仔犬にとってしつけは、社会に適応しながら生きていくために重要なものです。しかし、仔犬を初めて家に迎える時は、いつからどのようにしつけをするべきか悩む方も多いでしょう。
ここでは、仔犬に必要なしつけとやり方のポイントについてご紹介します。また、注意点もわかりやすくまとめていますので、仔犬のしつけについて知りたい方はご一読ください。
- 仔犬のしつけを開始するタイミングは、家に迎えた日
- 名前を教えることから始めて、アイコンタクトトレーニング、トイレトレーニング、コマンドトレーニングなど9つのしつけが必要
- 信頼関係をつくりながら、無理せず進めていく
- 小さな成功を積み重ねて、少しずつクリアしていけるように工夫する
- できない時に叱るのではなく、できた時に褒める
仔犬をしつける時に知っておきたいこと
仔犬のしつけは、いつから行えば良いのでしょうか。まずは、飼い主さんが知っておくべきしつけの基本についてご説明していきます。
しつけは家に迎えた日から
仔犬を家に迎えたら、すぐにしつけを開始しましょう。一般的に、生後3~12週間までの期間は、犬の社会化期に当たります。社会化期は、さまざまな体験をしながら、しつけのベースともいえる社会性を学ぶ重要な時期です。
社会化期を過ぎた仔犬や、成犬を家に迎える飼い主は、「今からだと遅いのでは」と不安に思うかもしれません。しかし、生後12週間を過ぎたからといって、社会に適応できないわけではありませんので、過度に心配する必要はないでしょう。社会化期の仔犬と同様、家に迎えたタイミングでしつけを始めて、一つひとつ焦らずに進めていくことが大切です。
家族間でルールを決めよう
仔犬をしつける際に重要なのが、家族でルールを統一しておくことです。それぞれの対応が異なると、仔犬は混乱してしまいます。その結果、習得に必要以上の時間を要したり、問題行動を繰り返したりすることもあるでしょう。
しつけをスムーズに進めるためには、ケージの位置やコマンドなどについて事前にルール決めを行い、一貫性を持って関わる必要があります。
参照元:わんクォール|子犬の社会化期とは?必要な理由と期間中にやっておきたいことを解説【獣医師監修】
仔犬をしつける際に必要な心構え
しつけをする際、仔犬にとって急に難しい指示を与えたり、しつけだけを優先的に行ったりするのはおすすめできません。忘れてはいけない心構えを見ていきましょう。
焦らず個性を大切に
焦って仔犬に無理をさせると、しつけはスムーズに進みません。人と同じように、犬にも個性があります。人懐っこい仔犬もいれば、自己主張の強い仔犬や神経質な仔犬もいるでしょう。
型にはめたしつけの仕方は、仔犬に大きなストレスを与えてしまいます。家に迎えたばかりの仔犬がルールを知らないのは、当然のことです。ある程度の失敗は覚悟して、個性を大切にしながら丁寧に教えましょう。
しつけは信頼関係のもとに成り立つ
しつけの開始に当たって重要なのが、仔犬との信頼関係です。飼い主との間にしっかりとした関係ができると、しつけがしやすくなります。
そのため、仔犬を家に迎えた時は、しつけだけを優先的に行うのではなく、優しく声をかけてスキンシップを図りましょう。また、毎日の遊びの時間も信頼関係を築くのに有効です。生活のなかで飼い主との時間が「楽しい」と感じられるように関わり、少しずつ信頼関係をつくっていきましょう。
小さな成功を積み重ねよう
最初から大きな目標を掲げてしまうと、お互いにしつけがストレスになる可能性があります。完全な成功を目指すのではなく、細かいステップを設けてクリアしていけるように工夫しましょう。
そして、どんなに細かいステップだったとしても、クリアできたらたくさん褒めてあげてください。小さな成功の積み重ねは、仔犬との関係性を深めることにもつながります。
仔犬のうちに行いたい9つの基本的なしつけ
仔犬に必要なしつけを、優先度の高い順に一覧でまとめました。
