愛するペットが亡くなったとき、どのように供養するか悩む飼い主は少なくないでしょう。その理由は、火葬するか土葬するか、そして火葬後はどこに遺骨を納めるのかなど、多くの選択肢があるからです。本記事では、後悔のないお別れができるように、ペットの供養やお墓についてくわしく解説します。ペット供養は飼い主の気持ちを整理するためにも重要ですので、ぜひご一読ください。
この記事を読んでわかること
- ペットが亡くなったときは、体を清めて全身が入る箱に安置する
- ペットの葬儀方法としては火葬・土葬、火葬後の供養方法としては手元供養・霊園への納骨・自宅敷地内への埋葬・散骨などがある
- 自宅敷地内にペットを埋葬するときは、墓石を置く、樹木を植えるなどして目印をつくる
ペットが亡くなったらすべきこと
まずは、ペットが旅立ったときにどのような準備が必要なのか見ていきましょう。
ペットが亡くなってすぐは、供養方法について考えられないかもしれません。長年大切にしてきた家族が亡くなってしまったのですから、当然のことでしょう。ペットの供養について考えるのは、少し心が落ち着いてからでもかまいません。
ただし、遺体はそのままにしておくと傷んでしまいます。保存できる期間は、夏季で1~2日程度、冬季で2~3日程度とされていますので、ペットができるだけきれいな状態でお別れできるように準備を進めてあげてください。
ペットが亡くなったら
ペットをタオルの上に寝かせ、ぬるま湯で濡らした別のタオルで優しく拭いてあげましょう。2時間程度で硬直が始まるため、その前にまぶたを閉じ、手足を胸のところで優しく折り曲げてください。
体がきれいになったら、体格に合う箱・段ボールにタオルを敷いて寝かせましょう。そして直射日光が当たらない風通しの良い場所に安置し、傷みやすい頭・お腹を保冷剤で冷やしてあげてください。場合によっては、口や肛門から体液などが出てくることもあります。その際は、ガーゼなどで拭き取ってあげましょう。
葬儀の方法を選ぶ
ペットの葬儀方法には、火葬と土葬の2つがあります。それぞれの方法や注意点をご紹介します。
火葬する
ペット供養の主流となっているのが、火葬です。火葬スタイルとしては、他のペットと一緒に火葬する合同火葬、一体のみで火葬する個別火葬、火葬炉搭載の専用車で火葬する移動火葬があります。
費用を抑えたい場合は合同火葬がおすすめですが、遺骨が手元に残らないため注意が必要です。遺骨を残してしっかり供養してあげたい場合は、個別火葬・移動火葬を選ぶと良いでしょう。なお、ペットの体格によっては、移動火葬ができないこともあります。心配な場合は火葬会社に確認してみましょう。
土葬する
土葬とは、ペットを火葬せずに埋葬する方法です。人間の土葬は法律的に認められてはいるものの、市町村長の許可が必要なため、私有地であってもできない地域が少なくありません。
一方、ペットは私有地であれば土葬が可能で、特別な許可も不要です。ただし、においや虫が発生する可能性があるため、近隣への配慮が必要となります。私有地以外の場所における土葬は、法律違反になるのでやめましょう。
ペットがハムスターなどの小動物であれば、プランター葬をすることも可能です。プランター・受け皿・土があればマンションのベランダでも簡単に埋葬できるだけでなく、引っ越ししやすいこともメリットです。
参照元:ペトリィ 小さな家族のセレモニー|ペットの遺体の処置について|保存・安置方法ときれいな姿を維持する手順を獣医師が解説、ヤシロのペット供養|ペットが死んだら最初にしていただきたいこと
ペットのお墓や納骨はどうする?
