火災保険に加入するにあたり、補償内容をどのように選んだら良いか迷っている方も多いのではないでしょうか。補償内容は保険によって異なるため、選び方を理解しておくことが重要です。 このコラムでは、火災保険の補償内容の基本知識と選び方についてご紹介します。火災保険に詳しくない方でも簡単に理解できる内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも火災保険とは?
火災保険は損害保険の一種として、建物や家財の損害を補償する保険です。保険の対象は、以下のように組み合わせて契約できます。
- 建物のみ
- 家財のみ
- 建物・家財の両方
住まいを守る保険には、大きく分けて火災保険と地震保険の2種類があり、火災をはじめ、災害や盗難など幅広いトラブルに対応しており、もしもの際の経済的な損失をカバーしてくれます。それぞれの違いは以下のとおりです。
保険の種類 | 補償される損害 |
火災保険 | 火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災、水漏れ、物体の落下、衝突等、騒擾等、盗難、水災、諸費用、その他(特約) |
地震保険 | 地震、噴火、地震や噴火による津波 |
地震を原因とする火災事故は、火災保険ではなく地震保険の補償対象です。
火災保険の補償範囲は主に5つ
火災保険の補償範囲は、主に5つに分かれます。
- 火災・落雷・ガス爆発による損害
- 台風・暴風・雪による損害
- 洪水や土砂崩れによる損害
- 盗難や水漏れへの補償
- 破損・汚損への補償
それぞれ順番にご紹介しましょう。
火災・落雷・ガス爆発による損害
火災や落雷、ガス爆発による建物や家財への損害を補償します。例えば、火災保険の補償対象となるのは以下のとおりです。
- 自宅が火元の火災で建物が燃えた
- 隣家が火元の火災で自宅の外壁が燃えた
- 落雷の影響で家電が壊れた
- ガス漏れに気付かずコンロに点火し、爆発して家電が壊れた
隣家からの延焼が原因で自宅が損害を受けた場合、失火責任法により原則として隣家には損害賠償請求できません。火災保険に加入しておくことで自宅から出火した場合だけでなく、隣家からの延焼による損害に備えられます。
台風・暴風・雪による損害
火災保険でカバーできるのは、台風や暴風、雪による建物や家財への損害。補償対象となる具体例は、以下のとおりです。
- 台風で自宅の屋根瓦が飛ばされた
- 暴風による飛来物で窓ガラスが割れた
- 雪の影響でカーポートがつぶれた
瓦が飛ばされた場合は、屋根修理にかかる費用に対して保険金が支払われます。住んでいる地域や建物の特性に合わせて、必要な補償内容を組み合わせましょう。
洪水や土砂崩れによる損害
洪水や土砂崩れなどの水災による損害は、火災保険の補償対象になります。一般的に、水災で火災保険が適用される要件は、以下のとおりです。
- 再調達価額の30%以上の損害を受けた場合
- 床上浸水が生じた場合
- 地盤面より45cmを超える浸水により損害を受けた場合
水災で想定される火災保険の補償例には、以下のケースが挙げられます。
- 台風で河川が氾濫し、床上浸水によって建物や家財が水浸しになった
- 雨による土砂災害で屋内に土砂が流れ込み、家屋が半壊した
- 高潮で床上浸水が生じ、家電が故障した
河川の氾濫や土砂災害だけでなく、ゲリラ豪雨への対策としても効果的です。
盗難や水漏れへの補償
盗難補償は、強盗や窃盗によって建物や家財が受けた損害を補償します。盗難に関する建物や家財の補償例は、以下のとおりです。
- 空き巣に窓ガラスを割られた
- 強盗にブランド品や現金を盗まれた
- 敷地内に止めていた自転車を盗まれた
※未遂を含む
また、火災保険では水漏れによる建物や家財への損害を受けた際に、保険金を受け取れます。
- 給排水管の破裂により床が被害を受けた
- マンションの上の階から水が漏れ、家電が壊れた
※自己の不注意によるものは対象外
ご自身の過失だけでなく、マンションの上階からの水漏れにも備えられます。
破損・汚損への補償
突然起きたトラブルによる、建物や家財への破損・汚損は火災保険の補償の対象。破損や汚損を火災保険で補償できるケースの例は、以下のとおりです。
- 子どもが投げたボールでテレビが壊れた
- 掃除中に誤って壁を破損した
- 模様替え中に棚を倒し、テーブルが壊れた
