家を売却するに当たり、住んでいる状態で内覧させて家を売る方法があります。ただし、ありのままの姿を見せてしまうと「なかなか買い手がつかない」という悩みが生じるかもしれません。住んだまま家を売るには、コツやポイントがあるのです。
本コラムでは、居住中でもスムーズに家を売る秘訣を紹介します。家の売却後も住み続けられる「リースバック」についても解説していますので、家の売却を考えている方は、内容を押さえておきましょう。
この記事のまとめ
住んだままでも家を売ることは可能です。家から退去せず内覧等を行うので、仮住まいにかかる費用を捻出せずに済みます。ただし、購入希望者にプライベートな空間を公開しなければなりません。生活感が溢れすぎているとなかなか買い手も見つかりません。住んだままでもスムーズに家を売るには、いつでも内覧に対応できるようスケジュールに融通が利くようにしておきましょう。急な内覧希望があっても困らないよう、常に家の中をきれいにしておくことも大切です。同時に、臭い対策も行ってください。また、家を売却してもそのまま住み続けられる「リースバック」という方法があります。リースバック後は、買主と賃貸契約を結び、家賃を支払って住む仕組みになっています。
住んだまま家を売ることはできる!
家を売るとなると「引っ越して誰も住んでいない状態にしておかなければならない」とイメージするかもしれません。しかし、住んだまま家を売ることは可能です。
一般的に中古物件を購入する場合、事前に家の中を見てから買うか買わないか検討します。つまり、住んでいる家を売るのであれば、知らない方に家の中を公開することになります。そのため、プライベート空間をさらけ出すのが苦ではない方、在宅率が高く内覧に対応できる方が、住んだまま家を売るのに向いているでしょう。
ただ、できれば誰も住んでいない空き家の方が隅々までチェックできるので、売却しやすいと考えられています。とはいえ、引っ越しや仮住まいにかかる費用を削減するため、住んだまま家を売りたいと考えている方もいます。不安を解消し、効率良く売却するためにも、まずは家を住んだまま売るメリットとデメリットを把握しておきましょう。
住んだまま家を売るメリット
住んだまま家を売ることで、次の3つのメリットが得られます。
資金計画に無理が生じない
住んだまま家を売ると、売却して得られた資金を次の住まいとなる不動産の購入費用にそのまま充てられます。住んでいる状態で家を売りに出すということは、仮住まいにかかる敷金や礼金といった費用の削減につながるのです。そのため資金計画上も、余裕を持った売却活動ができるでしょう。
家の魅力や生活のイメージを伝えやすい
家具・家電が置いてある状態を内覧者に見てもらうことで「この家に住んだらこんな生活ができる」というイメージが伝わりやすくなります。住み心地や魅力がアピールできれば、購入のきっかけになるかもしれません。
空き家にならないため家の劣化が防げる
住み続けることで家の手入れが行き届き、家の劣化を防げるのもメリットです。空き家にしてしまうと、こまめに掃除や換気ができません。空き家の状態が続き、ほこりが溜まっていたり庭の雑草が伸びていたりすると、買い手に良い印象は与えられないでしょう。
劣化を食い止め、きれいな状態で家を見てもらえるのは、住んでいるからこその利点です。
住んだまま家を売るデメリット
続いて、住んだまま家を売るデメリットをチェックしてみましょう。
内覧の申し込みに柔軟に対応しなければならない
「家を内覧したい」という申し込みがあれば、柔軟に対応しなければなりません。内覧には、住居者の立ち会いが必要です。内覧は休日がメインとなるので、土日や祝日に予定を入れにくくなったり、休日に家でゆっくりくつろいだりするのが難しくなります。
さらに、急に内覧が決まるケースもあるため、スケジュールの融通が利かないと対応しにくいでしょう。
部屋を常にきれいにしておく必要がある
生活環境をさらけ出すのが苦ではない方が、住んだまま家を売るのに向いているとお伝えしました。とはいえ、部屋が散らかった状態で内覧者を招き入れてしまうのはおすすめできません。
生活感が前面に押し出されていると、内覧者に良い印象を与えられず、家が売れにくくなる原因となります。いつでも内覧に対応できるよう、常日ごろから家を掃除しておく必要があります。
