家を新築した際に検討したけれど、付けなかった床暖房。住み始めてから初めての寒い冬を迎え、足元が冷えるたびに「やっぱり付けておけば良かった」と後悔することもあるかもしれません。そんなときは床暖房をリフォームで取り付けてみてはいかがでしょうか。
今回はリフォームをする前に知っておきたい床暖房の種類や施工方法をはじめ、設置費用などをわかりやすくまとめました。寒さによる足元の冷えにお悩みの方必見です。
この記事を読んでわかること
床暖房は、一戸建てでもマンションでも基本的にリフォームであとから取り付けることが可能です。日々のメンテナンスが不要なことなどのメリットがある反面、高額になりがちな初期費用の問題もあります。床暖房の種類は主に「電気式床暖房」と「温水式床暖房」の2つです。また、施工方法は今ある床の上に直接施工する「直貼り」と、床を全て剥がして床下に施工をする「張り替え」があります。設置費用は、直貼りの場合1畳あたり50,000円〜80,000円、貼り替えの場合は1畳あたり80,000円〜110,000円が目安です。温水式床暖房の方は作業が大がかりになるため費用がかかる傾向があり、さらに別途熱源機の料金も発生します。
床暖房はリフォームで後付けできる?
結論からいうと、床暖房は戸建てでもマンションでも、基本的にリフォームによって後から付けることができます。
さらには、1階や2階といった階層の違いや、木造建て、鉄筋コンクリート建てなどの建て方の違いがあっても後付けすることが可能です。ただし、賃貸住宅の方や建物の状況などにより、床暖房を後付けできない場合もあるので、販売店に相談してみると良いでしょう。
床暖房を付けるメリット
床暖房を付けることによって、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。早速見ていきましょう。
日々のメンテナンスが不要
ファンヒーターやエアコンなどは、定期的な掃除や給油などのメンテナンスが必要になります。掃除を怠りそのまま使い続けると、埃が部屋に充満したり、フィルターにカビが生える原因となったり、身体に悪い影響を与えます。
一方、床暖房は基本的に日々のメンテナンスが不要です。また、床の下に暖房器具があるので、床のスペースを占領せず部屋が広々と使えることや、使わないときの収納場所がいらない点もメリットといえるでしょう。
足元がじんわりあったかい
エアコンやファンヒーターなどの暖房器具は暖かい空気が上へと移動してしまうため、上半身は暖かいのに足元がキンキンに冷えている、という経験をした方はいませんか。
床暖房は足元から部屋全体をじんわり暖めるため、足元が常に暖かく感じられます。冬場、足元が冷えやすい方には快適な状態が保たれるのでおすすめです。
また、床暖房のスイッチを切った後も、しばらく暖かい状態が続くため、部屋が急激に冷えることもありません。
部屋が乾燥しにくく空気も汚れない
エアコンを使うと部屋の空気が乾燥し、のどが痛くなりやすかったり、肌が乾燥してしまったりと、加湿器を必要とするケースがでてきます。ファンヒーターは部屋の温度を上げるにはパワーがありますが、空気を汚してしまうため換気が必要です。
しかし、床暖房は部屋が乾燥しにくく空気を汚すことがないため、喘息やアトピーなどのアレルギーを持った方にとっても優しい暖房器具といえます。
床暖房を付けるデメリットは?
床暖房を付けるメリットには、メンテナンスに手間がかからないことや、部屋の空気が汚れないことなどを挙げました。しかし、デメリットも存在します。
初期費用がかかる
床暖房をリフォームして取り付けるためには、エアコンに比べて何倍もの初期費用が必要となります。また、毎月の維持費もエアコンに比べると高くなる傾向にあります。しかし、床暖房の寿命は、使用環境や種類にもよりますが一般的に30年ほどといわれているので、一度導入すると長く使える利点があるのです。
床暖房をリフォームする場合の初期費用に関しては、後で説明します。
床が暖まるまでに時間がかかる
床暖房はファンヒーターなどの強力な暖房器具に比べて、スイッチを入れてから暖まるまで時間を要します。地域や使用環境にもよりますが、部屋全体が暖まるまでだいたい1時間くらいかかるとみておきましょう。
今すぐ部屋を暖めたい場合は、他の暖房器具と併用して使用したり、決まった時間に使用することがわかっている場合は予約機能を利用したりして、工夫することがポイントです。
定期的に交換が必要なものがある
日々のメンテナンスがほとんど不要な床暖房ですが、温水式の床暖房の場合、定期的に交換が必要なものがあります。
まずは、熱源機です。床下を通る温水パイプに通すためのお湯を作り出すものですが、熱源機は約10年〜15年で交換が必要になります。作り出したお湯を循環させる温水パイプは30年ほどの耐久年数です。
