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福祉用具とはどんなもの?種類と役割を知り必要な用具を選ぼう

福祉用具とはどんなもの
セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

介護の際に必要となる福祉用具にはどのようなものがあり、利用金額はどの程度かかるのでしょうか。福祉用具には介護保険を利用できるものがありますが、要介護度により支給限度額が定められています。今回は、介護保険を利用できる福祉用具の種類や利用する際の経済的負担、福祉用具を利用する際の流れなどについてご紹介します。

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福祉用具とは?定義や目的を簡単に説明

福祉用具とは?定義や目的を簡単に説明

福祉用具とは車いすや杖など、身体が不自由な方の役に立つ道具のことです。福祉用具は購入もしくはレンタルで利用しますが、これにかかる費用は介護保険が利用できる場合と利用できない場合があります。今回は、介護保険が利用できる福祉用具について紹介していきます。

福祉用具の定義と目的

福祉用具の購入やレンタルにかかる費用を介護保険で負担してもらえるものがあります。介護保険の利用ができる福祉用具は、福祉用具法で次のように定義づけされています。

「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう。」

つまり、介護や介助が必要な方が自立した生活を送れるように、日常生活やリハビリなどをサポートするための用具や機器のことです。

参照元:福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(◆平成05年05月06日法律第38号)

使用を考えている方はまず福祉用具専門相談員に相談

都道府県の指定を受けた事業所に配置されている福祉用具専門相談員は、福祉用具の適切な選び方や使用方法の説明をしてくれます。またケアマネジャーも、ケアプランをもとに介護時に必要な用具や機器をアドバイスしてくれます。福祉用具を利用する際には、利用者にとって適切な用具を選択しなければ利用者の身体状態が悪化する可能性があるため、まずは専門家に相談しましょう。

厚生労働省で定められた福祉用具とは

厚生労働省で定められた福祉用具とは

厚生労働省において定められている福祉用具には、レンタルできるものと購入できるものがあり、介護保険の利用ができます。

貸与できる福祉用具は13種類

介護保険制度を利用してレンタルできる用具は13種類あり、それぞれの福祉用具には介護度の適用基準が定められています。

車いす

対象:要介護2~5

車いすは、体幹や下肢などに障害がある方、長時間の歩行が困難な方が利用します。介護保険の対象になるのは、自走用標準型車いすと普通型電動車いす、そして介助用標準型車いすです。車いすを利用することで、行動範囲の拡大による社会参加の促進や自力移動による自立心の向上、介護負担の軽減などが図れます。

車いす付属品

車いす付属品

対象:要介護2~5

車いす付属品とは、クッションや電動補助装置、ブレーキ、テーブルなどです。介護保険の対象になるものは、車いすと一体で使用されるものです。

歩行器

対象:要支援・要介護1~5

歩行器は、歩行を補ったり体重を支えたりしてくれる道具です。歩行器には、車輪が付いていない四脚の持ち上げ型歩行器と車輪やキャスターが付いたもの、座ったり収納したりできるシルバーカーがあります。このうちシルバーカーは、介護保険の対象にはなりません。

歩行補助つえ

対象:要支援・要介護1~5

歩行補助つえにはステッキ型つえ、T字型つえ、多脚型つえ、松葉づえ、サイドウォーカーなどがありますが、一脚つえのステッキ型つえやT字型つえは介護保険の対象外です。

手すり

手すり

対象:要支援・要介護1~5

手すりには廊下などで歩行訓練に利用するものや、椅子やソファーから立ちあがる際に補助するものなどがあります。ただし介護保険の対象となる手すりは、特別な工事をしないものに限られます。

スロープ

対象:要支援・要介護1~5

福祉用具のスロープは、車いすや車輪付きの歩行器を利用するときに段差を解消してくれる道具です。スロープも手すり同様、介護保険の対象になるのは取り付け時に工事を伴わないものに限られます。

