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停電の原因8選|復旧の仕組みや気をつけるポイントを知って安全に過ごそう

停電の原因8選|復旧の仕組みや気をつけるポイントを知って安全に過ごそう
セゾンのくらし大研究 編集部

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突然停電して困った経験がある方も多いかもしれません。近年では節電対策のため、計画停電も行われますが、急な停電はなぜ起こってしまうのでしょうか。今回は急に発生する停電について解説していきます。

停電の原因や復旧の仕組みを理解しておくと、もしもの時にも落ち着いて対処できるでしょう。停電時に確認したいポイントもご紹介しますので、万が一に備えて停電の知識を身につけませんか。

この記事を読んでわかること

・停電は、発電所から消費地に電気が送られる過程で送電設備に異常が発生することによって起こる

・台風のような自然災害や火災、工事による事故によって送電設備に異常が生じて停電につながる

・停電したら、問題が起きているエリアを特定して原因を取り除くことによって電気が復旧する

・災害などで大規模に停電している場合は復旧までに時間がかかることも多いので、あらかじめ非常食や飲料水といった備えをしておくことが大切

1.停電の定義をおさらい

停電の定義をおさらい

発電所で作られた電気は鉄塔の送電線をとおり、変電所を経由しながら各家庭や消費地に送られています。送電線は鉄塔の左右に3本ずつ、計6本による2回線垂直配列送電線が一般的です。この左右に伸びた電線には同じ電気が流れています。変電所でひとつの電気にまとめられ、再び2回線に分けられて送られます。

これによって、万が一何らかの原因で1本の送電線に異常が生じても、もう1本の送電線で電気を送り続けられるのです。停電は、このような電気を送る過程で異常が生じることによって、望んでいないタイミングで電気の供給が止まることを指します。

1-1.瞬時電圧低下、瞬時停電、停電の違い

電気の供給が突然止まってしまうことを停電と呼びますが、さらに細かく分けると「瞬時電圧低下」「瞬時停電」「停電」の3つに分類されます。

・瞬時電圧低下

例えば、雷が電線に落ちるなどで2回線の片方の電線に異常が生じると、その瞬間にもう片方の電線、そして次の変電所を経た2回線の電線をとおる電圧すべてが低下します。この場合、1/1000~10/1000秒間で低下した電力が回復するのが一般的です。

しかし、低下した電力が回復しない場合は、0.02~2秒間で問題のある送電線を切り離します。このように最大2秒間電圧の低下が起こるのが「瞬時電圧低下」です。

・瞬時停電

瞬時電圧低下によって切り離された送電線には、約1分後に自動で送電が開始され、元の状態に戻ります。この問題が起きた送電線に電気が復帰するまで、1分間電気が供給されない状態が「瞬時停電」です。

・停電

瞬時停電の後、問題のあった送電線に自動で電気が送られます。その際、再び電圧に異常があった場合は、送電を止めて原因を突き止めなくてはいけません。その原因が解決するまで問題があった送電線の電力はストップしたままになります。

このように1分以上にわたって電力の供給が止まったままになる状態が「停電」です。

参照元:電気学会:電気広報特別委員会|停電について|

山洋電気株式会社の製品・技術情報サイト|「瞬停・瞬低・停電」と瞬断とは?違い・発生原因・対策を解説|停電の基礎知識と対策|

2.停電が起こる8つの原因

停電が起こる8つの原因

発電所で作られた電気が消費地に届けられ、各家庭に送られるまでに、電線や送電設備に異常が生じると停電が起こります。ここからは、送電設備に異常が起こる原因について詳しく見ていきましょう。

2-1.台風・雨風の影響

台風や強風は、普段飛ぶはずのない大きなシートやトタンを吹き飛ばしてしまいます。そのような飛来物が電線を切ったり傷つけたりする原因になります。

また、台風や災害レベルの強い雨風では、土砂崩れの危険性もあるでしょう。それによって、電柱自体が倒れて停電につながる可能性もあります。

2-2.地震の影響

地震で倒壊した建物が直接送電線や電柱を傷つける可能性もありますが、停電の原因はそれだけではありません。地震が起こると、一時的に液状化現象が発生する可能性があります。

地震によって地盤の砂の粒子がバラバラになり、地上の建物も地下水に浮いたように不安定な状態になります。これによって電柱が傾き、電線が傷つくと停電につながるのです。

2-3.雷の影響

雷は高いところに落ちやすいという性質があります。そのため、周囲の建物よりも比較的高いところにある電線や電柱に、雷が落ちることがしばしばあるのです。雷は200万から1億ボルトの電圧を瞬時に出します。

電気が電線に一気に流れると、許容範囲を超えた電線が切れたり、送電設備が損傷したりして停電する原因となります。

2-4.大雪の影響

大雪も停電の原因のひとつです。送電線に雪が積もって大きな雪の塊となると、風が吹いた時に電線が大きく揺れて電線同士がぶつかるおそれがあります。電線同士が接触すると電気の流れに異常が生じ、停電につながるのです。

