実家が空き家になったら「賃貸に出す」「売却する」など、ご家族の考えや実家の状態に合わせて対応することが大切です。親が施設に入所するなどの理由で空き家になった場合、今後どうしていけばいいか知りたいのではないでしょうか。
そこでこの記事では、実家が空き家になったときの対処法を解説します。空き家を放置するリスクや相続したらやるべきこともわかり、状況に合った適切な活用法を見つけられるでしょう。
親の施設への入所や死亡がきっかけで実家が空き家になり放置しておくと、「老朽化が進み資産価値が下がる」「近隣住民とのトラブルにつながる」「維持管理費がかかる」といったさまざまなリスクが生じます。空き家に住まない場合の対処法には、「賃貸に出す」「売却する」「土地のみを活用する」などがあるため、メリットやデメリットも考えて選択することが大切です。また空き家を相続した際には、相続登記や水道・電気・ガスの解約などを忘れずに行いましょう。
実家が空き家になるケース
実家が空き家になるのは「親の介護施設への入所」や「親の死亡」などがきっかけとなることが多いです。
ひとり暮らしの親が認知症や脳卒中などで倒れて日常生活を送れなくなると、実家を空けることになります。子どもは「いつか親が帰ってくるかもしれない」「認知症になって勝手に実家を処分できない」などの理由で、空き家のまま放置してしまいます。
子どもは親の死亡時点ですでにマイホームを持っているケースが多く、「空き家になったら実家に住む」といった選択肢がないのが一般的です。孫が学校に通っていれば、できるだけ転校は避けたいでしょう。
将来実家が空き家になる可能性がある場合には、「誰が相続・管理するか」「どのように活用するか」などを話し合い、早い段階で問題を解決しておくことが大切です。
空き家をそのまま放置する方が多い理由
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「更地よりも固定資産税が軽減されること」や「処分費用がかかること」など、金銭面を理由に空き家を放置する方が多くいます。また「ご家族の思い出が詰まっている」と処分できない方もいるでしょう。次に、空き家をそのまま放置する方が多い理由について具体的に解説します。
更地より建屋があると固定資産税が軽減される
固定資産税には「住宅用地特例」があります。住宅用地特例とは、200平方メートル以下の住宅用地であれば6分の1、200平方メートルを超える部分には3分の1に固定資産税を軽減できる仕組みです。
この特例の影響で、更地よりも空き家にしておくほうが固定資産税を軽減できるため、空き家を放置してしまう問題が生じます。
一方で2015年より「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行されました。倒壊の危険性が高い空き家などは「特定空家等」とされ、固定資産税の軽減措置は適用されません。
空き家を処分するために費用がかかる
空き家を処分するためには多額のお金が必要です。亡くなった親が処分費用を用意していなければ子どもが支払わなければならないため、処分するのに躊躇してしまいます。
立地や状態の良い物件であれば高く売却でき、処分費用を賄える可能性もあります。ただし専門家に相談する手間を考えると後回しにしてしまうのが現状です。
思い出のあるものをそのままにできる
親が写真やおもちゃなどを残してくれていると、「実家をなくすのはもったいない」と考える方も多いようです。
田舎から都会に出ている子どもにとっては、特に帰る場所がなくなることは辛いことでしょう。洋服やアルバムなど、捨てられないものを置いておく場所として実家を使いたい方もいると思います。仏壇があると、「本当に実家をなくしていいのか」という気持ちがより一層強くなります。
空き家を放置しておくことのリスク
実家が空き家になり放置しておくと、資産価値が下がったり、老朽化で倒壊したりする恐れがあります。ご家族のみならず近隣住民に迷惑がかかることもあるため、本当にそのままにしておくか充分に検討することが大切です。ここでは、空き家を放置しておく問題点について解説します。
家の老朽化が早まり資産価値が下がる
空き家となった実家を放置しておくと、老朽化が早まり、資産価値が下がるでしょう。水道を使ったり庭の手入れをしたりしないと、普通に住むよりも老朽化が進みます。特に木造のほうが老朽化のスピードが顕著です。
売却する際に買い手が見つからず、多額の取り壊し費用がかかる可能性もあります。後からリフォームをしようとすると、予想よりも修繕費用がかかるケースもあるでしょう。
実家を有効活用するためには、できるだけ早く対策を講じることが大切です。
近隣住民に迷惑をかけトラブルにつながる
空き家となった実家にゴミを不法投棄され、近隣住民とトラブルになる可能性もあります。ネズミやハエが発生し、衛生面で注意される場合もあるでしょう。最悪の場合、行政指導をされてしまいます。
親が仲良くしていた近隣住民とのトラブルを防ぐためにも、空き家となる実家の管理は厳重に行いましょう。
維持管理費がかかる
誰も住んでいない家にも固定資産税や都市計画税はかかります。火災保険や地震保険の保険料、水道や電気の基本料金などもかかるため、余計な出費は避けられません。地震や台風などで住宅が壊れた場合には、修繕費用がかかります。
空き家の維持管理者や費用負担者については、親族間でもめる原因となります。肉体的・精神的な負担を軽減するためにも、速やかに空き家の対処法を検討しましょう。
老朽化によって倒壊する可能性がある
老朽化が進めば、屋根や外壁が壊れやすくなります。万が一他人にケガを負わせた場合には、損害賠償を請求される可能性もあります。思わぬ形で他人に危害を与えないように、細心の注意を払うことが重要です。
倒壊の可能性は地震や台風のみならず、シロアリによる侵食が原因となるケースもあります。定期的に実家の状態を見に行くなど、徹底した管理を心がけましょう。
