変額保険に、難しくてやめた方がいいというイメージはありませんか。確かに変額保険は一般的な保険と違う部分があり、わかりにくい面もあるでしょう。しかし、生命保険のひとつであるため、死亡保険金などの最低保証は確保されています。運用実績に基づいて変動するのは解約返戻金や年金受取金に関する部分であり、変額保険の基本的な仕組みを把握したうえで最大限活用することは可能です。変額保険について興味がある人は、ぜひお読みください。
変額保険とはどういう保険?
変額保険とは、保険金や解約返戻金の金額が増減する仕組みの生命保険です。ここからは変額保険について、4つの点について解説していきます。
- そもそも変額保険とは?
- 変額保険は主に3種類ある
- 変額保険は投資信託とどう違うのか
- 変額保険はやめた方がいいといわれる背景
そもそも変額保険とは?
変額保険とは、保険金や解約返戻金の受け取り金額が変動する生命保険です。変額保険の大きな特徴として、特別勘定での運用があります。
特別勘定とは、変額保険や変額年金など運用実績に応じて給付が変動する保険特有の運用方法です。
他の保険種類の資産とは区別して管理・運用が行われます。特別勘定は、投資信託などの金融商品で資産が運用されているのが特徴です。その運用結果次第で、将来の受取額に差が出るという仕組みです。
なお、一般的な生命保険は、運用実績に関わらず一定の給付が保証されており、これを一般勘定といいます。
変額保険は主に3種類ある
変額保険には、主に以下の3種類があります。それぞれ特徴を確認しましょう。
- 有期型変額保険
- 終身型変額保険
- 変額個人年金保険
・有期型変額保険
有期型の変額保険は、60歳や70歳までなど満期が決まっているタイプです。満期までの保険期間中に死亡または高度障害状態になった場合、死亡保険金に最低保証額が決められています。
ただし、原則として満期保険金や解約返戻金は運用実績に応じて増減するため、最低保証金額が設定されていない点に注意しましょう。
・終身型変額保険
終身型の変額保険は、一生涯の死亡保障と高度障害保障が特徴です。死亡と高度障害状態に関する保険金額は、最低保証金額が保証されているため運用実績に左右されません。
ただし特別勘定での運用ですので、途中で解約した場合の解約返戻金は運用実績により増減します。タイミングによっては、既払込保険料を下回る解約返戻金となることがあるため、解約は慎重に検討しましょう。
・変額個人年金保険
変額個人年金保険は、一般的な生命保険による個人年金保険と仕組みは同じです。運用期間中に拠出した保険料を基に、将来的に年金形式で年金保険金がもらえる保険商品です。ただし、変額保険ですので特別勘定で運用されており、運用実績によっては将来の年金受取額に影響します。
保険会社によっては、将来の年金受取額について最低保証金額が設定されている場合もあります。加入前に必ず最低保証金額については確認しましょう。
変額保険は投資信託と違うのか?
