家族や身近な親族が亡くなると、供養のため定期的に法要を行います。四十九日法要もそのひとつです。しかし、法要を取り仕切る機会はあまりないので、いざとなると「何から手をつけるべきか」「当日の流れが分からない」と頭を抱えてしまうかもしれません。
今回は、四十九日法要の準備や当日の流れはもちろん、施主挨拶のポイント・お布施の包み方などを紹介します。故人をしっかり供養するためにも、知識を蓄えておきましょう。
このコラムでわかること
人は亡くなると、初七日から生前の行いについて裁きを最大で10回受けるといわれています。四十九日には故人の来世が決まる最も大切な最後の裁判のため、法要を営んでしっかり供養するのです。
四十日法要までには、さまざまな準備が必要です。例えば、本位牌や本尊の準備、墓誌への彫刻、僧侶や参列者への連絡などが挙げられます。整うまでに時間を要する物もあるので、早めに準備に取り掛かりましょう。
四十九日法要当日は、お寺などで僧侶に読経してもらい、法話を聞きます。その後、納骨法要や会食を行うのが一般的です。
四十九日とは?意味を知っておこう
まずは、四十九日の意味や数え方を把握していきましょう。
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生前の行いが裁かれる期間
古代インド仏教の教えによると、人は亡くなると生前の行いについて裁きを受けるといわれています。亡くなると初七日から裁きを受け始め、四十九日目に最終の裁判を受けます。もしここでも決まらなかった場合、百ヶ日の時に観音菩薩、一周忌の時に勢至菩薩、三回忌の時に阿弥陀如来による追加の審理が行われ、三回忌に10回目(最後の裁き)を迎えるのです。
来世の世界は、次の6つあるとされています。
- 天道(天上道)
- 人間道
- 修羅道
- 畜生道
- 餓鬼道
- 地獄道
上から順に天道が一番良く、下にいくにつれて徐々に悪くなり、地獄道が最も悪い世界です。人は亡くなるたびに、この6つの世界で生まれ変わりを繰り返しているとされており、この考えを「六道輪廻(ろくどう・りくどう りんね)」と呼びます。四十九日目に審判を受け、天道を抜け出して極楽浄土に行けると、六道輪廻から解放されると言われています。
つまり、四十九日目は故人にとって重要な節目になるのです。そのため、四十九日法要を営み、故人が極楽浄土に向かえるようしっかり供養します。
また、四十九日が明けるまでは、死という穢れが他の方に移らないよう慎む期間である「忌中(きちゅう)」になります。忌中の間は、結婚式などのお祝い事・神社へのお参り・旅行といった行動を控えましょう。四十九日法要を区切りに「忌明け(きあけ)」となり、故人を偲びながらも日常生活に戻っていきます。
四十九日を数える方法
亡くなった日を1日目とし、49日目が四十九日となります。例えば、命日が5月1日だった場合、四十九日は6月18日です。ただし、地域によって四十九日の数え方が違うケースがあります。
四十九日法要に向けての準備
続いて、施主(法要を取り仕切る方)が四十九日法要に向けて必要な準備を紹介します。
お仏壇や本位牌などを用意する
四十九日法要までに、さまざまな仏具やお墓の準備を済ませておかなければなりません。必要な物とそれぞれの概要を表にまとめました。
お仏壇 | ご本尊や位牌などを祀り、供養する場所 |
ご本尊 | 信仰対象となる仏様 |
脇物 | 各宗派の開祖・影響のある僧侶 |
本位牌 | 戒名・没年月日・俗名などが刻まれている位牌 ※宗派によって本位牌の代わりに「法名軸」や「過去帳」を準備する場合がある |
お墓 | 故人の納骨先 ※すでにある場合は、四十九日までに墓誌に戒名や没年月日などの彫刻を済ませておく |
卒塔婆 | 故人の供養のためにお墓に立てる細長い木製の板※宗派によって要不要が異なる |
葬儀のときにいただく白木の位牌は、仮の物です。四十九日法要では、位牌に魂を宿らせる儀式が行われるため、本位牌を準備しましょう。遺骨を納めるお墓がなければ、手配してください。
