お風呂にはさまざまな種類の汚れが発生します。汚れの性質に合わない洗剤や掃除道具を使用していると、きれいにならないばかりか、お風呂の素材を傷めてしまうかもしれません。
今回は、お風呂に付着する汚れの種類や適した掃除道具、掃除方法を紹介します。また、数が増えてしまいがちな掃除道具のおしゃれな収納方法もまとめました。内容を参考に、お風呂掃除の効率をアップさせ、清潔な浴室での快適な入浴時間を手に入れましょう。
この記事を読んでわかること
- お風呂場には石けん、皮脂、水垢などの汚れが蓄積しやすい
- 酸性汚れにはアルカリ性、アルカリ性汚れには酸性洗剤を用いると落としやすい
- お風呂掃除では、場所によってスポンジやブラシ、スクイージーなどを使い分けると良い
- お風呂場の掃除道具は吊るして見せる収納にすると、衛生的かつおしゃれになる
お風呂の汚れにはどんなものがある?
まずは、汚れの種類や発生原因などを解説します。「お風呂場の汚れ」といっても、種類や性質はさまざまなので、同じ掃除方法ではきれいになりません。
それぞれの汚れと相性の良い洗剤の性質についても紹介します。
皮脂の汚れ
お風呂場には、皮脂による汚れが発生します。身体を洗ったり浴槽につかったりしているときに落ちた皮脂が、浴槽や浴室内の壁などに付着し、汚れになってしまうのです。
浴槽が黄色に変色している場合、皮脂の汚れが溜まっている可能性が高いでしょう。皮脂汚れは放置すると固まる性質があるため、こまめに掃除しなければなりません。
また、皮脂汚れは酸性なので、掃除の際にはアルカリ性の洗剤を使用すると効果的です。
石けんカスの汚れ
お風呂場の汚れには、石けんカスの汚れもあります。石けんカスには2種類あり、ひとつは水道水のミネラルとシャンプーなどの石けん成分が反応して発生する「金属石けん」です。
白い粉末状で、浴室の壁や扉、浴槽の外側に付着しやすい特徴があります。金属石けんはアルカリ性なので、掃除の際は酸性の洗剤を使用しましょう。
もうひとつは、皮脂汚れと石けん成分が反応してできる「酸性石けん」です。黒や灰色のぬめり汚れで、浴槽や手がよく触れる場所に発生するのが特徴です。酸性の汚れのため、アルカリ性の洗剤で掃除をするときれいになるでしょう。
水垢の汚れ
お風呂は水を多く使うため、どうしても水垢が溜まりやすい場所です。水垢は、水道水に含まれているミネラルが結晶化して白いうろこ状になる、アルカリ性の汚れです。鏡や蛇口、シャワーヘッドなどによく見られます。
水垢は菌類の一種で放置するとカビの原因となるため、こまめに掃除しましょう。
カビの汚れ
お風呂場には、赤カビと黒カビの2種類が発生します。浴槽や洗面器、お風呂場の壁や床などによく見られる赤カビは「ロドトルラ」と呼ばれる酵母菌の一種です。ロドトルラは、水分をエサにして繁殖し、20~30度の高温多湿な環境を好みます。
一方、黒カビは「クラドスポリウム」という菌類で、石けんカスや皮脂などの汚れを栄養源として繁殖します。浴槽のフチやゴムパッキンなどに根を深く張って潜んでいるのが特徴です。吸い込んでしまうと、喘息やアレルギーの原因となるので注意しましょう。
入浴剤の汚れ
入浴剤を頻繁に使用していると、水に溶けなかった着色料が蓄積して黄ばみやピンク汚れとなります。入浴剤による汚れを長時間放置してしまった場合は、簡単に落ちない可能性があるので、入浴剤の汚れは、すぐに洗い流すことがポイントです。
参照元:日本管材センター株式会社|ピンク色の汚れの正体『ロドトルラ』をやっつけよう!
