使っていない土地を活用するために、アパート経営を始めてみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。アパートを経営すれば家賃収入を得られるため、長期的な安定収入が見込めます。
しかし、アパート経営を成功させるには、アパート経営の特徴やリスク、始める流れを理解することが重要です。そこで本記事では、アパート経営のメリットやデメリット、向いている土地の特徴などを解説します。
本記事を読めば、アパート経営が選ばれる理由やリスクを理解でき、失敗する可能性を減らせるでしょう。
この記事を読んでわかること
- アパート経営は長期的な収入が見込め、節税対策にもなる
- アパートが老朽化すれば、修繕や建て替え費用が必要になる
- 60坪以上で間口が東西に長い土地は、アパート経営に向いている
土地を有効に活用するアパート経営
アパート経営とは、ご自身の土地にアパートを建てて部屋を個別に貸し出す投資方法です。長期的に家賃収入を得られる可能性があることから、多くの土地オーナーに人気の土地活用方法です。
アパート経営と似た土地活用方法として、マンション経営があります。アパートとマンションに明確な定義の違いはありませんが、以下のように建物の構造や階数などで区別されることが一般的です。
アパート | マンション | |
構造 | 木造 軽量鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
階数 | 2〜3階建て | 3階建て以上 |
アパート経営を始める際に、金融機関でローンを借りるケースが多いため、長期的な視点で収支のバランスを考えながら進める必要があります。
土地活用にアパート経営が選ばれる理由
土地活用にアパート経営が選ばれる理由を解説します。
- アパートを建設するハードルが低い
- 長期的な収入が見込める
- 節税資産になる
- 定年退職後の生活資金に充てられる
それぞれ順番に見ていきましょう。
アパートを建設するハードルが低い
アパートは、マンションやオフィスビルよりも建物規模が小さく、投資額が少なく済むため、建設のハードルが低いといえます。
また、都市計画法で建設できる建物の用途を定めた地域(用途地域)においても、アパートの建築規制は緩く、ほとんどの場所で建てられます。
長期的な収入が見込める
アパート経営は、空室にならない限り安定して家賃収入を得られるのがメリットです。毎月得られる家賃や共益費からローン返済額や管理費などを差し引き、残った額が利益となります。
入居者の募集やアパートの維持管理を管理会社に委託すれば、手間をかけずに収入を得られます。
家賃収入は景気の変動を受けにくいため、賃貸需要が高い立地でアパート経営ができれば、安定収入が見込めるでしょう。
節税対策になる
アパートを建てることで、相続税や固定資産税の減税措置や特例を受けられるため、節税対策としても効果的です。
例えば、アパート経営中の不動産を相続する場合、相続する土地と建物に対する相続税評価額を現金よりも低く抑えられます。
また、アパートは住宅用地となるため、固定資産税の課税標準を3分の1に減額でき、200㎡以下の部分に対する課税標準は6分の1に減額できます。
定年退職後の生活資金に充てられる
アパート経営による家賃収入があれば、定年退職後の生活資金に充てられます。年金以外に安定した収入源があれば、資金面に余裕を持ちやすく安心です。
老後の生活に不安がある方は、早い段階からアパート経営を検討してみましょう。
アパート経営で起こり得るリスク
アパート経営を成功させるには、起こり得るリスクを把握することが重要です。
- 空室や家賃滞納で収入が減る
- 住人のトラブル
- 老朽化で修繕や建て替え費用が必要になる
- 家賃の値下げが必要になるケースも
- 自然災害や火災のリスク
それぞれ順に解説します。
空室や家賃滞納で収入が減る
アパート経営における最大の懸念点は、空室が埋まらないことです。アパートの築年数が古くなると、室内環境の劣化などにより空室リスクが高まります。
空室を防ぐためには、入居者のニーズを満たせるように環境を整えることが大切です。
入居者に家賃を滞納されても、新しい入居者を募集できないため、空室よりも対処が難しくなります。家賃の支払いを銀行口座からの自動引き落としにしたり、クレジットカード払いにしたりすることで、一定の効果が得られるでしょう。
住人のトラブル
