤーを使う際は、温風ばかりでなく時折冷風に切り替え、髪の毛が熱くならないように気をつけてください。冷風で髪の毛が冷えるとキューティクルが閉じ、くせを軽減できるのです。
乾かす場所は、根元からスタートしましょう。ドライヤーの風は毛先に向かってあてます。根元で指先を動かしながら乾かすと、くせがつきにくいです。
最後の仕上げに髪の毛全体を冷風で冷やせば、きれいな状態を維持しやすいです。
パーツごとにヘアアイロンをかける
ヘアアイロンはくせをきれいに伸ばしてくれるので、理想のストレートヘアが目指せます。ヘアアイロンをかける前に、耳の上部辺りで髪の毛を上下に分けましょう。分けたら上の方の髪の毛をクリップなどで留め、下の方の髪の毛からヘアアイロンを当てていきます。髪の毛は一度に多くとらず、5〜6cm程度の幅にするときれいに仕上がります。
ヘアアイロンを使う際は、熱によるダメージに注意が必要です。ヘアアイロンの温度は160℃前後を目安に設定してください。ヘアアイロン用のスタイリング剤をつけておけば、ダメージを緩和できるでしょう。
ヘアセット時の仕上げは固めるスプレーを使用
正しい方法でシャンプーやドライヤーをした後は、くせが伸びた状態をキープするために、髪の毛を適度に固めてくれるスプレーを使うのもおすすめです。
「絶対崩したくない」からといって髪の毛に直接吹きかけてしまうと、ベタッとして不自然になりかねません。根元だけにサッと吹きかけるか、ブラシに吹きかけて髪の毛をとかすと自然な仕上がりになりますよ。
くせ毛を治す方法【生活習慣編】
くせ毛の原因は、ホルモンバランスの乱れも一因ということをお伝えしました。ホルモンバランスを整えるためにも、生活習慣を見直してみましょう。栄養バランスの取れた食事や良質な睡眠、適度な運動といった規則正しい生活は、髪の毛にも良い影響をもたらします。
髪の毛は、主にたんぱく質やアミノ酸などで構成されています。すなわち、普段の食事内容が髪の毛に関係してくるのです。たんぱく質だけでなく、カルシウムやビタミン、鉄分などを含む食材をバランス良く摂取しましょう。
また、髪の毛は主に寝ている間に作られます。特に「ゴールデンタイム」と呼ばれる22〜2時の間は、しっかり睡眠を取るよう心がけましょう。
適度な運動は、代謝アップの期待ができます。代謝が高まることで、健康的な髪の毛作りが叶うでしょう。
また、日頃から頭皮マッサージを習慣にしてみてください。マッサージで頭皮を柔らかくし、血流を促しておくことで髪質改善へとつながります。
くせ毛をストレートにする方法はある?
さまざまなくせ毛の対策や改善方法を紹介してきましたが、頑固なくせ毛は一筋縄ではいきません。くせを可能な限りなくしてストレートヘアを手に入れたいなら、ヘアサロンで施術を受けるのがおすすめです。
最後に、ヘアサロンで受けられる施術についてご紹介します。
くせ毛を直毛にしたいなら縮毛矯正
くせのないストレートヘアを実現するには、縮毛矯正をするのが近道です。縮毛矯正は、くせが強い方でも直毛になりやすく、施術した部分はくせが復活しにくいです。ただし、髪の毛に薬剤を塗布し、熱を加えてくせを伸ばすので、髪の毛に負担がかかりやすいです。
くせの程度によって差はありますが、半年に1度くらいの頻度で施術すると良いでしょう。
くせ毛を活かしたいならストレートパーマ
より自然な仕上がりを目指すなら、ストレートパーマを検討してみてください。縮毛矯正と同様に、髪の毛に薬剤を塗布しますが、加熱の工程がありません。そのため、髪の毛への負担がかかりにくく、直毛になりすぎずナチュラルな仕上がりになるのです。
しかし、縮毛矯正より持続期間が短く、3ヵ月に1度くらいの頻度で施術が必要でしょう。
おわりに
このコラムでは、くせ毛の直し方にスポットを当てて解説してきました。くせ毛には先天的な原因だけでなく、加齢やダメージなど後天的な原因もはらんでいます。シャンプーや髪の毛の乾かし方を見直すとともに生活習慣にも気を配ることで、くせ毛の改善が見込めそうです。
今回ご紹介した内容を参考に、よりくせ毛とうまく付き合っていきましょう。