植木が伸びてきてしまったら、木の形や高さを整える剪定が必要です。しかし、どの枝を切れば良いのか、どう進めて良いのかわからないというお悩みも多いのではないでしょうか。今回は基本的な植木の選定方法について解説します。剪定を行う必要性や剪定する不要な枝の見分け方もご紹介しているので、剪定初心者の方は参考にしてみてください。
この記事を読んでわかること
- 枝や葉が伸び放題になると植木の見た目が悪くなり、成長にも悪影響が出るので剪定が必要
- 見た目を悪くしている枝や成長を阻害する不要な枝を剪定しつつ、全体のバランスを整えていく
- 成長に必要な枝を切ってしまったり一度に大量の枝を切り過ぎたりすると木を弱らせる原因になる
- 技術面に不安がある場合はプロを頼るのもおすすめ
植木の剪定を行う前に
まず、剪定とはどういった作業なのか確認していきましょう。
剪定の意味
剪定とは、余分な枝や葉を切り落として取り除き、木の形を整えることを指します。なぜこのような作業が必要なのでしょうか。剪定をしないままの樹木は枝も葉も伸び放題になります。伸び広がってしまうと見た目が不格好になってしまったり、お隣の家まで入り込んでしまったりすることもあるでしょう。
また、枝や葉が増え過ぎてしまうと、日差しがさえぎられて栄養が充分に行き渡らなくなってしまいます。さらに、風通しも悪くなるため害虫被害や病気にかかる可能性も高くなります。樹木の健康を保ち、見た目を整えるためにも剪定が必要になるのです。
剪定に適した時期を知る
実際に剪定をするとなったら、いつ剪定すれば良いでしょうか。植木には種類ごとに剪定に適した時期があります。
庭木として人気のあるオリーブやアオキといった常緑樹は4月から6月の初夏ごろに基本剪定、9月から10月の秋ごろが軽剪定の時期です。イロハモミジやハナミズキ、アジサイなどの落葉樹は葉が落ちる11月から翌年2月ごろにかけて剪定を行います。松やモミの木、ゴールドクレストなどの針葉樹は3月から5月ごろに基本剪定を行い、軽剪定は9月から11月の秋ごろに行いましょう。
ただし、気をつけなければいけないのが花を楽しむ花木です。植物は種類によって花が咲く時期や花芽がつく場所が決まっています。そのため、剪定の時期や選定方法を間違えると花がつかなくなってしまうかもしれません。以下に代表的な花木の剪定時期をまとめています。ここでは剪定が花芽に影響しにくい時期や、花芽がわかりやすく、間違えて切ってしまわない時期を挙げていますので、参考にしてみてください。
【花木の剪定時期】
花木の種類 | 開花時期 | 剪定時期 |
ウメ | 1月~3月 | 花後もしくは7月~8月、10月~12月 |
サクラ | 3~5月 | 11月~2月 |
ハナミズキ | 4月~5月 | 11月~3月 |
アジサイ | 5月~7月 | 花後6月~7月 |
キンモクセイ | 9月~10月 | 3月~6月、花後10月~11月 |
剪定に必要な道具をそろえる
剪定に適した時期を確認したら、必要な道具をそろえましょう。
【剪定に必要な道具一覧】
- 剪定バサミ
- 刈り込みバサミ
- 高枝切りバサミ
- 剪定ノコギリ
- 金属やすり
- 傷口癒合剤
- その他 作業手袋や脚立、掃除用具 など
剪定の経験がない方であれば、剪定バサミと剪定ノコギリ、作業用の手袋を用意しましょう。剪定バサミは上下に刃がついているバイパスタイプと、片方だけに刃がついたアンビルタイプの2種類あります。アンビルタイプのほうが鋭い切れ味があるため初心者におすすめです。
高い位置の剪定を行う時には脚立が必要ですが、高所の作業は危険が伴います。そのため、高枝切りバサミを用意するか、プロに任せるか検討しましょう。
