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親のマンションの相続手続きはどうする?考えられるケースと手続き方法を解説

親のマンションの相続手続き
セゾンのくらし大研究 編集部

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本記事ではマンションの相続について全般的に解説します。マンション相続は不動産の相続のため、不十分な相続準備は相続トラブルに直結します。相続直後にやるべきことや税金面、相続の手順などを確認し、円滑なマンション相続を完了しましょう。

この記事を読んでわかること

  • 親のマンションを相続したらやるべきこと
  • 相続したマンションの活用方法
  • マンション相続にかかる税金
  • マンションを相続したときの控除
  • マンション相続の手順
相続手続きサポート
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親のマンションを相続したらやるべきこと

親のマンションを相続したらやるべきこと

相続は決められた時間のなかで、数多くの手続きを進めなくてはなりません。親のマンションを相続することになった際に、取り組むべきことを解説します。

住宅ローンの有無を確認する

まずは住宅ローンの有無を確認します。残債が残っている場合はマンションの新しい所有者が引き継ぎ、返済を継続しなければなりません。

相続したマンションに所有者が住んでおらず、別に住まいがある場合は第三者に貸したり、場合によっては売却することも選択肢になるでしょう。いずれにしても金融機関に連絡し、状況を把握しましょう。残債のある場合は移転登記も必要になります。

最近は死亡を以って住宅ローンの残債を返済する団信(団体信用生命保険)を住宅ローンの借入時に契約している方も多く、その場合に相続人はローンの返済義務を引き継ぐことはありません。

マンションの管理組合に連絡する

マンションを管理する管理組合にも連絡します。マンションの管理費や修繕積立金などの状況や、今後の支払い方法について引継ぎを進めましょう。親が敷地内の駐車場を使用していた場合、名義変更や解約の連絡を入れる必要もあります。

公共料金の名義変更や解約

電気や水道、インターネット回線などの名義変更を行います。居住・非居住問わず、未納分がないか確認しておくことも重要です。当面は誰も住まないからと電気や水道の契約を切ってしまうと、衛生上の問題が起こり、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性もあります。

不動産会社や管理組合と相談しましょう。

マンションの評価額を確認する

マンションの評価額は固定資産税評価額と同様です。固定資産評価証明書や課税明細書で確認します。相続税の手続きがまだの場合は、固定資産税評価額からある程度の不動産価値を予測することができます。土地の評価額計算には路線価を使用します。

また固定資産税や都市計画税の支払がある場合、金額の確認をする必要があります。中長期的にマンションをどのように管理していくかの重要な資料になりますので、早めに確認しましょう。

相続したマンションの活用方法

相続したマンションの活用方法

マンションを相続したものの、既に相続人には別の住まいがあるケースもあります。相続したマンションには、どのような活用方法があるのでしょうか。

自分が住む

まずは自分が居住する選択肢です。職場へのアクセスや生活環境によります。親から相続した場合は築年数が経過していることも多いため、配偶者や子どもへの配慮も欠かせません。また別の不動産物件を所有している場合は、その物件をどうするかも検討する必要があります。

賃貸物件にする

所有権は維持したまま、他の方に貸す方法です。親族知人に貸すケースもあれば、不動産仲介会社を通じてまったくの第三者に貸す場合もあります。

自分で住む場合もそうですが、築年数が経過していることによりリフォームやリノベーションが必要なら、その費用は誰が負担するのか、家賃収益が発生するまでのスケジュールはどうなるかが懸念材料になるでしょう。

そもそも新築ではないこともあり、収支計画が成り立つ物件かどうかも確認することが大切です。

売却する

所有権を手放し、売却する選択肢です。遺産分割の原資として相続終了前に売却するか、もしくはいったん自分の所有物としてから売却する選択肢があります。また売却といってもすぐに買い手がつくとも限りませんし、希望の価格で必ず売却される保障もありません。時間的な制約も課題になります。

相続が始まる前に、査定額を可能な範囲で調査しておくのもお勧めです。父母が住んでいる不動産を時価調査することは気が引けますが、調べておくだけでも売却の選択肢を取りやすくなります。

親が息災のうちに居住しているマンションをどうするか、話し合うことはなかなか難しいかもしれません。ただ、このように相続後の活用方法にはメリットとデメリットがあります。可能な限り早めに方向性を決めておくことが、資産としてのマンションの活用につながります。

