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密葬とは?家族葬との違い・密葬の流れと注意点を詳しく解説

セゾンのくらし大研究 編集部

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当記事をお読みの皆様の中には、ご自身やご家族が幅広い人脈をお持ちであったり、大きな業績をお残されていたり、あるいはその他の理由で、ご自身かご家族がお亡くなりの際に密葬を行うことをお考えの方もいらっしゃるかもしれません。その時に備えるため、当記事で家族葬や直葬との関係はどうであるかや、密葬を行う際に注意すべき点などをあらかじめ知っておくことをおすすめいたします。

この記事のまとめ

密葬とは、家族など故人と極めて親密な方々のみが参列する葬儀です。密葬と時として同義語であるかに扱われる家族葬や直葬は、厳密には異なります。ただ、「家族葬形式/直葬形式」という呼び名は密葬のやり方のバリエーションとして便宜上使われます。家族葬形式と直葬形式の密葬の違いですが、基本的に前者では通夜式及び葬儀・告別式を行いますが後者では省略します。密葬を行うには、親族やお寺などの了承を得ておきましょう。また、密葬に参列する場合には喪服を着るのがマナーであり香典の金額は一般的な葬儀と相場はほぼ同じです。

密葬とは内密に行う葬儀のこと

日本では最近まで、より豪華で大勢の方々が参列する葬儀がステイタスとされる傾向がありました。ただしすでに明治時代には、結局叶わず、盛大な葬儀となったものの、現代でいう密葬を指向した知識人がいらっしゃいました。

しかし近年では、逆にいわゆる密葬、その他比較的小規模な葬儀を指向する方々は決して少なくありません。ではその密葬とは、一体どんなものなのでしょうか。密葬というべき葬儀、あるいはそれに近い葬儀は例えばイギリスなどでも盛んなようですが、今回は日本国内での密葬についての紹介に留めます。

密葬とは、簡単にいえば家族その他故人とごく親しい方のみが参列して行う葬儀のことです。参列する方は限られていますが、現在日本国内で一般的な葬儀の流れとほぼ同じで、通夜式→告別式→火葬(現在の日本では火葬率は100%に近いので、本記事では火葬を前提とします)です。また地方などによっては通夜式→火葬→告別式となります。

密葬の後には、本葬を行うケースが一般的です。本葬とは、いわゆる「お別れ会」「偲ぶ会」その他さまざまな名前で呼ばれる、近親者以外の多くの方々が参列することを前提とした故人を偲ぶ儀式です。社葬なども、このカテゴリーに入ります。

こうした葬法は幅広い交友関係を持つ方や大きな業績を残した方、いわゆる著名人の方などが故人となった際よく採用されます。というのも、一般的な葬儀を行うと多くの参列者が集まってしまい、近親者がゆっくり故人とお別れできないという問題があるからです。

また、そうした大人数が参列する大規模な葬儀は準備に時間がかかることも無視できません。そのため、近親者のみで密葬を行い、その後本葬を行うタイプがよく選ばれるわけです。

密葬とどう違う?家族葬・直葬についても知っておこう

ところで、「家族葬」や「直葬」も現代、日本ではよく聞く言葉であり、しばしば密葬と同義語とされることもありますが、厳密には違う意味です。但し、「家族葬形式/直葬形式」という呼び名は密葬のやり方のバリエーションとして便宜上使われますので、そちらとの混同にも要注意です。違いを、ここで是非とも知っておきましょう。

密葬と家族葬の違いは本葬のあり方

家族葬とはどんな葬法のことでしょうか。家族葬も、やはり故人の直接の遺族や親族その他親しい方のみで行う小規模な葬儀のひとつです。参列者が限られている点では密葬と共通しており、2023年初春現在ではコロナ禍のため多くの方が一度に集まるのを避ける意味でも、需要が高まっています。

一般的な家族葬では家族葬自体が本葬であるため、後日一般向けに本葬は行いません。従っていわゆる無宗教式だけでなく、仏式その他特定の宗教宗派による葬儀も少なくありません。この、「本葬を行うかどうか」が、密葬(特に後述する家族葬形式の密葬)と家族葬の大きな違いであるといえるでしょう。

密葬と直葬の違いは告別式などの有無

一方、直葬とは一般的な通夜式や告別式を行わず身内の方々で火葬のみを行うシンプルな葬儀であり、火葬式とも呼ばれています。納棺〜火葬で完結するものとされ、基本的に本葬は行いません。密葬(特に家族葬形式)は、通夜式や告別式を行う点が直葬と異なります。

