燃費の良さや環境への優しさからアイドリングストップは注目されています。一方で実際に使った方からは「使い勝手が良くない」という声を耳にするのも事実です。アイドリングストップを使おうか迷っている方であれば、その仕組みについて今一度理解したいのではないでしょうか。
そこでこの記事では、アイドリングストップの概要ややり方、メリット、デメリットについて解説します。ひととおりの知識が身につき、ご自身に合った活用法がわかるでしょう。
アイドリングストップとは?概要とやり方を詳しく解説
アイドリングストップ機能は多くの車に搭載されています。「地球温暖化対策になる」「二酸化炭素を削減できる」とはわかっていても、具体的にどのような仕組みか知らない方もいるのではないでしょうか。はじめにアイドリングストップの概要とやり方を解説します。
アイドリングストップとは?
アイドリングストップとは信号待ちや渋滞などで一時停止した際に、自動的にエンジンを停止する機能のことです。
ハンドルを操作したりブレーキを緩めたりすることで、自動的にエンジンが再始動します。そしてアクセルペダルを踏むことで通常どおりの運転ができる仕組みです。
そもそも「アイドリング」とは車のエンジンをかけたまま停車していることを意味します。エンジンがかかった状態のため騒音トラブルになったり、より多くの排気ガスが排出されたりと悪影響を及ぼします。その「アイドリング」を止める(ストップする)ことから、「アイドリングストップ」と呼ばれるようになりました。
アイドリングストップのやり方
アイドリングストップ機能は運転者が特別な操作をする必要はなく、車を停止させるだけで発動します。アイドリングストップが作動する条件はメーカーや車種によって異なり、以下のようなものがあります。
- ハンドルを操作していない
- アクセルがオフになっている
- バッテリー状態が良好
- 平坦な路面である など
一定速度以下になるとエンジンが自動で停止する「停車前アイドリングストップ機能」や発進時のタイムラグを軽減する「スタートアシスト機能」のある車種もあります。
アイドリングストップのメリット
アイドリングストップはガソリン代の節約になり、環境にも配慮できるとさまざまな魅力があります。ここでは3つのメリットを紹介します。
燃費が良くなる
アイドリングストップをしている最中はエンジンが切った状態になるため、その分ガソリン代の節約が可能です。エンジンをつけたまま待ち合わせをしたり、荷物の出し入れをしたりすると、その分のガソリン代が消費されます。
環境省の調査では10分間のアイドリング(エアコンオフ)で、130cc程度の燃料を消費することがわかっています。1日5分のアイドリングストップで、1年当たり約1,900円節約できるという試算も出ています。
使い方によっては大きく節約でき、家計改善に役立つため、積極的に取り入れてみましょう。
排気ガスの削減
車のガソリン使用時には二酸化炭素や窒素酸化物、粒子状物質といった多くの汚染物質が排出されます。アイドリングストップを使うことで、一時的に排出ガス量を抑えられるため、地球温暖化対策につながります。
アイドリングストップをしなかったときの排出量を100%としたときのアイドリングストップによる平均低減率は、以下のとおりです。
さらに1日5分のアイドリングストップで、約39kgの二酸化炭素を削減できるという報告もあります。
気温上昇や大気汚染が深刻になっている中、アイドリングストップを取り入れることは未来の地球環境を守ることにつながるでしょう。
出典:独立行政法人環境再生保全機構「こまめなアイドリングストップで、排出量&燃費消費ダウン!」
騒音の軽減
アイドリングストップ中はエンジンが停止しているため、エンジンで騒音トラブルになるのを回避できます。車のアイドリングは約63〜75dBと、目覚まし時計(約64〜75dB)や洗濯機(約64〜72dB)の音と同じ程度であることがわかっています。
住宅街など、夜中に車を走らせなければならないときでも安心して運転できるでしょう。
アイドリングストップのデメリット
アイドリングストップを使うことでガソリン代を節約でき、周辺環境にも配慮できる点がある一方で、エアコンが停止したり部品の寿命が短くなったりと良い面ばかりではありません。具体的なデメリットを理解し、使い勝手が良いか、長期にわたって使っていけるか判断してみましょう。
エアコンが停止してしまう
車のエアコンはエンジンの回転により稼働します。アイドリングストップにより、エアコンが停止したり送風に切り替わったりするため、暑い日や寒い日には運転が億劫になることもあるでしょう。結局機能を停止し、使わずに終わるかもしれません。
中にはバッテリーでエアコンを稼働させる車もあります。アイドリングストップ搭載車を購入する場合には、エアコンが稼働する条件について確認しておくと安心です。