ゴミ出しや騒音などで、入居者同士や近隣住人とトラブルが起こるケースがあります。管理会社と契約すれば、トラブルの対応を一任できますが、万が一トラブルが発生した場合は早めに対処することが大切です。
住環境を整備して長期的に入居してもらえるようにしましょう。
老朽化で修繕や建て替え費用が必要になる
10年、20年と長期で運用していると、建物が老朽化して修繕や建て替え費用が必要になります。入居者の満足度を維持するためにも、定期的なリフォームや修繕が必要です。
修繕や建て替えにはまとまった資金が必要となるため、アパート経営の計画段階から長期的な収支プランとして予算を確保しておくか、アパートの修繕費として使えるローンを検討しましょう。
セゾンの不動産フリーローンは、不動産を担保設定にすることで高額・低金利など好条件で借入が可能です。極度型のローンであるため、契約期間中は繰り返し借り入れでき、急に資金が必要になった場合でもスムーズに使えます。
資金の使い道は自由で、回数指定払いと元金据置返済の2種類から支払い方法を選べます。お申し込み後最短約2週間で融資を受けられるため、ぜひお気軽にご利用ください。
家賃の値下げが必要になるケースも
建物の老朽化や、近隣のアパートやマンション事情によってアパートの魅力が下がり、入居者の確保が難しくなる場合があります。
家賃を値下げすれば入居者を確保しやすくなりますが、得られる家賃収入は下がります。また、一度家賃を下げてしまうと再び上げるのは難しくなるでしょう。
家賃の値下げリスクに対応するには、数年おきに収支計画を見直し、家賃を下げても問題がないようにしておくことが重要です。
自然災害や火災のリスク
高額な建築費用をかけて建てたアパートが、自然災害や火災などで全壊するリスクもゼロではありません。アパート経営は長期にわたって行うため、地震や大雨など予期せぬ災害が発生することも考えられます。
災害のリスク対策としては、火災保険や地震保険への加入や、複数のエリアでアパートを所有することが有効です。
アパート経営に向いている土地の特徴
アパート経営に失敗しないためには、所有している土地がアパート経営に向いているかを見極めることが重要です。本章では、アパート経営に向いている土地の特徴を解説します。
- 60坪以上で間口が東西に長い
- 最寄り駅やバス停から徒歩圏内
- 大学や規模の大きな会社・工場などの近く
- 周辺にスーパーやコンビニなどがある
- 自然災害の危険性が少ない
アパート経営に適した土地を購入できると運用しやすくなるため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
60坪以上で間口が東西に長い
アパートを建てるには、まとまった部屋数を確保するためにも土地の広さが60坪以上あると良く、80〜100坪程度が一般的です。その他にも、接道義務や建ぺい率、容積率などがアパートを建てるうえで関係してきます。
接道義務とは、幅員が4m以上の道路に土地が2m以上接していなければ建物が建てられない決まりのことです。建ぺい率は土地面積に対する建築面積の割合のことで、容積率は土地面積に対する建物の延べ床面積の割合を指します。いずれも用途地域によって上限が定められています。
例えば、建ぺい率が60%、容積率が200%の場合、面積が300㎡の土地における建築面積と延べ床面積の上限は以下のとおりです。
延べ床面積:300㎡×200%=600㎡
上記の場合、高さ制限が無い限り3階建てのアパートを建てられます。
また、間口が東西に長い土地は南向きのバルコニーを多く確保でき、日当たりが良くなるためアパート経営に向いています。
最寄り駅やバス停から徒歩圏内
最寄り駅やバス停など、公共交通機関が利用しやすい立地であれば、賃貸需要を獲得しやすくなります。一般的には最寄り駅から徒歩10分以内が望ましいです。
立地が悪いとアパート経営の難易度があがるため、最寄りの駅やバス停までかかる時間は必ずチェックしておきましょう。
大学や規模の大きな会社・工場などの近く
大学や規模の大きな会社や工場などが近くにあれば、学生や従業員など通学・通勤する方の賃貸需要が見込めます。ただし、将来的に移転や倒産などで需要を失う可能性も視野に入れておく必要があります。
周辺にスーパーやコンビニなどがある
通勤や通学だけではなく、生活利便性が高い土地だとさらに良いでしょう。生活に便利な施設が周辺にないと、入居者が決まりにくくなる恐れがあります。