また、仕上がりを良くするのであれば、切り口を整える金属やすりや傷口癒合剤を用意してください。特に、桜のように剪定した切り口がふさがりにくい植木の場合は、傷口から雑菌が入り病気の原因にもなってしまうため、癒合剤を用意しておくと良いでしょう。
植木の剪定の基本・不要な枝を切ろう
ここからは植木剪定の基本や不要な枝の見分け方を説明していきます。
樹形の見栄えが悪くなってしまう枝
基本的に枝は幹から外側・上方に向かって伸びていくものです。しかし、内側・下方など不自然な方向に伸びてしまう枝もあり、そういった枝が樹形のバランスを悪くします。ここからはそのような樹形の見栄えを悪くする不要な枝について説明していきます。
逆さ枝
逆さ枝は内向枝ともいわれ、本来の木の成長とは反対に内側に向かって伸びてしまっている枝です。枝が幹に向かって逆さに伸びる枝は見栄えが悪くなり、枝が込み合う原因にもなるため剪定が必要になります。
立ち枝
立ち枝は横に広がるべき枝が上方向に伸びてしまっている状態です。こちらも樹形のバランスを乱すため剪定しましょう。
下り枝
下り枝は枝が下方向へ伸びている枝を指します。本来外側へ伸びる枝が、下方向に伸びることで樹形のバランスを悪くするだけではなく、日光が当たりにくく枯れやすくなってしまうため、剪定したほうが良いでしょう。
車枝
ひとつの枝から3本以上の枝が車輪の軸のように伸びている状態を車枝と呼びます。そのままにしてしまうと樹形のバランスが崩れ、日当たりも悪くなってしまうため剪定が必要です。
徒長枝
枝や木の幹から突き出すように伸びた枝が徒長枝(とちょうし)です。他の枝へ使う養分も使い極端に生育が早いため、花がつきにくくなるなど木全体の成長を阻害します。樹形も悪くなってしまうため、剪定しましょう。
木の健やかな成長を阻害する枝
木の内側で混み入って伸びている枝などは、木全体の日当たりが悪くなったり栄養が行き渡らなくなったりするなど木の健康を阻害するため、剪定しなくてはなりません。ここからは、木の成長に悪影響を与える枝について確認しましょう。
枯れ枝
変色していたり、虫がわいていたりする枝を放置していると病気や害虫が他の枝にも広がってしまう恐れがあります。見栄えが悪いだけではなく木全体の健康に悪影響があるため、すみやかに剪定しましょう。
胴吹き枝・ひこばえ・徒長枝
胴吹き枝は幹から直接出る細い枝のことを指します。ひこばえは幹の根本から生える若い枝です。突出して成長が早い徒長枝も含め、これらの枝は生育が早く他の健康な枝の養分まで使ってしまいます。木全体を衰弱させる原因になりうるため、剪定しておきましょう。
ふところ枝
ふところ枝は、木の幹に近い枝のふところ部分に出る枝です。枝同士がぶつかり傷をつけてしまったり、枝の重なりで陰になって下の枝が枯れやすくなったりします。風通しも悪くなるため、剪定が必要です。
重なり枝
文字通り他の枝と重なり、上下近い位置で並んで伸びている枝が重なり枝です。下の枝に影を作り、日光が当たりにくく枯れやすくなってしまうため、剪定したほうが良いでしょう。
植木の剪定の応用・シーン別の剪定とコツを紹介
ここからは植木剪定の応用編です。混み入った枝や高くなりすぎた枝の選定方法を見ていきましょう。
混み入った枝を透かすように剪定し採光や通風を改善する
枝が成長し過ぎて混み入ってしまった木はどこから手をつければいいのかわかりにくいかもしれません。木の形を維持したまま透くように枝を切り取り、一部の枝を間引いていく透かし剪定をすると日当たりや風通しを改善できます。透かし剪定のポイントは3つです。
