キャッシュレス化が進む現在、日常的にクレジットカードを使っている人は多いでしょう。しかし、クレジットカードを使うと付与される「ポイント」をきちんと活用できているかと問われると、「あまり自信がない……」という人もいるのではないでしょうか。
そこで今回、FPの頼藤太希氏が「クレジットカードの賢く・上手なポイント活用法」を伝授します。
クレジットカードは“絞って”使おう
さまざまな会社から発行されているクレジットカードですが、ポイントを賢く貯めるためには、使うカードを1~2枚に絞ることが重要です。
使うカードを厳選することで、分散せずにそのカードのポイントを集中して貯めることができるため、ポイントも使いやすくなります。また、毎月の利用料金の請求もまとめられ、支出の把握もしやすいです。
クレジットカードを厳選する際には、以下の3つの問いを確認すると良いでしょう。
1.日常生活が“自然とおトク”になるか
買い物、旅行先、ビジネス……。日常生活のなかで、クレジットカードをよく使う場面を思い浮かべてみてください。その場面で特典が大きなクレジットカードを選べば、ポイントが無理なくどんどん貯まっていき、自然とおトクになるはずです。
2.ポイントの還元率
ポイントの還元率は、「1ポイントの換算額÷買い物の金額×100(%)」で計算できます。たとえば、200円で1ポイントが貯まり、1ポイント=1円で使えるクレジットカードの場合、還元率は1円÷200円×100=0.5%となります。還元率は少しでも高いほうが有利です。
ただし、ポイント還元率の高いクレジットカードは、ゴールドカードといった年会費の高いクレジットカードの場合が少なくありません。しかし、たとえ年会費が多くかかっても、ポイント還元率高くなることにより、得られるポイントが年会費を上回るならば問題ありません。
たとえば、年会費が1万円で還元率が2.0%のクレジットカードの場合、年間50万円(1万円÷2.0%)以上利用するならば、年会費を支払ってでも利用したほうがおトク、というわけです。
1年間に使う金額を見積もったうえで、年会費を払う価値があるか考えてみましょう。
3.付帯サービスがあるか
クレジットカードのなかには買い物以外の付帯サービスが用意されているものもあります。旅行が好きなら旅行保険の自動付帯やラウンジサービス、買い物をよくするならショッピング保険という具合に、自分の生活に生かせる付帯サービスが付いている場合、たくさんカードを利用することでよりおトクになるでしょう。
また、クレジットカードを2枚持つ場合は、「VISAとAMEX」「VISAとMastercard」「VISAとJCB」といったように国際ブランドを分けておくと、「クレジットカードが使えない!」という事態を減らすことができます。
固定費はクレジットカードで支払おう
使用するクレジットカードを絞ったら、固定費の支払いをクレジットカードで行えないか検討しましょう。固定費とは、毎月決まって一定額発生する費用のことです。住居費や通信費、水道・光熱費、保険料、自動車費、その他年会費や月会費などが固定費にあたります。
固定費は、金額が大きなものが多いため、クレジットカード払いをした場合のポイントもたくさんもらえます。せっかく毎月必ず支払っているのですから、できるだけクレジットカード払いに切り替えていきましょう。そうすると、毎月生活するだけでポイントが貯まっていきます。
1.家賃
賃貸物件の場合、家賃をクレジットカード払いできる場合があります。ただし物件によって異なりますので、大家さんか不動産会社に確認してみましょう。なお、住宅ローンの支払いにはクレジットカードは利用できません。
2.公共料金
電気代・ガス代・水道代・NHKの受信料といった公共料金は、クレジットカードで支払うことができます。お使いの事業者のウェブサイトやコールセンターで問い合わせて、必要な手続きを行えば簡単に変更することが可能です。
ただ、支払う金額によっては口座引き落としのほうが安く済む場合もあります。たとえば電気代の場合、電力会社によっては口座振替を申し込むと電気代が55円(税込)安くなる「口座振替割引」が用意されていることがあります。この場合、クレジットカード払いでもらえるポイントの価値が55円未満だと、口座振替のほうがお得ということになります。普段の電気代と見比べて判断するようにしましょう。
