屋根のリフォームを検討しているけど今の屋根に適した方法は何があるのか、そしてどうすれば安く済ませることができるのかわからない方も多いのではないでしょうか。屋根のリフォームには全面を工事する方法が3種類あり、仕上がりやコストなどに特徴があります。
この記事では、その特徴を順番解説していきますので、ご自身の家の屋根を修理する際は参考にしてみてください。
【種類別】屋根の工事・リフォーム費用相場
屋根の工事で全体を補修する方法には「塗装」「カバー工法」「葺き替え(ふきかえ)」の3種類があります。
「塗装」は比較的手軽なリフォーム方法で、屋根材に塗料を塗布します。屋根の下地がそれほど傷んでおらず、塗装が劣化したときに行う工事です。
「カバー工法」は築30年前後の住宅に向いているリフォーム方法で、既存の屋根材を剥がすことなく新しい屋根材で覆う方法です。下地がしっかりしている屋根に向いています。
「葺き替え」は既存の屋根材を撤去して新しい屋根材に替える工事のことで、カバー工法では対応が難しい場合に用いられます。葺き替えは屋根のリフォームの最終手段に位置づけられています。雨漏りや下地が劣化してしまっている場合は葺き替えをする必要があります。
それぞれのメリットとデメリットは下記のとおりです。
施工内容 | メリット | デメリット |
塗装 | ・他の方法に比べコストを抑えることができる ・低コストで美観を保つことができる | ・定期的に塗装しなおす必要がある ・状態の悪い屋根では利用できない ・天候により工期が伸びる |
カバー工法 | ・工事費用が葺き替えに比べ抑えられる ・既存の屋根の撤去が無いため短工期である ・騒音やホコリのトラブルが少ない ・断熱性・遮音性・防水性が向上する | ・屋根が重くなり耐震性が下がる ・下地の劣化は直すことはできない ・施工後に下地の工事は大掛かりになる ・瓦屋根には対応できない |
葺き替え | ・下地の補修もできる ・屋根の種類に関係無く対応できる ・軽い素材に替えることで耐震性が向上する ・屋根の耐久性を根本的に解決できる | ・高額な工事になりやすい ・工期が長くなりやすい ・廃材が出てホコリが舞う |
塗装工事・リフォームの費用相場
塗装工事の費用について解説します。まずは坪数ごとの大まかな費用相場について見ていきますが、この相場はあくまでも目安で、さまざまな条件で変動があります。
坪数 | 目安費用 |
30坪 | 約60~100万円 |
40坪 | 約80~130万円 |
50坪 | 約100~160万円 |
※屋根面積などによって費用は上下します。
塗装工事の費用に大きく関わってくるのが塗料のグレードです。長持ちするグレードほど高くなるので、目的に合った費用対効果を望めるグレードを選びましょう。
塗料 | 耐久年数 | 費用相場 |
アクリル塗料 | 3~8年 | 1,000~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 5~10年 | 1,500~2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 7~15年 | 1,800~3,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 12~20年 | 3,000~5,000円/㎡ |
カバー工法の工事・リフォームの費用相場
次にカバー工法の費用相場について見ていきます。この方法にも複数の要素で費用に変動があります。
下記はガルバリウム鋼板という屋根材を使用した場合の目安です。
坪数 | 目安費用 |
30坪 | 約70~100万円 |
40坪 | 約90~120万円 |
50坪 | 約140~160万円 |
※屋根面積や瓦の数などによって費用は上下します
またカバー工法に用いられる屋根材には以下のようなものがあり特徴が異なります。
塗料 | 耐久年数 | 費用相場 |
ガルバリウム鋼板 | 20~30年 | 5,000~10,000円/㎡ |
アスファルトシングル | 15~30年 | 5,000~8,500円/㎡ |
ガルバリウム鋼板は仕上がりがシンプルですが、錆びにくいという特徴があります。
