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葬儀後の手続きは?必要な手続きの内容と期限を解説

葬儀後の手続きは?必要な手続きの内容と期限を解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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家族が亡くなったときには、すぐに葬儀の手配をしなければなりません。さらに、葬儀後にもたくさんの手続きが発生します。何からどのように進めていったら良いかがわからず、困ってしまうことも多いのではないでしょうか?本記事では、葬儀後の手続きについて、優先的に行うものから順番に説明します。どのような手続きがあるのかを知り、落ち着いて進められるように心構えをしておきましょう。

この記事を読んでわかること

家族が亡くなったら、速やかに葬儀を行わなければなりません。葬儀前には、死亡届を出して火葬の許可を得る必要があります。葬儀後には年金の受給停止や健康保険の資格喪失などの手続きが必要です。相続関係の手続きやサービスの解約、生命保険金の請求なども忘れないようにしなければなりません。葬儀後はやらなければならない手続きがたくさんあります。手続きを忘れたり、必要書類を紛失したりしないよう、チェックリストを作って進めていくのがおすすめです。葬儀後の手続きをスムーズに進めるために、専門家の力を借りることも考えてみましょう。

相続手続きサポート
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葬儀後の手続きについて

1.葬儀後の手続きについて

親などの家族が亡くなったときにはショックが大きく、いつかはその日が来るとわかっていても、やはり寂しく落ち着かないのが普通です。しかし、そのようなときにも、やらなければならないことはたくさん発生します。

家族が亡くなったら、まずは通夜や葬儀の手配をしなければなりません。葬儀社と打ち合わせをしたり、親族・知人に連絡したり、非常に慌ただしくなります。

そして、葬儀が終わった後にも、まだまだやることはあります。死亡後の手続きには、期限が定められているものもあり、忙しい中でこなしていくには、優先すべきことから順番に進めていかなければなりません。

葬儀後に必要になる手続きにはどのようなものがあるのかを把握し、優先順位を考えておきましょう。

死亡後7日以内に行う手続き

まずは、死亡後すぐに行わなければならない手続きを確認しておきましょう。葬儀の前には、死亡届の提出と埋火葬許可証の交付申請をしなければなりません。それぞれの手続きの詳細について説明します。

死亡届

人が亡くなったら、死亡の事実を知った日から7日以内に、親族や同居者などが「死亡届」を提出しなければならないことになっています。死亡届の提出先は、死亡地、亡くなった方の本籍地、届出人の住所地のいずれでもかまいません。

死亡届の用紙はA3サイズで、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書となっています。死亡診断書は死亡を医学的・法律的に証明する書類で、医師が作成するものです。医師に死亡診断書を書いてもらってから死亡届を提出します。

埋火葬許可証の交付申請

遺体の火葬・埋葬を行うには、火葬許可及び埋葬許可を受けなければなりません。死亡届と同時に「埋火葬許可申請書」を役所に提出する必要があります。

役所に埋火葬許可申請をして、役所から交付された火葬許可証を火葬場に提出するのです。火葬が完了したら、火葬場の印鑑を押した火葬許可証が返却され、これが埋葬許可証となります。埋葬許可証は納骨の際に寺院や墓地に提出します。

なお、死亡届及び埋火葬許可申請書の提出は、葬儀社が代行するケースが一般的です。

死亡後10日以内に行う手続き

亡くなった方が年金をもらっていた場合には、年金を停止する手続きが必要になります。死亡日から10日以内に、以下のような手続きを行います。

年金受給権者死亡届

年金受給者が死亡した場合、役所に死亡届を提出しただけでは年金は停止になりません。「年金受給権者死亡届」を年金事務所に提出する必要があります。死亡後もそのまま年金を受け取っていれば不正受給になってしまうため、忘れないように手続きしましょう。

年金受給権者死亡届の提出期限は、国民年金については死亡後14日以内、厚生年金については10日以内です。ただし、日本年金機構でマイナンバーと基礎年金番号の紐づけがされている方については、年金受給権者死亡届を省略できる扱いになっています。

なお、年金は2ヵ月分ごと後払いで支払われるため、年金受給者の死亡時点でまだ受け取っていない年金(未受給年金)があるのが通常です。未受給年金は遺族が手続きすることにより受け取れます。未受給年金の時効は5年なので、早めに手続きしましょう。

加給年金額対象者不該当届

厚生年金には加給年金の制度があります。加給年金とは家族手当のようなもので、年金受給者に要件をみたす配偶者や子どもがいる場合に加算される金額です。

加給年金の対象者となっている配偶者や子どもが死亡した場合には、死亡日から10日以内に「加算額・加給年金額対象者不該当届」を年金事務所に提出する必要があります。

参考:加算額・加給年金額対象者不該当届

死亡後14日以内に行う手続き

4.死亡後14日以内に行う手続き

亡くなった方の健康保険や介護保険の手続きも発生します。以下のような手続きは、死亡後14日以内に行う必要があります。

世帯主変更届

亡くなった方が世帯主であった場合、死亡によって世帯主が変わることになります。この場合、死亡日から14日以内に、住所地の役所で世帯主変更届を出す必要があります。世帯主変更届は、死亡届と同時に提出しておくとスムーズです。