3.保険料
国民健康保険料や国民年金保険料もクレジットカードで支払うことができます。また、国民健康保険料は、「モバイルレジ」「F-REGI」を利用することで、スマホからでも納付できます(ただし、お住まいの自治体が各サービスのクレジットカード払いに対応している必要があります)。
国民年金保険料については、お近くの年金事務所に「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」という書類を提出することでクレジットカード払いにできます。クレジットカード払いでは、毎月納付・6カ月前納・1年前納・2年前納と4つのパターンで支払うことが可能です。この際、長い期間の前納を行うほど、割引率が高くなります。
4.税金
「国税クレジットカードお支払サイト」「地方税お支払いサイト」を利用すると、税金もクレジットカードで支払うことができます。納付書にあるQRコード(eL-QR)をスマートフォンのカメラで読み取るか、あるいは納付書の番号を入力すれば、簡単に手続きできます。
ただし、クレジットカードの納付に際しては別途決済手数料(システム利用料)がかかります。たとえば、国税クレジットカードお支払サイトの場合、納付税額1万円で83円、2万円で167円となっています。支払いによってもらえるポイントと手数料を比較し、どちらがいいか検討するとよいでしょう。
ポイントの「二重取り・三重取り」を活用しよう
ポイント還元でよりおトクになるために、ポイントの二重取り・三重取りができないかチェックしてみましょう。「二重取り・三重取り」とは、1回の決済でポイントを2回・3回ともらうことをいいます。
二重取り・三重取りの方法は各サービスにより異なりますが、たとえば下記のようなやり方が考えられます。
・電子マネーやスマホ決済の支払い方法にクレジットカードを指定 →スマホ決済のポイントとクレジットカードのポイントの二重取り |
・飲食店等で、ポイントカードを提示したのちにクレジットカード払い →ポイントカードとクレジットカードのポイントの二重取り |
・あらかじめスマホ決済の支払い方法にクレジットカードを指定しておき、飲食店等でポイントカードを提示したのち、スマホ決済を行う →ポイントカードとスマホ決済、クレジットカードのポイントの三重取り |
なお、セゾンカードの場合は、「永久不滅ポイント」と「nanacoポイント」の二重取りが可能です。セゾンカードの会員向けサービス「Netアンサー」にログインし、「nanacoポイントが貯まる」サービスを申し込みます(無料)。その後、セゾンカードを使ってセブンイレブンで買い物をすると、永久不滅ポイントとnanacoポイントの両方が貯められます。簡単にポイントの二重取りができますので、ぜひ試してみてください。
貯まったポイントを賢く使うなら「運用」がおすすめ
1ポイント=1円、1ポイント=5円など企業によってさまざまですが、クレジットカードを利用して貯まったポイントはそのまま買い物に利用したり、商品券などに交換したりできます。ただでさえインフレでさまざまなものが値上がりしている時代ですから、ありがたいですよね。
しかし、筆者がもっともおすすめするのは、貯まったポイントを運用に回すことです。クレジットカードのなかには、運用によってポイントを増やせるものがあります。
たとえば、セゾンカードの「永久不滅ポイント運用サービス」は、貯まった永久不滅ポイントを運用して投資を擬似体験できるサービスです。6つの投資信託コースか株式コースのなかから運用先を選ぶと、実在の投資信託や株の価格に連動してポイントが増減します。
投資なので、ポイントが増えることも減ることもあります。しかし、たとえ減ったとしても自分のお金が減ることはなく、身銭を切らずに投資がスタートできますし、増えればポイントをもっとたくさん使うことができておトクです。
おわりに
ここまで、クレジットカードを利用してもらえるポイントを増やす方法やポイントを賢く活用する方法を紹介してきました。たしかに、1回ごとの決済でもらえるポイントはわずかかもしれませんが、コツコツ貯めれば大きな額になります。ぜひ実践してみてください。