変額保険は、生命保険の種類のひとつであるため死亡や高度障害状態の保障のある商品です。投資信託等で運用した実績によって保険金が変動しますが、あくまでも生命保険であるため保障性は必ず付加されています。
一方投資信託は、純粋に投資による運用実績を追求できる投資商品です。死亡保障などは付加されておらず、運用実績に応じて個人が自在に投資対象を変更することもできます。
そのため、保障性を求めず純粋に資産運用だけを目的としている場合は投資信託を選ぶと良いでしょう。
変額保険はやめた方がいいといわれる背景
変額保険は、通常の生命保険とは違う面が多く、わかりづらいことから「やめとけ」というキーワードが散見されます。
実際に国民生活センターへ変額保険を含む変動タイプの金融商品への相談はあるものの、実は年々減少傾向にあります。トラブルの主な原因は「説明が不十分」「60歳以上の人が理解しないまま契約している」ケースが多い、という結果が公表されています。
よくわからずに契約することで、特に受取時にトラブルになってしまうことになりかねません。変額保険における特別勘定のルールや、最低保証金額の有無など最低限の知識を持っておくだけでも安心です。
変額保険を始めるメリット
変額保険を始めるメリットについて、次の4つを解説します。
- 万が一の際は死亡保険金を受け取れる
- 所得控除を活用できる
- インフレに備えられる
- 運用の成果によって受取金額が増える可能性がある
万が一の際は死亡保険金を受け取れる
変額保険は、生命保険商品のひとつです。そのため万が一のことがあった場合には、死亡保険金や高度障害保険金を受け取ることが可能です。
また、これらは運用結果に左右されず、最低保証金額が決まっています。変額保険は資産運用のイメージが強いですが、あくまでも生命保険という本来の意義は達成できますので安心です。
所得控除を活用できる
繰り返しになりますが、変額保険は生命保険のひとつ。そのため、一般生命保険料控除の対象で、所得控除を受けられる税制優遇のメリットがあります。
控除額は年間保険料によりますが、所得税で最大40,000円、住民税で最大28,000円です。
インフレに備えられる
インフレとは、世の中の物価が上昇することです。物価上昇局面で、ご自身の資産価値は減り続ける恐れがあります。そこで特別勘定で運用する変額保険を活用すると、金利が上昇すると運用成績が上がり、将来受け取れるお金が増える可能性があるのです。
受取額が変動するということは、金利上昇に連動しているということです。逆に一般勘定による生命保険では、金利上昇による影響はなく、あくまでも加入時に決めた保険金を受け取ることになります。
運用の成果によって受取金額が増える可能性がある
変額保険は将来の受取金額が変動する商品のため、運用実績が良ければ受取金額が増えます。特に老後資金対策として活用される変額個人年金保険では、将来の受取額が増える方がいいです。そのため、加入する目的や変動リスクも考慮したうえで自身にとって最適な変額保険を選ぶといいでしょう。
変額保険におけるデメリット
変額保険のデメリットについて、次の4点を解説します。
- 早期に解約すると元本割れする可能性がある
- 他の金融商品と比べるとコストがかかる
- 仕組みを理解しにくい
- デフレに弱い傾向にある
早期に解約すると元本割れする可能性がある
運用実績によって受取金額が変動するため、契約から早期に解約すると元本割れを起こしやすいことはデメリットです。
同時に、早期解約に限らず変額保険では運用実績によって受取額が増減するため、元本割れのリスクに関しては意識しておきましょう。
他の金融商品と比べるとコストがかかる
変額保険に加入し、毎月払っている保険料のすべてが運用されているわけではありません。保険料には、運用費用や管理費用が含まれるためコストがかかっています。変額保険は投資商品ではなく生命保険ですので、保障性に充当する保険料も必要です。
このように、変額保険は他の金融商品を比べて差し引かれるコストが大きいのがデメリットでしょう。
仕組みを理解しにくい
生命保険商品でありながら、運用実績によって受取額が変わるという仕組みが複雑なため、投資初心者の方にとっては理解しにくい商品。生命保険としても、投資商品としても、両方の知識がないとわかりづらい仕組みです。
変額保険にはメリットも多くありますが、そのメリットを最大限享受するためにも変額保険の仕組みは知っておいた方がいいでしょう。
デフレに弱い傾向にある
デフレとは、ものやサービスの物価が全体的に下がる現象です。ものに対して相対的に貨幣価値が上がっていく状態。先述したインフレの逆に当たる状態で、インフレに強い変額保険はデフレには弱いということがデメリットです。
デフレ下において変額保険は運用実績が悪くなる傾向にあるため、解約返戻金などが目減りする可能性があります。
変額保険への加入が向いている人と向いていない人
