互助会に加入すると冠婚葬祭のために積み立てを行うことができますが、いざというときに選べるサービスが限定されてしまうという注意点もあります。このコラムでは、互助会の仕組みや掛け金について解説したうえで、互助会に加入するメリットやデメリット、互助会を選ぶときのポイントをご案内します。「そもそも互助会って何?」と思っている方から「互助会に入るべきか」と迷っている方まで、知りたい情報をすぐ得ることが可能です。
この記事を読んでわかること
このコラムでは、互助会の歴史に始まりその仕組みや掛け金について解説しているので、互助会に関する基本的な知識を手に入れることができます。また、互助会に加入するメリットやデメリットについてまとめているので、互助会に入るべきかどうかの判断基準を得ることが可能です。さらに「互助会に入ろう」と思った方に向けて、互助会やプランの選択基準についても解説しているので、ポイントを押さえた互助会選びができるでしょう。後悔しない互助会選びの助けになります。
互助会とは
互助会は、正式名称を「冠婚葬祭互助会」といいます。読み方は「かんこんそうさいごじょかい」です。結婚式や葬儀といった冠婚葬祭のために、毎月会費を積み立てるシステムです。
「互助」には「互いに助け合う」という意味があります。加入者らが毎月少しずつ会費を積み立て、全体で大きな金額を作ることによって、加入者のひとりに突然の冠婚葬祭が生じたとき、すぐに必要な儀式サービスを受けられるようになるのです。この助け合いが、互助会の精神であるとされています。
互助会に入会すると、満期になるまで毎月一定額の金額を払い込み、冠婚葬祭が生じた場合、加入者は積み立てた金額に応じて儀式を利用するためのサービスを受けることができるシステムです。
互助会はたくさんの加入者から積立金を預かることになります。そのため、どのような企業でも互助会事業を行えるわけではありません。互助会サービスを提供しているのは、経済産業大臣の認可を受けた事業者です。事業者は割賦販売法により前受金の2分の1を保全することが義務づけられ、また、立ち入り検査や報告徴収によって経済産業省が事業者の経済状況をチェックしています。
互助会の歴史
互助会は1948年からの歴史があり、日本で初めて互助会事業を始めたのは「横須賀冠婚葬祭互助会」です。
戦後、横須賀は焼け野原からのスタートとなり、結婚式が生じても婚礼に必要な衣装などを購入できる家ばかりではありませんでした。そこで、同互助会は地域の各家庭から少しずつお金を預かり、会員なら誰もが利用できる婚礼品を揃えたのです。横須賀の花嫁はお金を出し合って買った花嫁衣装を大切に着回し、戦後の貧しい時期でも人生の門出を華やかに迎えることができました。
その後、互助会の仕組みは全国に広まっていきます。互助会サービスが広く歓迎された理由として、2,000円や3,000円といった安価な積立金でいざというときに備えられるという利便性が大きいでしょう。また、戦後すぐからの実績によって徐々に信頼性が高まり、互助会は今でも全国広範囲において利用されています。
互助会の仕組み
互助会は、積み立てたお金が冠婚葬祭の儀式サービスや設備を整えるなどいざというときのために使われ、そのサービスや設備を他の加入者も利用するという相互扶助の仕組みです。具体的には、結婚式場や葬儀専門式場の建設費用、設備の維持費、儀式のための衣装や祭壇などの備品購入に前受金が使われています。
加入者は、互助会に加入し積み立てを行うことにより、加入していない方よりも安価に儀式サービスを受けることが可能です。また、加入時に契約した冠婚葬祭のプラン内容を、いつでも保証されます。
とくに葬儀における互助会の仕組みは、いわば生前予約です。昔は「生きているうちから葬儀について考えるなんて、縁起でもない」と葬儀の生前契約をする方はまれでしたが、終活ブームを迎えた今では、葬儀社を事前に選んでおく方も増えました。終活の一環として互助会の加入を考える方もいるでしょう。
