住宅購入には多額の資金が必要なので、補助金や助成金、減税制度といった負担を軽減できる制度を利用できないか気になっている方も多いのではないでしょうか。各種制度を利用できる場合はお得に住宅を購入できるため、活用したいところです。
この記事では、住宅を購入する際に利用できる補助金や助成金、減税制度などについて解説します。住宅を購入するにあたって補助金を利用したいと考えている方は是非参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- 補助金や助成金、減税制度などを利用すれば、お得に住宅を購入できる
- 必ずしも利用できるとは限らないので、条件や申請期限などを確認することが重要
- 期限内でも予算上限に達した場合は利用できないので注意
住宅を購入したり建てたりする時の補助金とは?
補助金とは、一定の条件や基準を満たした場合、国や自治体から受け取れるお金のことです。住宅を購入する際には、多額の資金が必要です。そのため、住宅の購入になかなか踏み切れないという方も多いでしょう。
補助金を利用すれば、お得に住宅を購入できるため、負担を軽減できる点が大きなメリットです。しかし、住宅購入時に必ず補助金を利用できるとは限りません。提出書類の数が多く不備があると補助金を受けられない、申請期間内に申し込んだとしても予算の上限に達している場合は補助金を受けられないということに注意が必要です。
また、補助金によっては併用できないため、補助金を利用してお得に住宅を購入するには、適用条件をしっかり確認することがポイントです。
【国】住宅購入時に活用できる補助金
住宅購入に利用できる国からの補助金はいくつか種類があります。それぞれ申請の条件、期限、基準、補助金の額などが異なるため、違いをしっかり把握しておくことが大切です。
住宅購入時に活用できる補助金として、以下の4つが挙げられます。
- こどもエコすまい支援事業
- ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業
- 地域型住宅グリーン化事業
- LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅整備推進事業
それぞれの補助金を詳しく見ていきましょう。
1.こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業とは、新築住宅を購入する子育て世帯や若者夫婦世帯、リフォームを行う全ての世帯に向けた補助金制度です。
2023年から新しく開始された補助金で、ZEHレベルの高い省エネ性能を持つ住宅の新築または一定の条件を満たしたリフォームで補助金を受けられます。
申請条件 | 申込時に以下のいずれかの条件に該当する世帯 ・子育て世帯:18歳未満の子どもがいる ・若者夫婦世帯:申請時にどちらかが39歳以下 |
補助金額 | 新築住宅の購入で最大100万円 リフォームの実施で最大60万円 |
申し込み期限 | 2023年(令和5年)3月31日~予算上限に達するまで(遅くとも同年12月31日) |
2. ZEH支援事業
ZEH支援事業とは、要件を満たした住宅をZEHビルダーやプランナーとして登録されている施工会社で新築した場合に利用できる補助金制度です。
新築する住宅の性能によって、ZEH支援事業、次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業、次世代HEMS実証事業の3つに分類されます。
申請条件 | 登録済のZEHビルダーやプランナー(ハウスメーカー・工務店)などで、条件を満たした住宅を新築した方 |
補助金額 | ・ZEH支援事業 ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented:55万円/戸+α ZEH+、Nearly ZEH:100万円/戸+α ・次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業 ZEH+、Nearly ZEH:100万円/戸+α ・次世代HEMS実証事業 ZEH+、Nearly ZEH:112万円/戸+α |
申し込み期限 | ・ZEH支援事業 一次公募:2023年4月28日~2023年11月10日まで 二次公募:2023年11月20日~2024年1月9日まで ・次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業 2023年4月28日~11月10日まで ・次世代HEMS実証事業 2023年4月28日~11月10日まで |
3.地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業とは、高い省エネルギー性や耐久性などを持つ木造住宅を購入する場合に利用できる補助金制度です。
地域活性化の目的も兼ねていることから、同一地域の中小住宅施工会社や建材の流通を担う事業者が手掛けた住宅であることが条件となっています。
通常タイプまたはこどもエコ活用タイプのどちらを利用するかによって補助金の額が異なります。
