娘さんが妊娠したら知っておきたいことをお伝えしたいと思います。まずは、あなた自身の妊娠出産について少し思い出してみましょう。娘さんの誕生の時、その時に感じたことは、どんなことでしたか。もしそれが、大変だった妊娠出産、そして産後だったとしても、今思い返してみれば、「生まれてくれてありがとう」そんな風に思えるのではないでしょうか。
今まで、いろんなことを乗り越えてきましたね。子どもに育てられたような感覚もあるかと思います。どんなに一生懸命育てていても一筋縄ではいかないこともあったでしょう。または、自分自身を未熟な親だと思ったり、上手くできなかったと後悔していることもあるかもしれません。それでも、娘さんは娘さんの人生を歩み、そして親になるまで成長しました。なんて素晴らしいことでしょう。いのちの芽吹きを喜ぶとともに、あなた自身を大いにほめたたえてほしいです。自分で「私、すごいわ~!育て切った!」と思ってくださいね。
あなたのいのちがつながっていきます。本当に素晴らしいことです。あなたが親になりたてだった頃、必死だったことを思いだし、娘さんを支えられる存在になってくださいね。
1.妊娠するってどんなこと
1-1.妊娠報告にまずは、おめでとう
娘さんから妊娠報告があったら、まずは、「おめでとう」の気持ちを伝えましょう。心待ちにしていた孫(赤ちゃん)でしょうか。突然の知らせにびっくりしているでしょうか。簡単ではない状況でのお知らせだったかもしれません。もっと早く知りたかったとか、喜びだけの感情ではなかったかもしれません。
いずれにしろ、娘さんに新しいいのちが宿る、それは、ただただ素晴らしいことです。あなたのいのちはつながっていきます。いのちのスタートは、人間がコントロールしきれないところにあります。そのいのちは、あなたの娘さんを選んでやってきました。
また、さりげなく娘さんの義父母にも報告できているかも聞いてみましょう。どうしても実母の方が伝えやすいことが多いでしょうが、両家一緒に喜び合えるよう、配慮しましょう。
1-2.妊娠中の心はとてもデリケート
妊娠中の心と身体には、初めてのさまざまな変化が訪れます。とてもデリケートな時期です。「助けてほしい時、困ったときは、遠慮なく言ってね」とお伝えできれば、娘さんはとても安心します。そのことを伝えたら、あとはそっと見守りましょう。妊娠中の体調が不安定だったり、赤ちゃんの状況もいろいろあるかと思います。多くの助言は必要ありません。できるだけ、娘さんがおおらかな気持ちで過ごせるようにされたら良いかと思います。娘さんから相談や希望があったときは、とことん寄り添って下さいね。
1-3.安心感の持てる出産場所を
2021年の厚生労働省人口動態統計によると、99%以上の方が、病院、産科診療所・クリニックで出産されています。正常な分娩を助産師が介助する助産所が0.5%、自宅出産は、0.1%です。
病院や診療所・クリニックでも、母乳育児を推進しているか、立会い出産できるかなどそれぞれ特徴があります。
出産スタイルは、自然分娩なのか、無痛分娩や帝王切開などの計画分娩なのか。自然分娩についても医療行為をほとんど行わない方針だったり、早めに医療行為を行うなど、また分娩台を使うのか楽な体勢で産むフリースタイル分娩なのかなど、施設の方針もさまざまです。
どの出産場所や出産スタイルを選ぶのか、娘さんが安心感を持てることが一番大切です。医療設備がしっかりあるところが一番安心するのか、きめ細やかな対応をしてくれるところや同じスタッフがかかわるところが安心と思うのか、女医が安心するとか、家から近いことが安心なのか、その方によって違います。出産については、とにかく娘さんが安心感を持てるところを夫婦で考えていくのが一番良いでしょう。心配に感じる選択があるかもしれませんが、夫婦の選択を受け入れましょう。
2.いよいよ出産の日
2-1.予定日過ぎたら
早く赤ちゃんに会いたいですよね。まだかまだかと待ち構えていることでしょう。「まだ生まれないかしら。いつかしら」と娘さん自身が一番思っていることです。いつ生まれるかは、赤ちゃんが決めます。そして、赤ちゃんにとって最善の方法で生まれてくるはずと考えましょう。もし、娘さんから不安な言葉が聞こえたら「赤ちゃんが決めるよ」とだけ伝えてあげたらと思います。実際には、娘さんの努力ではどうにもならないことが多いので、心配し過ぎても、いいことはありません。このころの連絡は、悪気はなくてもプレッシャーに感じるようです。じっと我慢して連絡しないのが賢明です。
2-2.いのちの誕生
一緒に思いっきり喜んで、そしていのちを生み出した娘さんを大いにたたえましょう。もしかしたら娘さんが思った通りの出産ではないこともあるかもしれません。それも赤ちゃんが選んだことです。いのちの誕生が素晴らしいことであることをお母さまから伝えてあげてください。
3.産後に大切なこと
3-1.産後に過ごす場所
産後はどこで過ごすか、これも夫婦の選択に任せましょう。日本では、「里帰り出産」の文化が残っています。妊娠中からご実家に戻り、その地域の産院で出産、しばらく実家で過ごします。また娘家族の自宅に実母が出向いてサポートする方法を希望することもあります。
