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老衰とはどんな状態?症状や家族がするべきことを紹介

老衰とはどんな状態?症状や家族がするべきことを紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

当記事をお読みの皆様の中にも、高齢のご家族やご親戚、ご友人などが近い将来老衰で亡くなる可能性が高い方もいらっしゃることでしょう。また、将来的にご自身も老衰で亡くなる可能性があるかもしれません。本記事では、ご自身や周りの方が老衰で亡くなる場合に備えて、普段からしておくべき対策について解説します。

この記事を読んでわかること

老衰とは加齢により徐々に心身の機能が衰えていく状態であり、老衰死に該当する年齢はその社会の平均寿命によって異なります。人が老衰で亡くなる際の前兆としては、食事量や体重の減少、筋力低下、睡眠時間の増加などが挙げられるので、ご家族を始めとする周りの方はよく注意しましょう。そのような兆候がみられる場合は、ご家族はご本人の意思をきちんと確認して葬儀の準備を始めとする終活の手助けを始めましょう。また、ご自身についても健康で判断がきちんとできるうちにエンディングノートや遺言書を作成して、相続などの対策をしておくこともおすすめです。

お葬式サポート
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老衰とはいったいどういうこと?

老衰とはいったいどういうこと?

「老衰のため死去」などとよく耳にしますが、老衰とは加齢が原因で徐々に心身の機能が衰えていき、リハビリなどの努力によっても少しであっても戻すことができない状態を指します。

老衰の定義については、結論から言うと、何歳頃から人の老衰が始まるのかという明確な定義は少なくとも現在の日本には存在しません。WHO(世界保健機関)でも、老衰死の明確な定義を定めてはおらず死因不明とみなしています。

何歳頃から老衰(による死)が始まるかという定義は、その社会の平均寿命とも密接に結び付くものであり、現代日本では基本的に平均寿命を超えた年齢、あるいは90歳以上に達して病気や負傷などといった明確な原因がない死を遂げた場合、老衰死とみなされる傾向があります。

ちなみに、厚生労働省では「高齢者で他に記載すべき死亡原因のない、いわゆる自然死」を老衰死の定義としており、また現在の日本で老衰で亡くなる方の割合は、少し前のデータですが2019年には男女合わせて8.8%でした。

なお、先程老衰は「リハビリなどによって少しであっても戻すことができない状態を指す」と説明しましたが、日本老年医学会によれば、予防の重要性を啓発するため同じように高齢者の加齢が原因で徐々に心身の機能が衰えていく状態であっても、リハビリなどご本人や医師・ご家族などの努力によって少しであっても戻すことができる場合には、「フレイル」と表すことにしています。

老衰の前兆は?

老衰の前兆は?

老衰による死の前兆としては、具体的にどのような物事が挙げられるでしょうか。ここでは、そうした高齢者の老衰死の前兆の可能性があるサインについて見ていきます。

なお、ここに挙げる老衰の前兆が発現する程度や進行の速さについては個人差もあるので、そこは注意が必要です。

食事量や体重の減少

老衰の兆しのひとつに、「食事量や体重の減少」があります。

内臓の機能低下やホルモン変化などのために、これまで通りの食事がとれなくなるので以前に比べ食事量が減少します。それによるタンパク質不足などの栄養低下も起きやすくなるので、注意しましょう。

筋力の低下

先述のような食事量や体重の減少もあり、筋力低下(骨格筋の筋繊維の減少・萎縮)や身体活動の低下が起こるため、握力や歩行速度の低下などの症状が顕著に現れてきます。

これを専門的には、「加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)」といい、筋肉量と筋力の両面がダウンするためしばしば負の連鎖を起こします。

睡眠時間の増加

今まで述べたようなこともあり、身体活動と脳機能が低下するため睡眠時間が長く、また、起こしても一度で起きないほど眠りが深くなってきます。

それにより、最終的には一日のほとんどが寝てばかりのようになってしまい、その結果、口から栄養を摂取する機会が減るため、身体機能や脳機能がより低下してしまう(結果、認知症のリスクも高まる)という負の連鎖が起こります。

老衰死に備えて家族ができることは?

老衰死に備えて家族ができることは?

近い将来に老衰で亡くなる可能性が高い高齢者の方(以下、「ご本人」)のご家族やご親戚の方たち(以下、「ご家族」)はご本人の老衰死に備えるために、何ができるでしょうか。

ここでの「ご家族ができること」のシミュレーションは、ご本人が今の時点でご家族と一緒に(あるいは、普段から行き来のある至近距離に)お住まいであり、認知症を発症しておらず(万が一発症していたとしても極めて軽度であり)コミュニケーションの意志も能力も一定以上のレベルで残存している場合を想定しています。

会いたい方に連絡を取る

ご本人の友人知人の方や、そこまで親しい関係ではないもののそれなりに良好な関係であった方たちの中で、ご本人がまだ意識があるうちに会いたいと思う方(この件については詳しくは後述しますが、ご本人がエンディングノートに書いておくことをおすすめします)に会えるように、ご本人にもきちんと確認して、会いたい方たちとも予定を調整しましょう。

また、古くから(場合によっては子ども時代から)の友人知人である場合は基本的にご本人の同世代か、少し年下程度の年齢であるため、そうした相手方もかなりの高齢者であるケースが当然想定されます。

そうした方で遠方にお住まいの方の場合には、電話などでの会話ができるよう手配するのがより適切です。

記念写真を撮る

ご本人が遺影をまだ準備していない場合には、ご本人がある程度元気なうちにポートレートタイプの記念写真の撮影をすることを是非おすすめします。

いわゆる「シニアフォト」といって、カメラマンの方が出張して撮影してくれるサービスもあります。

先に「ご本人が遺影をまだ準備していない場合」と書きましたが、ご本人がこれに決めたという遺影を準備していない場合、集合写真やスナップ写真から遺影を作るケースでは全体的にぼやけた平面的な印象になってしまうことがありがちです。

