せっかく洗濯しても、衣類やタオルから生乾き臭がすると気が滅入ってしまいます。ご自身だけでなく周囲に不快感を与えないためにも、生乾き臭は解消したいものです。
本コラムでは、洗濯物の生乾き臭を消す対処法を紹介します。効果的かつ、すぐに実践できるやり方をまとめました。併せて、生乾き臭の原因や予防策にもふれています。洗濯物の生乾き臭にお悩みの方は、内容を参考に気持ち良く使える衣類やタオルに復活させませんか。
この記事を読んでわかること
- 洗濯物から生乾き臭がするのは、モラクセラ菌の排泄物が原因
- 生乾き臭を消すには、洗濯物をお湯や酸素系漂白剤につけ置きしたり、コインランドリーの乾燥機などを活用して高温にさらしたりするのが有効
- 洗濯物にサーキュレーターで風を送る、こぶし1個分の間隔を空けて干すといった工夫によって、生乾き臭が予防できる
生乾き臭の主犯はモラクセラ菌!まずは相手を知ろう
洗濯物から生乾き臭がする主な原因は、モラクセラ菌という微生物の排泄物によるものです。モラクセラ菌についてあまり聞いたことがないかもしれませんが、私たちの身の回りに潜んでいます。しかし、モラクセラ菌自体が嫌な臭いを発するわけではありません。モラクセラ菌が洗濯物に付着して繁殖し、排泄物を出すときに雑巾のような臭いを放出するのです。
具体的な生乾き臭を消す方法を知る前に、まずはモラクセラ菌の特徴を把握しておきましょう。
水分や皮脂があると繁殖する
モラクセラ菌は、水分や皮脂をエサに繁殖します。洗濯物に長時間水分が留まっていたり、皮脂汚れが残っていたりすると、モラクセラ菌にとって繁殖するのに好都合なのです。
モラクセラ菌は、洗濯後5時間ほど経つと猛烈に増えるとされています。つまり、洗濯物の乾燥時間が長くなると、モラクセラ菌が増殖し、嫌な臭いが放出されます。雨の日や梅雨時期に生乾き臭が気になるのは、湿気が高く洗濯物がなかなか乾かないことが一因です。
洗剤・乾燥・紫外線に強い
洗濯物の生乾き臭が「消えたと思ったけれど濡れたらまた臭った」「なかなか取れない」と感じたことはありませんか?
それは、モラクセラ菌が洗剤や乾燥、紫外線に対し強い性質を持っているためです。モラクセラ菌は通常の洗濯をしたり、天日に干して紫外線を浴びさせたりしても完全に死滅しません。そのため、洗濯物が乾いてすぐは気にならなくても、濡れると再び嫌な臭いが戻ってしまうのです。
熱への耐性は弱い
洗剤や乾燥などに強いモラクセラ菌ですが、熱が弱点です。モラクセラ菌は、80℃の高温にさらすと死滅、65℃の熱に10分間さらすと発育が抑制されます。洗濯物の生乾き臭を消すには、熱がキーポイントになることを覚えておきましょう。
参照元:メ~テレ|梅雨時の洗濯物の生乾き臭、原因は「モラクセラ菌」 撃退のカギは高温
【すぐ実践できる】生乾き臭を消す5つの対処法
モラクセラ菌の特徴がわかったところで、生乾き臭を消す対処法をお伝えします。ここでは、すぐ実践できる方法をまとめました。
お湯につけ置きしてから洗濯する
生乾き臭が気になる衣類やタオルを、お湯につけ置きしてから洗濯する方法です。60~70℃くらいのお湯に洗濯物をつけ、モラクセラ菌の除菌を図りましょう。お湯につける時間は、30分程度を目安にしてください。
また、洗濯物を鍋で煮る煮沸消毒はより高温にさらされますので、生乾き臭の撃退に有効です。煮沸消毒の手順は以下のとおりです。
【煮沸消毒の方法】
- 鍋に洗濯物を入れ、洗濯物がつかる程度の水をそそぐ
- 鍋を強火にかける
