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家の防犯対策は大丈夫?空き巣から我が家を守る方法(前編)

家の防犯対策は大丈夫?空き巣から我が家を守る方法(前編)
西岡 敏成 株式会社ジェイエスティー 顧問

執筆者

株式会社ジェイエスティー 顧問

西岡 敏成

企業の危機管理をサポートする株式会社ジェイエスティーの顧問。元兵庫県警警視長。警備・公安・刑事に従事。2002年日韓W杯警備を指揮後、姫路県警署長、須磨方面本部長を歴任。元関西国際大学人間科学部教授

我が家の安心な生活・暮らしを守るためにも、事前対策に万全を期することが大切です。今回は、「侵入窃盗犯に狙われやすい家のポイント/侵入されにくい防犯対策」などについて考えてみましょう。

また、後編では「地域防犯の重要性」「侵入窃盗被害に遭った被害者心理」及び「侵入窃盗犯の心理」などについても解説しますので、是非とも今後の防犯対策に役立ててください。

1.侵入窃盗犯に狙われやすい家の特徴

侵入窃盗犯に狙われやすい家の特徴

家に侵入してくる窃盗犯に狙われやすい家の特徴は以下が挙げられます。

①自宅周辺の人通りが少ない

②自宅が壁や樹木などで覆われ、外から見えにくく死角が多い

③自宅周辺が騒がしい

④玄関以外に外灯がなく暗い

⑤地域交流の希薄な住宅地

⑥アパートなどの低層住宅及びマンションの高層階

1-1 侵入窃盗の発生場所と件数(令和4年)

令和4年に確認された侵入窃盗は36,588件(1日当たり約43件)にものぼりました。

発生場所別だと、一戸建て住宅が33.0%、一般事務所が11.1%、共同住宅3階建て以下が7.8%、共同住宅4階建て以上が4.3%となっており、一戸建てが最も多いことがわかります。これは、1階に玄関・窓があり、マンションに比べ外部から入りやすいことも関係しています。

また、侵入窃盗の手口別認知件数を見ると、空き巣が29.0%と最も多く、忍び込みが11.5%、居空きが2.4%で、空き巣が全体の約1/3を占めていることがわかります。

侵入窃盗犯人の一戸建てへの侵入口は、第1が窓で53.5%、表出入り口(玄関)が21.3%、その他勝手口等が15.4%です。窓からの侵入のうち、玄関や窓に鍵がかかっていない、いわゆる無締りが51.2%で、ガラス割りの30.7%よりも多いというデータがあります。玄関や窓にきちんと施錠するという基本を怠ると危険であるということを物語っています。

1-2 侵入窃盗犯に狙われやすい戸建ての特徴

侵入窃盗犯に狙われやすい家の特徴の項でも指摘しましたが、端的にいえば「死角が多く、防犯カメラ等での補完対策が不充分な家」が危険だといえます。例えば、家の周囲が高い塀で囲まれ玄関ドアや窓の近辺に生い茂る高木があったりする場合、そこに住む人や近隣居住者からも見えにくい「死角」が発生します。死角が多いと、身を隠しながら潜伏し周囲に全く気づかれず犯行に及ぶことが可能となり、犯罪者にとって絶好のターゲットとなりやすいのです。

1-3.侵入窃盗犯に狙われやすいマンションの特徴

入口に防犯カメラがありオートロックも完備されセキュリティが万全との印象を受けるマンションであっても、侵入窃盗被害に遭ってしまうケースがあるのかを考えてみましょう。

侵入窃盗犯は犯行を目撃されることを嫌うため、まず人の出入りが少なく、薄暗い環境を狙います。また、下見がしやすい公園脇や角地の場所に立つマンションも、さまざまな角度から室内や経路や人の出入りなどを確認できることから狙われやすくなります。さらに、セキュリティが不十分・中途半端であったり、自由に屋上に上がれたり、マンション直近に塀や工作物があるマンションも狙われる可能性があります。

2.侵入窃盗の分類

侵入窃盗の分類

侵入窃盗とは、家屋等建物に侵入し金品を盗む犯罪の総称で、大きく以下の3つの種別に分類できます。

  1. 空き巣: 家人の留守中に、家屋に浸入し金品を盗む
  2. 忍び込み :家人が在宅かつ就寝中に侵入し金品を盗む
  3. 居空き :家人が在宅かつ起きている時に隙を見計らって侵入し金品を盗む

この分類からもわかるように、侵入窃盗は家屋に侵入し、家人と接触しないでまた強盗しないで財産を窃取する犯罪ですが、一瞬の状況の変化(家人との鉢合わせなど)で、即時に強盗・強盗殺人など凶悪事件に急展開する恐れがあります。また、旧来の侵入窃盗犯は、ローリスク・ローリターン(ハイリターン)を狙うケースが多かったが、世間を恐怖に落とし込んだ闇バイトのように、当初からハイリスク・ハイリターンを狙って犯行に及ぶことも認識しておく必要があります。