そのため、より鮮明な美しい遺影にもなるという点でも、元気なうちの記念写真撮影はおすすめです。

思いをしっかり伝える

長年付き合っているご家族ですと、普段は良好な関係であっても時にはご本人ともケンカなどもしてしまうこともあるものです。

不仲な状態の時にご本人が意識を失ったり、そのまま亡くなってしまうと、わだかまりを抱えたまま永遠のお別れになってしまいます。そのため、幸せな形でのお別れをするためにも、感謝の気持ちなどはご本人の意識があるうちに伝えておきましょう。

本人の意思を確認する 

ご本人が平穏な老衰死を迎えるとは限りません。生きている以上、命に関わるような病気やケガをしてしまう可能性は誰にもあるわけですが、その際延命治療を望むのか、それともターミナルケア(終末医療)を希望するのかということもきちんと確認しておきましょう。

また、お葬式の形式はどんなものがいいのか、遺骨はどう扱うことを希望するかなども、確認の必要があります。

この2点は、ご本人が元気なうちにエンディングノートに記入するのをおすすめします。

リラックスできる環境を作る

ご本人にとって心地よい環境を作ってあげることも、とても大切なことです。しかし、人によって心地よい環境はさまざまであるため「こうすべき」と一言で言ってしまうことはできません。

ご本人が日常生活の中でふと笑顔になる場面があった場合、それがご本人にとって「好きなこと(もの)・得意なこと(もの)」であることが多く、必然的に心地良さをもたらしてくれるものごとのはずです。

普段からご本人の様子をよく観察しきちんとコミュニケーションを取り、ご本人がリラックスできるために必要なことは何かについて確認を怠らないことです。

葬儀の準備をする

ご本人ともよく話し合って、葬儀の準備をある程度進めておくのも重要です。

葬儀の形式はどんなものにしたいか、遺骨はどう扱ってもらいたいかなどよく話し合い、ご本人・ご家族ともに後悔のないよう計画を立てておくことです。

普段から葬儀などについて余りタブー視せず、オープンに話し合える空気を作っておきましょう。

老衰死を迎える前に自身で準備しておきたいこと

老衰死を迎える前に自身で準備しておきたいこと

誰もが、遠いあるいは近い将来に老衰で亡くなる可能性は大いにあります。

ここでは老衰死を近々迎える可能性が高い高齢者ご本人になった場合を想定し、ご自身で準備しておきたいことについて紹介します。

残されたご家族が困らないよう、元気なうちに準備をしておきましょう。

エンディングノートの作成

エンディングノートとは、自分が亡くなるなど不測の事態になった際に備えて、家族や周囲の方たちに伝えたいことをあらかじめ記入しておくノートです。

例えば、先の「老衰死に備えて家族ができることは?」で言及した、医療や介護、葬儀や遺骨の扱い、いざという時に知らせるべき方の連絡先、相続、リラックスできるためには何が大切かなどのことを記入できます。

若いうちから書き始め、歳を重ねて状況や思想信条などが変化したらその都度修正していく書き方がおすすめです。

ただ、エンディングノートに法的な効力はないので、法的な効力が必要な事についてはエンディングノートとは別に遺言書を作成しなければなりません。

なお、エンディングノートにもさまざまなバリエーションがあり、ご自身でお買い求めの場合にはご自身がより大切にしたいことは何かということと照らし合わせて選びましょう。また、無地のノートを使って自由に書くこともできます。

財産・相続の確認

財産・相続の確認

ご自身の財産や相続に関する事柄は、折に触れてチェックすることが大切です。そしてこの財産や相続についてはエンディングノートだけでなく、ご自身の意志通りに相続させることができるよう法的な効力を有する遺言書を作成することをおすすめします。

ご自身の預貯金や株式など有価証券、不動産など、書き出して整理しましょう。

本来ならエンディングノートに記録しておくべきですが、案外そう認識されないことも多い財産や相続分野の項目もあるので注意です。

例えば、以下が挙げられます。該当項目がある方は気をつけてエンディングノートを作成しましょう。

  • 貸付金
  • ゴルフ会員権や骨董品など
  • 加入している保険や共済など
  • 加入している年金
  • 借金や住宅ローンなどの債務

他にも、猟銃や刀剣類を所持している方もいるかもしれません。このようなものは、準備がないとご本人が亡くなった後にご家族が警察に相談しなければならないため、ご家族も含めた適切な譲渡先と金額をきちんと決めて明文化しておくべきです。

葬儀・お墓の生前予約

相続だけでなく、葬儀や埋葬(散骨なども含む)についても、ご自身の思想信条などに照らして是非叶えたい希望をお持ちの方も多いことでしょう。そんな場合にはご家族が困らないよう、事前に葬儀社を決めておくことをおすすめします。

「セゾンの相続 お葬式サポート」は、経験豊富な提携専門家のご紹介も可能です。さまざまな葬儀社を選ぶ助けになりますので、もしお迷いの際はお気軽にお問い合わせください。

セゾンの相続 お葬式サポートの詳細はこちら

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おわりに 

近年普及しているものの、まだまだ理解が得られないことも多い自然葬などご本人が希望される葬儀の形をかなえるためには「死」や「葬儀」を余りタブー視せず、普段からある程度オープンに家族と話し合えることが大切と指摘されています。老衰による死に対峙する際にも、ご本人やご家族・ご友人に求められることはまず第一に「死」「葬儀」についてオープンに話し合える空気作りだといえるでしょう。

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