また、直葬形式の密葬では出棺の直前に(基本的に無宗教式の)故人と最後の対面を行い、故人の遺体に生花をお供えしたりする「お別れの儀式」を行うケースもありますが、直葬では省略されることも少なくなく基本的に火葬しか行わないため、故人とお別れする時間もより短くなります。いってみれば、このお別れの儀式を省略し後日の本葬も行わないタイプの直葬形式の密葬が、本来の意味の直葬といえます。

密葬を行うか家族葬・直葬にするか迷ったら

小規模な葬儀を行いたいが、どういった形式で実施するかお悩みの方も少なくありません。迷ったら、まず故人の交友関係の広さを考慮しましょう。

例えば、家族葬や直葬にしたいが後日弔問に訪れる方が多いことが想定されるなら、密葬が適しているといえます。

【形式別】密葬のやり方・流れ

密葬のやり方には先ほどから何度か触れているように、大きく分けて2つの形式があり、それぞれ便宜上「家族葬形式」「直葬形式」と呼ばれます。

ここでは、一般的な密葬の流れを家族葬形式と直葬形式に分けて解説します。なお、当記事では故人が病院で感染症以外の死因で亡くなり、葬祭場で密葬を行い、家族葬形式では葬儀は仏式とする場合を想定した記述となります。

家族葬形式で密葬を行う場合

  1. 葬儀社に連絡
  2. 遺体の搬出・安置
    故人の遺体を病院から搬出し葬斎場に安置します。
  3. 密葬の日程や内容を検討
    葬儀社に密葬とする旨を伝え、日程や内容を検討します。
  4. 役所に死亡届を提出・火葬許可証の受け取り
    役所で必要な手続きをします。
  5. 参列予定者に連絡
    密葬に参列する予定の方のみに故人の死去と密葬の日時などを連絡します。密葬であることをきちんと伝えましょう。
  6. 納棺
    必要な処置を受けた故人の遺体が、棺に納められます。
  7. 通夜式
  8. 葬儀・告別式
    通夜式〜葬儀・告別式の基本的な流れは通常の葬儀と変わりません。但し、葬儀の際弔辞は読まれず、後日の本葬で弔問として読んでもらう運びとなります。
  9. 出棺
  10. お別れの儀式
    故人と最後の対面を行い、遺体に生花をお供えしたりします。なお、骨葬(後述)の場合には省略されます。
  11. 火葬・お骨上げ
    地方などによっては、通夜式と葬儀・告別式の間に行うケースもあります(骨葬)。なお少ないですが、お骨上げは行わず火葬場に全遺骨の処理をお任せする「0葬」を選択するケースもあります。
  12. 初七日法要
    これは特に近年の首都圏や京阪神圏の都心部で仏式葬儀を行う場合についてですが、初七日を繰り上げて当日の火葬後、あるいは葬儀の直後に行ってしまうケースも多くなっています。なお、仏式以外では省略されるか他の宗教宗派での儀式に置き換えられます。
  13. 本葬(後日)

直葬形式で密葬を行う場合

  1. 葬儀社に連絡
  2. 遺体の搬出・安置
  3. 密葬の日程や内容を検討
  4. 役所に死亡届を提出・火葬許可証の受け取り
  5. 参列予定者に連絡
  6. 納棺
    ※ここまでは基本的に家族葬形式と同じ流れになります。
  7. 出棺
  8. お別れの儀式
    故人との最後の対面です。省略されることもあります。
  9. 火葬・お骨上げ
    0葬を選択した場合には、お骨上げは省略されます。
  10. 本葬(後日)
    家族葬形式同様、ここで弔問が読まれます。

直葬形式は家族葬形式と違い納棺したらそのまま出棺し、お別れの儀式、火葬、お骨上げを行います。なお、お別れの儀式やお骨上げは故人や遺族の意思などで省略されることもあります。

密葬にかかる費用の目安

密葬を行う際の費用も気になるところですが、相場は家族葬形式なら約800,000円〜100万円、直葬形式なら約200,000円〜400,000円です。密葬は参列者が少ないので、準備する返礼品や料理の数が少なく費用が抑えられます。

密葬で押さえておくべき注意点やマナー

ここでは、密葬を行う、あるいは参列する際の注意点やマナーを紹介します。

親族・お寺の了承を得ておく

葬儀のあり方については個々人の価値観が多様であるため、親族間のトラブルを防ぐためにも、事前に了承を得ておきましょう。人はさまざまな原因で急死してしまう可能性があるので、密葬が必要になりそうな方やご家族は普段から、こうしたことをオープンに話せる空気を作っておくことをおすすめします。