死亡により世帯に残ったのがひとりだけの場合には、世帯主変更届は出さなくてもかまいません。例えば、亡くなったのが夫で残された世帯員が妻だけの場合、世帯主変更届の提出は不要です。

介護保険資格喪失届

介護保険の被保険者が亡くなった場合、介護保険資格喪失の手続きが必要です。手続きが必要な方は、次のいずれかに該当する方です。

  • 65歳以上の方
  • 40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた方

上記に該当する方は、死亡日から14日以内に、住所地の役所で介護保険資格喪失届を提出します。40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていない方は、手続き不要です。

国民健康保険喪失届

公的医療保険(健康保険)の資格喪失手続きも必要です。亡くなった方が加入していた健康保険の種類によって、資格喪失届の提出先が異なります。

国民健康保険の場合

死亡日から14日以内に住所地の役所に「国民健康保険資格喪失届」を提出し、保険証を返却します。亡くなった方が世帯主で同世帯の家族も国民健康保険加入の場合、健康保険証の番号と世帯主を変更する必要があるため、家族の保険証も返却する必要があります。

後期高齢者医療制度の場合

亡くなった方が75歳以上で後期高齢者医療制度加入の場合には、死亡日から14日以内に、住所地の役所に「後期高齢者医療資格喪失届」を提出し、保険証を返却します。

勤務先の健康保険の被保険者または被扶養者の場合

亡くなった方が会社員等で勤務先の健康保険に加入していた場合、もしくは会社員等である家族の扶養に入っていた場合には、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を勤務先の会社や協会けんぽ、健康保険組合 に提出して手続きします。

なお、加入している健康保険からは、葬祭費(国民健康保険、後期高齢者医療制度の場合)もしくは埋葬料(健康保険の場合)の支給が受けられます。資格喪失届を提出する際に、葬祭費・埋葬料の請求も合わせて行うとスムーズです。

死亡後30日~1年以内に行う手続き

5.死亡後30日~1年以内に行う手続き

優先順位としてはそれほど高くはありませんが、概ね1年以内に行わなければならない手続きもたくさんあります。

雇用保険受給資格者証の返還

雇用保険の加入者(被保険者)が亡くなったときには、雇用保険の資格喪失の手続きが発生します。雇用保険の資格喪失の手続きは、勤務先で行ってくれます。

なお、退職して雇用保険の基本手当(失業保険)を受給していた方が亡くなった場合、遺族が死亡前日までの手当(未支給失業等給付)を受け取ることが可能です。この場合には、雇用保険受給資格者証を添えて、死亡から6ヵ月以内にハローワークに申請します。

団体信用生命保険金の請求

亡くなった方を被保険者とする生命保険に加入している場合、受取人に指定されている方が保険金の請求手続きを行います。受取人は保険会社に連絡し、保険会社指定の死亡保険金請求書に必要事項を記入して提出します。

亡くなった方が住宅ローン返済中だった場合、団体信用生命保険に加入しているケースが多いでしょう。団体信用生命保険とは、住宅ローン返済中の債務者に万が一のことがあった場合、残りのローンが保険金で完済される仕組みの生命保険です。団体信用生命保険では、金融機関が契約者及び受取人、ローン債務者が被保険者となっています。

団体信用生命保険に加入している場合でも、被保険者が亡くなれば自動的に住宅ローンが完済されるわけではありません。家族が金融機関に被保険者が死亡した旨を連絡し、住宅ローン完済と抵当権抹消の手続きをする必要があります。

団体信用生命保険の請求手続きをしない限り、住宅ローンは継続して引き落とされてしまいます。また、生命保険金は3年間請求しなければ時効になってしまいます。速やかに手続きを済ませましょう。

相続放棄

亡くなった方が多額の借金を残している場合などには、相続人は「相続放棄」をする選択肢があります。相続放棄とは相続人としての資格を放棄することです。相続放棄をした場合、資産・負債とも一切相続することはなくなります。

相続放棄をするには、相続開始を知った日から3ヵ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出する必要があります。期限を過ぎたら相続放棄はできなくなってしまうため注意しましょう。

故人の残した資産(プラスの財産)の範囲内でのみ負債(マイナスの財産)を引き継ぐ「限定承認」という方法もあります。限定承認をする場合にも、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述書を提出しなければなりません。