お風呂掃除に必要な道具
お風呂掃除を始める前に、下記のアイテムを用意しましょう。
- 洗剤
- スポンジ
- ブラシ
- 手袋・マスク
- 水切りワイパー
ここでは、それぞれの選び方や使い方を説明します。
洗剤
洗剤は、お風呂掃除に必須です。ただし、汚れの性質に合わせて洗剤を選ばないと思ったような効果が得られない可能性があります。それぞれの洗剤の特徴と使用時の注意事項などをチェックしていきましょう。
中性洗剤
酸性・アルカリ性双方の汚れ落としに効果的なのが、中性洗剤です。ピンク色のぬめりや石けんカスなど簡単な汚れであれば、中性洗剤で落とせるでしょう。洗浄力はあまり強くありませんが、イス・浴槽などの素材や肌に優しいため、毎日の掃除に最適です。
酸性洗剤
酸性洗剤は、水垢や石けんカスなどアルカリ性の汚れ落としに向いています。中性洗剤と比べて洗浄力が強い反面、刺激が強く肌や掃除する部分の素材を傷める可能性があります。使用時は手袋を着用し、長時間のつけ置きは避けましょう。また、塩素系の洗剤や漂白剤と混ざると有毒なガスが発生してしまうため注意してください。
アルカリ性洗剤
アルカリ性の洗剤で落としやすいのは、皮脂汚れや黒カビといった酸性の汚れです。酸性洗剤と同様に刺激が強いので、使用時は手袋の着用をおすすめします。また、アルカリ性洗剤は油汚れにも効果的なため、脱衣所に付着してしまった化粧品やヘアワックスの汚れに試してみるのも良いでしょう。
塩素系漂白剤
塩素系漂白剤は強アルカリ性で、高い洗浄力があります。中性やアルカリ性の洗剤では落ちにくい、頑固な黒カビ除去に効果的です。安全に扱えるよう、使用時はマスク・ゴーグル・手袋の着用と、換気を心がけてください。目より高い場所には直接スプレーするのではなく、布に吹きかけてから軽くたたくように塗布するのがおすすめです。
なお、有毒ガス発生を防ぐため、酸性洗剤との同時使用は控えてください。
酸素系漂白剤
小物のカビ取りに向いているのが、酸素系漂白剤です。塩素系と比べて臭いが少なく、安全に使用できます。そのため、ペットや赤ちゃんのいる家庭や手荒れが気になる方でも安心です。しかしその分、塩素系よりも漂白力が劣るので、頑固な黒カビは落ちない可能性があります。
天然素材の洗剤
自然素材の洗剤の中でお風呂掃除に適しているのは、「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」「クエン酸」の3つです
重曹とセスキ炭酸ソーダはアルカリ性、クエン酸は酸性なので、3つ揃うとお風呂場のさまざまな汚れにアプローチできるでしょう。また、他の洗剤と比べて、そのまま流しても環境負荷が少ない点もうれしいポイントです。
アルカリ性の重曹は、皮脂や赤カビなどの酸性汚れに有効です。洗面器などの汚れを落とすには、重曹を溶かしたお湯につけ置きするのがおすすめです。水を少量混ぜてペースト状にしてスポンジなどでこすり洗いする方法もあります。
セスキ炭酸ソーダは重曹よりも強いアルカリ性なので、頑固な皮脂汚れの除去に向いています。水で溶かして「セスキスプレー」を作り、床や浴槽などに吹きかけて掃除してみてください。
クエン酸は酸性のため、水垢や石けんカスなどの汚れ掃除に適しています。粉末を振りかけてこすったり、スプレーを作ったりして活用しましょう。
スポンジ
お風呂掃除に向いているスポンジには、以下の4タイプあります。特徴を表にまとめました。
スポンジの種類 | メリット | デメリット |
両面がやわらかいスポンジ | 素材を傷つけにくい泡立ちが良い | 頑固な汚れに不向き使用時にかがむ必要がある |
研磨粒子入りスポンジ | 頑固な汚れに向いている湯垢掃除に最適 | 使用時にかがむ必要がある素材が傷つくリスクがある |
柄付きスポンジ | 高いところに届くかがまずに掃除できる | 収納にかさばる他のスポンジに比べて高価 |
メラミンスポンジ | 水だけで掃除できる黒カビ汚れなどを硬い樹脂で削り落とせる | 樹脂・コーティング剤・光沢のあるものなどの素材を傷つける可能性がある |
それぞれの特徴を把握し、ご自宅のお風呂場にマッチするスポンジを選びましょう。
ブラシ
凹凸がある場所や頑固な汚れには、ブラシが便利です。お風呂掃除に適したブラシの種類を表にまとめました。
ブラシの種類 | 特徴 | 適した場所 |
柄付きブラシ | かがまずに掃除できる天井や高い壁もこすれる | 床、浴槽の底、天井などのほとんどの場所 |
ハンディタイプ | ブラシに力が伝わりやすい | 汚れが頑固な場所 |
古い歯ブラシ | 細かい隙間汚れをかき出せる | 排水口や壁際などの細かい部分 |
スポンジと同様に、場所や汚れに合わせてブラシを使い分けましょう。
手袋・マスク
お風呂掃除を行う際は、洗剤の刺激から手をガードしたり、カビの胞子を吸い込んだりしないよう、手袋とマスクを着用してください。特に塩素系の洗剤は刺激が強いので、目の粘膜を守るためにゴーグルも装着すると安心です。
水切りワイパー
水垢予防には「スクイージー」と呼ばれる水切りワイパーで、掃除の仕上げに水滴を切るのがおすすめです。せっかく掃除しても、お風呂場に水分が残っていると乾燥して白い水垢汚れになってしまいます。掃除のタイミングだけでなく、入浴後も水切りワイパーで水滴を切って水垢を防ぎましょう。
お風呂掃除の道具は100均でも揃えられる!