- 沸騰したら10分程度煮る
- トングなどで洗濯物を取り出してザルにあげる
- 洗濯物の水分をしぼって干す
ポイント
洗濯物をお湯につける前に、衣類やタオルなどが高温に耐えられるか洗濯表示を見てみましょう。同様に、お湯を入れる洗面器やバケツの耐熱温度の確認も必要です。また、煮沸消毒の時間は10分程度に留めておいてください。長時間煮てしまうと、生地を傷めかねません。
酸素系漂白剤や重曹につけ置きする
洗濯物を酸素系漂白剤や重曹につけ置きすると、生乾き臭の解消が望めます。どちらもお湯に溶かしてから洗濯物をつけ置きし、その後に普段どおり洗濯しましょう。
モラクセラ菌は洗剤への耐性が強いですが、酸素系漂白剤につけると除菌・殺菌が目指せます。水ではなく40~60℃のお湯に溶かしてつけ置きすると、より効果的です。溶かす分量は、パッケージに記載されている「つけ置き」の説明に従ってください。
臭いを吸着させる働きがある重曹につけ置きするのも、おすすめです。重曹は弱アルカリ性であることから、皮脂汚れの除去にも役立ちます。重曹は水に溶けにくいので、40~50℃のお湯に溶かしてつけ置きしましょう。
酸素系漂白剤と重曹を溶かすお湯の温度やつけ置き時間などを表にまとめました。
酸素系漂白剤 | 重曹 | |
お湯の温度 | 40~60℃ | 40~50℃ |
つけ置き時間 | 20分程度 | 30分程度 |
濃度 | パッケージの説明に従う | 10Lに対して大さじ1杯 |
ポイント
酸素系漂白剤は液体タイプと粉末タイプが販売されていますが、生乾き臭の撃退には粉末タイプを選びましょう。粉末タイプの主成分は過炭酸ナトリウムのため、過酸化水素がメインの液体タイプよりも高い除菌・殺菌効果が見込めます。
実践前に、洗濯物の目立たない部分に酸素系漂白剤をつけて変色しないか確かめておきましょう。万が一、色が変わるようであれば、酸素系漂白剤の使用は控えてください。
重曹は、いつもの洗剤に加えて洗濯するだけでも生乾き臭を抑制できます。ただし、冷たい水では重曹がしっかり溶けません。そのため、洗濯槽に洗濯物とお湯に溶かした重曹を入れ、つけ置きしてから洗剤を入れて洗うのがおすすめです。
コインランドリーの乾燥機で乾かす
手軽に洗濯物の生乾き臭を取る方法をお探しの方は、コインランドリーの乾燥機で乾かしてみてください。コインランドリーに導入されている乾燥機は家庭用よりパワーがあり、70~80℃くらいで洗濯物を乾かします。高温にさらされることによりモラクセラ菌が死滅するため、嫌な臭いが発生しません。短時間で乾かせる点も、生乾き臭対策につながります。
ポイント
コインランドリーの乾燥機を利用する場合、お湯のつけ置きと同様に、洗濯物が高温に耐えられるか事前にチェックしてください。また、高温で乾燥するがゆえに利用頻度が高いと衣類やタオルが傷む恐れがあります。洗濯のたびにコインランドリーに持ち込むのではなく、生乾き臭が気になるときや雨の日などの利用に留めておきましょう。
アイロン(中~高温)で乾かす
洗濯物をアイロンで乾かすのも、生乾き臭を消す方法のひとつです。洗濯物をいったん干し、8割程度乾いたら中~高温のアイロンで加熱していきます。生地に水分が残っている状態で高温のアイロンが当てられると、繊維の内部まで熱が届いて除菌効果がアップします。同時に洗濯物のしわ取りにもなりますので、Yシャツなど薄手の衣類の生乾き臭を消したいときに試してみてください。
ポイント
