「親の介護施設への入居、そろそろ考えたほうがいいのかな……」そんな思いを抱えながらも、なかなか踏み切れない方は多いのではないでしょうか。住み慣れた自宅で過ごしたいという親の気持ちを大切にしたい一方で、介護の負担や将来への不安も増していきます。けれども、入居のタイミングは人それぞれ。親の状態や家族の状況に応じて、柔軟に検討していく必要があります。
本記事では、施設入居を検討するタイミングの目安や、親が入居を嫌がる場合の対処法、具体的な入居の手順まで、わかりやすく解説します。この記事を読めば、あなたと親にとって最適な選択ができるはずです。
- 親を施設に入れるタイミングは、日常生活動作(ADL)の低下や介護者の疲労度、ひとり暮らしの困難さなど、総合的に判断することが重要
- 施設入居を嫌がる場合は、本人の意思を尊重しながら、ショートステイの利用や専門家への相談など段階的なアプローチが効果的
- 施設入居の前に、地域包括支援センターへの相談や介護保険適用外サービスの活用で、介護負担を軽減することが可能
- 施設選びは、本人と家族での十分な話し合い、複数施設の見学や体験入居を経て、慎重に進めることが大切


親を施設に入れるのを考えるタイミングは?

介護施設への入居を検討するタイミングについて、多くの方が「要介護度が重くなってから」というイメージを持たれているかもしれません。しかし実際には、要介護2以下の比較的軽度な段階でも入居を検討するケースは少なくありません。
要介護2の方は、簡単な調理や買い物などの日常動作に部分的な介助が必要な状態です。一見すると自立しているように見えても、実際の介護現場では予想以上に手間がかかることも。
以下では、施設入居を検討すべき具体的なタイミングについて説明します。
日常生活動作が低下した
日常生活動作(ADL)の低下は、施設入居を検討する重要な指標となります。
さまざま、食事の準備や摂取が一人では難しくなったり、入浴時に転倒の危険性が高まったりした場合が該当します。特に排泄の失敗が増えてきたり、服の着脱に時間がかかるようになったり、歩行が不安定になって転倒のリスクが高まったりした場合は要注意です。
日常生活動作の低下は、単に身体機能の問題だけでなく、認知機能の低下によっても引き起こされる可能性があります。徐々に進行することが多いため、早い段階から施設入居の可能性を視野に入れ、情報収集を始めることが賢明です。
介護者の心身が疲弊している
介護者の身体的・精神的な疲労が限界に達する前に、施設入居を検討することが重要です。特に夜間の排泄介助により睡眠が十分に取れない状況や、仕事と介護の両立が困難になってきた場合は要注意です。
介護による疲労は徐々に蓄積され、気づいたときには介護者自身の健康を損ねてしまうことも。「もう少し頑張れる」と限界まで無理を重ねると、結果的に介護の質の低下を招き、本人と介護者の双方にとってマイナスとなってしまいます。
親のひとり暮らしが困難になった
認知症の進行や脳血管疾患などの病気をきっかけに、ひとり暮らしの継続が困難になるケースがあります。さまざま、外出したまま帰宅できなくなり警察に保護されたり、火の不始末でボヤ騒ぎを起こしたりするなど、安全面で不安が出てきた場合です。
また、集合住宅では他の住居への影響も考えられるため、更新時に契約を断られるケースも。認知症の症状がある場合、一般の賃貸物件への入居は難しく、施設入居を検討せざるを得ない状況となることも少なくありません。
このように、施設入居の決断は必ずしも介護度だけで判断するものではありません。本人の状態や生活環境、介護者の状況など、総合的に判断することが大切です。早めの情報収集と準備が、より良い選択につながります。
親が介護施設入居を拒否したときの対策

