車の電力の供給量が充電量を上回ることを「バッテリーが上がる」といいます。原因には「照明のつけっぱなし」や「自然放電」「バッテリーの劣化」などがあります。バッテリー上がりを一度経験した方であれば、どのように対処すべきか知りたいのではないでしょうか。
この記事ではバッテリー上がりの原因や対処法を解説します。自分でできる方法や予防策もわかる内容です。安心した運転のためにぜひお役立てください。
バッテリーが上がるとは
電力の供給量が充電量を上回る状態を「バッテリーが上がる」といいます。車のバッテリーの役割は、セルモーターやヘッドライト、ブレーキランプ、リモコンキー、カーナビ、ワイパー、エアコンなどに電力を供給することです。そして正常に電力を供給するため、車を走らせているときにはバッテリーが充電されます。
バッテリーが上がると、エンジンの始動時に使うセルモーターが動かず、エンジンがかかりません。電装品の調子が悪いときには、バッテリー上がりを疑いましょう。
バッテリーが上がる原因とは
バッテリーが上がる原因は電装品のつけっぱなしや劣化などが考えられ、複数の原因が絡むこともあります。ここでは原因を詳しく解説します。
照明のつけっぱなし、半ドア
主な原因のひとつは、ヘッドライトやルームランプをつけたままにしておくことです。車を動かさないまま電気をつけっぱなしにしておくと、バッテリーは各電装品に電力を供給し続けてしまいます。
車を離れる際には照明の消し忘れや半ドアになっていないか、注意しましょう。
バッテリーの自然放電
「車に乗らないとバッテリーが上がる」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。構造上、車は走らせていなくてもバッテリーに蓄えられた電力を消費してしまいます。この状態を自然放電といいます。カーナビやコンピュータ、時計などは車を動かしていなくても常時電気を消費しており、消費量が充電量を上回るとバッテリーが上がる仕組みです。
車をあまり使わない場合には定期的に運転したり、プロに相談したりしてみましょう。
バッテリーの劣化
使用頻度や車の乗り方などによって異なりますが、一般的な車のバッテリーの寿命は約3年です。運転頻度が少ない場合などには、寿命が短くなります。寿命が近いバッテリーは発電機能が劣化し、本体が膨らむのが特徴です。
年数が経つと劣化は避けられないため、定期的に交換することが重要です。
夏や冬は上がりやすい
夏はエアコンを長時間つけることが多くなるため、バッテリーの負担が大きくなります。また内部に入っているバッテリー液の温度が上がると、化学反応が活発になり、自然放電が進みやすくなります。
冬はバッテリー液の温度が下がることで、化学反応が鈍くなり、性能が落ちやすくなるのが難点です。
夏や冬は負担が大きくなるため、シーズン前に点検してもらうと安心です。
バッテリーが上がる前兆
バッテリーが完全に動かなくなる前には、以下のような症状が見られます。
- パワーウィンドウの開閉が遅い
- エンジンがかかりにくい
- アイドリングストップ機能が正常に動かない
- ルームランプやヘッドライトが暗い
電力が不足している場合にエンジンをかけると「カチカチ」と音がします。またランプやメーターなどが暗かったり、車の機能の動作が怪しかったりするときには、バッテリーが完全に上がる一歩手前の状態であることが多くなります。
車が完全に動かなくなるのを防ぐためには、日頃から車の動作状況を確認することが大切です。事故を防ぐためにも、このような症状が現れたら、早めに点検してもらいましょう。
バッテリーが上がったときの対処法
急に運転ができなくなると、どう対処すればいいか不安になるでしょう。対処法には「ロードサービスを呼ぶこと」や「ジャンプスターターを使うこと」「ジャンピングスタートを行うこと」があります。具体的な手順について解説します。
ロードサービスを呼ぶ
プロにお願いしたいときには、加入している自動車保険やJAFのロードサービスを利用するのがおすすめです。ロードサービスによって対応サービスや料金、到着にかかる時間などは異なります。