両者の交換には数十万円ほどの費用が発生するため、長期的な資産計画を見越しておきましょう。また、冬場に水が凍結するような地域では、温水パイプの中に通す水を不凍液にする場合があります。不凍液は10年に一度新しく入れ替える必要があり、費用は50,000円ほどです。
一方、電気式の床暖房は温熱ヒーターのパネルを床下に設置しているだけのシンプルな作りで、耐久年数の目安は30年ほどといわれています。定期的に交換するものは特にありません。
床暖房の種類と特徴
床暖房のメリットとデメリットがわかったところで、ここからは床暖房に関する知識を深掘りしていきましょう。床暖房は主に「電気式床暖房」と「温水式床暖房」の2種類があります。
電気式床暖房
電気式床暖房とは、床下に電熱線の入ったパネルや発熱線を設置し、電気を通すことで床を暖める方式です。電熱線の入ったパネルに通電させる「電熱線式」が最もスタンダードで、他には「蓄熱式」や「PTCヒーター式」があります。
電熱線式では、施工が簡単なためリフォームによる後付けでも1日ほどで完成することもあります。蓄電式では、床下に蓄熱材を設置し、夜間の電気料金を利用して昼間暖めるため、日中使用する電気料金を抑えられることがメリットです。また、PTCヒーター方式では、床の上にいる人物や家具などの物、日光などによって一部分だけ暖めるという特徴があります。
電気式床暖房では、導入費用が比較的抑えられることや、洗面所だけといった一部分だけの設置が可能なこともメリットです。しかし、ランニングコストがかかることや床の暖まりにムラができてしまうデメリットもあります。
温水式床暖房
温水式床暖房とは、床下にパイプを通し、パイプに電気やガスなどで温めた水を流すことで床を暖める方式です。水を温める方法は「ガス式」「ヒートポンプ式」「灯油式」の3つがあります。
温水式床暖房は施工に日数がかかり、導入コストが高くなる傾向にありますが、光熱費などのランニングコストを安く抑えることができます。
また、電気式と違い暖まりにムラがでません。さまざまな部屋に設置した床暖房をひとつの熱源機で暖めるためエネルギー効率が良いこともメリットです。寒冷地などの冬場に水が凍ってしまう地域では、温水パイプ内の水が凍結する恐れがあるため、水の代わりに不凍液を使用します。
床暖房の施工方法は2つ
床暖房には2つの施工方法があります。ご自身の家庭ではどちらが良いか、比較検討される際の参考にしてみてください。
床に直貼りする方法
今使用している家の床の上に床暖房を貼り付け、さらにその上からフローリングを貼る方法を「直貼り」といいます。直貼りのメリットは、既存の床を活かして施工するため、費用が抑えられることや、工期期間が短くて済むことです。
しかし、既存の床の上に貼るため、床暖房を設置していない部分より床が高くなってしまうので、小さな子どもや、お年寄りのいるご家庭では、床の段差につまずいて転んでしまうことも考えられます。段差をなくすために、床見切り材を付けるなどの対処をしておくことがおすすめです。
床を張り替えて施工する方法
床を一旦剥がし床下に床暖房を設置後、新しく床を張り替える方法を「貼り替え」といいます。直貼りに比べて、床の張り替えといった大がかりな作業や廃材の処理費がかかるなど、施工期間が長くなると同時にコストも高くなります。
しかし、床を貼り替えることで部屋の床全体がフラットな状態になるため見た目も美しく、段差によるつまずきも防げることで安心感も増すことでしょう。
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床暖房の設置費用や工事期間について
床暖房のリフォームにおいて最も気になるところが費用面ではないでしょうか。ここでは、先ほど紹介した電気式床暖房と温水式床暖房にかかる設置費用の相場と工事期間を施工別に説明します。
リフォームを行う範囲や施工会社によっても費用は異なりますが、おおよその目安として検討をする際の参考にしてください。
電気式床暖房の場合
電気式床暖房の設置費用は、直貼りの場合1畳当たり50,000円〜80,000円、貼り替えの場合は1畳当たり80,000円〜110,000円が目安です。直貼りで8畳の設置を依頼した場合は、材料費などを含んだ総額で320,000円〜720,000円程度、10畳では370,000円〜800,000円程度が相場になります。
工事期間は直貼りの場合1日〜2日程度、貼り替えの場合は3日〜5日程度といわれており、床の貼り替えが多く作業が大がかりになりそうな場合はさらに日数がかかるとみて良いでしょう。
温水式床暖房の場合
温水式床暖房の設置費用も、1畳当たりの目安はだいたい電気式床暖房と同様ですが、部屋の大きさによって床の解体や廃材処理などの費用がかさむこともあります。8畳の設置を依頼した場合は400,000円〜950,000円程度、10畳では490,000円〜100万円程度かかると考えておきましょう。工事期間は直貼りで1日~2日、貼り替えで3日〜5日前後かかります。
