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仮想通貨(暗号資産)は遺産相続できる?相続税の計算方法や手続き方法・注意点も

仮想通貨(暗号資産)は遺産相続できる?相続税の計算方法や手続き方法・注意点も
セゾンのくらし大研究 編集部

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仮想通貨(暗号資産)の歴史はまだ浅いものの最近は徐々に存在感を高めています。既に資産として認識している利用者も多く、国税庁も所得税の対象と認めています。相続においても、遺産相続の対象になること、また相続税の課税対象になることが定まっており、少しずつ周辺環境が整備されている状況です。

本記事では仮想通貨(暗号資産)の相続について、様々な決まりや注意点を解説します。

この記事を読んでわかること

  • 仮想通貨(暗号資産)とは何か
  • 仮想通貨(暗号資産)の相続について
  • 仮想通貨(暗号資産)の相続税の決まり方
  • 仮想通貨(暗号資産)の相続手続き方法
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仮想通貨(暗号資産)はデジタル資産の一種

仮想通貨(暗号資産)はデジタル資産の一種

仮想通貨(暗号資産)はデジタル資産の一種です。資産とは現預金のほか、不動産や証券などの価値がある物を指します。仮想通貨(暗号資産)はデジタルの資産のため目には見えないものの、所有が客観的に認められる世界にあります。最初は2008年に日本人であるサトシ・ナカモトが仮想通貨(暗号資産)の代表格であるビットコインを考案したとされていますが、この人物の正体は不明です。

ただ10年余りを経て国に資産として認められ、外国のなかには通貨の代わりに流通するなど、存在感を高めてきました。

過去10年のあいだには、取り扱う取引所が倒産したり、仮想通貨(暗号資産)の値が急上昇・急降下を繰り返したりするネガティブなニュースも報じられています。金融の世界ではこのような価格の変動が大きい動きをボラティリティが高い、または大きいといいます。一方で長期的に所有している方の仮想通貨(暗号資産)の評価額が何十倍にも跳ね上がるといった価値変動も発生しています。

デジタル資産とは?

デジタル資産とはインターネット上で所有する財産を指し、目に見えない資産です。インターネット銀行口座やオンラインで取引中の株式・投資信託・FX、電子マネーや仮想通貨(暗号資産)もその一つです。オンライン銀行から引出したお金は提携しているリアルの銀行で受け取ることができるため、デジタル資産はリアル(現物)の資産と連携するのが基本です。

仮想通貨(暗号資産)に関しても「ビットコインはいま〇〇円」として共通認識されているため、仮想通貨取引所などで現金に換金することができます。なお、デジタル資産はリアルの資産と交換できなくても成立するものの(デジタル資産の定義要件ではない)、現実的にはあり得ないようです。

仮想通貨(暗号資産)の主な種類

仮想通貨(暗号資産)はさまざまな種類があります。代表的なのはビットコインとイーサリアムです。また仮想通貨(暗号資産)を売買できる会社があり、大手ネット銀行のグループ会社であるコインチェックや、ビットフライヤーなどが有名です。日本に限らず、海外にも多くの売買会社があります。

仮想通貨(暗号資産)は10,000種類以上が流通しているといわれます。ただし、なかには国はもちろん、仮想通貨(暗号資産)の関係者でさえ信頼を担保できていないものもあり、詐欺の道具として使われているものもあるため注意が必要です。

仮想通貨(暗号資産)は保有者が亡くなったらどうなる?

仮想通貨(暗号資産)は保有者が亡くなったらどうなる?

仮想通貨(暗号資産)は資産として配偶者や子供に相続することができます。かつ相続税の課税対象になります。ただ、仮想通貨(暗号資産)は相続の実務上浸透しているとは言い切れず、相続税申告を依頼する税理士も扱うことのできない方が多いのが現状です。相続は申告手続きに10ヵ月という時間制限があります。

自分が亡くなった後に相続人が困ることが想定されるのであれば、終活として相続の準備を進めるなかで現金に代えておくのもひとつの手段かもしれません。仮想通貨(暗号資産)の相続手続きについては、今後少しずつ整備されていくことでしょう。

仮想通貨(暗号資産)の相続税の計算方法

仮想通貨(暗号資産)の相続税の計算方法

仮想通貨(暗号資産)は相続税の対象となりますが、税評価の明確な方法はありません。実務上、ビットコインやイーサリアムなどのように活発な市場があるか、新興の仮想通貨(暗号資産)のように個別の評価となるかによって分かれます。

活発な市場がある場合

活発な市場が存在する仮想通貨については、仮想通貨交換業者が公表する相続開始日における取引価格によって評価されます。上場株の相続評価に似ています。

活発な市場がない場合

一方で活発な市場が存在しない仮想通貨については、客観的な交換価値を示す一定の相場が成立していないため、その内容や性質、取引実態等を勘案して個別に評価します。

代表的なビットコインやイーサリアムは前者に含まれます。ほかの仮想通貨(暗号資産)は前者に含まれるか、それとも後者になるかの基準も明らかになっていないため、相続税申告をする税理士次第といえます。この状況は健全とはいえませんが、仮想通貨(暗号資産)の数が膨大であるため、当局も基準作りに難儀しているといえるのではないでしょうか。