親の介護施設を検討する際、多くの方が心の葛藤を感じられるのではないでしょうか。
「親をひとりにするのはかわいそう」「もう少し自宅で頑張れるかもしれない」といった思いや、周囲からの「まだ施設は早いのでは」という声に悩むこともあるでしょう。しかし、お互いが納得して前向きに施設入居を進めることは可能です。
ここでは、スムーズな入居に向けた具体的な対策をご紹介します。
本人の意思を聞く
まず大切なのは、ご本人がなぜ施設入居を嫌がっているのか、じっくりと話を聞くことです。
「まだ自分は元気」「住み慣れた家を離れたくない」という思いや、「施設では自由に暮らせない」「見知らぬ人に世話をされたくない」といった不安を抱えているかもしれません。ご本人の気持ちに寄り添いながら、どうすれば解決できるか一緒に考えていくことが重要です。
施設生活について理解を深める
施設入居に対するマイナスイメージを払拭することも欠かせません。親が「施設では自由がない」「寂しい生活になる」と考えている場合、施設の実際の生活を知ってもらうことが効果的です。
さまざま、娯楽やレクリエーションが充実している点や、医療や介護が24時間体制で提供される安心感を説明しましょう。実際の入居者の体験談を伝えることも説得力を高めます。
第三者を交える
ケアマネジャーや地域包括支援センターのスタッフなど、専門家の助けを借りることも有効です。家族だけで話を進めると、感情的になったり信頼関係が揺らいだりすることがあります。
第三者が冷静な視点からアドバイスを提供することで、親も耳を傾けやすくなります。特に、専門知識を持つ人から具体的な施設情報やメリットを説明してもらうと、親の不安が軽減されることが期待できます。
ショートステイから利用してみる
いきなり施設入居を決断するのではなく、短期間の利用で慣れてもらう方法もあります。ショートステイを利用することで、施設の雰囲気を体験し、実際の生活に安心感を持ってもらえます。
デイサービスや短期宿泊を通じて親が施設に馴染むことで、長期的な入居へのハードルが下がることがあります。最初は「試してみる」感覚で、施設の良さを感じてもらうことが効果的です。
親を施設に入れるまでに介護負担が大きいと感じたら

親を施設に入れたいと考えながらも、すぐには入居できない状況の方も多いのではないでしょうか。夜間の排泄介助で睡眠が取れない日々が続いたり、仕事と介護の両立に悩んだりと、介護による負担は日に日に大きくなっていきます。
そんな方のために、施設入居までの間に活用できる支援サービスをご紹介します。
地域包括支援センターへ相談
地域包括支援センターは、高齢者の介護や暮らしの相談窓口として、全国の各市区町村に設置されています。保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職が在籍しており、介護の悩みから施設の情報まで、幅広い相談に無料で応じてくれます。
また、多くの自治体では地域包括支援センター以外にも「高齢者みまもり相談室」や「高齢者福祉課」といった相談窓口を設けています。まずは市区町村の窓口に連絡して、どのような支援が受けられるか確認してみましょう。
介護保険適用外のサービスを活用
介護保険サービスでは対応できない部分もカバーできる、保険適用外のサービスもあります。
料理、洗濯、掃除といった家事援助や、通院、買い物の外出介助なども依頼することができます。市区町村が実施する高齢者サービスや、民間企業が提供するサービスなど、選択肢はさまざまです。
これらのサービスをうまく組み合わせることで、介護の負担を軽減しながら、施設入居のタイミングを見極めることができます。一人で抱え込まず、できるだけ早めに相談することをおすすめします。
介護施設入居が決まったときの流れは?