【仔犬のうちに行いたい基本的なしつけ】
- 名前を教える
- アイコンタクトトレーニング
- トイレトレーニング
- ボディコントロール
- ハウストレーニング
- コマンドトレーニング
- 人や家具などを噛まないように教える
- 散歩トレーニング
- 留守番トレーニング
やり方とポイントをそれぞれご紹介します。
【ステップ1】名前を教える
まずは、自分(犬自身)の名前を教えてあげましょう。ニックネームで呼んでも問題ありませんが、その場合は仔犬が混乱しないように家族で呼び方を統一してください。
教える時のポイントは、呼んだ後に遊んだりご褒美をあげたりして、名前に対して良いイメージをつけることです。また、名前を呼んだら直後にご褒美を与えるなど、タイミングも重視しましょう。
同時に重要なのが、名前に対して悪いイメージをつけないことです。名前で叱ってしまうと良いイメージが壊れてしまうため、注意しましょう。
【ステップ2】アイコンタクトトレーニング
仔犬が名前に反応するようになったら、アイコンタクトトレーニングを行います。飼い主が何かを伝えたいタイミングで目が合うのは、仔犬に「指示を聞こう」という意思があることを意味します。つまり、アイコンタクトはすべてのしつけの基本となるもので、コミュニケーションをとる際には欠かせません。
名前を呼んでも目が合わないうちは、おもちゃやおやつを利用しましょう。おやつなどを飼い主の目の位置に移動させて、視線を誘導しながら名前を呼んでみてください。そして一瞬でも目が合えば、すぐに褒めてご褒美をあげましょう。アイコンタクトができるようになってきたら、ご褒美を与えるタイミングを遅らせる、誘導をなくしてみるなど段階を踏んでステップアップしていきます。
【ステップ3】トイレトレーニング
トイレトレーニング成功の秘訣は、活動スペースをトイレの習得具合に合わせて徐々に広げていくことです。室内で放し飼いする予定であっても、最初から部屋全体を行き来できるようにするのはおすすめできません。まずは活動スペースをケージ内などに限定し、トイレシートの上で排泄できるようになってから部屋全体に広げていきましょう。
排泄しやすいタイミングと排泄前に見られる仕草を、以下にまとめました。
【排泄しやすいタイミング】
- 水を飲んだ後・エサを食べた後
- 運動中・運動後
- 部屋移動の直後
【排泄前に見られる仕草】
- 床のにおいを嗅いでいる
- そわそわしている
- その場でぐるぐる回るなど
最初のうちは、排泄しやすいタイミングでトイレに連れて行きましょう。
また、トイレトレーニングの際は失敗を叱らないことも大切です。叱られると、排泄を我慢したり別の場所でしたりするようになります。失敗を見つけたら、静かに片づけてあげましょう。
【ステップ4】ボディコントロール
ボディコントロールは、飼い主が触れることに慣れてもらうためのトレーニングです。歯磨きやブラッシングなど、毎日のケアをする際にも必要なしつけとなります。鼻先や足先は嫌がることが多いため、まずは頭や背中などから慣らしていくのがおすすめです。
触れても嫌がらないように少しずつ慣らしながら、最終的にはリラックスした状態で仰向け抱っこができるようにしていきます。仰向け抱っこは、遊びや散歩の後など仔犬が眠くなる時を狙って練習してみてください。また、嫌がって暴れる時は「暴れたらやめてくれる」と学習させないように、少し落ち着いたタイミングで仰向け抱っこを終了しましょう。
【ステップ5】ハウストレーニング
「ハウス」の指示で、クレートやケージに戻れるようにするトレーニングで、お出かけや災害の際にも役立ちます。
まずは「ハウス=安心できる場所」であることを教えましょう。例としては、おやつでケージなどに誘導する方法があります。また、ケージ内でエサを与えたり、おもちゃで遊ばせたりするのもおすすめです。そして仔犬が抵抗なくクレートやケージに入れるようになったら、同じタイミングで「ハウス」と声をかけて号令と行動と結びつけていきましょう。