特殊寝台

対象:要介護2~5

特殊寝台とは、介護ベッドや電動ベッドのことで、ベッド柵の取り付けが可能なベッドです。モーターの数で種類分けされており、1モータータイプは背上げのみ、2モータータイプは背上げと脚上げ、3モータータイプはさらにベッド自体の昇降ができます。4モーターでは頭の角度調整も可能です。

特殊寝台付属品

特殊年寝台付属品

対象:要介護2~5

介護保険の対象となる特殊寝台付属品は、特殊寝台と一体的に使うものです。マットレスや手すり、ベッド柵、テーブルなどがあります。

体位変換器

対象:要介護2~5

体位変換器は、寝返りなどの体位変換の介助負担を軽減してくれる道具です。体位変換器には、枕型やスネーク型などクッションタイプのものや、ベッド柵に固定し横向きの姿勢を保持するスライディングシートなどがあります。またエアマットの左右の空気圧を電動で周期的に変更できるものもあります。

床ずれ防止用具

対象:要介護2~5

床ずれ防止用具は、身体に掛かる圧力や摩擦、ズレをできるだけ小さくするための道具です。圧切替型マットレスや静止型マットレス、クッション、体位変換時の摩擦を軽減するためのスライディングシートなどがあります。マットレスは、床ずれの程度により適したものとそうでないものがあるため、ケアマネジャーとよく相談すると良いでしょう。

認知症老人徘徊感知機器

認知症老人徘徊感知機器

対象:要介護2~5

認知症老人徘徊感知機器は、認知症がある利用者が徘徊して行方不明になることを防ぐために利用します。ベッドを降りた際に知らせてくれるものや、ドアや玄関を通ったときに感知するもの、利用者本人が身に付けるものなどがあります。歩行が不安定な方に対しては、転倒のリスクを防ぐ役割もあります。

自動排せつ処理装置

対象:排便機能が付いたもの…要介護4~5 

その他のもの…要支援・要介護1~5

自動排せつ処理装置は、ベッドで寝たままの状態でも排せつの処理ができる機械です。排せつ物を受け取るレシーバーがあり、トイレまで行くことが難しい方や時間がかかり間に合わないときに、本人や介護者がレシーバーを処理装置本体にセットして使用します。自動排せつ処理装置は、定期的なおむつ交換が不要になり介護者の負担が減ること、介護者に排せつ援助を求めなくても良いことによるストレスの軽減など、多くのメリットがあります。排便機能が付いたものは、要介護4~5の方に限られます。またレンタルできるのは本体のみで、交換可能部品のレシーバーやチューブ、タンクなど、尿や便の触れるものは購入のみです。

移動用リフト

対象:要介護2~5

移動用リフトは、自力や車いすでの移動が困難な方が移動する際に使用する道具です。工事不要のものが介護保険の対象になりますが、利用者の身体に触れるつり具部分はレンタルできません。

要支援・要介護1の方に対する福祉用具貸与

対象介護度がある福祉用具でも、例外的にレンタル可能な場合があります。要支援や要介護が1など軽度の方の場合であっても、要介護認定での基本調査結果による判断や医師の所見などを市町村が確認し必要と判断された場合には、以下のとおり例外的にレンタルすることができます。

【例外的にレンタル可能な場合の例】

  • 病気により状態変化が大きく、日や時間帯により福祉用具が頻繁に必要になる
  • ガンの末期などで状態が急激に悪化し、短期間のうちにその福祉用具が必要となることが見込まれる
  • 病気などによる症状の重篤化を避けるなど、医学的判断に基づきその福祉用具が必要と判断される

特定福祉用具は5種類

福祉用具のうち、購入する必要があるものを特定福祉用具といいます。特定福祉用具は、直接身体が触れるものなど、一度使用したものを他の方にレンタルするのはふさわしくないものです。対象商品にかかる購入費は介護保険の対象になり、支給対象者は要支援1~要介護5の方です。ただし、4月1日~翌年3月31日までの1年間で税込100,000円と上限が設定されており、それを超えるものは自己負担になります。

