オリーブは、そのおしゃれな見た目からおうちのシンボルツリーとしてはもちろん、インテリアグリーンとしても人気の高い樹木です。地植えでも鉢植えでも育てられるオリーブは、平和の象徴とされ、記念樹として贈られることも多いのが特徴です。そんなオリーブの木は、剪定しないと樹形が乱れるだけでなく、病害虫が発生する恐れもあります。この記事では、オリーブの剪定方法をはじめ剪定時期や注意点なども紹介していきます。
この記事を読んでわかること
- オリーブは生長速度が速く、大きいもので2m以上にもなる樹木
- オリーブは定期的な剪定によって、樹形を整えられ病害虫の発生も予防可能
- オリーブは強剪定を2~3月頃に行い、弱剪定であれば1年を通して行える
- オリーブの強剪定は、適した時期に行わないとオリーブに大きいダメージを与える
オリーブとはどのような樹木?
オリーブはモクセイ科の常緑樹木。原産地は地中海沿岸で夏は暑く乾燥した地域で育っています。そのため、日当たりと風通しの良い場所を好む植物です。銀緑の葉や小さくて白い花など、1年を通して楽しむことができます。オリーブはその見た目の美しさから、家のシンボルツリーとして多く活用されるほか、結婚や出産、新築祝いなどの記念樹、家内安全の縁起樹として贈られることもあります。
また、秋頃にオリーブの実を収穫できれば、自家製のオリーブオイルを作ったりピクルスに加工したりして楽しむこともできます。
オリーブの木に剪定が必要な理由
オリーブは生育旺盛な樹木のため、1年で10cmも伸びる枝があります。大きくなると2m以上に生長するため、育成環境のスペースが限られる場合は、定期的な剪定が必要となります。以下では、さらに細かく剪定する理由について説明します。
- 樹形を整えるため
- 実のつきを良くするため
- 病害虫を防ぐため
生長スピードの速いオリーブは、樹形を崩さないために乱れた枝を整える剪定を行います。オリーブの実を収穫したい場合は、実がつく新芽を残すように枝を間引いたり整えたりする必要があります。
また、伸びすぎた葉や枝が密になると、日当たりと風通しが悪くなり病害虫が発生しやすいため、病害虫の予防のためにも剪定は必要です。
オリーブの剪定に適した時期
オリーブの剪定は、オリーブの樹形を整えるために行う強剪定(春の剪定)と、枝を少し間引くために行う弱剪定(通年)があります。強剪定は、オリーブの生長がゆるやかになる2~3月頃に行いましょう。
強剪定を生育期に実行すると、オリーブに大きな負担がかかるだけでなく、最悪の場合枯れる可能性もあるので注意が必要です。不要な枝だけを切る軽い剪定の弱剪定は年間を通して行いましょう。
オリーブの木の剪定方法
ここからは、オリーブの木の剪定方法について詳しく解説していきます。
剪定に必要な道具
まずは、オリーブの剪定に必要な道具を準備しましょう。必要となる道具には以下のものが挙げられます。
- 植木バサミ
- 剪定バサミ
- 剪定ノコギリ
- 癒合剤
- 脚立
- 軍手
植木バサミと剪定バサミは、枝の太さによって使い分けると便利でしょう。植木バサミでも剪定バサミでも切れないような太い枝は、剪定ノコギリが活躍します。
そして、切断した切り口から病原菌が侵入するのを防ぐ癒合材も準備しておきましょう。脚立や軍手は、高い部分の剪定やケガ防止のため、必要に応じて用意しておくと安心です。
なお、最近では剪定に必要な道具を100円ショップでも買いそろえることが可能です。しかし、植木バサミや剪定バサミといった刃物類は、あまり安いものだと切れ味が悪い場合があり、枝を傷つける原因にもなるため注意が必要です。
剪定する不要な枝の種類
オリーブの樹形を乱す不要な枝(不要枝:ふようし)が剪定の対象となります。不要枝には以下のような種類があります。
- 枯れ枝:枯れている枝
- 徒長枝(とちょうし):他の枝と比べて勢いよく上に向かって太く長く伸びる枝
- 内向枝(ないこうし):内側に向かって伸びる枝
- 交差枝(こうさし):他の枝と交差しながら生えている枝
- 逆行枝(ぎゃっこうし):内側に向かって伸びて太い枝や幹と交差する枝
- 立ち枝(たちえだ):まっすぐ上に向かって伸びている枝
- 平行枝(へいこうし):周りの枝と平行に同じ方向に伸びている枝
- 逆さ枝(さかさえだ):下に向かって伸びている枝
- ひこばえ:根本から生えてくる枝
不要枝は見つけ次第、剪定する対象の枝ではあります。ただし、平行枝の場合は同じ方向に伸びている枝のうちどちらか一方を残して切断し、ひこばえは仕立て方によっては残すこともあるので、剪定する枝を見定める必要があります。
オリーブの強剪定
強剪定は、オリーブの生長がゆるやかになる休眠期に、樹形を変えるための剪定方法です。まず、剪定後の樹形をイメージし、枝を細かく確認していきます。イメージできたら長すぎる枝を中心に根元から剪定していきます。
実をつけたい枝がある場合は、維持しながら間引き剪定するのがポイントです。最後に太めの切り口部分に癒合剤を塗って完了です。
オリーブの弱剪定
弱剪定は、オリーブの生長や見た目に影響を与える可能性のある枝を取り除くための剪定方法です。弱剪定は枯れ枝や病害虫の被害にあった枝を剪定していきます。その他の枝に関しては、混み合った枝や傷んでいる枝を切り落とし、樹形を整える程度の軽めの剪定にとどめておきましょう。
オリーブを剪定する時の注意点!