居住者がいると内覧の申し込みが減る可能性がある
空き家に比べ、居住者がいる家の内覧は敬遠されやすいのもデメリットです。いくら売りに出されていても居住者がいれば「気軽に内覧できないかもしれない」と、内覧希望者が減る可能性があるのです。内覧の申し込みが少ないということは、家の売却につながりにくくなってしまいます。
スムーズに家を売る秘訣とは
住み続けながらもスムーズに家を売るには、押さえておきたいポイントがあります。次の点を意識し、家の売却に臨みましょう。
土日を中心に昼間に内覧用スケジュールを空けておく
内覧に対応できるよう、なるべく土日のスケジュールを空けておいてください。特に、日当たりが確認できる昼間の時間帯を内覧対応できるようにしましょう。
内覧希望が集中しやすい土日の昼間に対応できれば、多くの方に家の魅力をアピールでき、より高額で購入してもらえる方に巡り会える可能性が高まります。
家に関する資料を準備しておく
できれば、家の設備や構造が確認できる資料を準備しておきましょう。資料が手元にあると、内覧者からの質問にすぐ答えられます。新築時のパンフレットが用意できれば、コピーして内覧者に見てもらうのもおすすめです。
もし新築時の資料やパンフレットがなければ、分かる範囲で家の情報をまとめた資料を自作してみてください。周辺の買い物スポットや公共施設情報、日当たりの説明など居住者だからこそ知っている内容を盛り込むと、内覧者に好印象を残せるでしょう。
掃除や臭い対策を念入りに行う
スムーズに家を売るには、掃除や臭い対策が最重要と言っても過言ではありません。汚くて嫌な臭いがする家を買いたいと思う方は、そうそういないでしょう。内覧前にきちんと掃除と臭い対策を済ませておく必要があります。
掃除は、部屋だけでなく浴室・キッチンなどの水回りを入念に行ってください。カビが生えている浴室や水垢だらけの水道を内覧者が見たら、イメージダウンは避けられないでしょう。
臭いにも要注意です。その家独特の生活臭は、住んでいるとあまり気になりません。しかし、初めて家に来る方にとっては気になってしまうケースがあるのです。喫煙者やペットがいるご家庭は特に注意しましょう。
内覧前にはしっかり換気し、気になる部分に消臭スプレーを吹きかけるなど、空気もリフレッシュさせてから内覧者を迎え入れてください。
内覧中は適度な距離を保つ
「家の良いところをアピールしたい」からといって、内覧者との距離を詰めすぎるのは逆効果です。住居者が内覧中に常にそばにいれば、内覧者は家の中をチェックしにくいばかりか、プレッシャーを感じてしまいますので、内覧者とは適度な距離を保つことを心がけて接してください。
また、内覧者はお客様として迎え入れる意識を持ちましょう。内覧者は家の中だけでなく「どんな人物が住んでいるのか」も見ています。住居者の態度が悪ければ、安心して取引できないと思われてしまいかねません。
内覧者を出迎える際はしっかり挨拶をし、丁寧に接しましょう。清潔なスリッパを準備する・空調を入れて過ごしやすい室温にする・すべての部屋の電気を点けておくといった心遣いも必要です。
新居探しを同時進行させる
家を売りに出し始めたら、新居探しも同時進行させましょう。というのも、家が売れたら引き渡しの期日までに明け渡さなくてはなりません。引き渡し期日までに新居が決まっていないと、住むところがなくなります。いったん仮住まいをするにしても、その費用がかさんでしまうでしょう。
滞りなく家を引き渡し、無駄な費用を発生させないためにも、新居探しを進めておくのがベターです。
不動産会社の相談先を増やす
スムーズに家を売るために、1社ではなく複数の不動産会社に相談してみてはいかがでしょう。家が売れるかどうかは、内覧者数がカギを握ります。
「なかなか内覧者が来ない」とお悩みであれば、いくつかの不動産会社に売却を依頼してみてください。依頼先の不動産会社が増えれば、ご自宅の情報の掲載先が増えることになり、内覧希望者の増加が見込めます。
ただし、不動産会社の媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれ細かな違いがあり、確認の上、対応する必要がありますので注意してください。
家を売ってそのまま住むことができるリースバックとは?
