屋外にあり、長く風雨にさらされることになる「墓石」は、非常に丈夫にできています。ただ一口に「墓石」といっても、その種類はさまざまです。今回はこの「墓石」を取り上げて、墓石によく使われている石とその特徴や、産地による墓石の違い、そして墓石の形の種類と、墓石を選ぶときのポイントについて解説していきます。
この記事を読むことで、まずは「墓石に使われている石の種類」がわかります。また、石の種類を解説する際には、それぞれの石の特徴や色合いについても併せて説明します。現在は国外からも多くの墓石が入ってきているため、国内産墓石と国外産墓石の比較も行います。そして、多くの方にとって関心の対象である「墓石の形の種類」についても解説します。また、同じ石の種類であっても、石材店によってその価格や取り扱い方は異なります。そのため最後に、「墓石を選ぶときのポイント」についても取り上げ、これをわかりやすく伝えます。
墓石に使われる石材は主に4種類
墓石に使われている石は、いずれも非常に硬く、吸水性が低いものです。
なぜなら墓石は、「屋外に、長い間設置されること」を前提としているからです。風にさらされ、飛来物にぶつかられても壊れにくく、また雨や雪などによる「水による害」も受けにくい石が使われています。
このような特徴を持っている石として、「花崗岩(御影石)」「安山岩」「閃緑岩」「斑レイ岩」があります。ひとつずつ解説していきます。
花崗岩(御影石)
お墓に使われている墓石のなかでもっとも有名なものは、「花崗岩(かこうがん)」です。花崗岩は「御影石(みかげいし)」とも呼ばれており、ほとんどのお墓がこれで作られています。
茨城県や福島県でよく採掘されている石であり、産地などによって色が大きく異なります。例えば愛媛県で取られる花崗岩「大島石」は青みがかった色をしていますが、茨城県でとられる花崗岩「真壁石」は、白色と灰色が混ざった色を持ちます。
ひとつのカテゴリーの中であっても色合いやたたずまいが大きく異なるため、選ぶ楽しみのある石だといえるでしょう。
安山岩
高い熱を持ったマグマが、急速に冷やされることでできる岩を「安山岩(あんざんがん)」といいます。これは江戸城の築城にも使用された由緒正しき石であり、「東の横綱石」の異名をとっています。
全体的に黒っぽい色を有しているのが特徴ですが、その中に、きらきらと光る石が散っているのが特徴です。非常に硬い石であり、高い耐久性を誇るのが魅力ですが、一部の石はやや水がしみこみやすいという特徴があります。
このため、「建てたときと同じ質感を維持できる石」ではなく、「経年によって変化していく石」を楽しみたい方に向いています。
閃緑岩
閃緑岩(せんりょくがん)もまた、安山岩と同様、マグマから作られている石です。しかし安山岩が急速に冷やされてできる石であるのに対し、閃緑岩はゆっくりと冷やされてできます。
「黒御影石」とも呼ばれているものであり、その名前にふさわしく、全体的に黒い色(多くの場合、安山岩よりも濃い)を持ちます。また、安山岩に比べてややキメが粗いのもこの岩の特徴です。
なお、有名な種類として、佐賀県でとられる「天山石」が挙げられます。
斑レイ岩
灰色~黒色を持つ斑レイ岩は、「はんれいがん」と呼ばれます。磨くことで美しい光沢を持つようになるため、こまめに墓石のお手入れができる方に向いています。
日本国内においては福島県でよく取られていますが、そのなかでも「浮金岩(うきがねいし)」と呼ばれる種類は非常に量が少なく、珍重されています。
よく使われる墓石の産地と種類
まだ「輸入」という選択肢がなかった時代は、当然日本国内で発掘された石で墓石が作られていました。しかし現在は海外から輸入された石を用いることも非常に多くなっています。
国産石材
日本国内で作られている墓石ですが、現在は国内産のものが使われることはかなりまれです。国内産の墓石は、全体の墓石数の割合のなかで2割程度に過ぎず、残りの8割を輸入石材に頼っているのが現状です。
すでに述べたとおり、日本の墓石の産地としては、茨城県や福島県が有名です。また、愛知県や香川県などでも採掘されています。
国産の墓石は、輸入墓石に比べて費用がおしなべて高価です。ですが、現在は輸入石材にも質の良いものがそろっているため、「国産の墓石の方が質が良い」とまでは言えなくなっています。
輸入石材
ここからは、輸入石材について解説していきます。
中国
現在、日本で使われている墓石のなかでも中心を占めているといわれているのが、「中国産の墓石」です。中国が墓石の輸出元となったのは1990年代くらいからで、福建省産のものや黒竜江省産のものが特に有名です。
かつてに比べて人件費が上がってきた中国ではありますが、そこで採取される墓石は今でも日本のものよりも安く、その安価さゆえに日本でも非常に多く使われています。「国産で」という希望を伝えない場合は、多くの場合、この中国産の墓石が使われることになるでしょう。
インド
インドもまた、墓石の輸出先として非常に有名です。インドで採取されている墓石は、中国のそれよりもやや高価ではありますが、それでも日本産のものに比べて価格は低い傾向にあります。
インドは、特に黒御影石の産地として知られています。灰色~黒色の落ち着いた色の墓石を求めている方ならば、インドの墓石はひとつの選択肢となるでしょう。
国外産の墓石を選ぶ場合(あるいは「国産で」と指定しない場合)、基本的には中国もしくはインドのものを選ぶことになるでしょう。
しかし実は、ヨーロッパやアフリカなどから取られた石も、少量ではありますが、日本に入ってきています。
