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お悔やみの言葉のマナーとは?正しい使い方を例文を用いて解説

お悔やみの言葉のマナーとは?正しい使い方を例文を用いて解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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葬式の場では、「お悔やみの言葉」をご家族に対してかける場面が多いと思われます。ここではこの「お悔やみの言葉」に焦点を当て、以下について解説していきます。

  • お悔やみの言葉とは
  • 宗教ごとで異なるお悔やみの言葉
  • お悔やみの言葉のルール
  • お悔やみの言葉の例文
  • お悔やみの言葉でよくある質問とその答え

この記事を読んでわかること

葬式の場で伝えることになる「お悔やみの言葉」は、忌み言葉や重ね言葉を使ってはいけないというルールがあります。また、お悔やみの言葉の代表例である「ご冥福をお祈りします」も仏教に限られた言い回しであるなど、「宗教ごとの言葉の違い」があります。ここではこれらのルールを紹介するとともに、6パターンの「お悔やみの言葉」の例文を紹介していきます。また、「いつお悔やみの言葉を伝えるべきか」「お悔やみの言葉はメールで伝えてもいいのか」などについても回答していきます。

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お悔やみとは?

1.お悔やみとは?

「お悔やみ」は、「お悔やみの言葉」ともいわれるものです。これは、ご家族を亡くした方に対して、故人とご家族、またそのご家族の手助けをする方を悼んで告げる言葉の総称をいいます。

お悔やみの言葉の具体例として、「ご愁傷様です」「お悔やみ申しあげます」「ご冥福をお祈りします」などがあります。ただ、下記でも詳しく紹介しますが、この「一般的なお悔やみの言葉」もまた、故人とそのご家族が信仰する宗教によって使い分ける必要があります(※どの宗教であってもNGとされる言葉もあります。これについても後述します)。

大切な方を亡くしたときの心は、非常にデリケートで繊細なものですから、マナーを守って適切なお悔やみの言葉を届けましょう。

宗教別のお悔やみの言葉

2.宗教別のお悔やみの言葉

宗教によって、伝えるべきお悔やみの言葉は異なります。この「宗教によるお悔やみの言葉の違い」は、それぞれの宗教における死生観の違いから来ています。

キリスト教式のお悔やみの言葉

キリスト教において、死は「神の御許へ召される」「神の御許で永遠の安息を得る」ものであり、否定的な意味を持ちません。また、「冥途」という考えもありません。

このことから、キリスト教の葬式のときにかけるべきお悔やみの言葉は、「天に召された故人の平安をお祈りいたします」「どうか安らかに眠られますよう」などが適しています。

なお、キリスト教の死生観から「天寿を全うされたことを喜び申しあげます」「主の御許で永遠の安らぎを得られましたことを喜びます」のような言い方を選んでも良いとされることもあります。ただこのあたりの言葉はやはり少し扱いが難しい言葉ではありますので、避けた方が無難でしょう。

仏式のお悔やみの言葉

冒頭で紹介した、お悔やみの言葉の代表例である「ご冥福をお祈り申しあげます」の「ご冥福」は、仏教の用語です。このため、この表現が使えるのは仏教のみです。

また仏教の宗派は数多くあります。そのなかでも浄土真宗は、「死後、すぐに浄土で仏になる」とされており冥途を旅するという考えがないことから、厳密には「ご冥福をお祈り申しあげます」という言い回しを取ることは避けるべきであるとされています。

相手の宗派まではわからない…という場合は、「お悔やみ申しあげます」「哀悼の意を表します」「ご愁傷様です」などが適しているでしょう。

神式のお悔やみの言葉

神道と仏教はかつては同じものとして存在していましたが、現在は分けて考えられています。そのため、神式では仏教の言葉である「冥福」「成仏」「供養」などは使えません。

神道では、亡くなった方は神様となり家を守ると考えられています。そのため、「御霊のご平安をお祈りいたします」、「心より拝礼させていただきます」などの表現が適しています。

お悔やみの言葉を使うときのマナー

3.お悔やみの言葉を使うときのマナー

上記で述べたように、お悔やみの言葉には「宗教ごとのルール」があります。ただ、どの宗教にも共通したマナーもあります。

それが、以下になります。

  • 忌み言葉は避ける
  • 死因は聞かない
  • 励ましの表現は慎重に

ひとつずつ見ていきましょう。

忌み言葉は避ける

忌み言葉とは、不幸や不吉なことを連想させる言葉のことです。

たとえば、以下が挙げられます。

  • 「浮かばれない」などのような表現
  • 「終わる」「薄い」などのように、不幸を連想させる言葉
  • 「4」や「9」のように、「死」「苦」などにつながる言葉
  • 「重ね重ね」「いろいろ」などのように、不幸が重なることを連想させる言葉
  • 「生きている」「死亡」などのように、生死を直接イメージさせる言葉

