年齢を重ねると「このまま一人だったら」「妻(夫)に先立たれたら」と将来の心配が頭をよぎります。とはいえ「なんとかなるでしょう」と対策しないでいると、安心した生活が送れないかもしれません。
この記事では、独居老人が抱えるリスクや頼れる支援をご紹介します。将来の暮らしに不安がある方だけでなく、おひとりさまを堪能している方も、知っておきたい情報が満載です。今から対策して、安心できる老後にしませんか。
この記事を読んでわかること
- 独居老人とは、一人暮らしをする65歳以上の高齢者を指している
- 独居老人は年々増加傾向にあり、誰でもなり得る
- 高齢で一人暮らしをしていると、生活の困窮・病気・詐欺被害・孤独死などさまざまなリスクがある
- 介護保険サービスをはじめ、生活や外出のサポート、地域の交流会といった支援を活用すると、独居老人のリスク回避につながる
「独居老人」の定義
独居老人とは、一人暮らしをする65歳以上の高齢者を指します。独居老人になる事情はさまざまで、「一人の生活が好きだから」と独居を選ぶ方もいれば、配偶者に先立たれたり家族が遠方に暮らしていたりと、身寄りがないために一人暮らしせざるを得ない状況の方もいるでしょう。
いずれにせよ、高齢者が一人暮らしをしている場合は「独居老人」となります。
独居老人の今
独居老人は、年々増加の一途をたどっています。厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」の結果から、近年における65歳以上の方がいる世帯の状況を見てみましょう。
65歳以上の方がいる全世帯のうち、単独世帯や夫婦のみの世帯などの世帯構造別の割合を示しています。2007年は高齢者の単独世帯が22.5%であったのに対し、2022年では31.8%にまで増加しました。
さらに、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、65歳以上の方がいる全世帯のうち単独世帯の割合が2040年に40%になると見込まれています。
独居老人が増加している理由には、少子高齢化や核家族化の進行があります。近くに家族や親族がおらず、誰にも頼れない状況に置かれている高齢者が増えているのです。
孤立しやすい高齢者の特徴
独居老人は他人ごとではありません。現在一人暮らししている方で、特に以下の特徴にも当てはまる場合は、社会的に孤立しやすいので注意が必要です。
【孤立しやすい高齢者の特徴】
- 家族や地域のコミュニティとの接触機会がない
- 電話やメールを含む会話の頻度が低い
- 困ったときに頼れる人がいない
- 介護保険・生活保護といった行政サービスを受けていない など
「迷惑かけたくないから」という理由で周りに頼らない生活をしているかもしれませんが、独居老人にはさまざまなリスクが生じます。次で詳しく見てみましょう。
参照元:厚生労働省|国民生活基礎調査 結果の概況|P2、国立社会保障・人口問題研究所|『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計)|結果表2.世帯の家族類型別,世帯主の男女5歳階級別一般世帯数および割合
独居老人が抱えるリスク
高齢者が一人暮らしをしていると、孤独を感じやすいだけでなく、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。どのようなリスクがあるか、把握しておきましょう。
孤独感
身近に親しい方や話し相手がいない場合、孤独を感じてしまいます。高齢になると、足腰が悪くなったり、耳が聞こえにくくなったりするがゆえに、外出するのが億劫になるでしょう。
それにより、家族のみならず友人や地域の方とも疎遠になってしまいます。孤独感が増すと、生きがいや日々の張り合いまでも失いかねません。
詐欺被害
独居老人は、犯罪のターゲットになりやすい傾向があります。特に注意したいのが、特殊詐欺です。警視庁では、オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺の主な被害者は、高齢者であると発表しています。
高齢者が詐欺被害に遭いやすい理由に、認知機能の低下が挙げられます。高齢者にありがちな「自分は騙されない」という自信過剰な点も一因でしょう。さらに、一人暮らしだと詐欺に関する情報が入って来にくく、身近に相談できる相手があまりいません。そのため、詐欺被害のリスクが高いのです。
食生活の偏り
高齢者が一人暮らしをしていると、食生活が偏りがちになります。というのも、一人分の食事をきちんと作るのが面倒に感じ、手間がかからないパンやお惣菜で済ませてしまう方が多いためです。そうなると、栄養バランスが崩れ、健康状態に影響します。