娘さんにとって心と身体を休めることが大切です。夫と二人で頑張ろうと考える方もいます。新しい家族誕生による変化を夫婦で乗り越えることは、新しい生活のスタートにとても良いと思います。ただそう決めたとしても産後の状況で、急に変更になることもあります。「やっぱり里帰りさせて、やっぱり手伝いに来て」そういわれたときは、よっぽど大変な時です。長い期間ではないと思います。できることはお手伝いしましょう。
3-2.産後の養生の必要性
産後の養生は非常に大切です。退院をしたら、「家事をするのが当たり前」「いつも通りに普通に動くのが当たり前」と考えている方がいらっしゃいます。
娘さんには、産後は少なくても1ヵ月は、しっかり養生するようお伝えください。特に二人目以降の出産だと、意識して休まないとどうしても動き回ってしまうようです。休むことが仕事だと思って、寝たきりになるくらいの気持ちでお布団は敷きっぱなしにして、日中もお布団やベットで過ごすようにさせてください。
産後にしっかり休むことによって、その後の育児に前向きに元気に取り組める力がでてきます。そして産後のママ達に特に大切なのは、睡眠です。「1ヵ月間全然眠れていない」と感じている方もいます。ほんの2~3時間でも続けて眠れれば、眠れたと感じ、心も身体もかなり回復します。ぜひ睡眠がとれるようサポートしてあげて下さい。出産直後のママ達は、ハイテンションで、寝なくても大丈夫なくらいの気持ちで頑張っていますが、1ヵ月を過ぎたころになると疲れが出てきます。そのころまでに乳腺炎、膀胱炎などにかかってしまう方がいらっしゃいます。
妊娠中から出産に向けて、ホルモンの働きで骨盤が緩まりやすくなっています。出産直後は、まだその状況は続いています。産後に立ち歩くと骨盤のゆがみにつながったり、尿漏れなど産後の身体の回復に悪影響を及ぼします。特に現代の方は体力はありません。赤ちゃんを抱っこすることも難しいくらいの体力の方も見受けられます。
赤ちゃんを産む、いのちを生み出すという大仕事後には、全治1ヵ月くらいの気持ちでお声掛けお願いします。
3-3.産後のお手伝いはご飯が嬉しい
最近は、夫も育児休業を取る方も増えてきています。夫婦で乗り切れば良いでしょう。手伝いを求められたときは、家事を中心に娘さんが赤ちゃんのお世話に集中できるようにしてあげてください。またお二人目以降の場合は、上の子のお世話や精神的フォローも大切なお手伝いになります。妊娠中から、上のお子さんと関わるようにしているとスムーズです。初めての育児をする中では、「話し相手がいるかどうか」も大切です。気兼ねなくおしゃべりできる関係性だと良いですね。
こんな風に娘さんと孫と過ごす時間も貴重です。娘さんを産み育てた時の話などをする機会にもなるでしょう。娘さん自身が大切にされたことを実感すれば、また目の前の赤ちゃんに愛情を注げていかれるでしょう。ただ、娘さんの性格や関係性で、一緒にいる時間が長くないほうが良い関係を保てることもあります。そんな時は無理をせず、食事だけ作ったり、持参したり、宅配サービスを手配したりすると喜ばれます。新米ママ達は、特に食事作りが大変なようです。
4.娘さんが大変な時にできること
4-1.育児を大変に感じている娘さんへ伝えること
「おばあちゃんだと泣きやむのに」「おっぱいがうまくあげられない」「私の抱っこが下手なのね」など、子育てを難しく感じたり、自信が持てない新米ママも多いです。
赤ちゃんを可愛いがるのはもちろんですが、頑張っている娘さんの応援団でいてください。「赤ちゃんはママが大好きなのね」「ママばかり見ているね」「ママには甘えて泣いているね」「あなたは、よくやっているよ」そんな娘さんをたたえる言葉をたくさんかけてあげて下さい。
産後は、甘えすぎかというくらいサポートを求めるかもしれない時期です。温かな気持ちで受け入れましょう。産後のママ達自身が、安心できる温かなサポートを充分受けることで、赤ちゃんに愛情を注いでいけるようになるのです。
4-2.周囲のサポートを得る大切さ
とても困っている時は、行政の子育て部門の保健師に相談するようお伝えください。心配な状況であれば、あなたから連絡するのも良いでしょう。何らかの支援を提案してくれるでしょう。地域の助産院へ連絡すれば、すぐにサポートを考えてくれると思います。子育てする中では、ベビーシッターなどの子育てサービスなどの提案もできるでしょう。周囲のサポートを受けられるよう、子育てには「手伝って」「助けて」と言えることが大切だということを娘さんにお伝え下さいね。
おわりに
娘さんがママになる、あなたにお孫さんができる、あなたがおばあちゃんになる。いのちがつながっていくことはとても素晴らしいことです。「教える、アドバイスする」というよりは、「一緒に考える」「一緒に楽しむ」「赤ちゃんを一緒にかわいがる」という体験にできたら良いですね。
自分と娘さんの価値観が全然違うかもしれません。時代も環境も違います。そして何より、赤ちゃんもそれぞれなのです。「そんな風に考えるんだ」「そんな方法もあるのね」「この赤ちゃんはこうするんだ」と、違うこと事態を面白くとらえられると楽しいと思います。