【ステップ6】コマンドトレーニング
「おいで」「座れ」「伏せ」「待て」などのコマンドは、コミュニケーション手段のひとつです。先述の「ハウス」もコマンドに含まれます。コマンドを覚えさせれば、一言で動きを制御したり、興奮時に落ち着かせたりすることが可能です。
「おいで」を教える際は、両手を広げる動作をしながら、リードを引いて合図を送ります。「おいで」は危険な行動を制御できるため、事故防止にも役立つでしょう。また「座れ」を教えたい場合は、鼻先におやつなどを出してそのままゆっくり上方に動かすと、座る姿勢をとらせることができます。
【ステップ7】人や家具などを噛まないように教える
人や家具などを噛まないように教えることも重要です。仔犬と遊んでいる時に噛まれたら、歯が当たったことを伝えてケージ内に戻してから離れます。そして仔犬の視界に入らない場所で30秒程度待ってから、戻って遊びを再開しましょう。
噛み癖がある場合は、噛んでも壊れないおもちゃを与えてみるのもおすすめです。おもちゃを噛むことは、ストレス解消にもなるでしょう。
【ステップ8】散歩トレーニング
散歩トレーニングは、リードを引っ張らずに飼い主の横を歩く練習のことです。仔犬がリードを引っ張った場合はその場で立ち止まり、飼い主の横に戻るのを待って再び歩き出します。
最初は、おやつで飼い主の横に誘導するのも良いでしょう。散歩を始める前に家のなかで練習し、それから家の周り、散歩コースの順に少しずつ慣らしていきます。
【ステップ9】留守番トレーニング
仔犬が家の環境に慣れてきたら、ケージを使った留守番トレーニングを開始しましょう。仔犬は人がいなくなると、不安になって吠えることがあります。また、退屈して普段はしないようないたずらをする可能性も否定できません。
留守番トレーニングでは、飼い主が必ず戻って来ると認識させることがポイントです。まずはおもちゃとともにケージに戻して、しばらく部屋から離れます。いきなり長時間留守番させるのではなく、短い時間から開始して徐々に慣れさせてあげましょう。
仔犬をしつける際にやってはいけない3つの注意点
最後に、仔犬のしつけで注意したいポイントを3つご紹介します。
できない時に叱る
うまくできなかったからといって叱ってしまうと、飼い主さんとの信頼関係が損なわれてしまいます。信頼関係がなければしつけがスムーズにいかないだけでなく、問題行動を招く可能性もあります。できない時に叱るのではなく、できた時に褒めることが重要です。
長時間トレーニングを続ける
長時間のトレーニングは、仔犬にとってストレスとなります。集中力が続く時間を考慮すると、コマンドトレーニングの場合は5~10分程度で切りあげるのがおすすめです。あくびや鼻先をなめる行動は、仔犬が飽きているサインです。短時間でメリハリをつけ、楽しくトレーニングできるように工夫してあげてください。
覚える順番にこだわり過ぎる
仔犬のしつけを優先度の高い順にご紹介しましたが、必ずしも順番どおりにクリアしなければいけないわけではありません。犬も人と同様に得意・不得意があります。覚えやすいしつけもそれぞれ異なるため、あくまで目安としてできるものから進めても問題ありません。
おわりに
仔犬のしつけで何より大切なのが、飼い主が焦らずに向き合ってあげることです。家に迎えた日からしつけが必要とはいえ、信頼関係がないうちに無理に進めてしまっては、うまくいかないことが多いでしょう。短期間ですべてのしつけを詰め込むのではなく、仔犬の様子を見ながら毎日少しずつ教えてあげてください。
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参照元:MyBESTiee公式サイト|【獣医師監修】簡単にできる犬のしつけ方 効果的なしつけの順番についても解説