火葬後の供養方法は手元供養、霊園・納骨堂への納骨、自宅敷地内での埋葬など多様化しています。ここでは、それぞれの方法についてくわしく見ていきましょう。
手元供養する
手元供養には、遺骨を祭壇に祀る自宅供養と、アクセサリーなどに納めて持ち歩く狭義の手元供養があります。自宅供養と狭義の手元供養について、以下に特徴をまとめました。
自宅供養
ペットを火葬したあと、自宅に小さな祭壇を設けて骨壺を祀ります。遺骨をコンパクトな骨壺に納めたい場合は、粉骨会社に依頼しパウダー状に加工してもらいましょう。
自宅供養のメリットは、ペットが長年暮らした家に遺骨を置いてあげられることです。その一方で、ペットを身近に感じ過ぎてより寂しい気持ちになってしまう飼い主もいます。そのため「遺骨がそばにあると気持ちを切り替えられない」という場合は、他の供養方法を考えてみましょう。
手元供養
粉骨した遺骨をアクセサリーのなかに納める方法で、「ペットと常に一緒にいたい」と願う飼い主におすすめです。キーホルダー・メモリアルペンダント・ネックレス・遺骨ダイヤモンドなどさまざまなタイプのアクセサリーがあるので、予算や好みに合わせて選びましょう。
霊園や納骨堂に納骨する
ペットの遺骨を、ペット霊園や納骨堂で供養するのも選択肢のひとつです。ペット霊園のメリットは、火葬と納骨を同時に依頼できることです。樹木の周りに遺骨を埋葬する樹木葬を行うところもあるため「自然豊かな環境で供養してあげたい」という飼い主は探してみてください。
ペットの納骨堂には、棚やロッカー、仏壇などさまざまなタイプがあります。室内なので天気を気にせずお参りできること、草むしりなどが不要なことがメリットといえるでしょう。
しかし、ペット霊園や納骨堂は管理費がかかることがほとんどです。費用をしっかりと確認し、先のことまで考えて契約しましょう。
自宅の敷地に埋葬する
自宅敷地内に穴を掘って、遺骨を埋葬する方法もあります。土葬と比べて深く掘らなくて良いだけでなく、においの発生を抑えられることや早く土に還してあげられることなどもメリットです。遺骨が他の動物に掘り起こされる可能性も否定はできませんが、土葬と比べるとリスクを軽減できるでしょう。
マンションに住んでいる場合や引っ越しの予定がある場合は、前述のプランター葬も選択肢のひとつです。火葬後のプランター葬を選べば、小動物だけでなく犬や猫も供養してあげられます。
散骨する
散骨は、粉砕した遺骨を私有地などに撒く供養方法で、ペットを自然に還してあげられることから近年人気が高まっています。他に山中散骨や海洋散骨、宇宙に打ち上げる宇宙葬などもあります。
散骨の魅力は、自宅供養のようにスペースを取らないこと、維持費がかからないことです。ただし、私有地以外の場所における散骨は、市町村の条例をよく確認する必要があります。トラブルを避けるためには、知識がある散骨会社に依頼するのがおすすめです。
なお当然ですが、一度、散骨した遺骨は取り戻せません。よく検討してから決めましょう。
ペットのお墓を建てる方法
遺体・遺骨を埋葬する方法についてご紹介してきましたが「実際にどうやったら良いのかわからない」という飼い主も多いでしょう。以下に、自宅の敷地内にお墓を建てる手順をまとめましたので参考にしてください。
自宅の敷地にペットのお墓を建てる方法
まずは、埋葬場所を決めて穴を掘ります。土葬は1メートル以上、火葬は30センチメートル程度の深さを目安にしましょう。ペットをできるだけ早く土に還してあげたいときにおすすめなのが、有機物を分解してくれる石灰や腐葉土です。穴に撒いておくことで、においや虫の発生を抑えることもできるでしょう。
穴の準備ができたら、遺体・遺骨をタオルで包んで安置して土をかぶせます。化学繊維のタオルはペットが土に還るのを妨げてしまうことがあるため、綿や麻など自然素材のものを選んでください。遺骨は、カビの発生を避けるために骨壺から取り出しましょう。最後は、遺体・遺骨が露出しないように土を盛り、目印となるものを置きます。
ペット用の墓石を準備する
お墓の目印としておすすめなのが、墓石です。一般的なのはプレート型ですが、他にミニタイプの墓石や完全オーダーメイドのものなどもあります。
オーダーメイドのお墓は、サイズ・形・素材・カラーなど細かいところまで指定可能です。また、メッセージや似顔絵を彫刻できるタイプもあるため、自分好みのものを選びましょう。
自宅の敷地でペットの樹木葬をする方法
お墓の目印として、樹木の種や苗を植える方法もあります。遺体・遺骨が根の成長を妨げることがないように、真上からずらして植えましょう。
樹木葬では樹木がうまく育たないことで、気持ちが落ち込んでしまう飼い主もいます。ガーデニングに不慣れで不安がある場合は、育てやすい花の種を複数一緒に植えると精神的負担を軽減できるでしょう。
自宅の敷地にペットのお墓を作る際の注意点
ペットのお墓は、日当たり・水はけが良く、家族の目が届く場所を選びましょう。また、ご自身が土地の所有者でない場合は、所有者に埋葬の許可を得ないといけません。
土葬を選択する場合は、ペットが土に還るのに長い年月がかかることを念頭に置いてください。においや虫の発生リスク、他の動物に掘り起こされる可能性などを考慮すると、火葬するのが好ましいといえます。
他には、自宅を売って引っ越しする可能性があるのかを考えることも重要です。ペットのお墓を残して引っ越してしまうと、将来トラブルにつながることもあるためよく検討しましょう。
参照元:KOBOLabo|ペットのお墓を庭に建てることはできる?注意点や手順を徹底解説
ペットと人間が一緒に入れるお墓はあるの?