ここからは、オリーブを剪定する時の注意点について解説していきます。
植えてすぐのオリーブは剪定しない
植えてすぐのオリーブは剪定が必要ありません。植えたばかりのオリーブの木は、まだ葉や枝が少ない状態のものがほとんどです。その状態で剪定を行うと、オリーブの木が弱まる原因になる場合があるので注意しましょう。
剪定後の樹形のイメージが大切
オリーブの剪定で大切なことは、剪定後の樹形のイメージをしっかり持つことです。イメージしないまま剪定を進めてしまうと、気づいた時には思っていた以上に枝が減り、スカスカで寂しい樹形になる場合があります。
失敗しないためにも、剪定の途中で離れた場所から全体を見て、イメージに近づいているかチェックしましょう。イメージするには、画像や剪定本などを参考にしながら行うのがおすすめです。
枝を切りすぎないようにする
オリーブの実を収穫したいのであれば、枝を切りすぎないことがポイントです。弱った枝や傷んでいる枝、重なり合っている枝を剪定することは問題ありません。ただし、勢いよくどんどん切ってしまうと実がならなくなるので注意しましょう。
切り口に癒合剤を塗る
剪定後、太い枝の切り口には癒合剤を塗ることを忘れてはいけません。オリーブを雨水や乾燥から守り、病原菌の侵入も防止してくれます。また、癒合剤はオリーブの持つ治癒力を促進する効果も発揮します。オリーブが弱ったり病気にかかったりするのを回避するためにも癒合剤は必要不可欠です。
剪定後に枝がひょろひょろになった!なぜ?
オリーブの剪定後に、枝がひょろひょろになってしまい「失敗した!」と感じることがあるかもしれません。オリーブがひょろひょろになる原因のひとつに、剪定時期を間違えて剪定している場合が考えられます。
強剪定を行う際、時期が適していないとオリーブに大きなダメージを与えてしまい弱ってしまいます。また、時期だけでなく、枝を切りすぎてしまっても同じようにひょろひょろになる場合があるので注意しましょう。
ひょろひょろになったオリーブを改善するためには、樹高を低くするように整えましょう。樹形のバランスが悪くならないように注意しながら、ひょろひょろでも支えられるくらいの高さまで整えることで倒木してしまうのを防ぎます。また、支えが必要な部分に添え木をするのも効果的です。
自分でオリーブの剪定をするのが不安な方はプロに依頼しよう!