自動車保険のサービス内容はさまざまで、「30分の対応が無料」「150,000円までの運搬費用を補償」などがあります。宿泊費用や移動費用を補償してくれるものであれば、旅行先でも安心できるでしょう。
JAFに関しては会員であれば一部のサービスを除き、無料で依頼できます。非会員でも利用可能です。
ロードサービスの連絡先はわかりやすい場所に保管しましょう。
ジャンプスターターを使う
小型のバッテリーである「ジャンプスターター」を使うことで、救護車を呼ばなくても、自力で簡単にエンジンをかけられます。ジャンプスターターにはプラスの赤いケーブルとマイナスの黒いケーブルがあります。
車のプラス端子に赤いケーブルを、マイナス端子に黒いケーブルを接続し、少し経ったらエンジンをかけましょう。ケーブルを外す際には、ジャンプスターターの電源を切り、黒ケーブル、赤ケーブルの順で外します。その後エンジンをしばらくかけて蓄電をしたら完了です。
ジャンプスターターは安いものもあります。いざという時のために車に置いておくことをおすすめします。
ジャンピングスタートを行う
他の車の電力をわけてもらう「ジャンピングスタート」も効果的です。赤と黒のケーブル(ブースターケーブル)を用意し、エンジンを止め、赤のケーブルを故障車のプラス端子につなぎ、もう片方の赤のケーブルを救護車のプラス端子につなぎます。
そして黒のケーブルを援護車のマイナス端子に、反対側を故障車の金属部分に接続します。その後救護車のエンジンをかけて、しばらく充電し、故障車のエンジンがかかったら完了です。救護車のエンジンを切り、黒いケーブル、赤いケーブルの順で外しましょう。
ジャンピングスタートはあくまでも応急措置で、救護車の車種や電圧によってはできない場合もあります。ロードサービスに加入しているときには、ためらわずに利用することをおすすめします。
バッテリー上がりから復活したらやるべきこと
エンジンがかかっても、そのまま車を放置したり普段と変わりなく運転したりすると、再度上がる可能性があります。ここでは復活した際にやるべきことを解説します。
車を走らせてバッテリーを充電する
車の電力がなくなってバッテリーが上がり、ジャンピングスタートなどの対策を取っても、バッテリー内には正常に走行できるだけの十分な電力はありません。
そこでエンジンを充電するために30分から1時間程度走らせましょう。エアコンやヘッドライトなど電装品を使うと、電力を消費してしまうため、できる限り使わないことがポイントです。
アイドリングも効果的ですが、夜間や住宅街など迷惑がかかりそうであれば、避けましょう。
バッテリーの交換
車のバッテリーの寿命は約3年です。バッテリーの劣化が原因である可能性もあるため、整備工場などで交換してもらいましょう。
バッテリー交換費用はバッテリー本体代が5,000円から20,000円程度、工費が2,000円程度です。壊れたバッテリーの廃棄費用がかかる場合もありますが、無料で回収してくれるところもあります。バッテリーのサイズなどによって料金は異なるため、詳しくは交換先に問い合わせましょう。
バッテリーが上がったときにしてはいけないこと
バッテリーが上がり、そのまま放置したり自力で対処したりすると、かえって状況が悪化し、金銭的負担が大きくなる可能性があります。次にバッテリー上がりでしてはいけないことを解説します。
長時間放置する
「バッテリー上がりはしばらく放置すると回復する」と思う方もいるかもしれません。バッテリーが上がった状態で何時間も放置しておくと、自然放電でさらに劣化が進むケースがあります。劣化が進むと充電だけでは足りず、交換が必要になり、費用がかかることもあるでしょう。充電量が完全になくなると、バッテリーは回復しません。
状況を改善するために、早めにロードサービスを呼んだり、交換したりと対策を取ることをおすすめします。
エンジンスタートを何度も試す
車はエンジンを始動したときに多くの電力を消費します。エンジンがかからないからといって何度もエンジンをかけてしまうと、エンジンにかかる負担が大きくなり、寿命が短くなってしまいます。エンジンをかけた際に「カチカチ」と音がしたら、エンジンをかけるのを控えたほうが無難です。