火災保険で補償されるのは、予期せぬ破損や汚損です。経年劣化による汚損や破損は、補償の適用外とみなされます。
火災保険の補償内容の選び方
火災保険の補償内容の選び方は主に以下の4つです。
- 保険の対象を選択する
- 建物の構造を確認する
- 保険金額が適切か考える
- リスクを考えて補償内容の範囲を決める
それぞれ順番に見ていきましょう。
保険の対象を選択する
火災保険は、一般的に保険対象を任意で選択できます。選択方法は大きく分けて以下の3つです。
- 建物のみ
- 家財のみ
- 建物+家財
保険対象となる「建物」と「家財」の具体例を挙げましょう。
<建物>
- 建物の基礎部分
- 車庫
- 浴槽
- 床暖房
- 便器
- キッチン
- 物置
- 門・塀
- 畳
- ドア・ふすま
<家財>
- 家具
- テレビ
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- パソコン
- テーブル
- 洋服
- カーテン
- 自転車
持ち家の場合は、ご自身で建物の火災保険に加入する必要があります。一方、賃貸住宅は基本的に物件のオーナーが建物の火災保険に加入しているため、入居者の方は「家財のみ」の契約で良いでしょう。
建物の構造を確認する
火災保険は建物の構造によって保険料が変動します。構造は建物の耐火性や耐久性を左右し、損害の範囲に影響を与えるためです。建物の構造による区分を「構造級別」と呼び、以下のように分けられています。
専用住宅 (住宅物件) | 店舗など (一般物件) | 具体例 (住宅物件の場合) | |
保険料は安い ↑ ↓ 保険料は高い | M構造 | - | コンクリート造のマンションなど |
T構造 | 1級 | コンクリート造の戸建住宅(耐火建築物)など | |
2級 | 鉄骨造の戸建住宅(準耐火建築物)、省令準耐火建物に該当するツーバイフォー住宅 など | ||
H構造 | 3級 | 木造の戸建て住宅、共同住宅など |
耐火性や耐久性が高い構造の建物ほど、保険料が安いです。保険を選ぶ際には、住んでいる建物がどの構造級別に区分されるか確認しましょう。
参照:一般社団法人日本損害保険協会|火災保険の「構造級別」について教えてください。
保険金額が適切か考える
保険金額を設定する際には、自己負担金額や保険金額(支払限度額)がご自身の状況に適切か検討することが重要です。保険金額のもとになるのは「保険価額」です。保険価額とは、保険対象の建物や家財を金銭的に評価した額を指します。
保険価額の考え方には「新価」と「時価」の2種類があり、それぞれの違いは以下のとおりです。
保険価額 | 金額の考え方 |
新価 | 同等品を建築・購入するために必要な金額 |
時価 | 同等品を建築・購入するために必要な金額から、経年劣化や使用による消耗を差し引いた金額 |
火災保険は新価をもとに保険金額を設定する商品が一般的になっています。火災で建物や家財を失っても、自己負担なく同等品を建築・購入できる状態にするためです。
ただし、補償の上限額が新価を超えている状態は、保険金額の設定が高過ぎる可能性があります。必要な補償は確保しつつ、無駄な保険料の支払いを抑えられるよう保険金額を検討しましょう。
リスクを考えて補償内容の範囲を決める
保険の特性上、多くのリスクに備えようとするほど保険料は高くなります。リスクとのバランスを考慮して、補償の範囲を決めることが重要です。
例えば、土砂災害や洪水のリスクを把握するためには、ハザードマップの活用が効果的。国土交通省の国土地理院が提供している「ハザードマップポータルサイト」を活用すると、住所や地図から住んでいる地域の災害リスクを簡単に調べられます。複数の災害リスクが想定される地域では、手厚い補償をかけておくといった対策が可能です。
火災保険が使えるケースを事例で紹介
火災保険は、以下のようにさまざまなトラブルに備えられます。
- たばこによるボヤで部屋の一部と家財が焼けた
- 台風で雨どいが壊れた
- 勝手口から侵入され盗難被害に遭った
この章では、火災保険が使える状況と実際の支払金額例についてご紹介します。
たばこによるボヤで部屋の一部と家財が焼けた
Aさんがお風呂から上がって脱衣所に出ると、居間から出火していました。原因は、お風呂に入る前にテレビを見ながら吸っていたタバコの不始末です。幸い大事には至らず、消防車が到着する前に火は消し止められました。
被害額 | 内訳 | |
