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イヌツゲの剪定に適した時期は?方法や育て方も詳しく解説

イヌツゲの剪定に適した時期は?方法や育て方も詳しく解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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イヌツゲは、暑さ寒さどちらにも強く比較的丈夫な樹木です。生垣や庭木などで楽しんでいるご家庭も多いのではないでしょうか。そんなイヌツゲは、生長速度が早く定期的に剪定を行う必要があります。

また、定期的なお手入れをすることで、樹形を整えながらきれいな状態をキープすることができます。この記事では、イヌツゲの特徴をはじめ、剪定方法や剪定に適した時期、育て方のポイントなど詳しく解説していきます。

この記事を読んでわかること

  • イヌツゲの剪定に適した時期は、年に2回あり6月頃と9月頃にお手入れが可能
  • イヌツゲの剪定に必要な道具は、剪定バサミ、刈り込みバサミなど、電動バリカン、ノコギリ、軍手、脚立などの道具があると便利
  • イヌツゲの主な剪定は、「刈り込み剪定」と「透かし剪定」
  • 水やりや肥料、病害虫についてもしっかり理解するのがイヌツゲを元気に育てるためのポイント
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イヌツゲとは?

イヌツゲとは?

イヌツゲはモチノキ科の常緑樹で、北海道から九州まで日本各地で育てられ、暑さにも寒さにも強い樹木です。普段よく見かける庭などの生垣は、2~3mほどの大きさのものがほとんどです。しかし、山地などで自生しているイヌツゲは、10mを超すほどの大きなものまで存在します。

イヌツゲは芽吹く力が強く、刈り込みにも耐えられるため、生垣以外にも玉仕立てや角仕立てなど、さまざまな樹形で楽しめるのも特徴です。さらに、動物やキャラクターの形に仕立てるトピアリーの素材としても適しています。イヌツゲは比較的、初心者でも扱いやすい樹木とされています。

イヌツゲの種類

イヌツゲの仲間(品種)には、マメツゲやキンメツゲなどがあります。

マメツゲ

別名マメイヌツゲとも呼ばれているマメツゲは、庭木として観賞価値の高い品種です。光沢のあるぷくっと膨らんだ楕円形の葉が特徴で、イヌツゲよりも樹高が低く玉仕立てに多く使われています。

この品種もイヌツゲ同様、刈り込みに耐える強さがあり、育てやすいので初心者でも扱いやすいでしょう。

キンメツゲ

キンメツゲは「金芽柘植」と書き、新芽が光沢感ある黄金色になるのが特徴です。そして、黄金色から濃い緑に変化していく品種です。キンメツゲは小さな葉も特徴的で、和風だけでなく洋風の庭にも合わせやすく、生垣やトピアリーに多く使われています。

イヌツゲの剪定はなぜ必要?

イヌツゲの剪定はなぜ必要?

イヌツゲは、耐陰性や耐湿性、耐風性などに優れ、気候を問わず育てられる丈夫な樹木です。そんなイヌツゲは、生長が速いため樹形をキープするためには剪定をきちんと行う必要があります。

また、丈夫ではありますが、剪定を行わないと枝同士の隙間が少なくなり、風通しが悪くなってしまいます。結果、イヌツゲの生育が悪くなり、害虫が発生しやすい環境ができてしまうでしょう。害虫対策のためにも、定期的な剪定を行うのがおすすめです。

イヌツゲの剪定に適した時期

イヌツゲの剪定に適した時期

イヌツゲの剪定に適した時期は、主に6月頃と9月頃の年に2回です。イヌツゲは、暖かくなり始める3月頃から6月頃にかけて枝や葉が最も生長します。そのため、樹形が乱れやすく一度伸びた枝をきれいに整えるのに剪定を行っていきます。

特に、気温の上がる夏は害虫が発生しやすくなるので、重なって密になりやすい枝や葉を切っておくのが良いでしょう。この時期の剪定は、深めに刈り込んでしまっても心配いりません。次々と葉がつく時期のため、好みの樹形を目指して気軽に剪定してみましょう。

対して、9月に入るとイヌツゲの生長は徐々に落ち着き始めます。この時期の剪定は、夏に伸びた枝や葉を軽く切って整える程度で大丈夫です。イヌツゲが休眠期に入るため、11月の上旬頃までには剪定を終えておきましょう。

9月中旬頃から11月にかけて剪定をしておくと、冬から翌年まできれいに整った樹形をキープしておけます。

イヌツゲの剪定に必要な道具と方法

イヌツゲの剪定に必要な道具と方法

イヌツゲの樹形を整えるための剪定には、「刈り込み剪定」と「透かし剪定」の2種類の手入れがあります。以下では、剪定に必要な道具と、それぞれの方法について解説していきます。