一方のアスファルトシングルは、洋風なデザインに仕上がり、シート状の素材である、という特徴があります。
葺き替えの工事・リフォームの費用相場
葺き替えは今の屋根材の種類と変更後の屋根材の種類が費用に大きく関わってきます。いずれの種類でも葺き替えには手間も材料も要するので他のリフォーム方法より高額になる可能性が高くなります。
変更内容 | 30坪 | 40坪 | 50坪 |
日本瓦→日本瓦 | 100~180万円 | 132~238万円 | 164~294万円 |
日本瓦→スレート瓦 | 100~160万円 | 132~212万円 | 164~262万円 |
日本瓦→ガルバリウム鋼板 | 81~141万円 | 106~185万円 | 132~230万円 |
スレート瓦→スレート瓦 | 81~120万円 | 106~158万円 | 132~197万円 |
スレート瓦→ガルバリウム鋼板 | 87~147万円 | 115~194万円 | 143~241万円 |
トタン→ガルバリウム鋼板 | 87~147万円 | 115~194万円 | 143~241万円 |
【部分別】屋根の工事・リフォーム費用相場
ここまでは主要な補修方法について見てきましたが、部分的に修理をすることでコストをさらに抑えることも可能です。この方法では劣化した部分をピンポイントで修理するため、工事日数とコストを必要最低限で済ませることができます。
しかし部分的に良くなると修理していない部分に負担が増えて劣化してしまい、結果として何度も補修が必要になるというデメリットがある方法でもあります。十分に検討を重ねて修理方法を選択しましょう。
棟板金の交換
「棟板金(むねばんきん)」とは屋根の一番高い位置に直線状に沿った金属板で、屋根を守るうえで非常に重要な部分です。棟板金が劣化してしまうと雨漏りの原因にもなってしまいます。棟板金は20年を目安に交換を考えます。
板金の工事にかかる目安は下記のとおりです。なお、棟板金の劣化の程度により中の貫板(ぬきいた)という板や釘の打ち直しで別途費用がかかることもあります。
工事内容 | 費用相場 |
棟板金の交換 | 3,500~5,000円/m |
タフモック交換 | 500~800円/m |
足場の設置 | 700~1,000円/㎡ |
釘打ちコーキング | 15,000~30,000円 |
貫板交換 | 6,000~10,000円/m |
瓦の交換
耐久性が高いといわれている瓦屋根も、必要に応じたメンテナンスを行わないと、雨漏りなどで家全体の劣化が進んでしまいます。瓦は築20~60年が葺き替えの目安といわれていますがひび割れや欠けてしまったり、コケがついていたりする場合はメンテナンスのサインです。瓦は部分的に損傷することも多いため、その場合は一部交換で対応してもらいましょう。
瓦の一部交換の費用相場は1枚当たり10,000~50,000円程度です。
瓦の葺きなおし
瓦の葺きなおしとは瓦すべてを交換することです。今の瓦をまた瓦に交換するのか、他の材質の屋根に切り替えるのかで費用が変わってきます。
工事内容 | 費用相場 |
瓦の交換 | 100~266万円 |
瓦からスレート | 70~200万円 |
瓦からガルバリウム | 80~210万円 |
ソーラーパネルの設置
自宅にソーラーパネルの設置を検討している方もいることでしょう。ソーラーパネルはこの10年で価格が劇的に変化し、戸建てのパネル設置容量4.5kWが昔は200万円以上かかっていたものが、現在では半分近くの金額で設置できるようになっています。下記は1kWの設置費用相場の目安です。
工事内容 | 費用相場 |
ソーラーパネル(1kW) | 130,000~150,000円 |
パワーコンディショナ | 50,000円 |
足場および工事費 | 70,000円 |
架台 | 20,000円 |
ケーブルetc | 3,000円 |
雪止めの設置
豪雪地帯ではなく、除雪するほどではない程度に雪が積もる地域では、雪の落下防止に雪止めが役立ちます。雪が落ちることで人に当たってしまったり、隣の家の敷地に落下させてしまったりするなどのトラブルを防ぐための雪止めは、種類ごとに設置費用が違います。