建物 | 482,504円 | ・パソコン、プリンター ・DVDレコーダー、ステレオセット ・スーツ、コート、シャツ、メガネ ・布団、カーテンなど |
家財 | 1,505,000円 | ・クロス工事(張替工事) ・床工事(張替工事) ・サッシ工事 ・その他雑工事 ・ハウスクリーニングなど |
合計 | 1,987,504円 |
損害保険金(保険金額限度) | 1,987,504円 |
残存物取片づけ費用(※1) | 75,000円 |
臨時費用(※2) | 596,251円(※3) |
補償額の合計 | 2,658,755円 |
(※1)「残存物取片づけ費用」は、「基本補償(火災、落雷、破裂・爆発)」に含まれる補償
(※2)「臨時費用」は、諸費用補償特約を選んだ場合のみ支払いあり
(※3)保険始期日が2020年6月30日以前に契約した場合の算出金額
台風で雨どいが壊れた
台風による強風のため、Bさんの自宅では1階の屋根に取り付けてあった雨どいが金具から外れてしまいました。復旧のためには建物の外壁に沿って足場を組み、雨樋の交換が必要です。
被害額 | 内訳 | |
建物 | 175,000円 | ・雨どい、受け金具 ・交換作業費 |
合計 | 175,000円 |
損害保険金(保険金額限度)(※1) | 175,000円 |
臨時費用(※2) | 52,500円(※3) |
補償額の合計 | 227,500円 |
(※1)自己負担額(免責金額):なし
(※2)「臨時費用」は、諸費用補償特約を選んだ場合のみ支払いあり
(※3)保険始期日が2020年6月30日以前に契約した場合の算出金額
勝手口から侵入され盗難被害に遭った
Cさんが帰宅し2階に上がると、寝室が荒らされアクセサリーや腕時計などがなくなっていました。戸締りをしていた勝手口の鍵は壊され、備えていたはずの防犯ブザーは外されています。Cさんはすぐに警察に通報し、盗難の被害届を出しました。
被害額 | 内訳 | |
建物 | 298,755円 | ・勝手口ドア交換工事費 |
家財 | 310,000円 | ・ネックレス、指輪、ブレスレット ・腕時計、キーケース ・現金 |
合計 | 608,755円 |
盗難保険金(建物) | 298,755円 |
盗難保険金(家財) | 310,000円 |
補償額の合計 | 608,755円 |
火災保険のおすすめ5選
これから加入を検討している方におすすめの火災保険は、以下の5つです。
- ソニー損保「ソニー損保の新ネット火災保険」
- 損保ジャパン「THE すまいの保険」
- 三井住友海上「GK すまいの保険(すまいの火災保険)」
- 東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険(火災保険)」
- セゾン自動車火災保険「じぶんでえらべる火災保険」
おすすめする理由と合わせて、順番にご紹介します。
ソニー損保「ソニー損保の新ネット火災保険」
ソニー損保の新ネット火災保険は、オリコン顧客満足度(R)調査 火災保険 総合ランキング4年連続1位(2020年~2023年)。ネット保険の強みを生かして、手頃な保険料で加入できることや、自分に合った補償内容を選択できることが特長です。また、地震保険の上乗せの補償として、地震上乗せ特約(全半損時のみ)もご用意しています。
補償範囲 | ・火災、落雷、破裂・爆発 ・風災、雹(ひょう)災、雪災 ・水災 ・水ぬれ、外部からの物体の衝突など ・盗難 ・類焼損害・失火見舞費用補償特約 ・個人賠償責任補償特約 ・臨時費用保険金補償特約 ・破損・汚損損害等補償特約 ・残存物取片づけ費用 ・地震火災費用 ・水道管修理費用 ・損害防止費用 ・地震保険 ・地震上乗せ特約(全半損時のみ) |
支払い方法 | ・クレジットカード払い ・払込票払い ・銀行振込 |
保険期間 | 1〜5年 |
URL | https://www.sonysonpo.co.jp/fire/?Camp_ID=U89001 |
損保ジャパン「THE すまいの保険」
損保ジャパンの「THE すまいの保険」は幅広いトラブルをカバーできる点が特徴です。火災をはじめとする基本補償に加えて、ご自身にあった特約を任意で付帯できます。火災保険だけでカバーできない範囲は、地震保険に別途加入して補償可能です。
補償範囲 | ・火災、落雷、破裂・爆発 ・風災、雹(ひょう)災、雪災 ・水災 ・外部からの衝突、水ぬれ ・盗難 ・破損・汚損 |