ただ、お墓の完成まで2~3ヵ月かかるため、四十九日法要に間に合わない可能性が高いです。納骨は必ずしも四十九日法要で行う必要はありませんが、お彼岸や一回忌などのタイミングで納められるよう早めに手配しましょう。
お仏壇やお墓がすでにある場合、新たに用意する必要はありません。お墓を所有しているのであれば、四十九日法要に間に合うよう墓誌に戒名や没年月日を彫刻してもらいましょう。彫刻にはおよそ3~4週間かかるため、時間に余裕をもって石材店などに依頼してください。また、四十九日法要前にはお墓の掃除も済ませておきます。
参照元:お仏壇のはせがわ|四十九日法要とは?何を用意する?|お布施・服装などのマナーも解説
法要の日程と会場を決める
四十九日法要は、ちょうど49日目に行うのが理想です。しかしながら、四十九日当日が平日に当たると、家族や親族の都合がつきにくい場合もあるため、一般的に四十九日直前の土日祝日に法要を行うことも多くあります。
なお、四十九日を過ぎると故人の魂が仏様のところへと向かってしまうため、法要の日が49日目を超えないように注意してください。
四十九日法要の会場は、お寺・葬儀会館・自宅となります。日程と会場は、家族や親族だけで決めるのではなく、お寺や僧侶の都合も確認して調整しましょう。
僧侶に法要の執り行いを依頼する
菩提寺がある方は、僧侶に連絡して四十九日法要の執り行いを依頼してください。菩提寺がない場合は、葬儀会社に相談すると僧侶を紹介してもらえます。
僧侶に依頼する際に、送迎方法やお布施の金額、卒塔婆の要不要などを確認しておくと安心です。
参列予定者に参加の可否を確認する
日程と会場が決まったら、参列予定者に案内状を送ります。案内状には、法要の日程・場所・参列の可否の連絡をお願いする旨を記します。
文章は縦書きにし、句読点を使わないようにしましょう。案内状を受け取った方が返信しやすいよう、封筒の中に切手付きのハガキを同封するか、往復ハガキを使用してください。近しい親族であれば、案内状ではなく電話で連絡してもかまいません。
会食(お斎)のセッティングをする
四十九日法要では、法要後に参列者と会食するのが一般的です。参列者の人数が確認でき次第、会食会場を予約しましょう。飲食店ではなくお寺や自宅で会食する場合は、仕出し会社に料理の手配を依頼します。
会食は参列者だけでなく、僧侶にも声を掛けましょう。もし僧侶が参加しないようであれば、料理の代わりに御膳料を渡します。御膳料の相場は、5,000~20,000円です。
返礼品を用意する
四十九日法要に参列する方は、香典やお供え物を持ってきます。そのお礼として、返礼品を用意しましょう。返礼品には、お菓子や海苔といった食品、石鹸・洗剤といった日用品など消えてなくなる物がおすすめです。返礼品の金額は、香典やお供え物の1/2~1/3が目安です。
お布施を準備する
四十九日法要当日に僧侶に渡すお布施も準備します。四十九日法要のみのお布施の相場は、30,000~50,000円です。四十九日法要と同時に納骨法要を行う際は、全体で50,000~100,000円となります。
お布施の他にも、お車代や御膳料を渡すケースがあります。お車代は、四十九日法要を自宅や葬儀会館で行う際、僧侶がタクシーなどで現地に赴く場合に必要です。お車代の相場は5,000~10,000円程度。なお、施主が手配したタクシーで移動する・僧侶を送迎するといったケースでは、お車代は必要ありません。
御膳料は前述のとおり、僧侶が会食に参加しないときに渡すお金です。
四十九日法要当日|流れ・挨拶・持ち物など
四十九日法要は、宗派や執り行う場所によって流れがさまざまです。ここでは、以下を想定した流れを紹介します。
【想定】
- 四十九日法要の会場:お寺
- 納骨法要:あり
- 法要後の会食:別会場であり
【四十九日法要の流れ】
- お寺に行く
- 僧侶が入場する
- 施主が法要開始の挨拶をする
- 僧侶による読経
- 焼香をあげる
- 僧侶の法話を聞く
- 施主が中締めの挨拶をする
- 墓地に移動する
- 納骨・納骨法要(読経)を行う