オリーブを観賞用としてだけでなく「実の収穫も楽しみたい」と思っている方は、正しい剪定を行わないと実つきに影響してしまいます。剪定する場合は、オリーブの実の収穫も意識することが大切です。ご自身で行う剪定や管理に自信がなく、不安な時はプロに依頼してみましょう。
くらしのセゾンが提供する「庭木のお手入れ」では、経験豊富な職人が剪定を行います。出張費も見積もりも無料のため、まずは気軽に相談してみるのも良いでしょう。
オリーブの木の正しい育て方
ここでは、オリーブの木の正しい育て方について解説していきます。
日当たりの良い場所に植える
オリーブの木は、地植えと鉢植えどちらでも育てることができます。シンボルツリーとして庭に植えるもよし、鉢植えにすればお部屋やバルコニーといった場所でも楽しめます。地植えの場合、植える場所には注意しましょう。
オリーブは日光を好む植物のため、日当たりの良い場所を選んで植えてください。鉢植えで室内に置く時も日が当たる温かい場所に設置することを覚えておきましょう。
水やりは適度に
地植えの場合は、植えつけたばかりの木や苗木を除けば、基本的に水やりの必要はなく自然の雨で充分といえます。夏は根が弱る原因にもなるため、直射日光の時間を避けて涼しい時間帯に水やりをしましょう。
鉢植えの水やりは、土の表面が乾いていたら、水が鉢の底から流れ出るくらいにたくさん与えます。ただし、根腐れの原因にもなるので鉢皿にたまった水は捨てましょう。
肥料は鉢植えと地植えでタイミングが異なる
肥料も水やり同様に与えすぎには要注意です。肥料焼けという植物が水を吸えない状態になる場合があります。肥料は効き目が持続しやすい、緩効性の置き肥を与えるのがおすすめです。地植えの場合は2月と10月に、鉢植えの場合は2月・6月・10月に肥料を与えます。
オリーブの木の増やし方
オリーブは、剪定した枝を挿し木で増やすことができます。新芽のついた太くて元気そうな枝を選んだ後、葉を何枚か残して切り取ります。切りそろえたら1~2時間ほど水につけ、挿し木用の土に挿しましょう。風通しの良い日陰に置いて水をたっぷり与えてください。
病害虫の管理はしっかりと
元気なオリーブを育てるためには、病害虫の管理はしっかりと行いましょう。オリーブに発生しやすい代表的な病気には、枝全体を枯らしてしまう梢枯(しょうこ)病があります。対策としては、病気が発症している部分の枝を切り落とします。
健康な部分と病気の部分の境目から、約2~3㎝下を目安に切りましょう。切り落とした枝をそのままにしておくと、菌がまた広がることがあるので放置せずすぐに処分してください。
屋外で育てているオリーブは、害虫の被害を受けやすいため注意が必要です。オリーブにダメージを与える代表的な害虫には、オリーブアナアキゾウムシがいます。卵から孵化した幼虫が、幹の内側を食害してオリーブの木を枯らしてしまいます。
そんな害虫対策におすすめなのが、殺虫剤の散布です。葉や果実にかからないよう注意しながら行いましょう。
おすすめ!オリーブの木の楽しみ方
最後に、オリーブを使ったおすすめの楽しみ方を紹介しましょう。
剪定した枝を活用した手作りリースで楽しむ
オリーブの剪定が終了した後の足元には、たくさんの枝や葉が落ちています。そんな枝や葉の使い道におすすめなのが、リースやスワッグです。オリーブのリースは、ナチュラルな癒しのインテリアにピッタリ。
1年中飾って楽しめるアイテムになります。オリーブの枝を使用するリースの作り方を紹介します。
- 2本のオリーブの枝をグルグルと巻きつけていきます。
- 巻き終えた後、先端部分を少しゆるめて新しい枝を挿し込み1の手順で巻きつけます。
- 1と2の新しい枝を挿して巻くという作業を繰り返し、枝をつなげていきます。
- 大きさを決めたら先端同士をつなげます。
- 枝と枝との隙間に枝を挿し込み巻きつけるのを繰り返します。
- 5の工程を繰り返し行っていくとボリュームが出てきます。
- 巻き終わりは、巻きつけてきた最後の枝の先を挿し込んで固定します。
- 最後にハサミで無駄な枝を切って整えて終了です。
オリーブの枝は、約30~50cmの長さのものを10本ほど用意しましょう。リースに使用する枝は、剪定してから1週間以内のものを使うと、きれいなリースを作れます。
オリーブの実は塩漬けやオイル漬けで楽しむ
タンニンと呼ばれる渋み成分が多く含まれるオリーブの実は、生のまま食すことが難しいため塩漬けやオイル漬けにして食べるのがおすすめです。オリーブの塩漬けは、コリコリした食感が特徴で、あっさりした味をしています。
作り方はとてもシンプルで、水と塩に漬けこむだけです。サラダやマリネ、パスタなど、さまざまな料理に活用できます。
オイル漬けはしっとりとした食感で、ほろ苦く深い味わいが特徴です。水をきったオリーブを容器にいれたら、乾燥・生どちらでもいいのでハーブを好きなだけ投入します。最後にオリーブオイルをたっぷりいれて完成です。
肉や野菜、魚など、どのような料理にも合うため、味にアクセントをつけたい時におすすめです。
おわりに
縁起の良い植物としても有名なオリーブは、その場にあるだけで優しい雰囲気に包まれて癒されます。そんなオリーブも剪定しないで放っておくと、病害虫が発生して枯れてしまったり、大きくなりすぎて手入れが難しくなったりします。そうならないためにも、適した時期に剪定を行いましょう。
オリーブの剪定に慣れなくて困っている方は、一度プロに相談してみてもいいかもしれません。今回紹介した内容を参考に、いつまでも元気なオリーブを保ち続けてください。