腰掛便座

腰掛便座は、利用者の排せつを補助するものです。利用者の要介護度や利用状況に応じ選択でき、和式便座を腰掛式に変更するタイプや洋式便座の上に設置し、高さを作り立ちあがりの動作をサポートしてくれるものなどがあります。

自動排せつ処理装置の交換可能部品

自動排泄処理装置の交換可能部品

自動排せつ処理装置の交換可能部品とは、前述した自動排せつ処理装置のうち排せつ物を貯めるタンクや排せつ物が通るチューブ、肌と接触するレシーバー部分が該当します。

入浴補助用具

入浴補助用具には、入浴用いす、浴室用手すり(介護保険の対象になるものは工事が不要なものに限る)、浴室内いす、浴室内すのこ、入浴用介助ベルトなどがあります。利用者が入浴する際に座位を保持したり、浴槽からの出入りを補助したりします。

簡易浴槽

簡易浴槽は、利用者が浴室まで行かなくても入浴できるようサポートするものです。介護保険の対象になるものは、空気式や折りたたみ式など簡単に移動できるもので、取水や排水のための工事が不要なものです。

移動用リフトのつり具部分

移動用リフトのつり具部分

前述した移動用リフトのうち、利用者の身体に接するつり具部分は特定福祉用具に含まれます。移動用リフトのつり具には、身体全体を包み込むタイプ、脚部分を別々に包むタイプ、お風呂などで利用できるタイプがあります。

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福祉用具の利用方法とそれぞれのメリット・デメリットを整理

福祉用具をレンタルする場合と購入する場合、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。

貸与

まずレンタルする場合のメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット

レンタルすることの大きなメリットは、利用期間にもよりますが、福祉用具にかかる費用を抑えられる点です。また利用者の状態に合わせて、その都度福祉用具を変更することもできます。福祉用具のメンテナンスは事業所が行ってくれるのも大きなメリットといえるでしょう。さらにその福祉用具が不要になった際にも返却するだけなので、処分の手間も省けます。

デメリット

レンタルにおけるデメリットは、傷や汚れに充分気をつけなければならないことです。所有しているものではないため、レンタル事業者の規約に従い大切に使用しましょう。

購入

購入

続いて、購入する場合のメリットとデメリットを紹介します。

メリット

購入のメリットは、傷や汚れを気にせず気兼ねなく使用できる点です。利用者の好みのデザインやメーカー、新しいものを使用できるメリットもあります。

デメリット

福祉用具を利用するときには、利用者の身体の状態に合わせたものを選択することが大切です。購入してしまうと、状態が変化し福祉用具の変更が必要になった際に、対応が難しくなります。また、車いすやベッドなど大型の福祉用具の場合は処分も大変です。レンタル対象の福祉用具は購入時には介護保険の対象にはならないため、全額自己負担となり、初期費用も高くなります。メンテナンスの依頼などもご自身で行わなければならないため、手間も掛かります。

福祉用具を利用するには?

福祉用具をレンタルするまでの流れは以下のとおりです。

  1. 利用者はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
  2. ケアマネジャーはケアプランを作成して福祉用具貸与事業者を選ぶ
  3. 福祉用具専門相談員が利用者を訪問し、利用者や家族の希望の聞き取り、生活動作能力の確認、医療や環境、家族情報の確認を行う
  4. 福祉用具専門相談員は、価格や機能が違う複数の用具を提案し、福祉用具サービス計画の作成を行う
  5. サービス内容に同意が得られたら福祉用具を決定し、事業者が用具を納品する
  6. 利用者に適切であるかどうか確認する
  7. 利用者と福祉用具貸与事業者の間で契約を締結する
  8. レンタル開始

レンタル開始後も、福祉用具専門相談員は利用者を定期的にモニタリングし、福祉用具が利用者に適切かどうかの確認やメンテナンスの手配などを行います。

福祉用具の貸与や購入の際の注意点 

福祉用具をレンタルしたり購入したりするときには、いくつか注意点もあるためチェックしておきましょう。

都道府県指定外の事業所からの購入は介護保険の対象外

福祉用具をレンタルもしくは購入する場合には、都道府県や市町村に申請し、許可を受けた事業者からのレンタルや購入に限り介護保険が適用されます。保険給付対象のものでも指定を受けていない事業者からのレンタルや購入の場合には介護保険の対象にはならず、全額自己負担になります。