申請条件 | 登録された事業者で、以下の条件に合う住宅を新築した方 ・長寿命型(認定長期優良住宅) ・ゼロ・エネルギー住宅型・長期対応(ZEH、NearlyZEH) ・ゼロ・エネルギー住宅型・ZEH(ZEH、NearlyZEH) ・ゼロ・エネルギー住宅型・低炭素(ZEH Oriented、認定低炭素住宅) |
補助金額 | 長寿命型(認定長期優良住宅):最大105万/135万円 ゼロ・エネルギー住宅型・長期対応:最大110万/140万円 ゼロ・エネルギー住宅型・ZEH:最大105万/135万円 ゼロ・エネルギー住宅型・低炭素:最大80万/110万円 ※通常タイプ/こどもエコ活用タイプ |
申し込み期限 | Ⅰ期:採択日~2023年11月20日まで Ⅱ期:12月上旬以降 |
4. LCCM住宅整備推進事業
LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅整備推進事業とは、ZEH住宅の条件に加えた場合に、住宅のライフサイクル(新築・改修・解体・再利用まで)で二酸化炭素の発生を抑えた住宅において利用できる補助金です。
申請条件 | ・強化外皮基準(ZEH水準の断熱性能)を満たすもの ・再生可能エネルギーを除き一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されているもの ・ライフサイクルCO2の評価結果が0以下となるもの など |
補助金額 | 上限140万円/戸(補助対象工事の掛かり増し費用の2分の1以内) |
申し込み期限 | 2023(令和5)年4月17日~9月29日まで |
【自治体】住宅購入時に活用できる補助金・助成金制度
国だけでなく、各地方自治体も独自の補助金や助成金制度などを設けている場合があるため、自身の居住する自治体で受けられる制度がないかを調べてみましょう。
地方自治体で受けられる補助金・助成金制度の例として、東京都・神奈川県・大阪府の3つの事例を紹介します。
1.【東京都】東京ゼロエミ住宅
東京ゼロエミ住宅とは、都内のエネルギー消費量の約3割を占める家庭部門の省エネ対策を推進し、東京の地域特性を踏まえた省エネ性能の高い住宅を普及させるための補助金です。
条件を満たした住宅を新築した建築主に対し、費用の一部を助成しています。
申請条件 | ・都内の新築住宅(戸建住宅・集合住宅等) ・床面積の合計が 2,000平方メートル未満を対象 ・新築住宅の建築主(個人・事業者)、太陽光発電設備・蓄電池およびV2Hのリース事業者 |
補助金額 | ・水準1:戸建住宅30万円/戸、集合住宅等20万円/戸 ・水準2:戸建住宅50万円/戸、集合住宅等40万円/戸 ・水準3:戸建住宅210万円/戸、集合住宅等170万円/戸 |
申し込み期限 | 令和5年4月3日(月)~ |
地域型住宅グリーン化事業やこどもエコすまい支援事業などとは併用できますが、ZEH化支援事業や次世代ZEH+実証事業などとは併用できないので注意してください。
2.【神奈川県】省エネ住宅住み替え補助制度
省エネ住宅住み替え補助制度とは、子育て世帯などが行う最高レベルの断熱性能を備えている省エネ住宅などへの住替えに要する費用の一部を補助するものです。
省エネ性能の高い住宅の普及および空き家の流通の促進を図ることによって子育て世帯の市内転入や定住の促進につなげることを目的とした補助金です。
申請条件 | ・市内の新築住宅であること ・断熱等性能等級(日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級のこと)の6または7の省エネ性能を有していること ・土砂災害特別警戒区域外の住宅であること |
補助金額 | 最大100万円(基礎額70万円、市外から転居した場合は30万円を加算) |
申し込み期限 | 令和5(2023)年4月3日以降予算上限に達するまで (遅くとも令和5(2023)年11月30日まで) |
一定の要件を満たす場合は、新築だけでなくリノベーションでも補助金を利用できます。
3.【大阪府】三世代同居・近居支援事業
三世代同居・近居支援事業とは、市外在住の子育て世帯と市内在住の親世帯が同居・近居するために市内で持ち家を取得する場合に費用の一部を助成するものです。
申請条件 | 【対象者要件】 ・子世帯が転入する前に1年以上継続して市外に居住・住民登録していたこと ・子世帯が令和5年1月25日以降に市外から転入していること ・子世帯が中学生以下の子(出産予定を含む)と同居している親子世帯であること など 【住宅要件】 ・3世代世帯の構成員のいずれかが、令和2年4月1日以降に契約し、市内に所有する住宅であること ・新築または売買により取得した住宅であること など |
補助金額 | 上限20万円/戸 |
申し込み期限 | 令和5年6月1日(木)から令和6年3月22日(金) |
要件を満たしていれば、持ち家の取得だけではなく、持ち家のリフォームの補助を受けられます。
住宅購入の際に活用できる減税制度
住宅購入の際には、以下のような減税制度の対象であれば、税負担を軽減することも可能です。
- 住宅ローン控除
- 贈与税非課税措置