お風呂掃除グッズは100均で一式揃えることができます。スポンジやメラミンスポンジ、ブラシ、洗剤、スクイージーなど品揃えが豊富でホームセンターにも負けません。使ってみたい掃除道具や新商品を気軽に試せるのは、安く手に入る100均ならではのメリットでしょう。
大掃除に向けてお風呂掃除グッズを揃えたい方は、一度100均へ足を運んでみることをおすすめします。
お風呂掃除の仕方
お風呂掃除は上から下に行うのが基本です。下から先に掃除してしまうと、せっかくきれいになった浴槽や床に、壁・天井の汚れが流れてしまいます。天井、壁などの高いところから始め、床や排水口は最後に掃除しましょう。ここでは、場所別の掃除方法を紹介します。
天井
天井にカビが発生していたら、塩素系漂白剤を使うのが有効です。塩素系漂白剤を柄付きスポンジに染み込ませて天井に塗り込み、しばらく経ってから洗い流しましょう。しっかり換気し、手袋やマスク、ゴーグルを着用するなど、安全対策も忘れずに講じてください。
壁
壁は、全体に中性洗剤をかけ、スポンジを使ってこすり洗いしてください。すぐに洗い流さず、そのまま少し放置してからシャワーをかけましょう。汚れが頑固で落ちない場合は、性質に合わせてアルカリ性、酸性、塩素系漂白剤など洗剤を使い分けることがポイントです。
蛇口やシャワーヘッド
蛇口やシャワーヘッドは、中性洗剤で洗うだけで充分汚れを落とせます。水垢が気になるときは、クエン酸を活用してみてください。
クエン酸を溶かしてスプレーし、ラップなどで覆って放置してから洗い流しましょう。シャワーヘッドは、クエン酸水に約1時間つけ置きしてからスポンジなどで磨くと、ピカピカになります。
浴槽
浴槽は、内側と外側に中性洗剤をかけてこすり洗いしましょう。汚れがひどい場合は、アルカリ性洗剤または重曹を用いてしっかりこすります。少し時間を置いてから洗剤を流してください。
毎日の掃除に加え、週に1回程度、浴槽の端のゴムパッキン部分をカビ取り剤で掃除すると、黒カビの予防になります。
床
浴室の床は、ブラシを活用してピンク色の汚れやぬめりを落としましょう。赤カビは洗剤に強いため、ブラシでしっかりこすり洗いするのがポイントです。
床は面積が広く掃除が大変なので、大きめのブラシを用意すると良いでしょう。汚れが目に見えない部分もきちんとこすり、カビの繁殖を防ぐことが大切です。
排水口
最後に、汚れが溜まりやすい排水口も忘れずに掃除しましょう。排水口掃除では、重曹とクエン酸を使うと、強い成分の洗剤の力を借りなくてもきれいになります。詳しい手順は以下のとおりです。
【重曹とクエン酸を用いた排水口の掃除手順】
- 排水口のカバー(ふた)を外す
- 排水口内とカバー(ふた)に重曹を振りかける
- 重曹の上からクエン酸水を全体にスプレーし、10分放置する
- 再度重曹を振りかけて、古い歯ブラシなどでこする
- 洗剤を水で流す
お風呂掃除の道具はおしゃれに収納しよう!
お風呂掃除の道具は、使いたいときにすぐ手に取れる「見せる収納」がおすすめです。ステンレスピンチやS字フック、マグネットフックを活用して浮かせておくと、乾かしながら収納できるので、衛生的です。
収納をおしゃれに見せるには、掃除道具の色を揃えてみてください。洗剤は、シンプルなデザインのスプレーボトルに詰め替えるだけで統一感が出ます。
また、掃除用洗剤だけでなく、シャンプーやボディーソープなどもシンプルなデザインのものに揃えると、よりお風呂場をすっきり見せることができるでしょう。
スプレーボトルやシャンプーなどの詰め替え用ボトルは、無印良品や100円均一店、ニトリなどでも購入できます。
徹底的にお風呂掃除をしたい方はプロに任せるのもおすすめ!
お風呂場を徹底的にきれいにしたい場合は、プロに依頼してみるのもひとつの手です。プロに任せると、汚れの種類と状態に適した専用の洗剤で、効率良くきれいにしてくれます。
くらしのセゾンが提供している「浴室クリーニング」では、土日祝の追加料金なしで高い技術力を持ったスタッフが作業に当たっています。
創業28年を誇るハウスクリーニングのノウハウで、浴槽・天井・壁・排水口はもちろん、換気扇や照明カバーのカビ取り、ドアのゴムパッキンの裏まで丁寧に掃除します。「なかなか落ちないお風呂の汚れをきれいしたい」と感じている方は、ぜひ一度くらしのセゾンにお声がけください。
おわりに
お風呂場の汚れには、さまざまな種類や性質があることがわかりました。汚れの種類や状態によって洗剤や掃除道具を使い分けることが重要です。ただし、使用方法を誤ると身体に悪影響を及ぼす洗剤もあるので、注意事項の確認も怠ってはいけません。また、時間のかかる大掃除や頑固な蓄積汚れは、プロに任せるのもおすすめです。
この記事で紹介した内容を参考に、お風呂場をきれいにしてリラックスできる入浴タイムを実現させましょう。