工事内容 | 費用相場 | 特徴 |
雪止め金具 | 70,000~100,000円 | 小型の雪止め金具 |
雪止めアングル | 90,000~120,000円 | 横長で雪止め金具より雪を止められる |
雪止めネット | 120,000円~150,000円 | 網状で多くの雪止めができるが重さに強くはないので、 豪雪では破損の可能がある |
漆喰の詰めなおし
漆喰(しっくい)とは主に瓦屋根に使われている屋根の隙間に用いられる白い建材で、接着や充填を目的とした建材です。この漆喰も劣化により雨漏りの原因になることがあります。一般的に15年程度を目安にメンテナンスを考える必要があります。漆喰の詰めなおしの費用相場は3,000~4,000円/㎡程度です。
雨樋交換
雨樋(あまどい)は降り注いだ雨水を一か所に集めて排水するための設備です。雨樋で雨水が必要以上に家全体にさらされるのを防いでいます。家全体の劣化を防ぐ重要な雨樋にも、破損や異常によってメンテナンスが必要です。
工事内容 | 費用相場 |
雨樋の部分交換 | 10,000~30,000円 |
雨樋の全体交換 | 100,000~600,000円 |
コーキング補修
屋根のコーキングまたはシーリングともいいますが、屋根がズレてしまい損傷することで起きる雨漏りなどのトラブルを処置することを指します。この処置にはさまざまな種類の接着剤があり、特徴と単価が異なります。
工事内容 | 費用相場 | 特徴 |
アクリル | 900~1,200円/㎡ | 安いが耐久性が低い リフォームには不向き |
ウレタン | 1,500~1,800円/㎡ | アクリルよりも耐久性があり、 現在では長持ちを期待しない工事でよく利用される |
シリコン | 2,500~2,800円/㎡ | 艶・色持ちがウレタンに勝る塗料 |
ラジカル制御塗料 | 2,500~4,500円/㎡ | 耐候性が高いとされる塗料 |
フッ素 | 3,500~4,500円/㎡ | さまざまな点でシリコンを凌ぐ耐久性を誇る塗料 |
屋根の工事・リフォームが終わるまでの期間
ここまでで屋根のリフォームと言ってもさまざまな種類の工事や方法があり、その費用の目安についても解説しました。大がかりな工事のカバー工法・葺き替えには1週間程度の工事期間の見通しが必要です。一方で塗装は天候に左右されやすく、2週間近くの時間がかかることも覚えておきましょう。
工事・リフォーム内容 | 目安期間 |
屋根塗装 | 10~12日 |
カバー工法 | 5~7日 |
葺き替え | 5~7日 |
棟板金交換 | 2~4日 |
漆喰工事 | 2~4日 |
雨樋交換 | 1~3日 |
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工事・リフォーム費用を安く抑える方法
屋根の工事やリフォームは、なかには100万円を超えるような高額なものがあります。部分的な修理を行う場合でも数万円に及ぶ工事のため、可能な限り安く済ませたいと思うことでしょう。ここからは屋根の工事を安く抑えるためのポイントについて解説します。
相見積もりは忘れずに
リフォーム事業者によって面積の測り方や料金設定など大きく異なっているため、複数の事業者に見積もり依頼をして相場を把握することが大切です。実際に3社に相見積もりをしたら150,000円の差が発生したという事例もあります。複数の事業者に見積もりをしてもらうのは費用を抑えるうえで最も重要なポイントです。この場合は一括見積もりサービスの活用が便利です。一括見積もりサービスは一定の審査基準を通った事業者であり、その中からコストを含め一番良いと思う事業者を選べるという点が最大のメリットとなります。
工事やリフォームをまとめて行う
ほとんどの屋根工事では足場が必要になります。その際は足場を使う外壁塗装も併せて行うことで、結果的に長期で見た場合に安くなり、200,000円前後の削減が期待できます。屋根のリフォームを済ませたばかりで外壁の塗装を依頼するといった二度手間が発生しないように心がけましょう
出来る部分は自分でDIY