このような言葉は、意図しなければ使うことはないだろう…と思うことでしょう。しかし、意外と意識せずに使ってしまう言葉だと認識しておきましょう。例えば、「〇〇さまがお元気で生きていらっしゃるときには、重ね重ねお世話になりました。また学生時代、私の課題が終わるまで、ずっと付き合ってくださって…本当に優しい方でした」などのような言い回しのなかにも、3つの「避けるべき言葉」が入っています。

死因は聞かない

故人が亡くなったとき、その死因が気になる…という方も多いことでしょう。特にまだ年若い方が亡くなった場合はなおさらです。

しかし死因を聞くことは重大なマナー違反だと考えてください。これは、悲しみの渦中にあるご家族をさらに悲しませることになります。

ただしご家族の方から、「故人と、残された家族の苦しみをだれかに聞いてもらいたい」と切り出されたのであれば、できるかぎりお付き合いしましょう。

励ましの表現は慎重に

「元気を出して」「早く笑顔になって」などの励ましの言葉は、善意から出てくるものではありますが、葬式の場では避けた方が無難です。人が大切なだれかの死を受け入れる前段階として、まずは「きちんと嘆き悲しむ時間」が必要になるからです。その段階を踏むよりも前、葬式の場でこれを言われてしまうと、ご家族の心が行き場を失ってしまう可能性もあります。

直接的な励ましの言葉よりも、「いつでも辛いときには声をかけてね」「いつでも電話してね」などのように「寄り添う言葉」を選ぶ方が良いでしょう。

お悔やみの言葉の例文

3.お悔やみの言葉を使うときのマナー

お悔やみの言葉は、かける方の心から出るものです。そのため、自分自身で考え、自分の口で発する必要があるものだといえます。

ただ、失礼のないようにと事前にお悔やみの言葉の例文を学ぶこともまた、ご家族と故人への気遣いとなるでしょう。

広く使えるお悔やみの言葉

上記では宗教ごとによるお悔やみの言葉のルールについて紹介してきました。ただ、とっさに使い分けることはなかなか難しいものです。

このような場合は、「〇〇様の安らかな眠りをお祈りしております」「〇〇様のお旅立ちが、どうか良きものでありますように」「(ご家族に向けて)私で力になれることがありましたら、いつでもお声かけください」などのようなお悔やみの言葉をかけると良いでしょう。

受付でのお悔やみの言葉

葬儀の受付をしている方は、「ご家族」「ご親族」である可能性は極めて低いといえます。受付を務める方は、ご家族の職場の同僚や町内会の人などが中心です。また、受付にはほかの人も来るため、長く会話をする時間はありません。このようなことも踏まえて、お悔やみの言葉は短くまとめるべきです。

仏教ならば「このたびはご愁傷様です。こちら、お香典です」などのように差し出すのが無難です。迷ったのならば、「このたびは……」と言葉を切って頭を下げて、その後に不祝儀をお渡しするかたちをとれば良いでしょう。

配偶者を亡くした方へのお悔やみの言葉

大切な配偶者を亡くした方には、まずはその配偶者と過ごした時間のことを思いやり、そのうえで傷ついた心に寄り添う言葉を選ぶことが重要です。

「長くお連れ添いになった奥様のご逝去、誠にご愁傷様でございます。在りし日の奥様の笑顔を思い出しますと、おかけする言葉もございません。残されたご家族様、どうぞお身体に労わってお過ごしくださいませ」などのような優しい言い回しを選ぶと良いでしょう。

子どもを亡くした方へのお悔やみの言葉

未来あるお子さんを失くしたご両親の苦しみは、あらゆる苦痛のなかでもっとも強いものです。その悲しみや苦しみは、ご本人にしかわからないものです。そのため、「痛みがわかる」などの表現は、善意からであっても取らないようにしましょう。

「あまりにも突然のご不幸、本当におかけする言葉も見つかりません。(ご両親の)お悲しみを思うと、胸が張り裂けそうです。〇〇さま(場合によっては『ちゃん』『君』)がどうか安らかに眠れますようにと、心からお祈りしております」