アイロンを使用する際は、スチームではなく「ドライ」に設定しましょう。というのも、スチームだと蒸気が発生して再び洗濯物に水分が付着し、生乾き臭が戻ってしまうリスクがあるためです。加えて、注意したいのが洗濯物の素材です。厚い生地のものはアイロンをかけても、内部にまで熱がきちんと届きません。アイロンを用いて生乾き臭を消したい場合は、設定と生地の厚さに気をつけましょう。
また、洗濯物が高温に耐えられるかも忘れずにチェックしてから実践してください。
クリーニングに依頼する
洗濯物の生乾き臭がなかなか取れないときは、一度クリーニングに出してみるのがおすすめです。プロの手にかかれば、生乾き臭もすっきり解消されます。クリーニング店によってはオプションに「臭い除去」があり、頑固な生乾き臭も撃退できるでしょう。
ポイント
クリーニング店に依頼するとなると、洗濯物を店舗に持ち込んだり、引き取りに行ったりしなければなりません。仕事の都合や家庭の事情によっては、面倒に感じてしまうでしょう。そこでおすすめなのが、宅配クリーニングです。宅配クリーニングなら、洗濯物の引き渡し・受け取りが自宅で完結するため、手間がかかりません。
くらしのセゾンでは、宅配クリーニングのサービスを行っています。スマホからいつでも注文でき、集荷や配達の送料が0円。抗菌加工・シミ抜きといったサービスが無料で追加できるのも魅力です。洗濯物の生乾き臭でお困りの際は、くらしのセゾンの宅配クリーニングにお任せください。
生乾き臭を発生させないための予防策
生乾き臭は消す手立てがあるものの、できることなら発生させたくないものです。生乾き臭を予防するには、洗濯機の衛生状況や洗濯物の干し方などを見直す必要があります。では、具体的な予防策を見ていきましょう。
洗濯機内をきれいに掃除する
生乾き臭の発生を防ぐためにも、洗濯機内は清潔にしておいてください。洗濯槽やゴミ取りネットなどにはホコリ・洗剤カスといった汚れが付着しています。
いくら洗濯物をお湯や酸素系漂白剤などにつけてから洗っても、洗濯機の中が汚れていたら雑菌が繁殖してしまい、生乾き臭の発生を抑制できません。そのため、洗濯機内は月1回を目安に掃除しましょう。
掃除箇所 | 掃除方法 |
洗濯槽 | ゴミ取りネットを取り外す 40~50℃のお湯を満水位置まで溜める 洗濯槽クリーナーを投入する 「洗浄コース」を回す ゴミを取り除く |
洗剤投入ケースゴミ取りネット など | 取り外してお湯をかける パーツや本体接続部分を歯ブラシでこすり洗いする |
なお、洗濯槽を掃除する際は、塩素系クリーナーを選ぶのが無難です。酸素系クリーナーや重曹は、ドラム式洗濯機に向いていない場合があります。頑固な汚れには洗濯機メーカー純正のクリーナーがおすすめです。より詳しいお手入れ方法は、洗濯機の説明書を参照してください。
一度にたくさんの洗濯物を詰め込まない
洗濯時に注意したいのが、洗濯機に入れる洗濯物の量です。洗濯機の中に洗濯物を詰め込み過ぎてしまうと、きちんと汚れが落ちません。
洗濯物がかさんでいるがゆえに洗濯機がうまく回らず、洗いムラが生じるのです。皮脂汚れが残っていれば、モラクセラ菌の繁殖を助長してしまいかねません。一回の洗濯物の量は、洗濯槽の7~8割を目安にしましょう。
洗濯物をできるだけ短時間で乾かす
生乾き臭を予防するには、いかに短い時間で洗濯物を乾かすかも肝心です。先ほど、モラクセラ菌は洗濯後5時間ほどで猛烈に増殖するとお伝えしました。干し方を工夫し、できるだけ5時間以内の乾燥を目指しましょう。
洗濯がおわったらすぐに干す