介護保険で貸与している用具でも購入すると介護保険適応外

介護保険適用外

介護保険が適用される福祉用具は、貸与の場合と購入の場合とで異なります。介護保険を利用してレンタルできる福祉用具を購入したい場合、それは保険適用外になるのです。レンタルと購入両方が介護保険の対象になる福祉用具はないため、注意しましょう。

ここで、使用期間によってはレンタルするよりも購入した方が安く済むのではないかという疑問が生じる場合があると思います。

例えば、車いすは購入時に介護保険の利用はできず、全額自己負担になります。車いすの一般的な製品価格は30,000~150,000円。レンタルの場合は、種類や事業者によりますが、1ヵ月4,000円前後が相場となり、介護保険を利用した場合には1ヵ月400円(1割負担の場合)となります。1ヵ月400円でレンタルした場合、1年で4,800円、3年で14,400円、5年で24,000円です。この場合、レンタルの方が費用を抑えて利用できるといえます。

購入しても定期的にメンテナンスをする必要がある

福祉用具を安全に使用するためには定期的なメンテナンスが大切です。ご自身で購入した場合にも定期的にチェックしてもらいましょう。メンテナンスを行う際には、ご自身でメンテナンスの予約などの手続きをする必要があり、場合によっては修理が必要になることも。購入した場合には、メンテナンス費用や修理費用がかかることも考慮しておきましょう。

福祉用具の貸与価格は要介護度により限度額が異なる

もうひとつ気を付けなければならない点は、要介護度により限度額が設定されていることです。これを区分支給限度基準額といい、単位数で設定され、円で換算されます。1単位当たりの単価は地域により差があり、10~11.40円で設定されています。なお、区分支給限度基準額の対象となるのは、福祉用具のレンタルだけでなくデイサービスや訪問介護などの費用も含まれるため、注意しましょう。

【1ヵ月当たりの区分支給限度基準額】

支給限度額基準額

※利用限度額、自己負担限度額は地域区分による上乗せのない「その他」(1単位10円)の地域の場合の金額です。
※外部サービス利用型特定施設入居者生活介護費の支給限度基準額は別途定められています。

参照元:地域区分について 厚生労働省
    介護報酬の算定構造厚生労働省

福祉用具を選ぶときのポイント 

福祉用具を選ぶ時のポイント

最後に福祉用具を選ぶ際のポイントを紹介します。福祉用具相談員としっかり話し合い、利用者に合ったものを選びましょう。

利用者の身体状況に合っているか

福祉用具は、利用する方の身体に合ったものを選ぶことが大切です。同じ種類の商品であっても機能やサイズが違うものがたくさんあります。機能性や安全性を考慮しつつ、利用する方の現状をしっかりと見極めて、利用者にふさわしい用具を選びましょう。

利用者の自立をサポートできるものを選ぶ

福祉用具の目的は、利用者の自立をサポートすることです。病気で日常生活に支障をきたした場合でも、福祉用具を利用することで自立を促すことができます。反対に、ご自身でできるにもかかわらず福祉用具に頼りすぎてしまうと、できなくなることにつながりかねません。福祉用具専門相談員とも相談しながら、利用者の自立を促進できる福祉用具を選択することが大切です。

介護者の負担を軽減できるかチェック

福祉用具の利用は、介護者の負担を軽減することも目的としています。福祉用具の使用により介護負担が少しでも軽減されるのであれば、福祉用具に頼ることも必要でしょう。介護負担の軽減により生まれた時間を、介護者自身のリフレッシュの時間にあてることも大切です。

おわりに

福祉用具は、利用者の自立を促してくれるとともに、介護者の負担を軽減してくれる道具です。正しく活用することで、障害のある方やその家族の生活が楽になるはずです。種類がたくさんあり選択が難しいため、必要だと感じたら、まずはケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してみてください。

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