犬を新しい家族として迎え入れようとする際に、室内で飼おうと考える家庭は少なくありません。しかし、犬を室内飼いしたことのない方にとっては、愛犬が安全で快適に過ごせる部屋のレイアウトをどのようにしたら良いのか悩むこともあるでしょう。このコラムでは、犬を室内飼いする時のレイアウトのポイントや、注意点などを解説します。飼い主と愛犬の双方が楽しく暮らすためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を読んでわかること
- 犬のトイレ置き場は、人目につきにくく落ち着いた場所に置くのが良い
- ケージやサークルは玄関、道路に面した窓際を避けた部屋の中央部分に設置する
- 危険な物がある場所などにはゲートを設ける
- 誤飲を防ぐために、薬や化粧品、犬が食べてはいけない物は手の届かないところへ置く
犬を室内飼いすることのメリットとデメリット
ひと昔前までは、犬を飼うというと家の庭にケージを設け、世話をするイメージが強かったかもしれません。しかし、近年では一軒家当たりにおける庭のスペースの縮小化や、マンションなどの集合住宅が増加したことなどを理由に、室内で犬を飼う家庭が増えてきました。まずは、犬を室内飼いすることのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
犬を室内飼いすることの最大の魅力は、好きなだけ愛犬と一緒にいられることです。犬にとっても大好きな飼い主とともに多くの時間を過ごせるのは、幸せなことではないでしょうか。共有する時間が長い分、外飼いと比較してもコミュニケーションやスキンシップが頻繁にとれるため、今日のご機嫌はどうか、今どんなことをしているかなど、犬の様子を確認しやすいです。
また、「いつもより食欲がないな」、「寒がっているな」といった体調の異変や、ケガをした場合にも気付きやすくなります。他にも、外気温の大きな変化や台風などの悪天候の際に、家の中で気にすることなく安心して過ごせることは、飼い主にとっても犬にとってもメリットといえるでしょう。
デメリット
愛犬と過ごす時間が増える一方、室内で犬を飼うことによって抜け毛で部屋が汚れやすいことや、トイレなどの臭いが気になることなどのデメリットが生じます。抜け毛をそのままにしておくと衛生面が心配になります。他にも、動物の毛に対してアレルギーがある方を、家に招待することが難しくなるかもしれません。また、トイレや無駄吠えなどのしつけをしておかないと、ご近所とトラブルになることもあるので注意が必要です。
室内飼いをする前に、知っておきたい犬のこと
これから飼う犬を決めるという方は、前もって犬について学んでおくことで、どのタイプの室内犬がご自身の家にぴったりなのかの傾向を知ることができます。ここでは、犬種や性別の違いなどから室内犬を飼うポイントを解説していきます。
犬種による特性
犬を室内で飼う場合は、犬種によって異なる特性を学習しておきましょう。例えば、洋犬と日本犬では縄張り意識に違いがあります。日本犬は、洋犬より縄張り意識や警戒心が強いためパーソナルスペースを広く確保しなければなりません。室内に十分な広さのパーソナルスペースを設けられない場合は、洋犬の方が向いているといえるでしょう。
また、犬の被毛はダブルコート(下毛と上毛の二重構造)とシングルコート(上毛のみ)に分かれます。ダブルコートの場合、春と秋に換毛期を迎え、抜け毛の増える時期があります。飼い主がブラッシングをしてあげたり、こまめに部屋を掃除したりといった労力が必要です。初めて室内犬を飼う方は、抜け毛が1年を通して安定しているシングルコートの犬種が比較的飼いやすいでしょう。
犬の大きさ
犬は大きさによって大型犬、中型犬、小型犬に分類されます。マンションなどの集合住宅で犬を飼う場合は、犬の大きさに制限を設けているところもあるので、事前に確認しておくと間違いありません。また、最近では小型犬だけでなく大型犬を室内で飼う家庭も多く見られます。大型犬を飼う場合は、パーソナルスペースをしっかりと作ってあげましょう。ご自身の家の環境や広さをチェックして検討すると安心です。
オスとメス
同じ犬種でも、オスとメスでは習性や性格に違いが出てきます。オスの場合、発情期はなくマーキングやマウンティングをする習性があります。活発なため運動不足に陥ると攻撃的になることがあるので、愛犬とたくさん遊んであげると良いでしょう。
また、メスは避妊手術をしていない場合、年に2回ほどの発情期と生理による出血があります。生理の時には、部屋を汚さないようにオムツを用意しましょう。オスと比べると温和でおとなしい性格の犬が多いため、のんびりとした時間を共有したい方におすすめです。
参照元:わんちゃんホンポ|飼いやすい犬ランキング20選!小型、中型・大型の理由や種類
室内犬にとって快適な部屋作りとは?