犯罪の温床になりかねない
空き家は犯罪や事件の温床になってしまいます。空き巣や放火がされれば、近隣住民に不安を与え、大きなトラブルになることもあるでしょう。
また特殊詐欺グループが空き家を利用するケースもあります。地域のイメージを悪化させてしまう可能性もあるため、空き家をそのままにするのであれば、管理体制を徹底することが重要です。
空き家に住まない場合の対処法とは
実家の空き家に住まない場合には、「賃貸に出す」「売却する」といった活用方法があります。それぞれにメリットやデメリットがあるため、充分に比較することが大切です。ここでは、空き家に住まない場合の対処法について解説します。
賃貸に出す
空き家を壊したくない方や定期的な収入を得たい方は、賃貸に出すことを検討しましょう。賃貸に出すことで家賃収入を得られる可能性があります。遠方に実家がある場合には、管理会社に委託することで、入居や退去などの手続きを代行してくれます。
ただし借主を見つけるためには、ニーズに合わせたリフォームが必要です。また固定資産税や火災保険料、修繕費用などが発生します。収入と支出のバランスが取れるのであれば、賃貸を視野に入れてもいいでしょう。
専門的なことに関しては不動産会社に相談すると安心です。
売却する
入居施設の費用がすぐに必要だったり、相続税の支払いがあったりする場合には、売却を検討しましょう。立地や状態が良ければ、希望の価格で売却できる可能性もあります。需要があるか不安な方は不動産会社に相談し、査定してもらうのもおすすめです。
家を売却する際には、仲介手数料や印紙税などが必要です。また空き家の相続登記をしなければ売却できません。状況によってはすぐに買主が見つからない可能性もあるため、時間がかかる前提で行動しましょう。
家を解体して土地だけを活用する
建物の維持管理にお金をかけたくないときには、建物を解体し、土地を別の形で活用するのがおすすめです。駐車場やトランクルームとして貸し出せば、定期的な管理の負担が少なくなります。収入を得て、介護費用などに使いたい方にもぴったりです。
信託会社や信託銀行に土地の所有権を移し運用してもらい、収益の一部を得る「土地信託」もあります。
なお家を解体する際には解体費用が発生し、大きな負担になる可能性もあります。自治体の補助金制度があるか、役所に問い合わせてみましょう。
管理会社へ空き家の維持管理を委託する
空き家を残し、不用品や思い出の品を保管しておきたい方には、管理会社への委託を検討してみましょう。郵便ポストや家の見回り、掃除などを依頼でき、きれいな状態を保てておけます。将来住む可能性がある場合にもおすすめです。
ただし委託には費用がかかります。月額料金やサービス内容を何社か比較し、他のご家族とも話し合った上で検討してみましょう。
空き家バンクを活用する
空き家バンクとは自治体が運営する、空き家の売主や買主などをマッチングする制度です。空き家の有効活用を目的に空き家バンクが生まれました。
空き家バンクを利用することで、空き家を探している方にピンポイントに情報を共有できます。安く提供できれば、すぐに買い手や借り手が見つかるでしょう。
ただし契約や交渉はご自身で行う必要があり、専門的な知識を求められるケースもあります。自治体によって空き家バンクの取り組みは異なるため、あらかじめ情報収集をしておきましょう。
サブリースを活用する
サブリースとは不動産会社が不動産を借り上げて、第三者に貸し出す仕組みです。空き家を貸し出す際には管理や宣伝、入居者・退去者の対応など、やるべきことが多く、所有者の負担となってしまいます。
サブリースを利用することで、不動産会社独自のノウハウを活かし、適切に運用してくれるため、安心して空き家を活用できます。また賃料も支払われるため、安定した収入を得たい方にぴったりです。
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空き家を相続したらやること
相続には期限がある手続きもあるため、早い段階からやるべきことを整理しておくことが大切です。ここでは空き家を相続したらやることについて解説します。
必ず相続登記を行う
空き家を相続したら相続登記を行いましょう。相続登記は2024年4月1日から義務化されます。それ以前であっても相続登記をしないと空き家を売却できなかったり、相続関係が複雑になったりするトラブルが発生します。手続きが心配な方は専門家に依頼するとスムーズに進められるでしょう。
不法に侵入されないように対策を講じる
不法侵入を防ぐために、空き家の雨戸を閉じるなど対策を講じましょう。空き家をそのままにしておくと、不審者が目をつけて侵入してしまう恐れがあります。家財が壊されると修繕費用が発生し、売却時に不利になるケースもあります。空き家の状態に合わせて対策を考えましょう。
水道・電気・ガスを解約する
水道や電気、ガスを使わない場合には忘れずに解約しましょう。契約したままにすると基本料金が発生し、余計な出費となります。不審者が住みつくことを防ぐのにも効果的です。
不用品はなるべく早く処分する
洋服や家電、日用品など不要なものがあれば早めに処分しましょう。虫が発生すると、空き家の環境が悪くなり老朽化が進みやすくなります。
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おわりに
実家が空き家になった場合には、「賃貸に出す」「売却する」「土地のみを活用する」「サブリースを利用する」といった対処法があります。空き家を放置しておくと、老朽化が進み資産価値が下がったり、近隣住民とトラブルになったりするリスクがあります。空き家を相続したら相続登記や不用品の処分などをできるだけ早く行いましょう。
空き家の活用方法について知りたい方は不動産に精通した専門家に相談しましょう。
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