仮想通貨(暗号資産)の相続手続き方法

仮想通貨(暗号資産)の相続手続き方法

実際に相続が発生した際、仮想通貨(暗号資産)に関してはどのような流れで手続きが進んでいくのかをお伝えしていきます。

取引所を調べる

被相続人が活用していた仮想通貨(暗号資産)の取引所がわからない場合は、被相続人のスマートフォンやPC、確定申告書から履歴をたどります。日頃やり取りをしていた取引所はブックマークしている可能性も高いためです。そのうえで口座に入出金明細がないか調べましょう。取引所からの郵便物も大きなヒントになります。

なお第三者には個人情報を開示しない取引所も多いため、家族もしくは相続人である証明は欠かせないでしょう。詳しくは開示請求をする前に、取引所に相談することをお勧めします。

取引所に連絡する

口座の作成先が判明したら取引所に相続が発生したことを連絡して、必要書類や残高証明書を受け取る手続きに入ります。

取引所に書類を送付する

家族である証明書や、死亡届など客観的に死亡したことがわかる書類の提出を求められる場合があります。代表相続人の本人確認書類、相続人全員の印鑑登録証明書などが必要な場合もあります。金融機関のように実際に取引所に赴いて手続きする仕組みはないため、郵送やオンラインでの手続きとなるでしょう。

口座解約・払い戻しがされる

一連の手続きが終わると、代表相続人の銀行口座に仮想通貨(暗号資産)が日本円に換金されて入金されます。また取引所にもよりますが、代表相続人が被相続人と同じ取引所に仮想通貨(暗号資産)の取引口座を有していた場合、仮想通貨(暗号資産)での入金がされることも可能なようです。

ただ、現実的には仮想通貨(暗号資産)のまま相続人各人に割り振ることは難しいため、相続のどこかの段階で現金への交換は必要となるでしょう。

仮想通貨(暗号資産)を遺産相続するときの注意点 

仮想通貨(暗号資産)を遺産相続するときの注意点 

仮想通貨(暗号資産)を遺産相続する際の注意点は何でしょうか。

スマホやPCの処分は厳禁

デジタル資産の相続には利用者アカウントのデータが必要になるため、スマートフォンやPCを焦って処分しないようにしましょう。相続が発生すると換価できるものを処分し、葬儀代など喫緊で必要な一時金に備えようとする相続人がいますが、仮想通貨(暗号資産)などのデジタル資産の相続に関しては逆効果です。

パスワードがわからなくても課税対象に

仮想通貨(暗号資産)はパスワードがわからなくても課税対象になります。口座確認の詳しい手続きは取引所によって異なるため、問い合わせるようにしましょう。

日本の取引所の場合

日本の取引所の場合は言語も通じるため、必要書類を揃えれば窓口で丁寧に対応して貰えると考えられます。まず当該取引所で仮想通貨(暗号資産)を所有していたこと、死亡により相続が発生したことを伝え、手続きについて問い合わせましょう。

海外の取引所の場合

問題は海外の取引所に預けていた場合です。サポートセンターに問い合わせはした方が良いのですが、言語の壁もあるため、最悪の場合には現金化できないことも考えられます。

国境の壁を物ともせずに仮想通貨(暗号資産)の世界が広がっています。拡大と並行して、相続も含め、さまざまな面で整備が進んでいくことを願います。

デジタル資産の放置はトラブルの原因にも

取引所も金融機関などと同様に、被相続人の口座は死亡と伝えると凍結されます。保有者が死亡したらできるだけ早く連絡して手続きを進めましょう。ただし、デジタル資産の相続は複雑で難しいため、専門知識が必要です。

専門家からのサポートが必要な場合には「セゾンの相続 相続手続きサポート」を活用し、対処していきましょう。司法書士、税理士など相続に関する専門家をご紹介させていただきます。仮想通貨(暗号資産)に関しては、とりわけ対応が難しく、早めの第一歩を心掛けて動きましょう。

セゾンの相続 相続手続きサポートについての詳細はこちら

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おわりに 

仮想通貨(暗号資産)を資産の一種として相続資産とし、相続人に承継する動きが一般化しています。一方で税評価はいまだ不十分といえるため、相続に関してもトラブルになったり、仮想通貨(暗号資産)を含めた遺産分割が円滑に進まなかったりという問題が発生しています。

仮想通貨(暗号資産)の相続に必要な準備、注意点などを把握し、早めに対策を進めることでリスクを減らすことができます。専門家を活用して取り組んでいきましょう。

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