必要な道具

イヌツゲの剪定を行う際は、以下の道具を揃えておくとスムーズな作業を行えるので、チェックしておきましょう。

  • 剪定バサミ
  • 刈り込みバサミ
  • 電動バリカン
  • ノコギリ
  • 軍手
  • 脚立

イヌツゲの剪定は、鉢植えなどの小さいサイズのものであれば、剪定バサミだけでも作業は十分に行えます。生垣や樹高が高いイヌツゲの剪定には、剪定バサミ・刈り込みバサミの2つを使い分けるのがおすすめです。

生垣は広い範囲をお手入れする場合もあるので、電動バリカンがあると便利でしょう。見た目をきれいに仕上げられるだけでなく、時間短縮もできるアイテムです。

また、予想以上に大きかったり枝が太かったりする場合は、ノコギリを用意しておくとスムーズに作業を終えられます。そして、ケガ防止のための軍手や高い部分のお手入れのために、脚立なども一緒に準備しておくと安心です。

刈り込み剪定

刈り込み剪定は、全ての枝を均等に切って表面をならす剪定方法です。長い刃の刈り込みバサミを使って刈り込んでいき、イヌツゲを好みの形に仕立てていきます。電動バリカンを使用すると、よりスムーズに行えます。

生垣の場合は、まず完成後の樹形をしっかりイメージしてから作業に入りましょう。刈り込みバサミをイヌツゲの表面と平行にして、伸びた枝や葉を切って整えていきます。庭木の場合も全体のイメージを決めた後、剪定バサミや刈り込みバサミで形を整えていきましょう。

透かし剪定

透かし剪定は、混み合って密になっている枝を取り除いていく剪定方法です。枝が混み合っていると、木の内側の風通しや日当たりが悪くなり、湿気がたまって害虫が発生する原因になります。そのため、透かし剪定を行い枝と枝の間に適度なスペースを作っていきます。

剪定バサミを使って、絡んだり重なったりしている枝を根元部分から切っていきましょう。

イヌツゲの代表的な仕立て方

イヌツゲの代表的な仕立て方

生垣やトピアリーなど、さまざまな樹形で楽しめるイヌツゲ。ここでは、代表的なイヌツゲの仕立て方を紹介していきます。

円筒形

イヌツゲ全体を1本の筒状に仕立てるのが円筒型(えんとうけい)です。さまざまな仕立て方の中でも、シンプルな樹形のため、どのような庭のタイプにも合わせやすいのが特徴といえます。

角仕立て

角仕立ては生垣に用いられる仕立て方で、庭先などで見かけることがあるでしょう。生垣は高さの調整を定期的に行い、樹形をキープしていく必要があります。

玉仕立て

玉仕立ては、樹形全体を丸く仕立てる方法です。地植えと鉢植えのどちらに仕立てても、丸みのある見た目はシンプルで柔らかい印象を与えてくれます。和風と洋風どちらの庭にも合わせやすいので、仕立て方に困った時はおすすめの樹形です。

玉散らし仕立て

玉散らし仕立て

玉散らし仕立ては、枝ごとに小さな丸い形を仕立てていく方法で、昔から和風の家の庭木として人気のある樹形です。一本だけでも躍動感ある風景の演出が可能です。玉散らし仕立てのポイントは、上部の球形を小さくして、下にいくほど大きい球形にしていくことです。

トピアリー

トピアリーは、模様や動物などをモチーフにして仕立てる方法です。玉仕立てや玉散らし仕立てもトピアリーの一種といえるでしょう。特に、動物をかたどったトピアリーは、洋風庭園やテーマパークなどでよく見かけられます。他にはない個性的な庭にしたいという方におすすめの仕立て方です。

イヌツゲを元気に育てるポイント

イヌツゲを元気に育てるポイント

イヌツゲを元気よく育てるためには、剪定以外にも水やりや肥料、病害虫など注意しておくポイントがいくつかあります。それぞれ、解説していきましょう。

植えつけ・植え替え

イヌツゲは日当たりの良い場所を好みます。そして、植えたばかりの初期は、生長がゆるやかなため、しっかり生長させるためには最初の土づくりは特に大切です。

イヌツゲの植えつけと植え替えに適した時期は、春と秋の2回あります。4~6月の春の時期と9~10月の秋の時期に行えば、イヌツゲの生長を損なうことがありません。

イヌツゲを地植えする時は、株部分よりも少し大きな穴を掘ってから、有機肥料か緩効性肥料を入れて植えつけます。鉢植えの場合も地植え同様に、株部分よりも大きめの植木鉢に入れて、腐葉土と赤玉土という2つの土を混ぜた用土に植えつけます。

水やり

イヌツゲは地植えや鉢植えで、植えつけてから2年以上経っている株には、基本水やりの必要はないでしょう。ただし、植えつけから2年経っていない株に関しては、生長のためにも水を多く必要とするので、様子を見ながら水やりをします。