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなど生活に便利な施設が近隣にそろっているかを事前に確認しましょう。
自然災害の危険性が少ない
所有している土地にアパートを建てる場合、その土地の災害リスクを把握しておくことが重要です。災害が発生しやすい土地では、損害が大きくなる恐れがあります。
災害情報の確認にはハザードマップを活用しましょう。ハザードマップとは、災害時に被害が予測される場所や避難場所などをまとめた地図のことで、主に以下の自然災害におけるリスクを確認できます。
- 洪水・氾濫(はんらん)
- 津波
- 高潮
- 内水
- 地震
- 土砂災害
ハザードマップは、国土交通省のハザードマップポータルサイトで閲覧できます。
アパートが建てられない土地もあるため注意
アパート経営に向いている土地の特徴を解説しましたが、アパートが建てられないケースもあるため注意が必要です。
- 土地の用途として建てられない
- 狭小地や傾斜地など物理的に建てられない
それぞれ詳しく解説します。
土地の用途として建てられない
公法上の規定によって、以下の土地には原則としてアパートを建てられません。
- 工業専用地域
- 市街化調整区域
- 農地転用できない農地
工業専用地域とは用途地域のひとつで、工場のための地域であるため住宅は建てられません。
市街化調整区域とは、都市計画法で定められた市街地を抑える地域のことで、原則として建物を建てられません。
農地転用できない農地とは、宅地など農地以外の用途に転用できない農地のことです。
アパートを建てられる土地であるか、事前に確認しましょう。
狭小地や急傾斜地など物理的に建てられない
公法上の規定は問題ない場合でも、狭小地や急傾斜地など物理的にアパートを建てられないケースがあります。
他にも、形状が悪い土地や敷地内に段差がある土地は、アパートを建てられない恐れがあるため注意しましょう。また、アパートを建てられたとしても間取りがいびつであったり、面積を最大限に活用できなかったりする可能性があります。
土地活用としてアパート経営を始めるために
本章では、アパート経営を始める流れについて解説します。
- 必要経費の確認・土地の情報収集・収益のシミュレーション
- 建築会社やハウスメーカーに相談する
- 金融機関でローンの審査を受ける
- 工事が着工したら入居者募集
それぞれ詳しく見ていきましょう。
必要経費の確認・土地の情報収集・収益のシミュレーション
まずは、所有している土地の特徴や周辺を調査し、長期的に安定した収益を見込めるかシミュレーションを行いましょう。アパート経営における必要経費の目安を算出し、周辺の賃貸物件の相場を調べて、安定した収益が見込めるかを調べます。
建築会社やハウスメーカーに相談する
シミュレーションに問題がなく、アパート経営を具体的に検討し始めたら建築会社やハウスメーカーに相談しましょう。
建築会社の担当者が土地を確認して、最適な建物のプランニングや見積もりをもらえます。長期的な収支予測がわかる事業計画書も一緒にもらうと良いでしょう。
建築会社のアパート施工実績が豊富であると、過去の施工事例やノウハウなど、さまざまなアドバイスがもらえます。
金融機関でローンの審査を受ける
建築会社に相談して見積もりを受け取り、具体的な資金計画や事業プランができたら金融機関でローンの審査を受けます。
自己資金のみでアパートを建てる場合はローンの審査は不要ですが、数千万円の費用が必要になるアパート経営では、ローンを使ってアパートを建てるのが一般的です。
ローンの審査は、アパートの資金計画や個人の収入など総合的に判断されます。アパートの資金計画に現実性がないと、ローンもとおりづらくなるため注意しましょう。
工事が着工したら入居者募集
ローンの審査が通れば建築会社と工事請負契約を締結し、アパートの建築工事を着工します。工事が着工すれば完成時期の目安がわかるため、入居者の募集も進めておきましょう。
アパートが完成した時点で入居者が決まっていると空室期間を減らせるため、アパート経営を無駄なくスムーズに始められます。
おわりに
土地活用で人気のアパート経営は、長期的な収入が見込めるだけではなく、節税対策にも効果的です。空室や災害などのリスクは、事前に対策を立てることで回避しましょう。
アパート経営に必要な資金を確保するには、セゾンの不動産フリーローンを利用するのがおすすめです。アパート経営の特徴を理解し、入念なシミュレーションを行ってからアパート経営を始めましょう。