また、年金だけで生活費をやりくりしなければならない場合、食費を削る方もいるでしょう。食費に充分なお金をかけられなければ、食生活も偏ってしまいます。
生活の困窮
年金からすべての生活費を捻出するとなると、経済状況に不安が生じます。2019年に内閣府が行った「高齢者の経済生活に関する調査」では、「家計にゆとりがない」「家計が苦しい」と答えた方が25%以上にのぼりました。
加えて、総務省が実施している「家計調査」の2022年平均結果の概要を確認すると、65歳以上の単身無職世帯において月ごとの平均収入は134,915円。そこから社会保険料や税金を差し引いて手元に残るのが、122,559円です。対して、消費支出の月平均は143,139円のため、20,000円以上不足している計算になります。この結果からもわかるように、独居老人は生活の困窮リスクにつながりやすいのです。
病気
病気のリスクも見逃せません。近年では、社会的な孤立による、脳機能の低下や認知症リスクの上昇が指摘されているだけでなく、加齢による心身機能の低下や社会的な孤立への不安が引き金となり、老人性のうつ病を発症するリスクもあります。
一人暮らしをしていると、身近に違和感や症状を指摘してくれる方がおらず、気づいたときには病状が悪化していることも少なくないでしょう。
身元保証人が見つからない
独居老人だと、身元保証人が見つからない恐れもあります。身元保証人とは、読んで字のごとく身元を保証してくれる方のことで、介護施設への入居や病院に入院するタイミングで求められます。近くに家族や親族がいればお願いしやすいですが、独居老人の場合、身元保証人を見つけるのは困難でしょう。
身元保証人が見つからないと、介護施設や病院への受け入れを断られるかもしれません。さらに、身元保証人はご自身が死去したときの手続きや遺体の引き取りといった役割を担う存在なので、見つからなければ死亡後のさまざまな対応が滞ってしまう可能性があります。
孤独死
独居老人で大きな不安となるのが、孤独死のリスクでしょう。転んでケガをしたり体調不良で寝込んでいたりしても、一人で暮らしていると周囲から異変がわかりにくく、発見が遅れてしまいます。誰にも気づいてもらえなければ、そのまま孤独死してしまう恐れがあるのです。
参照元:内閣府|高齢者の経済生活に関する調査|P44、総務省||家計調査年報(家計収支編) 2022年(令和4年)結果の概要|P18
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頼るべき!独居老人を救える17の支援一覧
独居老人特有のリスクを下げるには、周りの方や行政、民間企業などの力を借りるのが得策です。ここからは、独居老人を救う手立てになる支援やサービスをご紹介します。
家族の支援
まず、家族に支援してもらいやすい内容をまとめました。
生きがいや趣味探し
一人暮らしをしていく中で、生きがいがないと日々の張り合いが出ません。そこで、家族に生きがいや趣味探しを手伝ってもらいましょう。家族と旅行したり、孫と会う機会を増やして成長を見守ったりしてみてください。家族や孫と団らんすれば、生きがいにつながります。
見守り家電の導入
ご自身の安否を家族が把握しやすいように、見守り家電の導入に協力してもらうのもおすすめです。見守り家電には、冷蔵庫やエアコンなどがあります。家電内にセンサーが組み込まれており、家族が使用状況を確認できる仕組みになっています。設置が簡単でわざわざ連絡しなくても安否を伝えられるため、家族の負担になりにくいでしょう。
高齢者向け住宅や老人ホームの検討
高齢者向け住宅や老人ホームに入居すると、常に周りに誰かがいるため安心して生活できます。とはいえ、ご自身だけで施設を探して手続きを済ませるのは大変です。そこで、家族にも一緒に検討してもらいましょう。施設の見学やインターネットでの情報収集を一緒にしてもらうようお願いすることで、よりご自身に合う施設が見つかるかもしれません。
行政の支援
続いて、行政の支援をご紹介します。
介護保険サービス
介護保険サービスは、要支援または要介護認定された方が受けられる支援です。具体的には、介護のプロやケアマネージャーによる、自宅での家事援助・訪問介護・デイサービスなどが低価格で利用できます。
介護保険サービスの利用を検討する際は、役所の福祉課(自治体によって名称が異なる)もしくは地域包括センターの窓口に相談してください。
特別養護老人ホーム
常に介護が必要な状態かつ自宅での生活が困難な場合、特別養護老人ホームに入居できます。介護が終身まで受けられるうえに、民間の施設より費用負担が軽い点が魅力です。ただし、待機者が多いため入所できるまでしばらく待たなくてはなりません。地域によっては、数年かかることもあるでしょう。
申し込みは、市役所の福祉課や地域包括センターで行ってください。
地域の交流会