犬にとって快適な部屋は、病気やケガを防止することにつながります。過ごしやすい部屋を作る際には、犬の目線に立つことが重要です。犬の立場になって部屋作りを考えると、安全面や温度調節など環境面の配慮が必要であることが見えてきます。では、具体的にどのような環境を整えてあげると良いのか紹介していきます。
危険な箇所がない安全な部屋であること
犬が近づくと危険な箇所には、犬が来ないように工夫をすることが重要です。例えば、暖房器具が置いてあるリビングや、火を使うキッチンは触れると危ないので注意しましょう。他にもコンセントや電源コードにも気をつける必要があります。電源コードを犬がかじって火傷を負ったり、感電したりするケースもしばしば見られます。
近づいてほしくない箇所には、安全性が高く犬の苦手な臭いのするスプレーを吹きかけておく方法もおすすめです。また、テーブルや棚などのでっぱりや角張った物には、クッションをつけるなどしてケガから守りましょう。
誤飲などの心配がない安心な部屋であること
私たちが普段生活する中で無意識に置いてある物を、犬が興味を持ち口の中に入れてしまうことがあります。事故を防ぐためにも、化粧品や飲み薬、たばこなど誤飲する恐れがある物は、犬がいたずらできない場所に保管しておいてください。
また、人間にとっては美味しい食べ物や嗜好品でも、犬が口にすると危険な物が多くあります。以下は犬が食べてはいけない食材の一例です。口にすると大変危険なので細心の注意を払いましょう。
- アーモンド
- チョコレート
- にんにく
- 玉ねぎ(ネギ類)
- ぶどう(レーズン含む)
- キシリトールを含む食べ物
温度や空気などが調節され、過ごしやすい部屋であること
過ごしやすい部屋の環境作りには、部屋の温度調節が欠かせません。ちょうど良い室内の温度は、夏と冬、被毛の種類によって変わります。適温の目安はこちらです。
夏の時期 | 冬の時期 | |
ダブルコート | 23~26℃ | 19~23℃ |
シングルコート | 22~25℃ | 20~25℃ |
ダブルコートの犬種は換毛期があるため、シングルコートよりも寒さに耐えられる傾向にあります。また、体の小さな犬の場合、寒さに弱いため冬場の温度調整には特に気を遣いましょう。寒くて体を丸めたり震えたりしていないか、犬の様子をよく観察して調整してください。エアコンや暖房をつける際は、犬の体に直接当たらないようにする必要があります。
また、こまめに換気をして新鮮な空気を取り込むことも必要です。ただし、外の様子を感じ過ぎてしまうとストレスになることがあるので、外が見える窓にはカーテンなどで目隠しをしてあげると良いでしょう。
整理整頓された清潔な部屋であること
アクセサリーなどの小物類や犬のおもちゃなどの置き場所は、勝手に遊ばないよう犬の届かない場所にしまって整理整頓しておくと、散らかることなく安心です。また、抜け毛対策として頻繁に掃除する、消臭対策ではトイレの後始末をしたゴミ箱のフタをしっかり閉める、といったことを意識しましょう。整理整頓された清潔な状態で部屋が保たれていると、人間も犬も気持ちよく過ごせます。
参照元:愛犬 お悩みブログ|室内で犬を飼う場合のレイアウトのポイントは?|準備から注意点まで詳しく紹介
犬を室内飼いするためのレイアウトのポイント
部屋をレイアウトする際、飼い主が扱いやすい場所にトイレやゲージを置いても、犬にとって快適でなければストレスを与えてしまうかもしれません。狭いリビングで犬を飼う場合や、犬専用部屋を設ける場合など、犬が落ち着いて過ごせるようレイアウトのポイントをおさえておきましょう。
トイレの置き場所
トイレの置き場所は、犬が落ち着いて排泄できるよう、人の出入りが少ない場所や人目につきにくい場所を選ぶと良いでしょう。トイレの臭いが気になる方は、リビングではなく別の部屋に置くことも可能です。また、トイレをいつでも清潔に保ちやすくするために、排泄物を片付けやすい場所を選ぶこともポイントです。
ケージやサークルを置く
犬は縄張り意識を持ち警戒心が強い動物です。知らない人が近づくと危険を知らせるために吠える習性があるので、犬の家であるケージやサークル、クレートを置く際は、玄関や道路に面している窓際は避けましょう。人の動きが見える場所は避け、風通しが良い場所を選ぶことも大切です。
また、狭いリビングの場合は遊ぶスペースに限りがあり、犬が落ち着けません。もし空いている部屋がある場合は、犬専用部屋を設けるのもおすすめです。その際は部屋全体が犬の縄張りとされるため、ハウスを部屋の中央に置くと、犬が安心できるでしょう。
床に工夫をする
一般的な家庭のフローリングは、ツルツルしていて爪が引っかかりにくいため、犬にとって滑りやすい状態です。そのため、足を滑らせて転倒しケガをする可能性があります。犬の足に負担をかけないようにするためにも、クッション性のあるマットやカーペットを敷くと良いでしょう。また、汚れた時にすぐ掃除ができるよう、部分的に取り外しのできるタイルカーペットもおすすめです。