互助会の掛け金
互助会で積み立てる1ヵ月当たりの積立金を、掛け金といいます。掛け金のプランは互助会によって違いますが、どの会社も積み立てやすい手頃な価格です。プランの一例は、以下のとおりです。一般的に、掛け金や支払い回数が数種類から選べるようになっています。
【A互助会の6プラン】
プラン名 | 月々の掛け金 | 支払回数 | 総額 | 主な内容 |
コース20・100 | 2,000円 | 100回 | 200,000円 | 棺(梅タイプ)・祭壇(6尺)・霊柩車(2kmまで)搬送車(10kmまで)・ドライアイス(1回分)・遺影(モノクロ)・葬祭役務 |
コース30・150 | 150回 | 300,000円 | コース20・100の内容に式場利用料・祭壇花がプラスされる | |
コース30・100 | 3,000円 | 100回 | 300,000円 | 棺(竹タイプ)・祭壇(8尺)・霊柩車(2kmまで)搬送車(10kmまで)・ドライアイス(1回分)・遺影(カラー)・葬祭役務 |
コース45・150 | 150回 | 450,000円 | コース30・100の内容に式場利用料・祭壇花・納棺儀式がプラスされる | |
コース50・100 | 5,000円 | 100回 | 500,000円 | 棺(松タイプ)・祭壇(フラワー10尺)・霊柩車(2kmまで)搬送車(10kmまで)・ドライアイス(1回分)・遺影(カラー)・葬祭役務 |
コース75・150 | 150回 | 750,000円 | コース50・100の内容に式場利用料・湯灌・納棺儀式・香典返し(50,000円まで)・精進落とし(100,000円まで)がプラスされる |
互助会のプランは、一括払いによる支払いが可能なため、月払いよりもまとまった金額を支払っておきたい方、まもなく葬儀を行うことになりそうですぐ互助会に加入したい方におすすめです。
互助会のメリット
互助会の主なメリットは、以下の5つになります。
突然の大きな出費を抑えられる
毎月少額ずつ積み立てをしておけば、突然の葬儀など冠婚葬祭にかかる大きな出費に対応できるでしょう。子どもの結婚式や、互助会によっては七五三、成人式などに利用することも可能です。
葬儀には、100万円、200万円といった大きな費用が必要になります。その一部だけでもコツコツ積み立てておけば、安心感があるでしょう。
物価変動の影響を受けることなくサービスを受けられる
互助会加入者は結婚式、葬儀など冠婚葬祭にかかる費用の割引を受けることができます。また、契約時に決めたサービス内容を変更することなく利用することが可能です。
景気変動による物価の上昇が気になる昨今、物価変動に左右されずにあらかじめ希望したサービスを受けられるのは安心でしょう。
とくに葬儀においては宗教・宗派に合わせた幅広いプランが用意されていることが多く、お金をかけて大々的に葬儀を行いたい場合にも向いています。
権利を譲渡できる
名義変更手続きをすることによって、家族や友人に権利を譲渡することが可能です。会社やプランにより譲渡先に制限がありますが、被保険者の死亡や病気に対してのみ保険金が支払われる生命保険や医療保険よりもフレキシブルに活用できます。
葬儀以外でもサービスの利用が可能
葬儀だけでなく結婚式や、互助会によっては成人式、七五三といった冠婚葬祭全般で利用可能です。また、積立金を仏壇や仏具の購入に充当させることができる互助会もあります。
提携施設の割引・会員優待などのサービスも
互助会に加入すると、提携施設の割引や会員優待などのサービスを受けられることがあるため確認しましょう。サービス内容は互助会によりさまざまです。提携施設の例としては、スーパー銭湯やホテル、カラオケ、遊園地、映画館などがあります。レジャーに出かけることの多い方にとっては、嬉しいサービスです。
互助会のデメリット
互助会の加入には、デメリットもあります。主なデメリットは、以下の5つです。
葬儀の自由度が低い