例えば、非常に美しい青色系の輝きを持つ「エメラルドパール」はフィンランド産ですし、赤色系のエレガントな色を持つ「スウェーデンマホガニー」は名前のとおりスウェーデンで作られています。
墓石の形の種類
墓石の種類を考えるうえで、多くの方が関心を持つのはやはり「どのような形にするか」というところなのではないでしょうか。
ここでは代表的な墓石の形の種類について解説していきます。
三段型あるいは四段型の和型
「お墓」と聞いて多くの方がまず真っ先にイメージするのが、「長方形型の石を使った和形の墓石」でしょう。
長方形の竿石と、その下に置かれた上台・下台からなるものであり、三段型あるいは四段型の形をとります。そして竿石部分には、「○○家先祖代々之墓」「南無妙法蓮華経」などのような言葉が刻まれます。
安定感のある形式であり、親しみやすさを感じるのが特徴です。墓石を作る際の基本となるものであり、一般的な形でもあります。寺院墓地のなかには墓石の形を指定するところ(「洋型はNG」など)もありますが、和型形式の墓石ならば断わられることはまずないでしょう。
なお一口に「和型」といっても、「神道か、それとも仏教か」「宗派は何か」によってデザインは変わってきます。そのため、和型の墓石を希望するのであれば、事前に石材店に自分たちの信仰する宗教・宗派を伝えると良いでしょう。
オルガン型の洋型
和型の墓石は縦長の形式を取りますが、洋型の形式の墓石は多くの場合横長の形を取ります。上部から下部に向かって斜めに切ったようなデザインをしていることが多く、「オルガン型」と記されます(まっすぐに切ったストレートタイプの墓石もあります)。
なお、オルガン型の洋型墓石には1段のものもあれば、2段のものもあります。
かつてはキリスト教の信徒のお墓として使われていましたが、そのデザインの洒脱さやエレガントさが受けて、現在ではキリスト教信者以外の方もよくこれを使うようになりました。特にガーデニング形式の霊園などとは相性が良いでしょう。
五輪塔
仏教の故郷であるインドに端を発している「五輪塔」は、かつては高貴な身分の方が眠るお墓として用いられてきました。しかし室町時代に入ると、身分を問わずに使われるようになります。
五輪塔では、「空」を表す丸い珠、「風」を表す半月の石、「火」を表す三角形の石、「水」を表す円形の石、「地」を表す箱型の石で構成されています。自然を構成する5つの要素を表すことから、「五輪塔」と名づけられています。
ちなみにこの五輪塔は、省スペースで建てることができるため、墓所を広くとることが難しいご家庭でも立てやすいというメリットがあります。
デザイン墓石
現在非常に人気を博しているのが、「デザイン墓石」と呼ばれるものです。これは従来型の墓石とはまったく異なる性質を持つもので、一定の形を持ちません。
故人が好きだったもの(楽器類など)の形をとったり、故人の愛した言葉を彫り込んだりするもので、故人の性格や人となりを表すことができる形としてよく選ばれています。
素材も多種多様で、「石」だけでなく、ガラスなどで作られたものも存在しています。故人の性質を描き出すことができるうえ、非常に個性豊かなこのデザイン墓石は、多くの方に愛されています。
ただ、打ち合わせには時間がかかりますし、石材店によってはデザインに制限がかかることもあります。また、「このようなデザインの墓石は許可できない」とする墓地運営者もいるため、事前にしっかり話し合いをすることが必要です。
墓石選びのポイント
ここまで、墓石の種類や墓石のデザインの種類について紹介してきましたが、最後に「墓石選びのポイント」について取り上げます。
家族できちんと相談する
墓石は、決して安い買い物ではありません。また、簡単に買い直しができるものでもありません。
そのため、事前にご家族間でしっかり話し合う工程が必要です。
生前に購入する場合であっても、独断での購入は避け、他の方の意見も仰ぐことをおすすめします。
石見本だけで決めない
石の色合いを知ることができる「石見本」は非常に有意義なものですが、これだけを見て購入を決定すると後悔することになりかねません。小さな石見本と、実際にできあがる大きな墓石では、印象が異なることもあるからです。
そのため、可能な限り、石材店に足を運んで実際の見本を見せてもらうようにしてください。
見積もりは複数社から
墓石に限ったことではありませんが、見積もりは比較検討することが重要です。同じデザイン・同じ納期で見積もりを作ってもらい、比較していくのです。
なおこのときには、「どこまでが通常料金に含まれていて、どこからがオプションとなるのか」も確認しておきましょう。
信頼できるお店を選ぶ
「お墓の種類が多過ぎて、どれを選べば良いかわからない」「石材店に指定があるかもしれない」「形をどのようにしたらいいものか、結論が出ていない」という方は、「セゾンの相続 お墓探しサポート」にご連絡ください。お墓探しに強い専門家と提携しているため、無料相談や最適なプランの提案を受けることができます。
おわりに
墓石は、決して安い買い物ではありません。また、一度建ててしまうと、撤去にもお金がかかるものでもあります。
そのため、購入を決める前に、きちんと知識をつけて、正しい選び方を把握しておくことが求められます。石にはどのような種類があるのか、その石はどのような特徴を持っているのか、どんなデザインの墓石にしたいのかを、よく考えておくようにしましょう。たしかな知識と勉強を元に選ばれた墓石は、故人が安らかに過ごせる唯一無二の「終の棲家」となるに違いありません。
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