3.プロがすすめる空き巣が侵入されない家の防犯対策

プロがすすめる空き巣が侵入されない家の防犯対策

空き巣の侵入口として利用されることが一番多いのは、玄関及び窓のため、最優先して防犯対策に取り組まなければなりません。その上でそれ以外でも取り組む価値のある対策を紹介します。

3-1.玄関・勝手口の防犯対策

(玄関ドアや勝手口を無施錠にしていたために侵入されてしまった、というのは論外ですが)玄関・勝手口の鍵はピッキングにより開錠されることが多いため、ピッキングされにくいディンプルキーと交換したり、主錠以外に補助錠を取り付けたり、屋内側にあるサムターンにサムターンカバーを付ける、等することを推奨します。

3-2.窓の防犯対策

窓ガラスに付設されている雨戸・シャッターがあれば、不在にする時や就寝時などはこまめに閉めるようにしてください。窓ガラスを直接割られる不安が解消されるとともに、台風・突風対策にもなります。次に、窓ガラス本体を強化する。可能であれば合わせ窓や二重窓にすることで、割れにくくすると同時に断熱・防音にも効果があります。さらに、経費の負担は多くなるが、ガラスを防犯ガラスに交換したり、防犯フィルムを貼付してガラスの強度を高めたり、防犯用の破れない網戸を利用する、なども効果的です。

3-3.人感センサー・防犯カメラとセンサーアラームによる防犯対策

侵入窃盗犯は、音(声)・光・監視を嫌います。人を感知すると光を発する人感センサーを照射したり、併せて防犯カメラを設置することで、犯行後に捕まるのではないかとの警戒心を呼び起こさせ、犯行を断念させる効果があります。また、ドアをこじ開けようとすると警告音が鳴る装置や窓を破ろうとすると警告音が鳴る装置も有効です。

3-4.建物周辺・庭の整理整頓による防犯対策

家屋周辺の塀を低くし、通りからの視線を遮断しないことが望ましいです。通りからの視線を全て遮断することが難しい場合でも、植木等を剪定し家人からの視線が行き届くようにして、死角を可能な限り作らないよう努力をしましょう。庭の草花の手入れや勝手口に続く導線の美化に努めること、建物の近くに足場となる物を置かないこと、さらには家屋周辺を砂利敷きにし嫌がる音が出るようにすること、なども効果的です。

3-5.モニター付きドアホンの設置による防犯対策

外部からの訪問者を識別できるモニター付きドアホンは、今や3軒に2軒に設置されるほど定番化しつつある防犯設備です。不審な物音を感じたら、ドアホンを介して状況を確認することもできます。

3-6.ホームセキュリティ導入による防犯対策

最近のホームセキュリティは利用しやすい価格で、不審者侵入感知や急病等の緊急時にも常時対応してくれ、ガードマンの派遣や状況確認、対処なども行ってくれます。

3-7.マーキング・チェックによる防犯対策

表札・郵便受け等に、自身が記入した覚えがないアルファベットや数字が記載されていないか確認しましょう。男性か女性か・単身か家族か・不在の時間帯はいつか、などの情報が暗号表記されています。万が一見つかった場合、下見・物色した証であり、即時に消去しておきましょう。

3-8.その他の防犯対策

ごみ捨てや買い物等、少しの間だけ家を空ける場合でも、必ず鍵を掛ける習慣づけをしましょう。ちょっとした隙を狙われているということを認識することが大切なのです。また、郵便物・新聞などはこまめに回収してください。後述しますが、良好なご近所づきあいにも配慮してください。

上記でさまざまな防犯対策を掲げましたが、果たして皆さんの自宅はいかがでしょうか。「我が家大丈夫だろう」という根拠のない楽観論で疎かになってはいないでしょうか。「我が家に限って侵入盗犯から狙われることはないだろう」「過去にもなかったから、これからもないだろう」との正常性バイアス、「近隣も同じく防犯対策を講じていないから自分も講じないでいいだろう」という同調性バイアスが働き、侵入盗犯から狙われる家になってしまっていないかを、検証していただきたいのです。

侵入盗の被害に遭うということは、物的な被害に留まらず家人の心身にも直接危険が及ぶということをきちんと認識し、しっかりと防犯対策に取り組んでいただきたいのです。侵入盗を防止・抑止するためには、現在進めている対策、あるいは今後進めようとする対策が、どれだけの効果が期待できるのかを見極め、万が一、充分ではないと判断したときには、対策の見直しをしていただきたいのです。

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