- 不動産取得税の減税
- 登録免許税の減税
それぞれの減税制度について詳しく見ていきましょう。
1.住宅ローン控除
住宅ローン控除は、住宅を購入する際に利用できる減税制度の中では最もメジャーで、住宅ローンで住宅を取得した場合に、年末のローン残高の0.7%相当額が所得税・住民税から一定期間控除される制度です。
控除期間 | 13年(従来の住宅は2024年以降の入居の場合は10年) |
所得要件 | 2,000万円 |
床面積要件 | 50㎡(新築の場合は2023年までに建築確認で40㎡、所得要件1,000万円) |
ただし、上記のように利用できるのは年間所得金額が2,000万円以下の方に限られるほか、床面積や築年数などによって対象物件が一部制限されます。また、取得する住宅の省エネ区分によってローン残高の限度額が変化する点に注意が必要です。
2.贈与税非課税措置
住宅を購入するにあたって、父母や祖父母などから購入資金のサポートを受けたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
父母や祖父母などからお金を受け取った場合は、贈与税が課されます。しかし、住宅取得への資金援助の場合は、一定額までの贈与が非課税となるのが贈与税非課税措置です。
2022年4月1日~2023年12月31日までは、省エネ性や耐震性の高い住宅の場合は1,000万円、一般住宅の場合は500万円までの贈与が非課税となります。
参照:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
住宅の性能によって非課税となる上限額が異なるので注意してください。
3.不動産取得税の減税
不動産取得税とは、不動産を取得する際に納める税金です。通常の不動産取得税は本則税率の4%が適用されますが、2024年3月31日までに取得した場合の税率は3%に減税されます。
住宅を新築した場合には課税標準から1,200万円を控除する、中古住宅を取得した場合には新築時の控除額と同額を控除するといったように課税標準の特例措置も受けられます。
参照:国土交通省「不動産取得税に係る特例措置」
4.登録免許税の減税
登録免許税とは、不動産を取得して登記をする際に納める税金です。新築または建て替えをする際は以下のような登録免許税がかかります。
- 所有権保存登記:新居を登記する際に課される
- 抵当権設定登記:住宅ローン契約時に課される
- 抵当権抹消登記:住宅ローン完済時に課される
標準税率と減税内容を比較すると以下の通りです。
登記の種類 | 標準税率 | 軽減税率 |
所有権保存登記 | 固定資産税評価額×0.4% | 固定資産税評価額×0.15%、 長期優良住宅・低炭素住宅は0.1% |
抵当権設定登記 | 住宅ローンの借入額×0.4% | 住宅ローンの借入額×0.1% |
抵当権抹消登記 | 不動産1つにつき1,000円 | - |
抵当権抹消登記には軽減税率がありません。なお、不動産1つにつき1,000円なので、土地と建物の両方の抵当権を抹消する際は2,000円の登録免許税が課されます。
その他の優遇制度【フラット35】
住宅ローンのプランの1つであるフラット35では、省エネ性や耐震性の高い住宅の購入に対しては優遇制度を利用できる場合があります。
主な優遇制度として、以下の3つが挙げられます。
- 維持保全型
- 地域連携型(子育て支援)
- S(ZEH)
それぞれの優遇制度について詳しく説明していきます。
1. 維持保全型
維持保全型とは、新築住宅の購入でフラット35を契約する場合には、長期優良住宅・安心R住宅を対象に、5年間金利が引き下げられる優遇制度です。
維持保全型に該当した場合は年金利を0.25%引き下げられますが、フラット35Sと併用することで当初5年間の金利を0.5%引き下げられます。
2.地域連携型(子育て支援)
地域連携型とは、フラット35の運営会社である住宅金融支援機構と提携する地方自治体で提供する優遇制度です。
子育て支援の補助事業として、フラット35の借入金利が10年間0.25%引き下げられます。2022年4月より5年間から10年間に延長されたことで優遇制度が拡充されました。
3. S(ZEH)
S(ZEH)とは、ZEH基準をクリアした住宅でフラット35を契約する際、5年間は0.5%、6年目から10年目までは0.25%借入金利が引き下げられます。
2022年10月以降の設計検査申請分が対象となります。
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おわりに
住宅を購入する際は多額の資金を必要とするため、なかなか一歩を踏み出せない方も多いでしょう。しかし、補助金を利用できれば、住居費の負担を少しは軽減できるので、利用可能な補助金を検討することをおすすめします。
利用できるのは国が提供する補助金だけではありません。県や市といった自治体が提供する補助金や助成金、減税制度などもあり、うまく組み合わせることによってお得に住宅を購入できます。
しかし、必ずしもこれらの優遇制度を利用できるとは限りません。条件や申請期限などがあるため、内容をしっかり確認しましょう。