無理に自分だけで対処しようとしない
無理に自力で直そうとすると、別の部品が故障するなど、状況が悪化することがあります。ジャンプスターターでは赤と黒のケーブルのつなぎ方が重要で、間違えると感電し、大事故になることもあるでしょう。
車の部品の取り扱いには専門知識が必要です。プロにお願いしたほうがより早い改善が見込め、安心して任せられるでしょう。
バッテリー上がりの予防策
バッテリー上がりを予防するには頻繁に車を走らせ、適切にライト類を使い、定期的に点検してもらうことが大切です。ロードサービスが充実した自動車保険に加入するのもおすすめです。
定期的に車を走らせる
車を習慣的に使わない方は休日など時間を作って車を走らせましょう。車のバッテリーは走行中に充電されるため、走らせないと電力が少なくなり、エンジンがかからなくなるおそれがあります。急な用事があるときや遠出しているときにバッテリーが上がると、焦ってしまったり余計な出費がかかったりする可能性があります。
普段の買い物に家族の車を使っていれば、あえて使っていない車に乗るなど、ライフスタイルに合わせて対策を考えてみましょう。
ライトなどの過剰使用をしない
バッテリー上がりで多い原因は「ライトのつけっぱなし」です。ルームランプなどを使いすぎると、バッテリー内の電力が少なくなり、エンジンがかからなくなる可能性があります。普段からライトを使いすぎていれば、極力使わないよう家族と話してみることが大切です。
定期的にメンテナンスや充電をする
車の調子が悪いときにすぐに見てもらったり、連絡を取り対処法を教えてもらったりすることで、車の性能をより良い状態に維持できます。バッテリー以外の不調も見つかり、余計な出費を抑えることにもなるでしょう。またホームセンターで充電器を購入し、搭載しておくのもおすすめです。
定期的にバッテリー交換をする
バッテリーは消耗品で、新品の状態を長期間維持できるわけではありません。定期的にバッテリーを交換することで、不測の事態にも冷静に対応できるでしょう。バッテリーの交換に備え、交換先の電話番号をメモしておきましょう。
もしものときのために安心できる保険に入ろう
車のバッテリーが上がった際には加入している自動車保険のロードサービスに連絡するのが一般的です。充実で安心できるロードサービスをお探しであれば「おとなの自動車保険」※1をおすすめします。
「おとなの自動車保険」で付帯できる「ロードアシスタンス特約(ロードサービス)」※2では、1回の事故・故障トラブルにつき、限度額150,000円まで補償し、最大10リットルの無料の給油サービス※3や宿泊費用、移動費用の補償もあります。
保険料は過去1年間の走行距離に応じた区分で算出されるため、一人ひとりのライフスタイルに合った最適な保険料になるのが魅力です。インターネット手続きで、新規なら13,000円割引、継続でも10,000円割引で加入できます。気になる方はぜひお気軽にお申し込みください。
※1 「おとなの自動車保険」は、セゾン自動車保険のペットネームです。
※2 交通事情や気象状況により、サービスカーが運行できずロードサービスを提供できない場合があります。離島については、ロードサービスの対象外となる地域があります。
※3 燃料切れにより走行不能となった場合に燃料をお届けします。(保険期間中1回)ロードサービスの利用対象者がJAF会員の場合は保険期間中2回までご利用いただけます。
SA2023-1108(2023.10)
おわりに
車のバッテリーはエンジンやルームランプ、リモコンキーなどを正常に稼働させる重要な役割があります。バッテリーが上がる(電力の供給量が充電量を上回る)原因として考えられるのは、ランプのつけっぱなしや自然放電、バッテリーの劣化、夏や冬の負担がかかる運転です。
バッテリーが上がったときには自動車保険やJAFのロードサービスを呼ぶことで、修理対応をプロに安心して任せられます。ジャンプスターターで直すことや他の車から電力をわけてもらうジャンピングスタートも効果的です。
再度バッテリーが上がらないよう、定期的にメンテナンスを行い、車を走らせることを習慣にし、すぐに異常を発見できるようにしましょう。