- 施主が法要終了の挨拶をする
- 会食会場に移動する
- 施主が挨拶をする
- 献杯の挨拶をする
- 会食をする
- 施主が挨拶をする
- 引き出物を渡し、閉式
親族が揃い次第、お寺に向かいましょう。僧侶が入場し、施主の挨拶で四十九日法要開始となります。読経中に焼香が促されたら、施主から順番に行ってください。読経後に僧侶の法話を聞き、施主が中締めの挨拶をして、納骨法要に移ります。
墓地では、納骨と読経が行われます。納骨法要が終わったら会食会場に移動し、会食をして終了です。
法要時に座る位置・焼香の順番
法要時は、僧侶の真後ろに施主が座り、故人との血縁が深い順に前から着席しましょう。焼香も施主が最初に行い、前の席の方から順番に進んでください。
施主は区切りで挨拶する
四十九日法要中は、主に区切りのタイミングで施主の挨拶を挟みます。次に紹介する要点を押さえ、あらかじめ考えておきましょう。
法要開始時
開始の挨拶には、参列のお礼や四十九日法要開始の宣言を込めます。
【例文】
本日はご多用の中、亡き母「○○(故人名)」のために足をお運びいただき、誠にありがとうございます。葬儀の際にもご厚情を賜りましたことを、改めて御礼申し上げます。これより、故「○○(故人名)」の四十九日法要を執り行いたいと存じます。それではご住職様、よろしくお願いいたします。
中締め・法要終了時
中締めや法要後の挨拶は、法要が終わったことや故人の気持ちの代弁、今後のスケジュールを話しましょう。会食がない場合は、その旨を伝えてください。
【例文】
本日は、亡き母の四十九日法要にご列席いただき、誠にありがとうございました。おかげさまをもちまして、つつがなく法要を執り行えました。母も皆様にお集まりいただき、喜んでいることと存じます。この後、お墓にて納骨式を執り行います。納骨式終了後には、お食事の席をご用意しておりますので、お時間の許す限りおくつろぎください。
会食・献杯時
会食前の挨拶では、参列のお礼や故人の思い出話をしてほしいことなどを盛り込みます。
【会食前・例文】
本日はご多用中にもかかわらずお集まりいただき、心より御礼申し上げます。おかげさまをもちまして、亡き母「○○(故人名)」の四十九日法要を滞りなく執り行えました。ささやかではありますが、お食事をご用意いたしております。母との思い出を振り返りながら、召しあがっていただけると幸いです。本日は、誠にありがとうございました。
献杯の挨拶は、施主または施主以外の親族が務めるケースがあります。別の方にお願いする場合は、事前に依頼しておきましょう。
【施主が献杯の挨拶をする場合・例文】
引き続き、献杯の音頭をとらせていただきます。皆様、グラスを手にお取りください。ご唱和お願いいたします。母の冥福を祈って、献杯。
会食終了時
会食終了後の挨拶では、参列へのお礼と終了の旨を伝え、引き出物の案内をします。
【例文】
本日はご多用の中お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。名残惜しいところではございますが、ここでお開きとさせていただきます。たくさんの方にご列席いただけて、母も喜んでいることと存じます。母が亡くなり未だ寂しくはありますが、皆様から母の思い出話をお伺いでき、心が温まりました。今後も、どうか変わらぬご支援をお願いいたします。お荷物になるかとは思いますが、心ばかりの物をご用意いたしました。よろしくお持ちください。本日は誠にありがとうございました。
僧侶にお布施を渡すタイミング
僧侶にお布施を渡すタイミングは、四十九日法要前または法要終了後が良いでしょう。僧侶が会食に参加するようであれば、会食後にお布施とお車代を渡してください。
お布施は渡すまで袱紗に入れておき、渡すときに取り出します。手渡しではなく、黒塗りのお盆に乗せて渡しましょう。
法要当日の持ち物
四十九日法要当日に持って行く物をまとめました。
- 白木位牌
- 本位牌
- ご本尊・脇仏(新調した場合のみ)
- 遺影
- 埋葬許可書(納骨を行う場合)