屋根の補修は高額なため、DIYで負担を減らしたいと思う方も多いでしょう。しかし、DIYには失敗のリスクも伴います。例えばDIYのために材料や工具を取りそろえたのにうまく修理ができず、結局事業者に依頼するということになれば材料代が無駄になってしまいます。
また失敗した箇所の補修作業に追加料金が発生してしまうこともあります。DIYを行う場合は自己責任となることを理解したうえで対応しましょう。可能な限りDIYで直したいと思う方は、下記のような比較的容易な部分をおすすめします。
雨樋の部分補修
雨樋の部分的な劣化や小さなヒビ割れが発生している場合、汚れをしっかりと落としたうえで市販されている雨樋用テープを巻きつけて処置します。
コーキング補修
コーキングが劣化していた場合コーキングガンを使用し、継ぎ足す方法が可能です。
補助金や助成金を活用できないか確認
国や自治体ではさまざまな補助金や助成金制度を用意していますが、屋根のリフォームにも適用できる制度があります。国が補助する制度は基本的に省エネや耐震によるもので、私的な目的では活用はできません。
しかし自治体の制度のなかには私的なリフォームでも一定の金額を援助するものもあるため、必ず確認しておきましょう。
火災保険を活用できないか確認
自然災害による被害で屋根が損傷した場合には火災保険の適用となります。
適用条件は「自然災害による被害か」「自然災害による被害が3年以内か」の2点がポイントとなっており、経年劣化や美観目的の利用はできません。火災保険を受け取る手順は下記のとおりです。
- 被災がわかったら保険会社に連絡
- 屋根工事事業者に連絡と見積もり依頼
- 「保険金申請書」と「事故状況説明書」を記入
- 必要書類を保険会社へ送付
- 保険申請の承認後に工事の打合せ
「予算がオーバーしそう…」と感じたときは
屋根のリフォームは高額になることもありますが、突然対応に迫られることも珍しくありません。すぐに予算の目途が立たないからといって放置すると、雨漏りなどでは劣化の進行が早まってしまいます。そんなときには「リフォームローン」を活用しましょう。
すぐにまとまったお金を用意できなくても長期間で少しずつの支払いが可能になります。ギリギリの予算で安さ重視の工事をするよりも、ローンで信頼できる事業者からしっかりと工事をしてもらう方が長期的に家とコスト両方で満足の行く結果が期待できます。今回は手軽に素早くローンが組める「セゾンのリフォームローン」のご利用をおすすめします。
悪質な業者には注意が必要
残念ながら、リフォームに関連した悪質な事業者も存在しています。
屋根の代表的な手口では、台風後に訪問してきた事業者が「台風で屋根が損傷している」などと写真つきで修理をすすめてきます。実際には修理不要ですが、台風で火災保険適用だから実費ゼロという話で承諾してしまいがちです。
悪質な事業者に遭遇しないためにも下記には注意しましょう。
- 訪問営業に警戒する ※正規の事業者も訪問営業を行うことはあります
- 「このままでは家がダメになってしまいますよ」などと不安を煽るようなことを言う
- すぐに契約をさせようとする
- 「無料で点検しますよ」などと親切さをアピールし契約まで結びつける
- 見積もりの詳細が無く曖昧
屋根の工事・リフォーム業者を選ぶ時のポイント
悪質な事業者を避けた上で、可能な限り信頼できる工事事業者に対応してもらいたいと誰もが思うものだと思います。このような事業者の見つけ方のポイントは下記のとおりです。
- 地元の雑誌や建築系の雑誌に取り上げられている事業者
- WEBサイトで専門的な画像や職人の顔が載っている事業者
- すでに付き合いがある事業者・知人からおすすめの事業者
- 保証が明記されているか
- 料金の内訳が記載されているか
- 見積もりは一式などではなく、詳細に記載されているか
- 建設業許可を持っているか
おわりに
ここまで屋根のリフォームに関するさまざまな情報を解説してきました。まず屋根の現状に合った工事方法はどれが良いのかを把握しましょう。そのうえで複数の事業者の中から見積もりをしてもらうことでコストパフォーマンスの良いリフォームを実現することができます。工事の先送りは家全体の劣化に関わるため予算の確保が難しい場合ローンで対応することも視野にいれることが大切です。