また、温水式床暖房を導入する際は、設置費用とは別に水を温めるための熱源機が必要です。熱源機で使用するエネルギーの種類によって本体費用も異なるため、以下の表で説明します。
使用するエネルギーの種類 | 本体費用 |
ガス | 100,000円~500,000円程度 |
電気 | 300,000円~100万円程度 |
ガスと電気 | 100,000円~500,000円程度 |
リフォーム費用でお困りの方は
ここまで説明したとおり、床暖房をリフォームで後付けしようとすると、費用が高額になりがちです。まとまった費用が必要になるため生活を圧迫しかねません。
リフォームを考えている方で支払いに不安がある場合は、プロに相談することも検討しましょう。「セゾンのリフォームローン」では、床暖房のリフォームだけでなくさまざまなリフォームに関する費用についていつでも相談を受け付けています。どうぞご検討ください。
セゾンのリフォームローンについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
床暖房のリフォームで注意したいこと
床暖房のリフォームを検討する際に注意したいことをまとめてみました。事前に知っておくと後から困ることがないので、しっかりとチェックしていきましょう。
床暖房に合う床材を選ぶ
床暖房を設置する際に、電熱線の入ったパネルの上や、温水パイプの上を床材で覆います。一般的な住宅で使用されるフローリング板は熱に弱く、湿度の変化でもひび割れることがあるので、床材は何でも良いというわけではありません。熱の変化に強い床材を選ぶことが重要です。
床暖房に対応したフローリングは、熱伝導率が良いことや、部屋のインテリアをアレンジしやすい点で人気の床材です。床暖房に合う床材として、その他にも無垢材やコルク、タイルなどが挙げられます。和室に床暖房を付ける場合は、床暖房対応の畳を貼りましょう。
電気容量が足りるか確認する
床暖房を後付けする際には、自宅の電気容量を確認しておくことが必要になります。なぜなら、電気不足が起こると、ブレーカーが落ちてしまったり、床暖房が使えなかったりすることがあるからです。そうならないためには、事前に普段の電気の使用量やブレーカーを確認し、電気が足りなくなりそうな場合は、アンペア数を上げることや電気会社との契約内容を見直すことも検討しましょう。
床暖房の設置場所と設置面積を確認する
床暖房を設置する場所に重い家具や脚のない家具を置くと、床と家具との間に熱がこもってしまう可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
今ある家具が置けるかどうかわからない場合は、販売店舗に聞いてみると安心できます。家具が動かせない場合には、必要な箇所にだけ床暖房を直貼りすることもひとつの方法です。
また、設置面積が大きければ大きいほど部屋は暖まりやすく快適ですが、その分費用がかかります。自宅の部屋の様子をよく観察して、床と接することのないソファやベッドの下は避け、普段多く過ごす場所や日当たりがあまり良くない部分を中心に床暖房を付けるなど工夫すると、光熱費や導入費用を節約することができるでしょう。
マンションの場合はリフォーム前に必ず管理規約を確認する
マンションにお住まいの方でも床暖房を後付けすることは可能です。しかし、マンションをはじめとする集合住宅では、管理規約により施工ができないこともあるためリフォーム前に必ず確認しましょう。
ポイントは、床材の張り替えが可能かどうか、床材の遮音等級に決まりがあるかどうか、の2点です。床の張り替えそのものを禁止している場合もあれば、遮音等級を満たした床材でなければ張り替えが認められていない場合もあるので、充分に確認をとる必要があります。
また、マンションの場合は、建物全体で使用できる電気容量が限られているので、床暖房による電気使用が可能かどうか、管理組合に相談しておくと安心です。
床暖房のリフォームはDIYできる?
DIYに興味がある方は、ご自身でリフォームをしてみようと思われるかもしれません。確かに床暖房の材料である床暖房対応のフローリング板などは、ホームセンターで手に入るものもあるでしょう。
しかし、作業としては床の下地を交換したり、床を張り替えたりといった難しい工程が多く素人には厳しい面がたくさんあります。また、大がかりな作業なので、多くの時間と手間が必要です。DIYに慣れていない方は、無理せず施工会社に依頼しましょう。
おわりに
床暖房の魅力は何といっても足元からじんわりと暖かさを実感できるところです。日々のメンテナンスがほぼいらないことや、部屋の空気を汚さず乾燥もしにくいことも大きなメリットといえます。床暖房は基本的にどの家庭でもリフォームであとから付けることが可能です。マンションにお住まいの方は事前に管理規約などを確認することを忘れずに行いましょう。どの場所に床暖房を設置するかによっても、使用できる床暖房の種類や施工方法は変わってくるので、ご家庭でよく話し合ってみてください。