まず、枝を切るのは高さの1/3、もしくは枝の数の1/3までに留めるよう心がけてください。一度に多くの枝を切り過ぎてしまうと、負担が大きく木が枯れてしまう原因になります。安全に剪定するためにも切る枝は全体の1/3程度にしておくようにしましょう。
次に、枝を切る順番です。はじめに樹形を悪くして木の成長に悪影響を与えている不要な枝を取り除きます。そうすることで、残りの枝はどこを剪定すれば良いのかわかりやすくなります。
3つ目が、全体のバランスを見ながら剪定を進めるということです。不要な枝を取り除いたあとは、枝と枝の間隔や枝の配置を見ながら切りましょう。全体的な樹形を見て、上下で重なっている枝や近くの枝と平行に伸びている枝を切ります。木のバランスを作るのに関係ない枝も取り除いておきましょう。
高くなりすぎた木は切り戻しや芯止めを行い適度な高さに調整する
高くなりすぎた木には切り戻し剪定や芯止め剪定を行い、適切な高さに調整します。
切り戻し
木の形を保ったまま枝や葉が密集している部分を小さく整えたり、不要な枝を枝元から切り落としたりすることで木のボリュームを抑えます。枝の新芽となる部分よりも上で切り落とすと、新しい枝を伸ばせます。
芯止め
木の幹の先端には枝を上に成長させる成長点があります。そこが残っているとどんどん木が大きくなってしまうため、芯止めによって成長点を取り除いてそれ以上高くなるのを抑えます。ただし、芯止めは木への負担が大きいため、切り口に癒合剤を塗るなど適切に剪定するよう注意しましょう。
剪定のコツ
枝には外に向かって伸びる外芽と内側に向かって伸びる内芽があります。内芽を残してしまうと、木本来の成長方向とは逆に内側に枝が伸びてしまいます。そのため、内芽を取り除けるよう、外芽の上で剪定するのがおすすめです。硬い木の場合、枝に対して斜めに切ることで木の繊維に影響されにくく上手に切れます。
太い枝はノコギリを使用して剪定しましょう。枝の上から切り始めると、途中で枝の重みによって折れてしまいます。そのため、はじめに切る位置の少し上の部分を枝の下側から切り込みを入れ、それから枝先側と枝のつけ根部分というように、3段階に分けて切り落としましょう。
剪定を行う場合に気をつけたいこと
木の健康のためにも必要な剪定ですが、間違った剪定をしてしまうと木を枯らしてしまう恐れもあります。ここからは剪定する時に気をつけるポイントをお伝えしていきます。
自分で剪定を行う場合に気をつけたいこと
気をつけたいポイントはどの枝を切るのかという点です。剪定に慣れていない方は成長に必要な枝や健康な枝も切り落としてしまいがちです。間違った枝を切ってしまうと木を衰弱させてしまう原因になります。
また、剪定した切り口のケアも重要です。木の切り口をそのままにしてしまうと雑菌や別の植物の種などが入りやすくなります。病気の原因にもなるため、癒合剤を塗るなど正しくケアしてあげましょう。このように、植木の剪定はただ枝を切れば良いのではなく、木の健康状態を見ながら慎重に進めることがポイントです。
植木の剪定をプロに頼むのもおすすめ!
剪定に慣れていない方にとって、木の健康状態や成長に必要な枝を見極めることは難しいかもしれません。技術面で不安がある場合はプロに頼むのもおすすめです。くらしのセゾンの庭木のお手入れサービスでは、専門の資格を持った、知識と経験が豊富な職人が庭木のお手入れを担当します。出張・見積もりも無料なので、追加料金を心配することもなく安心してお願いできるでしょう。
おわりに
枝や葉が多くなり過ぎた植木は見た目が悪いだけではなく、放置すると木を枯らす原因にもなるため剪定が必要です。ただし、誤った剪定はかえって木を衰弱させる原因にもなります。正しい剪定には植物ごとの剪定時期や剪定すべき不要な枝など見極めが重要ですが、不安がある場合はプロに相談するのも良いでしょう。