親を施設に入れる手順について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。老人ホームや介護施設には、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなど様々な種類があり、それぞれに特徴や入居条件が異なります。
また、同じ種類の施設でも、費用や提供されるサービス内容は施設ごとに大きく異なることもあります。そのため、施設探しには十分な時間をかけて慎重に進めていく必要があります。
本人含む家族で話し合い
まず重要なのは、ご本人を含めた家族全員での話し合いです。どのような環境で介護を受けたいか、専門のスタッフと家族のどちらに介護してもらいたいかなど、ご本人の希望をしっかりと確認しましょう。また、入居金や月額利用料などの費用面についても、家族間で十分に話し合っておくことが大切です。
将来的な介護の必要性が高まった場合の対応や、医療面での希望(延命治療の有無など)についても、この段階で確認しておくとよいでしょう。
施設探し
次のステップは、親が希望する条件に合った施設を探すことです。費用やサービス内容、設備など、施設ごとに大きく異なるため、情報収集に時間をかけることが重要です。
公的な施設や民間の老人ホーム、特別養護老人ホームなど、施設の種類によって利用できるサービスや費用に違いがあるため、親と家族が納得できる選択をすることが大切です。また、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談することで、希望に近い施設の候補を効率的に見つけることができます。
施設の見学・体験
施設の候補が絞れたら、必ず見学に行きましょう。可能であればご本人も同行し、実際の雰囲気を確認することが大切です。見学時は、居室や共用スペースの様子、スタッフの対応、他の入居者の表情などをよく観察します。
また、多くの施設では体験入居のサービスも提供しています。数日間実際に生活してみることで、より具体的な生活イメージをつかむことができます。
契約
入居する施設を決定したら、契約に進みます。契約時には重要事項説明書をしっかりと確認し、利用料金やサービス内容、退去の条件などについて理解しておく必要があります。また、入居に必要な書類(診療情報提供書や健康診断書など)の準備も必要です。
不明な点があれば、必ず質問して理解を深めましょう。契約後の生活がスムーズに始められるよう、入居に必要な持ち物なども事前に確認しておくことが重要です。
介護施設探しの負担軽減に「親サポセレクト」が強い味方!

介護施設への入居を検討する際、さまざまな不安や心配事が出てくるものです。セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供する「親サポセレクト」(選べる親御さまサポートサービス)は、そんなご家族の不安に寄り添い、親御さまの介護施設入居に関する必要なサポートを実現するサービスです。
特徴は、親の状況やニーズに応じて必要なサービスを選べる点です。在宅時の生活支援から、介護施設選びのご相談、実際の入居時の支援まで、経験豊富なスタッフが必要に応じて柔軟にサポートいたします。例えば、足腰が弱くなってきた親の通院や買い物の付き添いから始めて、徐々に施設見学や入居準備のサポートへと移行することも可能です。


入退院・施設入退去サポート
施設入居に向けたサポートは多岐にわたります。介護施設のご紹介に始まり、施設の見学付き添い、入居が決まった際の荷造りや引っ越しのサポート(税込33,000円~)まで、きめ細やかなサービスを提供しています。さらに、入居後も買い物の付き添いや代行(1時間あたり税込5,500円~)など、継続的なサポートを受けることも可能です。
在宅サポート:安否見守り・緊急時の駆けつけ
施設に入居するまでの間、自宅で暮らす親の安否に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。親サポセレクトでは、信頼できる警備会社による24時間365日の見守り・駆けつけサービスを特別プランで提供しています。ニーズに合わせて最適なサービスを選択できるため、緊急時も安心です。センサーによる安否見守りはご自宅に機器を取り付けるだけで、離れた親御さまを見守ることができます。また、体調に異変を感じた場合は、簡単な操作で専門スタッフがご自宅に駆けつけ迅速に対応します。
在宅サポート:毎日の生活サポート
外出が不安な親の病院受診や買い物に同行する外出付き添いサービス、掃除・洗濯・食事作りなど親が負担に感じている家事の代行サービスにより、親の自宅での生活を支えてくれます。実家に頻繁に行くことが難しい方におすすめです。
サービスについて詳しく知りたい方は、無料の資料請求ができるため、ぜひ詳しい情報を取り寄せてみてはいかがでしょうか。


おわりに
親の介護施設への入居は、本人と家族双方にとって大きな決断となります。入居のタイミングを見極め、適切な準備を進めることで、より良い介護環境を整えることができます。早い段階から情報収集を始め、必要に応じて専門家に相談することで、本人の状態に合った施設選びが可能になります。
また、介護の負担軽減のために様々な支援サービスを活用することで、入居までの期間も安心して過ごすことができます。ご本人と家族がともに納得できる選択をすることで、その後の生活の質を高めることができるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。