- お布施(お車代・御膳料)
- 黒塗りのお盆・袱紗
- 引き出物
- お供え用の花
- 数珠 など
場合によっては、ローソクや線香、焼香用香炉などが必要となります。
四十九日法要のマナー|服装・お布施・挨拶・香典
ここからは、四十九日法要のマナーを紹介します。施主はもちろん、四十九日法要に呼ばれたらチェックしておきましょう。
服装のマナー(施主側・参列者側)
四十九日法要時の服装は、施主側は喪服が基本です。
参列者は略礼服が望ましいです。略礼服の準備が難しいようであれば、暗い色(黒・紺など)のスーツやワンピースを着用しましょう。なお、次に挙げる服装は四十九日法要にそぐわないため、避けてください。
- 露出が高い服装
- 素足に見えるベージュのストッキング
- 殺生を連想させる本革の靴・毛皮
- 光沢のある装飾品(アクセサリーはパールのみ可能)
- 2連以上のデザインのアクセサリー
お布施のマナー(施主側)
お布施は、奉書紙(和紙)や白い無地の封筒に包んでください。不幸の重なりを連想してしまうことから、二重封筒は使いません。お布施の書き方として、表書きには「お布施」もしくは「御布施」と記し、その下に施主の氏名を書きこみます。
四十九日法要の場合、お布施として渡すお金は新札でも旧札でも構わないとされています。封を開けたときに肖像画が見えるよう、向きを揃えて入れてください。
挨拶のマナー(施主側)
四十九日法要では、何度か施主が挨拶をする場面があります。長々話さないよう心掛けましょう。故人の話を盛り込む際には、欠点に触れないよう気をつけてください。
また、忌み言葉を遣うのもタブーです。忌み言葉とは、冠婚葬祭で遣うと縁起が悪いとされているものです。一例を見てみましょう。
忌み言葉の種類 | 例 |
マイナスの印象を与える言葉 | 嫌い・苦しむ・切る・死・別れる・離れる・捨てる など |
重ね言葉 | 重ね重ね・くれぐれも・たびたび・またまた・再三 など |
仏教の忌み言葉 | 迷う・浮かばれない※宗派によっては「ご冥福をお祈りします」もNG |
先程紹介した要点とともに、忌み言葉を意識して挨拶文を考えてみてください。
香典のマナー(参列者側)
参列者が持参する香典の相場は、故人との関係性によって金額が変わります。親族の場合は10,000~30,000円、友人や知人の場合は5,000~10,000円となっています。
香典袋を準備する際は、水引の色に注目してください。四十九日法要の場合、水引の色は黄白、白黒、双銀のいずれかを選びましょう。表書きには「御仏前」または「御香典」と記します。四十九日までは故人は「霊」の状態で、四十九日法要で成仏して「仏」になると考えられており、四十九日法要では「御仏前」と記します。
なお、宗派によっては水引の色や表書きが異なるケースがあるので、前もって確認しておきましょう。
コロナ禍での四十九日法要事情
新型コロナウイルス感染症が流行している昨今。その影響は、四十九日法要にも及んでいます。コロナ禍のため「家族のみで四十九日法要を行う」「会食はせずにお弁当を渡す」「葬儀と同日に四十九日法要を行う」というケースが増えているようです。
家族のみで四十九日法要を行う場合、参列予定だった方には事前に連絡を入れておきましょう。また、コロナ禍で四十九日法要を行う際には、以下のような感染症対策を講じる必要があります。
- マスクを着用する
- 手指の消毒をする
- 換気をする
- 会食を中止にして持ち帰りのお弁当にする
- 人数に対して大きな会場で行う など
四十九日は、故人にとって重要な節目となるタイミングです。家族や親族と相談し、心残りにならないよう検討を重ねましょう。
おわりに
今回は、四十九日法要の準備や流れ、マナーなどをお伝えしました。四十九日法要までに本位牌の準備や墓誌への彫刻、お寺や参列予定者と連絡を取り合うなど、さまざまな事柄をこなさなければなりません。時間や手間がかかる作業ではありますが、故人が極楽浄土に歩みを進められるよう、今回紹介した内容を参考に、しっかり準備をして四十九日法要に臨みましょう。