また、たとえ2年以上の株であっても、夏の気温が高くなりやすい時期に、土がカラカラに乾いている場合は水をたっぷりと与える必要があります。

肥料

地植えの場合、肥料は寒肥として2月頃に与えます。乾燥牛ふんや油粕といった有機肥料を株周辺に埋めていきましょう。

イヌツゲを植えつけている部分の土が固くなったり、イヌツゲ自体の生長が悪くなったりする場合は、株周辺に堆肥や腐葉土を混ぜ込むのがおすすめです。鉢植えは、3月頃に化成肥料を根元に与えましょう。

病気

病気

イヌツゲがかかりやすい病気には、「ツゲ枝枯病(えだかれびょう)」があります。ツゲ枝枯病にかかったイヌツゲは、順調に生長していた過程で急に元気がなくなり、下の部分から徐々に透けてスカスカになってしまいます。

スカスカになってしまった場合は、イヌツゲ全体を透かすように剪定していき根元に肥料と水を与えましょう。

ツゲ枝枯病にならないための予防には、チオファネートメチル水和剤と呼ばれる成分を含んだ薬剤の散布がおすすめです。薬剤はインターネット通販やホームセンターなどで手軽に購入できます。

害虫

イヌツゲを健康的に育てるためには、害虫にも注意する必要があります。以下では、イヌツゲに発生しやすい「ハダニ」「ハマキムシ」「カイガラムシ」について、対策とともに解説します。

ハダニ

ハダニは梅雨明けから夏にかけて発生します。イヌツゲの葉のツヤがなくなり、葉の色が薄くなってきたらハダニ発生のサインです。ハダニは葉の裏に寄生し、葉の養分を吸ってイヌツゲの生長を阻害します。

ハダニを放置しておくと、葉が傷つき枯れる原因となります。ハダニの駆除には、殺虫剤の散布や発生している場所に勢いよく水をかけるのも効果的です。また、ハダニは雨が苦手なため、霧吹きなどを使用して普段から葉水をしておくのも予防になるのでおすすめです。

ハマキムシ

ハマキムシと呼ばれる蛾の幼虫も葉に住み着いて食害し、イヌツゲの生長を阻害します。ハマキムシを放っておくと、枝全体に被害が広がってしまい、茶色い葉で覆われます。

見つけ次第、殺虫剤を散布するといった対策を行いましょう。また、ハマキムシは湿気が多くなると発生しやすくなるので、定期的に剪定を行って風通しを良くしておくことも重要です。

カイガラムシ

白い虫がイヌツゲに大量に発生した場合、おそらくそれはカイガラムシでしょう。カイガラムシは、約1~3mmの小さな虫で、茎や葉から汁をすすります。カイガラムシは夏が繁殖期で、この時期に大量発生すると、枝が枯れたり新しい葉が出なくなったりしてしまいます。

カイガラムシの除去には、まず害虫をブラシでかき出し、症状の出ている部分に殺虫剤を散布してください。その時に、チオファネートメチル水和剤を希釈したものを一緒に散布するとさらに効果的です。

健康で美しいイヌツゲを保つために剪定のプロへ相談しよう!

健康で美しいイヌツゲを保つために剪定のプロへ相談しよう!

これまでに紹介した剪定や育て方のポイントを理解して、欠かさずお手入れを行うことが健康で美しいイヌツゲを保つ秘訣といえます。しかし、「イヌツゲの剪定が難しい」「定期的なお手入れができない」「イメージする樹形に仕立てられない」と、悩んでいる方もいるでしょう。

イヌツゲは初心者でも扱いやすい樹木ではありますが、見栄え良く仕立てるにはそれなりの経験が必要になります。イヌツゲの剪定や維持に困った時は、剪定のプロに任せるのも樹形を美しく維持するための方法です。

また、定期的な剪定をプロに任せることで、普段のお手入れが楽になるというメリットもあります。

くらしのセゾンが提供する「庭木のお手入れ」では、専門知識と資格を持ったプロが剪定を行います。

また、防虫や消毒なども行っているので、害虫に悩まされている方にもおすすめです。無料で見積もりをしてくれるため、まずは気軽に相談してみるのも良いでしょう。

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おわりに 

イヌツゲは、生垣やトピアリーなど、さまざまな樹形にするのに適した樹木です。イヌツゲの樹形をキレイに維持するためには、年に2回適切な時期に正しい剪定を行うようにしましょう。樹形を整えるための刈り込み剪定は、剪定後の形をしっかりイメージしてから作業することがとても大切です。

剪定初心者の方や毎回思い通りの樹形にできなくて困っている方は、一度剪定のプロに相談してみるのもおすすめです。この記事を参考に、健康で美しいイヌツゲを保ち続けてください。

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