上記のように、「『悲しみがわかる』とはいえないが、悲しみに寄り添い、お子さんの安らかな旅路を祈る」といった趣旨でまとめるようにしましょう。

両親を亡くした方へのお悔やみの言葉

ご両親が非常にご高齢(100歳近い場合など)のときは、残されたご家族も「大往生だった」と表現されることもあります。ただこの場合でも、参列者の立場では「大往生だった」「天寿を全うした」などの表現は避けた方が賢明です。

「ご尊父様の旅立ち、心から哀悼の意を表します。ご尊父様の御霊が、どうかご平安でありますように。私でお力添えできることがありましたら、なんなりとお声かけくださいませ」

などのようにまとめると無難です。

不慮の事故で亡くなられた方の遺族へのお悔やみの言葉

不慮の事故による落命は、あまりにも急なものであり、ご家族も全く心の準備ができていない状態で訪れます。ショックがあまりにも強く、ご家族も茫然自失とされているケースも珍しくありません。

このような場合、長くお話しすることは逆に負担になってしまうので、以下のように簡潔にまとめると良いでしょう。

「突然の出来事で、なんと申しあげて良いものかわかりません。ただ今は、〇〇様の旅路が安らかであることをお祈りします」

病気で亡くなられた方の遺族へのお悔やみの言葉

病気で亡くなった場合は、故人のことを労わりつつ、ご家族の体調にも気を配るお悔やみの言葉をかけると良いでしょう。

「つい先日、ご入院されていた病院にお見舞いに伺いました。そのときに朗らかに笑っていらした〇〇様のことが、今も心に浮かんでまいります。ご家族さまも、ご看病疲れが出ませんように…お身体とお心を労わってお過ごしください」などのようにお伝えすると良いでしょう。

お悔やみの言葉でよくある質問

5.お悔やみの言葉でよくある質問

最後に「お悔やみの言葉でよくある質問」をまとめ、それに回答していきます。

お悔やみの言葉を伝えるタイミングは?

通夜や、葬儀・告別式に参列した際に伝えるのが基本です。受付では受付係の方に簡単にお悔やみの言葉を伝えて、不祝儀をお渡しします。ご家族に対するお悔やみの言葉は、ご家族がホールに出ているときに行います。なお比較的小規模な葬式であったり、故人やご家族と親しかったりする場合は、家族・親族控え室に挨拶に行くこともあります。

通夜や、葬儀・告別式に参列できなかった場合は、後日手紙などで伝えましょう。また、電報を打っても構いません。

お悔やみの言葉をメールで伝える場合は?

前提として、葬儀に参列したり、参列できない場合には電報や手紙を出したりするのがマナーであることは押さえておいてください。ただ、親しい関係であるのなら、メールやSNSで伝えても構いません。

メールやSNSで伝える場合は、ご家族と「友人関係」であることが多いと思われます。その場合は、格式ばった言葉ではなく、ご自身の言葉で伝えた方が良いでしょう。例えば、「いつでも話を聞くからね」「何かあったら夜中でも電話をかけてね」などのように、「遺族」となった友人を気遣う表現を取ると相手の心に寄り添えます。

なお仕事先から「父が亡くなったので仕事の対応ができない」などの連絡がメールで入った場合は、「ご尊父様のご逝去、心より哀悼の意を表します。〇〇の件につきましては、どうぞお気遣いなく」などのように、「仕事の対応ができないという報告」に対してのメッセージを入れておくと良いでしょう。

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「お悔やみの言葉」は、主に参列者からご家族ご親族に対してかけられるものです。そこにはルールとマナーがありますが、どのようなお悔やみの言葉であっても、故人やご家族を労わって発せられるものであるという点には変わりがありません。そしてこのような「お悔やみの言葉」をいただくことも、葬式を行うことも、人が亡くなったことを受け入れる過程において非常に重要です。

セゾンの相続 お葬式サポート」では、葬儀のプランニングという観点から、その「受け入れること」のお手伝いをしていきます。経験豊富な提携専門家のご紹介も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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おわりに

お悔やみの言葉にはルールとマナーがあります。ただ、心から発されたお悔やみの言葉であるのなら、多少ルールやマナーを逸脱していたとしても、それを咎める人はいないでしょう。葬式の場は、「ルールやマナーの正しさ」を競う席ではないからです。

ただそれでも、「デリケートな状態のご家族の心をわずかでも傷つけたくないから、お悔やみの言葉のルールやマナーを事前に知っておこう」とする取り組みもまた、ご家族の心に寄り添う行動だといえます。

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