家族の一員としてペットと接してきた飼い主のなかには「一緒のお墓に入りたい」という方もいるのではないでしょうか。ペットと一緒に入れるお墓があるのか、ご説明します。
ペットと人間が一緒にお墓に入っても問題ないの?
ペットが人間と同じお墓に入ることは、法律上問題ありません。人間の霊園や墓地では、ペットと一緒に眠れるところもあります。ただし、宗派によってはペットの埋葬を認めないところもあるため、許可されている墓地や霊園を選びましょう。
ペットと一緒にできる埋葬は増えている
ペットが家族の一員として大切にされるようになったことを背景に、ペットの埋葬に対応している民間霊園は増加傾向にあります。一般のお墓の他、納骨堂や樹木葬など、供養形式も多様化しています。
しかし、全ての霊園がペットの埋葬に対応しているわけではありません。先祖代々のお墓がペットに対応していない場合は、他の霊園あるいは供養方法を検討する必要があります。なお、新たなお墓を建てる場合は、ペットにまつわるデザインの墓石を選ぶことも可能となります。
ペットのお墓を室内に?増えているペットの手元供養
ご説明したとおり、手元供養とは遺骨を埋葬せずに自宅などで供養する方法を指します。なかでも、自宅の祭壇で骨壺を祀る自宅供養は、ペットが亡くなったあとも同じ空間で過ごせるという特徴があります。最後に、ペットの手元供養についてもう少し詳しく見ていきましょう。
ペットの手元供養を選ぶ方が増えている
手元供養を選ぶ飼い主さんは、増加しています。理由としては、獣医学の発達などによりペットの平均寿命が延びたことがあげられます。また、少子化・高齢化・核家族化が進み、ペットを子どもや兄弟の代わりとして迎え入れる方が増えたことも、無関係ではないでしょう。
つまり、手元供養の増加は、家庭内における位置づけが単なる「ペット」から「家族の一員」に変化した結果であるといえます。
手元供養のなかでも自宅供養は、室内にペットのお墓をつくってあげられます。家族が集うリビングやペットが気に入っていた場所などに祭壇を設置して、ペットを身近に感じながら生活することが可能です。
大切なペットの供養にペットメモリアルをご活用ください
くらしのセゾンの「ペットメモリアル」では、日常に溶け込み長く飾れるペットの仏壇をご紹介しています。
天然木を使用したナチュラルな素材感のものや、和室・洋室どちらにも合うスタイリッシュなものなど、さまざまな種類のメモリアルグッズがあります。スペースが取りにくい場合は、ミニサイズの仏壇をご紹介することも可能です。
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おわりに
ペット供養は、霊園に納骨する、自宅の敷地にお墓を建てる、手元供養するなどさまざまな方法があります。ペットが亡くなった直後は、楽しかった日々を思い出し、これから一緒に過ごせない現実を突きつけられて、悲しい気持ちになってしまうかもしれません。そのようななかで悔いのないお別れをするためには、家族の形に合う方法を選ぶことが大切です。家族みんなが満足してペットを送り出してあげられるように、しっかりと話し合いをして決めましょう。