互助会のプランを使って葬儀をするためには、その互助会が直接運営している、あるいは提携している葬儀ホールなどを利用する必要があります。当然ながら、他の葬儀社に依頼することはできません。
また、契約時のプランによっては、グレードの低い葬儀になってしまいます。契約時には「なるべく質素な式が良い」と考えて最低限のプランに決めたはずが、いざ葬儀をするときになって「グレードをアップさせたい」と考えが変わるかもしれません。そのときは、一括で差額を支払い、アップグレードすることになります。
このように、互助会のプランはある程度内容が決まっているため、葬儀の自由度が低くなりがちです。
冠婚葬祭にかかるお金をすべてまかなえるわけではない
互助会の加入者が冠婚葬祭サービスを申し込むと、割安な会員価格で利用できたり、積み立てた金額が利用料に充当されたりします。しかし、サービスの全額をまかなえるわけではありません。
葬儀の場合、親族中心の家族葬であれば飲食代やお布施を含めて60~100万円、縁のある方を全てを呼ぶ一般葬であれば120~200万円ほどの費用がかかります。互助会で積み立てたお金は、あくまで葬儀代の一部であるという認識を持ちましょう。
いざというときに慌てないためには、契約時にしっかりとプラン内容を確認しておくことが重要です。生前見積もりとして、実際に葬儀となった場合の詳細な見積書を取り寄せておくと、さらに安心できるでしょう。
経営破綻のリスクがある
互助会はあくまで民間企業のため、経営破綻のリスクがあります。前述のとおり、互助会は割賦販売法により積み立てたお金の2分の1を保全することが義務づけられていますが、それは契約した互助会が倒産した場合、積立金の半分しか戻ってこないかもしれないということも意味しているのです。
実際に互助会が倒産した場合、加入者の救済処置として他の互助会に加入することも可能とされています。ただし、この場合も、保全義務となっている積立金の半分しか保証されないかもしれません。また、住んでいる地域をカバーしている互助会が他にない場合は、権利の引き継ぎができないこともあります。
解約時に手数料が発生する
サービスを利用することなく互助会を解約した場合、基本的には解約手数料が発生すると考えておきましょう。今までの積立額から解約手数料が引かれた金額が、手元に戻ってくることになります。
解約料の規定は、互助会によって違いますが、おおむね積立金の10~20%です。積み立てた回数が少なければ、手元にお金が戻ってこない可能性もあります。しっかり約款を確認しておきましょう。
解約トラブルにつながることも
互助会に加入していると、思わぬ解約トラブルにつながることがあります。
故人が互助会に加入していたことを家族が知らない場合、他の葬儀社に依頼してしまうかもしれません。家族が後で互助会の契約書に気づいて解約しても、解約手数料が取られるため全額は返金されません。
銀行などの定期預金や積立機能のある保険の場合、満期になってから解約すると、積立金を超えるお金を受け取れるイメージがあります。そのイメージが強いと、互助会を解約した際に「満期なのに、満額戻ってこない」と不満に感じてしまう方もいるでしょう。
なかには、解約しないように勧誘員が説得したり、解約手続きが複雑だったりとなかなか解約できないケースもあります。このような解約トラブルはやっかいなものです。
互助会やプランを選ぶときのポイント
互助会は、全国に数多く存在しています。互助会を選ぶとき、またプランを選ぶときには、ポイントを押さえて選びましょう。
葬儀予定の地域をカバーしているか
互助会は全国各地にありますが、それぞれの互助会には対応地域があります。互助会を絞り込むためには、対応地域を確認することから始めましょう。
将来、互助会のエリア外に転居した場合には、転居先をカバーする互助会に契約を移すことも可能です。しかし、互助会が変わってしまうため、サービス内容も変わる恐れがあります。転居の可能性がある方は、なるべく幅広いエリアをカバーしている互助会を選ぶと安心です。