なお、相続放棄は各相続人が単独でできますが、限定承認は相続人全員が共同で手続きする必要があります。

所得税準確定申告

5-4.所得税準確定申告

準確定申告とは、亡くなった方の所得税の確定申告が必要な場合に、相続人が代わりに申告する手続きのことをいいます。

準確定申告が必要なケースとは、主に亡くなった方が個人で事業を行っていた場合や、不動産所得がある場合です。また、多額の医療費を払った場合などには、準確定申告することで還付金を受けられることがあります。

準確定申告が必要な場合、死亡日から4ヵ月以内に手続きしなければなりません。通常の確定申告とは期限が異なるため注意しておきましょう。

相続税の申告

基礎控除額を超える相続財産がある場合、死亡日から10ヵ月以内に、相続税の申告をしなければなりません。基礎控除額とは、以下の計算式で算出される金額です。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告は、故人の住所地の税務署で手続きします。税額が発生する場合には、期限までに納税も行う必要があります。

相続税は相続人が相続した財産の額に応じて負担することになるため、相続税申告までに遺産分割を終わらせておく必要があります。以下のような手続きを済ませておきましょう。

遺産分割協議

相続人全員で遺産分割協議を行って、誰がどの財産を相続するかを決めます。遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。遺言書が残されている場合には遺言書に従って相続手続きをするため、遺産分割協議は不要です。

故人の財産の相続手続き

故人名義の預貯金は、金融機関で解約・払い戻しの手続きをします。不動産の名義変更(相続登記)は法務局に申請します。

もし相続税申告期限までに遺産分割が終わっていない場合には、法定相続人が法定相続分ずつ相続したものとして、相続税の申告・納税をする必要があります。

解約が必要なサービスなど

亡くなった方が加入していたサービスの解約や、公的な証明書の停止手続きなども忘れないようにしましょう。

公共料金や携帯電話、クレジットカードなどを解約する

亡くなった方の名義で電気、ガス、水道などの契約をしている場合、同居している家族がいなければ解約手続きをしなければなりません。同居家族がいる場合には、他の方に契約者名義を変更する手続きを行います。

インターネットや携帯電話、新聞、クレジットカードなどの解約手続きも忘れないようにしましょう。

パスポートなどを返納する

亡くなった方がパスポートを持っている場合、返納する必要があります。パスポートの返納は、各都道府県の旅券事務所で行います。自治体によっては、市区町村役場の窓口で返納ができるところもあります。

亡くなった方の運転免許証については、返納の義務はありません。なお、返納しない場合、有効期限満了までは免許証更新の連絡等の通知が届きます。通知を停止するには、警察署または運転免許センターで手続きします。

亡くなった方の運転免許証をそのままにしておくと、悪用される可能性もあります。返納・停止の手続きをしておくと安心です。

手続きをスムーズに行うためのポイント

7.手続きをスムーズに行うためのポイント

葬儀後にはやらなければならない手続きがたくさんあります。手続きをスムーズに行うためのポイントを知っておきましょう。

必要な手続きを把握する

家族が亡くなると、慌ただしく葬儀を行わなければなりません。葬儀が終わったら一息つきたいところですが、やらなければならないことはまだまだあります。後回しにしていると、手続きを忘れてしまい、後々困ってしまうことになるかもしれません。

葬儀後の手続きをスムーズに進めるために、まずは必要な手続きを把握しましょう。やるべきことを一覧表にしておくのがおすすめです。

書類をしっかり管理する

葬儀後の手続きを行うときには、必要な書類を準備しなければなりません。手続きに必要な書類がすぐに見つからなければ、余計な手間がかかってしまいます。役所などで受け取った書類や郵送で届いた書類などは、きちんとチェックしましょう。あらかじめ場所を決めておき、紛失しないように保管しておくと安心です。

困ったことがあれば専門家に相談する

葬儀後は思いのほかたくさんの手続きがあるものです。亡くなった方名義の預貯金や不動産がある場合、相続する方を決めて解約や名義変更の手続きをしなければなりません。相続税がかかる場合には、死亡日から10ヵ月以内に相続税の申告も必要です。

預貯金の相続のために、多数の金融機関に足を運ばなければならないこともあります。不動産の名義変更をするには、法務局での相続登記が必要です。慣れない方が一から手続きをしようとすると、大変な手間がかかってしまい、相続税申告期限までに間に合わない可能性もあります。

相続手続きでお困りの方は、専門家に相談してみるのもひとつの方法です。「セゾンの相続 相続手続きサポート」では相続に強い司法書士のご紹介が可能です。相続財産調査や遺産分割協議書作成、預貯金の解約、不動産の名義変更などトータルにお手伝いします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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おわりに

葬儀後には、やらなければならない事務手続きがたくさんあります。忙しいなかで進めていくには、優先順位を考えて動くと良いでしょう。まずはやることをリストアップし、チェックリストを作って確認しながら進めると効率的です。

慣れない手続きを自分で行うのは非常に手間がかかります。期限が決められている手続きもあるため、もれがないかも心配です。相続手続きを進めるときには、必要に応じて専門家のサポートを受けるようにしましょう。

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