2-5.樹木が倒れて

樹木が病気などで根腐れしていたり枝枯れしていたりすると倒木の危険性が高まります。樹木がもたれかかったり倒れたりして電線に異常が生じると停電の原因となってしまいます。

また、停電の原因となるのは倒木だけではありません。街路樹が大きく成長し過ぎて電線に接触することも原因のひとつとなりえます。断線の原因となるため、定期的な剪定が必要です。

2-6.カラスなど鳥の影響

基本的に鳥が電柱に止まるだけでは、停電につながるような異常は生じません。しかし、鳥やヘビが何かの拍子に2本の電線へ同時に触れてしまうと、鳥やヘビの体を伝って電気が予期しない方向へ流れます。これによって電線に異常が生じて停電につながるのです。

また、電柱に作られた鳥の巣も停電の原因となる可能性があります。枝や草などを使って作られた巣であれば問題ありません。しかし、カラスは針金といった電気のとおりやすい金属製のごみも巣の材料にします。それらが電線に触れることによって停電する可能性があるのです。

2-7.近隣火災の影響

近隣で火災が起きた際、電線に火が移ったり、火災によって倒壊した建物の影響で電柱が損傷したりすると停電につながります。また、送電設備に近いところで火災が起きた場合は、安全に消火活動を行うために緊急で電気の供給をストップすることがあります。

2-8.重機による設備損傷

工事中の事故でケーブルが損傷することもあるでしょう。電線にクレーンが接触してしまったり、地面の掘削中に地中の送電ケーブルを傷つけてしまったりといった、重機による損傷も停電の原因のひとつです。

参照元:中部電力パワーグリッド停電復旧のしくみと停電理由 – 停電・災害時の対処法 

3.リアルタイムの停電情報を知るには?

リアルタイムの停電情報を知るには?

停電が起きたら、停電が起きている状況や発生している地域について、電力会社のホームページでリアルタイムに確認できます。電力会社の多くは停電地区や戸数、復旧見込時刻といった停電情報をホームページなどで発表しています。

例えば、東京・埼玉・神奈川・千葉といった関東圏で、シェア率の高い東京電力を参考に見てみましょう。東京電力パワーグリッドのホームページでは、その日停電している地域や原因がわかるだけではなく、過去の停電履歴や瞬時電圧低下の履歴まで検索できます。

参照元:東京電力パワーグリッド株式会社|停電情報

4.停電から復旧する仕組み

停電から復旧する仕組み

次に、停電からどのように電気が復旧するのか、その仕組みを詳しく見ていきましょう。

  1. 停電エリアを絞り込み、原因を特定する
  2. 停電の原因になった場所に緊急出動して事故原因をさらに詳しく調査
  3. 電線に接触しているものの除去、設備の修理など復旧作業

停電になっているということは、送電設備に異常が生じている箇所があるということです。その箇所がどこなのか特定しなくては問題が解消できません。まずは問題が起こっているエリアに最も近い変電所から順に電気を流して、停電が起こっているエリアを探ります。

次に原因となるエリアを絞り込むために、反対側の変電所からも電気を送り、原因のあるエリアを突き止めます。原因のあるエリアを絞り込んだら、さらに事故の原因となっている電線や電柱を見つけなくてはなりません。

該当のエリアへ出動し、電柱や電線を1本ずつ確認しながら原因となっている箇所を特定します。そして、電線に接触しているものを撤去したり、設備を修理したりして、ようやく電気の復旧ができるのです。

5.家で停電した時のチェックポイント

家で停電した時のチェックポイント

ご自宅にいる時に停電してしまったら、どのように行動すれば良いのでしょうか。ここからは家で停電した場合に、安全に過ごすためのチェックポイントをご紹介します。

5-1.停電したのは家全部?一部のみ?

まず、停電が起こったら冷静に状況を判断しましょう。まずは停電している箇所を確認してください。電気が消えているのが、ご自宅のなかだけなのか、周りの家や街灯も電気がついていないのかによって考えられる原因が異なります。

ご自宅だけ電気が消えているのであればブレーカーが落ちているかもしれません。ブレーカーのある分電盤を確認して、オフになっているブレーカーがないかチェックしてください。

分電盤には役割によって3種類のブレーカーが配置されています。家全体の電気を管理する「アンペアブレーカー」、部屋やエリアごとに電気を管理している「安全ブレーカー」、漏電の際に作動する「漏電ブレーカー」の3つです。

アンペアブレーカー、安全ブレーカーがオフになっていたら、電気の使い過ぎが原因の場合があるので、使用していた家電製品を見直してから、ブレーカーをつけましょう。漏電ブレーカーがオフになっている場合は、家のどこかで漏電しているおそれがあるので注意が必要です。異臭や異音を感じて不安であれば、速やかに契約している電力会社に問い合わせましょう。

参照記事:https://www.sharing-tech.co.jp/denki/breaker-shurui/

5-2.近所の電気はついている?