住んだまま家を売る方法の1つとして、リースバックを提案します。リースバックとは、家を売却した後もご自身が住み続けられるサービスです。家は売ってしまうので、所有権は買主のファイナンス会社や不動産会社などに移ります。
しかし、買主と賃貸借契約を結んで家賃を支払うことで、自宅にそのまま住める仕組みとなっています。
リースバックを活用すると、お金や住まいの悩みが解消できるかもしれません。その理由は、次で説明します。
リースバックをする理由
リースバックの特徴やメリットを見ていきましょう。ここでは、3点紹介します。
引っ越しをせず、いまの家に住み続けられる
家を売却したとしてもそのまま住み続けられるため、引っ越しの必要がありません。引っ越し費用はもちろん、新居の購入費や賃貸住宅の敷金・礼金といった出費が抑えられます。
また、家を売ったことが周囲に知られにくいので、近隣住民から「どうして家を売ったのか」と詮索されずに済みます。小・中学校に通う子どもがいる場合、学区を変えず同じ学校に通えるのもメリットでしょう。
まとまったお金が手に入る
家を売却すると、まとまったお金が手に入ります。「住宅ローンの返済が厳しいけれど同じ家に住みたい」といった要望も、リースバックで家を売却した資金を住宅ローンの返済に充てれば叶えられます。ほかにも、老後の生活資金にしたり、子どもや孫の学費に充てたりといった使い方が可能です。
ただし、リースバック後は毎月家賃を支払うため、資金計画をしっかりと検討する必要があります。
固定資産税などの支払いが不要になる
家を所有していると、税金や維持費といったコストがかかります。しかし、リースバックで家の所有権を手放せば、次のような費用を支払う必要がありません。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 修繕費
- (マンションの場合)管理費 など
リースバックすると、これらの費用は基本的に買主が支払います。さらに、火災保険を賃貸用に切り替えられるので、コストダウンが見込めます。また、家を売却すると相続財産ではなくなることから、相続問題の解消に役立つでしょう。なお、修繕費は契約内容によって借主の負担になるケースがあります。
リースバックをする際の注意点
リースバックの特徴やメリットを聞くと「良いことばかり」という印象を持つかもしれません。しかし、リースバックを活用するには気をつけたいポイントもあります。リースバックで後悔しないよう、以下の点に注意し、慎重に進めてください。
家の値段が安くなる場合がある
リースバックで家を売ると、通常の不動産売却相場より低価格で取り引きされる場合があります。その理由は、買主が利回りを重視しているためです。リースバックで買い取った家は投資用の不動産となり、家賃収入から収益を得ることになります。
つまり、買い取り価格を低く設定できれば、同じ家賃でも収益がアップし、利回りが高くなるのです。
加えて、再販売にかかるコストを見越して買い取り価格を抑える傾向もあります。リースバックの居住者が退去すると、買主は別の誰かに物件を販売します。物件を再販売するには、家のリフォームや解体を伴う場合があり、費用を捻出しなければなりません。
このような理由から、リースバックでは売却価格が安くなりがちであることを承知しておいてください。
定期借家契約だと住み続けられない可能性がある
「定期借家契約」とは、賃貸期間が決まっている契約です。リースバックには賃貸期間が決まっていない「普通借家契約」もありますが、多くのケースで定期借家契約が結ばれます。
定期借家契約で賃貸期間が2年と設定されていれば、2年ごとに再契約しなければなりません。契約期間終了時に買主から契約打ち切りを申し出される、または買主と合意が得られず再契約できないといった場合、退去を余儀なくされるでしょう。
周辺の相場より家賃が高くなるリスクがある
リースバックの家賃は、周辺の相場より高くなるリスクをはらんでいます。前述のとおり、リースバックの買主は家賃収入で収益を得ます。家を高く買い取ったら、その分家賃を上げて利回りを確保しなければなりません。つまり、家の売却額が高くなれば、家賃も高くなってしまうのです。
リースバックでまとまったお金が手に入っても家賃が高くて払えない事態にならないよう、買主と交渉し、生活に負担がかからない価格設定にしてもらう必要があります。
おすすめはセゾンのリースバック
リースバックは注意点もありますが、魅力的なサービスです。リースバックを検討する際は、ぜひセゾンのリースバックを選択肢の1つに加えてみてください。
セゾンのリースバックは、不動産の調査費や売買契約時の手数料などが無料で利用できます。賃貸借契約更新時の更新手数料もかかりません。初めての相談から、最短2週間で契約が可能となっています。リースバックの相談は無料で受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
おわりに
住んだまま家を売ることは可能であると分かりました。内覧の対応や掃除など、正直面倒に感じてしまうデメリットがあるかもしれません。その分、家の手入れが行き届いた状態で内覧者に魅力を伝えられ、仮住まいの費用も抑えられます。また、第三者に家を売るのではなく、リースバックという形で家を売却してそのまま住み続ける方法もあります。今回紹介した内容を参考に、後悔のない売却活動をしていきましょう。