ゲートを設ける
家の中を自由に動き回れることは、犬のストレス解消に効果的です。しかし、家の中には犬に入ってほしくない場所や危険な場所がたくさんあります。犬にとって危険な場所や立ち入ってほしくない場所には、ゲートで仕切りをつける工夫をしましょう。
例えば、家電や調味料など犬にとって危険が多くあるキッチン、石鹸やシャンプーがあるお風呂などです。お風呂の場合は、水を張ったバスタブに誤って入ると、犬が溺れる危険性もあるので要注意といえます。また、犬は玄関が開くと興奮し外へ飛び出してしまい、それが事故につながる危険性もあります。ゲートをきちんと設けて事故を防ぎましょう。
犬を室内飼いする時の注意点
犬を室内で飼うと、騒音や臭い、抜け毛などさまざまな問題が生じます。この章では、近隣トラブルを招きかねない問題や、犬とご自身の健康が危ぶまれる問題について、注意点と対策方法をまとめました。
騒音対策
住宅が密集した地域では、犬の鳴き声が騒音となり近隣住人とのトラブルの元になることが多くあります。全く吠えないようにすることは難しいですが、無駄吠えをさせないことも飼い主が行うべきしつけのひとつです。「無駄吠えをすると飼い主が怒る」という姿勢をはっきり見せて、だんだんと減らしていきましょう。
消臭対策
動物特有の臭い対策には、トリミングサロンでの定期的なシャンプーが欠かせません。耳や歯、肛門腺のお手入れを怠ると、それが体臭が強くなる原因にもなります。家庭でも日常的にドライシャンプーをしたり、温かい濡れタオルで身体を拭いたりといったケアをしてあげると臭いが軽減されます。
また、犬のトイレでは、消臭効果のあるペットシーツなどを使ったり、排泄物は消臭機能を持つ袋や密閉できる入れ物を使用したりして、臭いの発生を抑えましょう。おしっこがかかってしまった布の洗濯やトイレの掃除をこまめにすることも忘れないでください。洗濯や掃除をしても、臭いが気になる部分や洗濯のできないクッションなどには、犬専用の消臭・除菌スプレーを使用することもおすすめです。その場合は、犬への安全性が確認された物を選びましょう。
抜け毛対策
抜け毛対策として、習慣的にブラッシングしましょう。特にマンションなどの集合住宅にお住まいの方は、共有部などに抜け毛が散らばらないように配慮する必要があります。ケアをする時には、近隣住民に迷惑がかからないよう、必ず室内で行うことも大切です。ベランダや外で干すマットや犬用のベッドは、粘着テープや掃除機を使って念入りに毛を取り除いておきましょう。換毛期を迎える時には、犬用の洋服を着せたり、クレートに入れて移動をしたりと毛が共有部分に落ちないよう気をつけることも必要です。
寝室は分ける
犬と一緒に寝室で寝る方もいるかもしれませんが、家族と犬の寝室は分けることをおすすめします。なぜなら、皮膚疾患といわれる犬のアトピーなどは、人間由来のダニが原因で起こることがあるため、家族の皮脂汚れがついたシーツなどは触れない方が良いとされているからです。また、家族も睡眠中に犬の毛を吸い込む恐れがあるので、衛生面上避けた方が安心です。どうしても、同じ空間にいたい場合は、寝室の中に犬用ベッドを用意し、シーツや枕などの寝具を使わせないようにしましょう。
賃貸マンション
ペットを飼うことができる賃貸マンションでは、ルールやマナーを守り、住んでいる方が安心して暮らせるよう配慮する必要があります。なかには犬が苦手な方もいる可能性があるため、エントランスやエレベーター、廊下などの共有部分ではクレートに入れたり、抱っこをしたり、リードを短く持ち飼い主から離れないようにしたりと、気を配りましょう。
ペットに関するリフォームをお考えなら「ペットと暮らすリフォーム」
犬と暮らす中で、「のびのびと遊ばせてあげたい」、「安全でストレスが少ない部屋を作りたい」と考える方や、「動物特有の臭いがとれない」、「壁や柱に傷が増えた」などの悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。くらしのセゾンが提供する「ペットと暮らすリフォーム」では、飼い主と愛犬の快適な暮らしを専門スタッフがサポートします。消臭効果のある壁材や傷に強い床材など、ペット専用の建材を豊富に取り揃えています。また、調査や見積もりは無料です。ペットに関するリフォームを検討される際は、ぜひご相談ください。
おわりに
犬を室内飼いする際のレイアウトのポイントには、トイレやケージ・サークルを犬が落ち着ける場所に置くこと、足腰に負担のかかりにくい床材にすることなどがあります。また、誤飲やケガを防ぐために安全・安心には充分に配慮しましょう。室内で快適に過ごすには、消臭・防音などの対策も大切です。犬目線で過ごしやすい環境を整え、飼い主にとっても犬にとっても幸せな毎日を送れるようにいろいろと試してみてください。