また、故人がお寺や教会など特定の宗教機関に所属している場合には、そちらの了承も得ておく必要があります。特にお寺に檀家(浄土真宗では門徒)として所属している場合、お寺によっては葬儀で読経しないと戒名がもらえなかったり納骨できなかったりするケースがあるため、戒名やお寺のお墓への納骨を希望する場合には要確認です。

密葬を知らせるのは参列者のみ

密葬を行うという情報が漏れてしまうと、参列者になることを想定していない方から「参列したい」「なぜ密葬なのか」といった問い合わせに対応しなければならないので、参列者には密葬を行う旨をきちんと伝え、口外しないようにお願いしましょう。

遺体の安置場所に気を配る

自宅に遺体を安置すると、亡くなった方がいることを知られてしまいさまざまなトラブルの原因になってしまうリスクがあります。そのため、遺体の安置場所は葬儀会館などにするのがベターです。

服装は喪服がマナー

参列者になった際には、密葬であっても喪服を着用して参列しましょう。

香典に包む金額は一般的な葬儀と同様

密葬であっても香典の金額は一般的な葬儀と同様です。金額を決めるポイントとしては、参列者ご本人の年齢や故人との関係性を考えましょう。

香典の一般的な目安としては、密葬に参列する可能性が特に高い関係性の方の場合、以下のような金額となります。

  • 故人が自分(参列者)や配偶者の両親:5,000円〜100,000円
  • 故人が自分や配偶者の祖父母:5,000円〜10,000円程度
  • 故人が自分の兄弟姉妹:10,000円〜20,000円程度
  • 故人が配偶者の兄弟姉妹:5,000円〜10,000円程度
  • 故人が自分や配偶者のその他の親戚:5,000円〜10,000円程度
  • 故人が自分と日常的に親交のある方(友人/知人など):5,000円程度

なお、参列者の年齢が上がると香典としてお渡しすべき金額も、あくまで一般的な相場の範囲内ではありますがより高めになっていくことにも注意しましょう。

密葬後に本葬の案内を送る

密葬が終わったら、本葬の案内を参列が見込まれる方に送ります。案内状に記載すべき事項は、基本的に次のような項目です。

  • お別れ会/偲ぶ会など本葬の目的
    誰の本葬なのか、また参列者が特定の方々に限定されるのであればその旨を始めに明記します。
  • 時候の挨拶
  • 生前の故人とお付き合い頂いたことへの感謝の言葉
  • 開催する日時と場所
    箇条書きにするとわかりやすいです。また、場所がわかりにくい場合には地図も添えましょう。
  • 会食の用意の有無
  • 会費や香典の有無
  • 必要な場合はドレスコード

本葬の案内状を受け取った方が弔問に訪れるケースがあるため、香典返しの準備をしておくのがベターです。また、諸般の理由によって本葬を行わない場合には、密葬の参列者以外の方に挨拶状を送ります。

お墓選びに悩んだら「セゾンの相続 お墓探しサポート」へ

火葬を終えお骨上げした故人の遺骨は、一般的に(仏式の場合)四十九日法要の際にお墓に納骨します。しかし、特に都市部では墓地に空きがなくお墓を建てられないケースがあるため、新しくお墓を建てるなら早めに検討しましょう。

また、お墓への納骨ではなく例えば散骨などお墓によらない供養や、そもそもお骨上げをせず遺骨の処理を火葬場にお任せする0葬をご希望の方もいらっしゃるかもしれません。もしお迷いの場合には、是非一度「セゾンの相続 お墓探しサポート」のご利用をおすすめします。提携専門家のご紹介も可能ですので、お気軽にご連絡ください。

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おわりに

今回は密葬を行う流れについて、故人が比較的穏やかな亡くなり方をしたケースを想定しましたが、実際には年齢などに関係なく、さまざまな原因で突然亡くなってしまうケースもあるわけです。

だからこそ、これは密葬を行う場合に限られませんが、普段から葬儀や埋葬について余りタブー視せずオープンに話し合える空気を作っておくことが大切です。

<参考文献>

岩下宣子監修『withコロナ時代に対応!冠婚葬祭マナーの新常識』主婦の友社、2020

加藤長『令和の葬送 戒名はいらない!』同時代社、2019

島田裕巳『0葬 あっさり死ぬ』集英社、2014

金セッピョル、地主麻衣子編著『葬いとカメラ』左右社、2021

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