マンション相続にかかる税金

マンション相続にかかる税金

マンションの相続にかかる税金まわりです。相続税の申告・納付は、原則、相続発生時から10カ月以内に行わなければいけません。特に不動産などに流動性の低い資産がある場合、あまり時間的な余裕はないことがわかります。

相続税

不動産の相続には相続税がかかります。マンションを相続する場合、建物は固定資産税評価額を参考に、土地は路線価方式、または倍率方式という基準で価値を算出し、課税額を計算します。仮に不動産の所有権を複数人で分ける場合は、相続税支払いは所有割合に合わせて按分します。

相続税がかからないケース

相続したマンションの評価額を含めた相続財産合計の課税価格が基礎控除額を下回っていれば、相続税はかかりません。基礎控除の詳しい計算式は後述しますが、相続人(法定相続人)の数が多ければ多いほど、基礎控除は高くなります。

登録免許税

不動産を売買せず、相続登記をする場合は登録免許税は必要となります。相続登記の登録免許税は不動産価格(固定資産評価額)の0.4%です。ただし、相続人以外の方が遺言によって取得した不動産を登記する場合は、2%と定められています。

マンションを相続したときの控除

マンションを相続したときの控除

マンションを相続したときの控除の仕組みについてです。控除を利用することで、相続税の支払いがなくなる可能性もあるため、きちんと確認しておきましょう。

相続税の基礎控除

相続税は、課税対象となる相続財産価格から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額で算出します。基礎控除は一律3,000万円の定額部分と、法定相続人ひとりあたり600万円を合わせたものです。

相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

相続税の課税対象となる遺産の総額が基礎控除分を超えなければ、相続税はかかりません。

小規模宅地等の特例

相続したマンションが親の自宅として利用されていた場合は、小規模宅地等の特例が利用できます。小規模宅地等の特例は、いくつか諸条件がありますが、最大で該当する宅地の評価額を最大80%減額することが可能です。要件が厳しく煩雑なため、適用の可否については独自で判断せず、専門家などに相談するようにしましょう。

配偶者控除

相続における配偶者控除は、配偶者が相続した遺産のうち、課税対象となるものが1億6,000万円までであれば課税されない控除制度です。配偶者の生活を守ることが目的です。

マンション相続の手順

マンション相続の手順

親のマンションを相続する場合の流れをまとめておさらいしましょう。

マンション相続の一連の流れ

マンション相続の一連の流れをまとめます。

  • 遺言書を確認する
  • 相続人と相続財産を明確にする
  • 遺産分割協議を行い相続内容を決める
  • 相続登記の手続きをする
  • 相続税申告をする
  • 相続したマンションの活用方法を決定する

文章にすると一行ですが、一つひとつの作業はとても煩雑で、かつ専門知識を必要とするものです。間違えて手続きを進めた場合は相続やり直しのリスクが高まるほか、相続税の延滞税の可能性が生じるなど、多くのリスクがあります。

相続手続きは専門家に依頼すると安心

本記事にてお伝えしたように、相続まわりの手続きは不慣れで厄介なものも多く、専門的な知識も必要となります。知識的にも、また精神的にも相続の手続きは誰でも簡単にできるものではありません。また今回のように、マンションをはじめとした不動産が関わる相続は、より一層煩雑です。

日々の仕事があるなかで申請や手続きに時間もかかるため、ご自身での対応が難しい場合は「セゾンの相続 相続手続きサポート」への相談をおすすめします。相続が発生しそう、マンションの相続手続きは何から始めたらいいのだろうという段階から、丁寧にサポートします。

セゾンの相続 相続手続きサポートについての詳細はこちら

相続手続きサポート
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おわりに

マンションの相続手続きについてまとめました。実際の相続手続きはもちろん、税金や権利承継に至るまで、マンションの相続はとても煩雑です。だからこそ相続発生時、可能であれば相続が発生する前から専門家に相談して、対策を進めるようにしましょう。将来の売却可能性に備え時価を調べる作業などは、早いうちから対策できます。

もちろん住んでいる父母の心理的なフォローも大切なため、「進め方」も踏まえて相談することをお勧めします。

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