洗濯がおわっても、しばらくそのままにしていませんか?水分がこもったまま洗濯槽内に放置しておけば、モラクセラ菌が好む環境下に洗濯物を置いていることになります。洗濯が終了したら長時間入れたままにせず、すぐに干すよう心がけてください。
部屋干しするなら干し方を工夫する
洗濯物を部屋干しする場合、なかなか短時間で乾きません。そこで、洗濯物が効率良く乾くよう、要点を押さえて干しましょう。
- 部屋の中央で干す
- エアコンの吹き出し口付近に干す
- サーキュレーターなどで洗濯物に風を送る
- 洗濯物同士の間隔をこぶし1個分開ける
- アーチ干しやじゃばら干しなどで洗濯物を干す など
洗濯物を早く乾かすには、風通しの良さがキーポイントです。ついカーテンレールに洗濯物を吊るしがちですが、窓際ではなく風が通りやすい部屋の中央に干しましょう。エアコンの風が当たるところに干したり、サーキュレーターなどで洗濯物に風を送ったりするのも有効です。
また、洗濯物同士は密着させずに干すようにしてください。目安の間隔は、こぶし1個分です。アーチ干しやじゃばら干しなどをすると、空気循環が良くなり効率良く乾かせます。詳しい干し方を見てみましょう。
【洗濯物が乾きやすい干し方】
用いるシーン | 干し方 | |
アーチ干し | 物干し竿やピンチハンガーで洗濯物を干す | 外側(両サイド)にタオルなど長いもの、内側に靴下といった短いものを吊るし、洗濯物がアーチ状になるように干す |
じゃばら干し | ピンチハンガーに大きい洗濯物を干す | じゃばらのようになるように山折りと谷折りを繰り返して干す |
筒干し | ピンチハンガーに厚手のズボンを干す | 穿き口を広げるようにピンチで挟み、筒状にして干す |
洗濯物の生乾き臭に関する疑問を解決
最後に、生乾き臭に関する疑問にお答えしていきます。気になる点を解決し、生乾き臭の撃退や予防を目指しましょう。
消臭スプレーは生乾き臭にも効果がある?
消臭スプレーで生乾き臭の軽減を図ることも可能です。スプレーを吹きかけるだけで生乾き臭にアプローチできますので「今日着る服の生乾き臭が気になるから応急処置したい!」というケースに向いています。消臭スプレーは、臭いの原因菌を分解・破壊するタイプの商品がおすすめです。
生乾き臭対策に有効な洗剤を見つけるには?
洗濯洗剤はさまざまな商品が販売されていますが、生乾き臭対策には「部屋干し用」がふさわしいでしょう。部屋干し用の洗剤は除菌力や殺菌力が強く、生乾き臭を防ぐ効果が見込めます。
お風呂の残り湯を洗濯に使っても良い?
生乾き臭の予防という観点からは、お風呂の残り湯を洗濯に使用するのはあまりおすすめできません。残り湯には皮脂や垢などが含まれており、一晩経つと雑菌が大幅に増えてしまいます。雑菌が繁殖したお湯を洗濯に使用すれば、かえって生乾き臭が発生しかねません。
お風呂の残り湯で洗濯したい場合は、その日のうちのなるべくきれいなお湯を使いましょう。また、残り湯の使用は「洗い」に留めてください。「すすぎ」にはきれいな水を使用することで、残り湯で洗濯しても生乾き臭が抑えられます。
おわりに
洗濯物の生乾き臭を消すには、モラクセラ菌の撃退が肝心です。モラクセラ菌は熱に弱いので、洗濯物をお湯につけたりコインランドリーで乾かしたりする方法で、生乾き臭の解消を図りましょう。
また、洗濯機の掃除・干し方の工夫で生乾き臭の予防が可能です。今回紹介した対処法を参考に、爽やかに着られる衣類や気持ち良く使えるタオルに蘇らせましょう。