ここからは、変額保険への加入が向いている人と向いていない人について、それぞれの特徴をまとめていきます。自身がどちらに該当するか、参考にしてみてください。
変額保険への加入が向いている
変額保険への加入が向いているのは、以下の条件に当てはまる人です。
- 死亡保障に備えながら資産運用もしたい人
- 特別運用の仕組みを理解している人
- 資に興味はあるが知識に自信がない人
変額保険は、あくまでも生命保険のひとつ。そのため、運用もしながら死亡保障等の備えもあります。変額保険に向いているのは、最低限の保障も持ちながら資産運用もしたい人です。
さらに、特別運用の仕組みを理解し、運用実績によって将来の受取額が変動するというメリット・デメリットも把握している人にも変額保険は向いているでしょう。
これとは逆で、投資はしてみたいけれど投資信託等の知識がなく、どれを選んでいいかわからない場合も変額保険は向いています。保険会社が商品選定や売却など、すべての運用をしてくれるからです。
こんな人は変額保険への加入はやめておこう
変額保険に向いていないのは、次のような要件に当てはまる人です。
- 元本の保証性を重視する人
- すでに別の資産運用をしている人
- 変額保険や特別勘定についてよくわからない人
変額保険は、死亡時や高度障害状態における保険金額の最低保証はされています。しかし、解約返戻金や年金受取額は運用実績によって変動します。変動するということは、増えることもあれば減ることもあるため、少なくとも変額保険では元本の保証性は低いといえます。
資産運用に対する考え方は人それぞれですが、特に元本保証を優先する投資スタイルの人は、変額保険は避けた方がいいでしょう。
また、すでに変額保険以外の方法で資産運用をしている人も変額保険は向いていない場合があります。先述のように変額保険は、保険部分に対する保険料や運用手数料等が多くかかります。そのため純粋に投資に充当できる金額は保険料のうち限定されています。もし他に資産運用をしているのであれば、そちらを優先した方がいい場合もあるのです。
さらに、変額保険について興味はあるものの、なかなか理解が及ばない場合は急いで加入する必要はありません。大切な自己資金を守るためにも、加入前にはしっかり変額保険について理解し、納得してから加入しましょう。
保険の相談をしたい!おすすめの相談窓口とは
変額保険も含めて、保険に関する相談はプロのアドバイスも活用しましょう。
ここからは、おすすめの相談窓口を4つ紹介します。
- オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」
- ほけんの窓口
- 保険市場
- マネードクター
オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」
オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」は、ファイナンシャルプランナーに何回相談しても無料で対応してくれるサービスです。「加入している保険が適しているか」「自身に合った保障内容はないのか」など、早めに相談し見直してみましょう。
おすすめポイント
- オンラインで相談できる
- 何回ご相談いただいても料金は無料
- ご自身で担当のFPを指名できる
ほけんの窓口
ほけんの窓口は、店舗へ来店して相談できるメリットがあります。全国の主要都市のわかりやすい場所に店舗があることから、来店しやすいのが特徴です。WEBサイト上での相談も可能で、もっと話が聞いてみたい時は対面の来店予約もできます。
保険市場
保険市場は、生命保険・損害保険いずれもオンラインで簡易見積もりが利用可能です。特徴的なのは、アバター相談が利用できる点で、若い世代でも楽しみながら相談できます。
店舗での相談の他、WEBサイトでの相談、訪問での相談も対応しているため子育てや介護をしていて外出が難しい人でも相談しやすいです。
マネードクター
マネードクターでは、全国どこでも最短翌日の保険相談ができる点を特徴としています。保険の相談を受けるのは全員が経験豊富なファイナンシャルプランナーであり、的確なアドバイスが得られるでしょう。お金の専門家であるFPによる相談であることから、老後資金や教育資金など総合的な金融相談も期待できます。
おわりに
特別勘定で運用する変額保険は、対象となる投資信託等の運用実績に基づき将来の受取額が変動します。インフレ下では効果が発揮しやすく、正しい理解をもったうえで変額保険を活用することをおすすめします。
一方変額保険のリスクやデメリットといえる、将来的な受取額の減少に関しては事前に必ず把握しておきましょう。これは変額保険に限らず、どの資産運用商品でも想定されるリスクです。変額保険も含めた保険に関する相談は、お気軽にオンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」までご相談ください。