全国各地で、仲間や生きがいづくりを目的とする高齢者の集いや高齢者サロンが開催されています。地域住民との交流を持つことは、孤独死回避の手立てになるでしょう。また、外出する機会が増えれば自然と身体を動かすようになり、介護予防にもつながります。
地域の交流会の情報は、自治体のWEBサイトや広報誌に掲載されています。
生活習慣改善対策
がんや脳卒中といった生活習慣病を予防するには、食生活・運動習慣などを良好に保つ必要があります。地域で独自のプログラムを実施しているので、利用してみてはいかがでしょう。例えば、生活習慣改善講座や血糖値改善に向けた食生活のアドバイスなどが受けられます。
お住まいの地域でどのような取り組みをしているかは、自治体のWEBサイトをチェックしてみてください。
地域包括支援センター
地域包括支援センターとは、住民の健康保持や生活安定のサポートを行っている施設です。幅広い相談を受け付けており、保健師・社会福祉士・ケアマネジャーといった職種の方がチームで支援してくれます。何か困ったことがあったら、近くの地域包括支援センターに問い合わせてみると良いでしょう。
民間企業やNPO法人の支援
最後に、民間企業やNPO法人が行っている支援をお伝えします。
生活サポート
掃除や洗濯、食事の準備など家事全般を支援してくれるのが、生活サポートです。同じような支援を介護保険サービスでも行っていますが、要介護認定などを受けないと利用できません。
民間企業やNPO法人が展開するサービスなら、誰でも気軽に依頼できるメリットがあります。週に1回自宅に来て手伝ってもらうだけでも、生活のしやすさが向上するでしょう。
外出サポート
民間企業やNPO法人では、散歩や趣味の外出などに付き添う外出サポートを行っています。近場だけでなく旅行や帰郷にも対応しているケースがあり、遠出も諦める必要はありません。一人での外出に不安がある方におすすめのサービスです。
入院や通院のサポート
入院や通院のサポートも心強い味方となってくれます。病院でのあらゆる手続きや精算をするには、それなりの労力がかかります。さらに、病状をきちんと説明し、医師が話す内容を理解しなければなりません。入院や通院に関するサポートを利用して受診できれば、負担軽減が図れるでしょう。
金銭管理の代行
民間企業やNPO法人のサービスの中には、金銭管理の代行があります。具体的には、入出金の手続きや公共料金の支払い、通帳と印鑑の管理などを行ってくれます。認知症などで判断能力が衰えていても、金銭管理の代行をお願いしておけば安心です。
身元保証代行
身元保証人が見つからないと、介護施設や病院に受け入れてもらいにくいことを紹介しました。誰にも身元保証人をお願いできない場合でも、このサービスを利用すれば、民間企業やNPO法人が身元保証代行をしてくれるのです。入院から死亡後の遺体の引き取りまで対応しており、いざというときの備えになります。
交流会
NPO法人などでは、高齢者向けの交流会を開催中です。レクリエーションや講座、散歩といった内容で企画されています。興味のある交流会に参加すれば、仲間や趣味、生きがいを見つけられるかもしれません。孤独感の払拭や運動不足解消にもつながります。
相続支援
独居老人の場合、相続問題が複雑になりやすいです。疎遠であっても子どもや孫がいれば相続人になりえますが、身寄りがいないと手続きに手間と時間が生じます。とはいえ、相続対策をするには専門的な知識が必要です。そこで、民間企業やNPO法人が展開している相続支援を活用しましょう。弁護士や司法書士などによる、遺言書作成・相続税対策といったサポートが受けられます。
住み替え支援
介護施設への入居や自宅の売却を考える際には、住み替え支援サービスを利用してみてください。引っ越しの手伝いはもちろん、不動産売却や家財処分まで行ってくれるので、住み替えの労力が軽くなるでしょう。自宅を売却しないのであれば、空き家対策も任せられます。
見守りサービス
高齢者の見守りサービスには、訪問型とセンサー型があります。訪問型は、定期的にスタッフが自宅に来訪し、安否を確認してくれるサービスです。センサー型は、トイレなど毎日アクションがある場所にセンサーを設置し、異変があったときに家族や警備会社に通知される仕組みとなっています。
見守りサービスを利用すれば、いざというときの安心感はもちろん、孤独死回避にもつながるでしょう。
おわりに
一人暮らしをしている65歳以上の方を指す、独居老人。誰にでも独居老人になる可能性があり、決して無関係ではありません。ご紹介してきたように、独居老人にはさまざまなリスクがあります。「自分は大丈夫」と思い込まずに、支援先を確認したり、家族や近隣と関わる機会を増やしたりして、今できる対策から始めましょう。
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