支払い方法 | ・口座振替 ・払込票払い ・クレジットカード払い ・デビッドカード払い ・現金払い |
保険期間 | 1日〜5年 |
URL | https://www.sompo-japan.co.jp/kinsurance/habitation/sumai/ |
三井住友海上「GK すまいの保険(すまいの火災保険)」
三井住友海上の「GK すまいの保険(すまいの火災保険)」は、シンプルな契約プランが特徴です。リスクに対応した3つの契約プランが用意されているため、補償選びに悩む心配はありません。事故受付はインターネットまたは電話から、24時間365日対応しています。
補償範囲 | ・火災、落雷、破裂・爆発 ・風災、雹(ひょう)災、雪災 ・水ぬれ ・盗難 ・水災 ・破損・汚損など |
支払い方法 | ・口座振替 ・クレジットカード払い ・払込票払い ・請求書払い ・スマホ決済 |
保険期間 | 1〜5年 |
URL | https://www.ms-ins.com/personal/kasai/gk/ |
東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険(火災保険)」
東京海上日動の「トータルアシスト住まいの保険(火災保険)」は3つの補償タイプで構成されている点が特徴です。例えば、水災のリスクが低い高層階向けには「マンションタイプ」が用意されています。建物の種別や備えたいリスクによって、補償タイプを選択可能です。
補償範囲 | ・火災 ・風災 ・水災 ・盗難 ・水ぬれなど ・破損など |
支払い方法 | ・口座振替(5%割増) ・クレジットカード払い(5%割増) ・払込票払い ・請求書払い ・銀行振込 |
保険期間 | 1〜5年 |
URL | https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/live/total_assist/ |
セゾン自動車火災保険「じぶんでえらべる火災保険」
セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」は、ダイレクト型だからこそ実現できる手頃な保険料が魅力の火災保険です。お客さまがインターネットなどを通じて、直接保険会社とやりとりいただくことで、中間コストが軽減されています。補償内容はご自身の住まいに合わせて自由に組み合わせ可能です。
補償範囲 | 基本補償 ・火災、落雷、破裂・爆発(残存物取片づけ費用、損害防止費用) えらべる補償 ・風災、雹(ひょう)災、雪災(残存物取片づけ費用) ・水濡れ、物体の落下・飛来、騒擾(じょう)等(残存物取片づけ費用) ・盗難 ・水災(残存物取片づけ費用) ・諸費用(臨時費用、失火見舞費用、地震火災費用) |
支払い方法 | ・クレジットカード払 ・払込票払 |
保険期間 | 1〜5年 |
URL | https://www.ins-saison.co.jp/eraberu/ldp/?ag=a0102&cid=ACSX04&utm_source=CS&utm_medium=LP_04kurashi&utm_campaign=agent |
「じぶんでえらべる火災保険」は新価補償※の火災保険です。もし火災で自宅が焼失してしまっても、建物なら新築と、家財なら新品と同等の状態に復旧できる額が補償されています。万が一の際の経済的な損失を幅広くカバーできるため、初めて火災保険に加入する方でも安心です。火災保険の加入を検討されている方は「じぶんでえらべる火災保険」をぜひ検討しましょう。
※「新価(再調達価額)」とは、同等のものを再築・再購入するのに必要な金額のことです。
「時価額」とは、「新価(再調達価額)」から経過年数や使用による損耗を差し引いた金額のことです。
SA2023-1084(2023.10)
おわりに
火災保険は、火災をはじめとした住まいにまつわるリスクに備えられる保険です。風災や水災、盗難など、さまざまな損害を補償範囲としています。補償内容を選ぶ際は、保険金額や保険の対象に注意しましょう。 セゾン自動車火災保険では、手頃な保険料が魅力の「じぶんでえらべる火災保険」を通じて、お客さまの安心した住まいづくりをサポートしています。火災保険選びにお悩みの方は、セゾン自動車火災保険までお気軽にお問い合わせください。