周囲の家や街灯を確認して電気が消えているようであれば、地域一帯で停電している可能性が高いです。契約している電力会社のホームページで停電情報や復旧見込みを確認して、復旧を待ちましょう。

停電時にアイロンやストーブなど熱を発するものを使用していた場合はケガや引火のおそれもあります。急な停電で焦ってしまいがちですが、暗闇で慌てて行動すると危険です。また、復旧時に燃えやすいものが近くにあると通電火災や事故を引き起こすおそれがあります。電化製品はコンセントを抜き、安全を確保して復旧を待ちましょう。

5-3.10秒程度の停電が複数回発生している?

ご自宅だけ電気がついていない状況で、10秒程度の停電が何度も発生しているのであれば、スマートメーターに内蔵されているアンペアブレーカーによるものかもしれません。スマートメーターの場合、ブレーカー機能はメーター自体に内蔵されています。

スマートメーターの場合、契約しているアンペア以上の電気を使っていると、一般的なブレーカー同様に自動で電気が切れ、10秒後に自動で電気が復旧する仕組みになっています。

通常であればそれによって電気が復旧しますが、30分間に連続して何度も切れたりついたりが繰り返される場合、他の原因によるものかもしれません。ブレーカーを切ったままにして、速やかに電力会社に問い合わせましょう。

6.停電した時の2つの注意点

停電した時の2つの注意点

夜に停電してしまうと急に暗闇になってしまい、慌てる方もいらっしゃるでしょう。反対に、「電気が消えただけ」とあまり気にしない方もいるかもしれません。

しかし停電は、火災や熱中症など、命の危険も脅かすおそれがあります。そのため、落ち着いた正しい対処が必要です。ここからは、停電時に気をつけたいポイントをご紹介します。

6-1.照明代わりに火を使う場合は火災などに注意

停電時に防災用品に入っているろうそくを灯り代わりに使おうとする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、停電時にろうそくを使うと火災につながるリスクが高まります。

特に、夜に停電した場合は暗闇でろうそくを扱う必要があるため、思いもよらないところで火災につながりかねません。そのため、火を使わない懐中電灯やLEDランタンなどを用意しておくと安心です。

また、暖を取るために練炭や炭、カセットボンベを使ったストーブなどを室内で使うのは極力避けましょう。使わなくてはいけないのであれば、一酸化炭素中毒に気をつけ、充分に換気するなど注意が必要です。

6-2.夏季には熱中症、冬季には体温調節などに注意

停電時はエアコンや扇風機は使えません。そのため、夏の熱中症対策や冬の防寒対策が重要です。冬は普段よりも重ね着をして、首や手首・足首を冷やさないようにしておきましょう。

夏はこまめに水分補給し、窓を開けて風通しを良くします。さらに、濡らしたタオルで首やわきの下を冷やして熱中症対策をしてください。ただし、停電時にはガスや水道も止まる可能性があります。そのため、普段から水を備蓄するなどして、ライフラインが止まってしまった時の備えがあると安心です。

7.災害対策を講じて停電に備えよう

災害対策を講じて停電に備えよう

ここからは電気・ガス・水道が止まってしまうような非常時への備えについて確認していきましょう。

7-1.電池やバッテリーを常備しておく

災害や停電時には継続的に情報収集できることがキーポイントとなります。そのためには、ラジオやスマホを常に使えるようにしておくことが重要です。ラジオ用の電池やスマホ用のモバイルバッテリーを準備しておきましょう。

電池は懐中電灯など照明器具にも使用することがあるため、多めに備蓄しておくと安心です。

7-2.飲料水・非常食を備蓄しておく

電気や水道といったライフラインが止まってしまっても、食べ物や飲み物に困らないように、長期的に保存できる食料や飲み水を確保しておきましょう。飲料水・非常食は3日分~1週間分を目安として備蓄しておくのが望ましいです。

水はひとり1日3リットルが目安ですが、トイレといった生活用水も別に必要です。生活用水も合わせて備蓄するように心がけましょう。

非常食は、防災用を用意する必要はありません。栄養バランスを考えながら、ライフラインがなくても調理できるようなレトルト食品や缶詰を備えておくのがおすすめです。

7-3.太陽光システム・蓄電池の導入を検討する

災害による大規模な停電は、復旧までに時間がかかる場合もあります。そういった時に、ご自宅に太陽光システムや蓄電システムがあると安心です。SmartStarはソーラーパネルで電気を作り、大容量のリチウムイオン電池に蓄電するため、家全体の電気をまかなえます。

2019年10月に発生した台風15号では、約2,000本もの電柱が壊れ、最大で93万戸もの停電が発生しましたが、SmartStarを設置していたご家庭では約10日間の停電を乗り切れたというケースもあります。このように災害時に備えて、太陽光システムや蓄電設備があると万が一の時にも安心です。

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おわりに

自然災害や思わぬ事故による停電はいつ起こるかわかりません。そのため、万が一ライフラインが断たれても、正しく備えて対処できるように準備しておく必要があります。今回の記事を参考に、停電についての知識を身につけ、もしもの時の準備をしてみてはいかがでしょうか。

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