信用できる互助会であるか
できれば口コミを調べ、信用できる互助会であるかどうかを判断しましょう。信用できる互助会であれば、トラブルが回避できる可能性が高いです。
とくに「解約したいと申し出たら、解約しないようしつこく説得された」など、解約時のトラブルに関する口コミが多い場合は注意した方がいいでしょう。「約款に書かれていない解約手数料を請求された」などは論外です。
また、契約内容について尋ねたとき、必要最低限のことしか説明してくれない互助会も要注意。勧誘員が互助会の知識をあまり持ち合わせておらず、肝心なことを伝えてくれない恐れがあります。
1を聞いたら100を説明してくれる知識豊富な勧誘員や、契約プランの葬儀について具体的な説明を求めたら実際に葬儀を担当している社員に取り次いでくれるなど、安心できる対応を行ってくれる互助会を選びましょう。
希望するプランがあるか
契約プランを選ぶ際には、サービス内容の一覧表を熟読し、どこまでがサービスに含まれているのかを確認することが大切です。もしかしたら、プランの中には不要と感じるものもあるかもしれません。プラン内の商品を「これだけいらない」と申し出ても、そのぶんの金額が戻ってくるケースは少ないため、注意が必要です。
ただし、まだ葬儀が生じていない段階で葬儀サービスの要不要を判断するのは難しいこと。できれば互助会契約前に、葬儀の生前見積もりを依頼しましょう。葬儀担当者とともに希望の葬儀をプランニングすると、何が必要で、何がいらないのかがわかってきます。
また、見積もりを提示してもらえば、契約プラン内ではまかなえないオプション料金がどれだけかかるかわかるでしょう。互助会ではない葬儀社にも見積もり依頼を行い、2社の価格を比較するのもおすすめです。
負担にならずに積み立てできるか
互助会の掛け金は比較的安価ですが、家計に全く負担をかけないわけではありません。今の家計にプラスして掛け金を支払っても、これまでのとおり暮らしていけるかどうかが重要です。
掛け金の金額を負担と感じたら、より月々の負担が少なく、かつ長期で積み立てできるプランが用意されていないか調べましょう。例えば2,000円を50回支払うタイプと、1,000円を100回支払うタイプでは、最終的な積立金額は同額になります。
解約手数料はどのくらいか
互助会の解約手数料の相場は、積立金の10~20%程度です。契約内容や加入時期、支払い回数などによって異なることもあるため、約款を熟読して理解しましょう。同額プランを持つ互助会を比較する場合、解約手数料が少ない方を選ぶのもひとつの方法として有効です。
また、サービスを利用せず解約したとしても、掛け金が全て戻るわけではないことを心にとどめ、家族とも情報を共有して了解を得ておきましょう。なぜなら、サービスを利用するのは、契約者ご自身ではなく家族かもしれないからです。
葬儀選びは「セゾンの相続 お葬式サポート」がおすすめ
希望のお葬式のために互助会へ入るべきか迷ったら、ぜひ「セゾンの相続 お葬式サポート」を活用ください。遺族に負担をかけない自分らしい葬儀を行うために、お葬式に強い専門家がしっかりサポートします。葬儀社があらかじめ決まっていれば、いざというときの段取りがスムーズです。今すぐには依頼を考えておらず、相談だけしたいという方も、まずはお気軽にお問い合わせください。
おわりに
互助会に加入したら、配偶者だけでなく必ず子世代にも詳細を伝えておきましょう。葬儀が発生したとき、喪主となる存在が互助会との契約そのものを知らなければ、積立金が無駄になってしまいます。別会社で葬儀をしてしまった後に互助会を契約していたと知ったとき、遺族が「希望の葬儀をしてあげられなかった」と悔やむかもしれません。
また、子世代と一緒に互助会の加入から検討すると、違う視点からご自身では思いもつかない疑問点を指摘されることもあるでしょう。家族みんなが納得のいく契約とするためには、検討時から子世代に相談するのが理想的です。