部品が劣化しやすい
アイドリングストップではエンジンの停止と発動を繰り返すため、タイミングベルトやタイミングチェーン、クランクシャフト、ゴム製のブッシュなどの劣化スピードが速くなります。メンテナンスコストが高くなるため、経済的負担となることもあるでしょう。
アイドリングストップ搭載車を購入したいときには、メーカーにメンテナンスの頻度や部品交換の費用について詳しく聞いてみることをおすすめします。
バッテリーを消耗する
アイドリングストップを繰り返すと、バッテリーに負荷がかかり、寿命を縮めてしまうことになります。エンジンがかかるときには大きな電力が必要で、停車時であってもドライブレコーダーなどに電力を送らなければならないため、負荷がかかる状態が続きます。
加えてアイドリングストップ搭載車用のバッテリーは充電回復スピードが速く、耐久性に優れているため、通常のバッテリーよりも高額です。節約できるガソリン代とバッテリーの購入代金の試算を出してもらい、アイドリングストップを使用するときと使用しないときのどちらが経済的負担にならないか計算しましょう。
アイドリングストップに関するよくある疑問
アイドリングストップには賛否の意見があることから、疑問に感じることがさまざまあるのではないでしょうか。最後にアイドリングストップに関するよくある疑問を紹介します。
アイドリングストップがうまく機能しないときの対処法は?
アイドリングストップ機能が搭載されている車であっても、すべての状況下でアイドリングストップが稼働するわけではありません。いくつかの作動条件があり、車種やメーカーによって異なります。
また条件を満たしている場合でもバッテリーの不具合で稼働しないこともあります。アイドリングストップの効きが悪いと感じたら、早めにメーカーに問い合わせ、修理や部品交換などの対応を取ってもらいましょう。
もしも故障したときは?
車が故障したときには自動車保険に付帯している「ロードサービス」が使えます。より充実したロードサービスをご検討中であれば、「おとなの自動車保険」※1がおすすめです。
「おとなの自動車保険」のロードアシスタンス特約(ロードサービス)※2では、全国約9,200ヵ所※3の拠点からスタッフが現場に駆けつけ、応急処置を行ってくれます。24時間・365日対応しているため、急なトラブルでも安心して利用できるでしょう。
「おとなの自動車保険」では事故率の低い世代を割安にし、過去1年間の走行距離に応じた走行距離区分で保険料を算出してくれます。インターネット手続きで「新規なら13,000円割引」「継続でも10,000円割引」など、割引制度も充実しています。最短5分・無料で見積もりができますので、ぜひ前向きにご検討ください。
※1 「おとなの自動車保険」は、セゾン自動車保険のペットネームです。
※2 交通事情や気象状況により、サービスカーが運行できずロードサービスを提供できない場合があります。離島については、ロードサービスの対象外となる地域があります。
※3 2022年12月時点
SA2023-1107(2023.10)
アイドリングストップの機能を停止したいときは?
アイドリングストップがあると集中して運転ができないなど、機能を停止したいこともあるかと思います。
アイドリングストップを停止するためには2つの方法があります。
- アイドリングストップの解除ボタンを押す
- アイドリングストップキャンセラーを購入する
アイドリングストップ搭載車であれば解除ボタンは設置されており、ボタンを押すだけで簡単に停止できます。ただし、エンジンを入れ直すと再びアイドリングストップが始動するのが難点です。
アイドリングストップキャンセラーは専用の停止機器で、ネットでも購入できます。解除ボタンと異なり、エンジンを入れ直しても始動することはありません。
アイドリングストップ機能を搭載してない車はある?
アイドリングストップ搭載車は国のエコカー減税の認定基準をクリアするために広まった経緯がありますが、運転のしづらさから非搭載車が増えています。アイドリングストップ搭載車は省エネになるものの、非搭載でも低燃費を実現できる高性能の車が出てきているのも事実です。
自動車メーカーが今後どのような車を販売していくのか注目してみましょう。
おわりに
アイドリングストップは停止時にエンジンが自動で止まる機能のことで、地球温暖化や大気汚染対策をきっかけに広まりました。作動する条件はメーカーや車種によって異なりますが、運転者が特別な操作をする必要はありません。
燃費が良く、家計に優しい点や騒音トラブルにならない点がある一方で、エアコンが停止したり部品が劣化しやすかったりと多くのデメリットがあるのも事実です。
アイドリングストップを使おうか迷っている方は、故障に備えてロードサービスや機能の停止方法などを今一度確認しておきましょう。