現在は、「自分らしい形で葬儀を行いたい」と考える方が非常に増えています。
この記事のまとめ
このコラムでは、「お葬式の生前予約」について取り上げます。お葬式の生前予約とは、文字通り、葬儀の予約を自身で生前に行うことです。ここでは「お葬式の生前予約の概略と、お葬式の生前予約のときに決めるべきこと」「お葬式の生前予約で得られるメリットと、発生しうるデメリット」をまず取り上げます。その後で、お葬式の生前予約を積極的に考えている方のために、お葬式の生前予約の進め方を解説します。そして最後に「お葬式の生前予約をしていた方が亡くなったときの利用方法」を説明します。
お葬式は生前予約が可能!
かつての葬儀は、「残された方が執り行うもの」でした。この性質自体は令和の現在でも失われていませんが、今は「葬儀の当事者となる方が、自分自身の希望を反映させて行うもの」「見送られる方ご自身が、自分らしい形を選ぶもの」という性質も持つようになりました。
今回は、その「自分らしい葬儀」を行いたいと考える方のために、「お葬式の生前予約」という選択肢を提案します。
生前予約とは
「お葬式の生前予約」とは、「生前に葬儀会社と話し合い、葬儀の形式や規模、場所などの希望を伝えて予約しておくこと」をいいます。
ちなみにこのお葬式の生前予約には、2とおりの方法があります。
- 葬儀会社や葬儀の内容だけを決めておく方法
費用は事前に基本的には発生しないか、もしくは発生しても低額に抑えられる(会員となるための入会金10,000円を支払うだけで良い、など) 。 - 生前契約とも呼ばれ、葬儀会社や葬儀の内容を決めるだけに留まらず、契約書の作成や葬儀にかかるであろう費用を払い込んでおく方法
「今わかる範囲の費用を可能な限り払い込んでおく」というスタイルもあれば、葬儀費用の一部分を払うやり方もあるが、1の場合に比べて事前に払う金額は大きくなる。
両方ともお葬式の生前予約と呼べるものですが、後者は特に生前契約と呼ばれています。日本ではお葬式の生前予約といえば1を指すことが多いのですが、2の形式をとっている葬儀会社もあります。ちなみに海外では2の生前契約が多く選ばれています。
もっとも、生前予約、生前契約のケースでも、決めることや進め方はそれほど変わりはありません。ここでは特筆すべき場合を除き、生前予約と生前契約の両方を含めてお葬式の生前予約としてお話していきます。
生前予約で決められる内容
お葬式の生前予約で決められる内容は、概ね以下のとおりです。
お葬式の形式
現在の葬儀の形式は、次の3とおりに大別されます。お葬式の生前予約では、まずはこれを決めます。
- 一般葬(多くの方を受け入れて行う葬儀)
- 家族葬(ご家族が声を掛けた方しか参列しない葬儀。2日間に分けて行うものと、1日だけで済ませる方法がある)
- 直葬(宗教的儀式を伴わず、火葬場でお別れをするだけの葬儀)
お葬式の規模
「知人や友人は呼ぶのか、呼ぶとしたら何人くらいを呼ぶのか」を決めます。葬儀の規模は、葬儀の費用を左右するもっとも大きな要素のうちのひとつです。ただし正確に読み切ることは不可能ですから、だいたいの予測で構いません。
お葬式を執り行う場所
葬儀を行う場所を決めます。葬儀会社が持っている葬儀ホールや自宅、寺院などがその候補となります。なお、自宅を選ぶ場合は、自宅の広さなどに合わせて呼ぶ方の人数を考えなければなりません。
祭壇やお棺などの物品
次に、どのような宗教・宗派の葬儀にするかも考えます。もちろん、無宗教の葬儀も選べます。
さらに、「音楽をメインにしたい」「マーガレットの花の祭壇にしたい」などのように、葬儀の希望も伝え、これが実行可能かも話し合います。棺や骨壺もバリエーションがあるので、希望があればそれを伝えましょう。
お葬式の生前予約の一番のメリットは、「自分の希望を反映した葬儀を行えること」なので、しっかりと希望を伝えましょう。
お葬式の生前予約をするメリット
上でも少しお話しましたが、お葬式の生前予約を行うことのメリットについて解説していきます。
- 自分が希望するお葬式にできる
- お葬式にかかる費用を事前に把握できる
- 遺族の負担を軽減できる
- 終活の一環として前向きな気持ちになれる
それぞれ見ていきます。
自分が希望するお葬式にできる
「特定の花でいっぱいにした祭壇を作りたい」「おひとりさまで、それほど人間関係も広くない。だから極限まで簡素な葬儀にしたい」などのような葬儀に関する希望を伝えられるのが、お葬式の生前予約の大きなメリットです。
もちろん、葬儀会社によっては「その希望には対応できない」ということもありえます。しかし亡くなってから葬儀会社を決める場合とは異なり、生前に葬儀会社を選ぶ場合にはしっかりと時間をかけることができます。
そのため、「自分の希望を叶えてくれる葬儀会社」を見つけられるまで、打ち合わせを続けることが可能です。
お葬式にかかる費用を事前に把握できる
「お葬式の費用くらいは、自分で用意しておきたい」と考える方は少なくはありません。しかし葬儀にどれくらいの費用がかかるかは、意外と把握しにくいものです。お葬式の生前予約では、このような点も確認し、イメージができます。
お葬式の生前予約を行うことで葬儀費用の概算を知ることができますし、「これは不要、これは欲しい」などのようにご自身の考えで費用をかけるべきところと、かけなくて良いところの取捨選択もできます。
遺族の負担を軽減できる
遺族が大切な家族を亡くした直後の動揺と混乱のなかで、短時間で葬儀会社を決めて葬儀プランを決めるのは非常に大変なものです。
しかし事前にお葬式の生前予約をしておき、「ここの葬儀会社に、希望のプランを伝えてある」としておけば、このようなご家族の負担を大幅に軽減できます。
詳細な内容はやはり死後でなければ決められないものですが、それでも、「葬儀会社と葬儀のプラン」がある程度決まっているだけで、かかる負担は段違いに軽減されます。
終活の一環として前向きな気持ちになれる
お葬式の生前予約は、終活の一環として行うことが多いものです。
終活はしばしばマイナスのイメージでとらえられますが、実際には「これからの人生をどう生きて、どうすれば後悔なく過ごせるか」を考えるためのものです。終活を行うことで残された時間を意識して積極的な気持ちになったり、前向きな気持ちになったりすることもできます。
「葬儀は、お別れの場でもあるけれど、自分らしい生き方を示せる場でもある」と捉えてお葬式の生前予約に臨むことは、これからの人生を前向きなものにしてくれることでしょう。
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お葬式の生前予約で考えられるデメリットと対処法は?
このようにメリットの多いお葬式の生前予約ですが、デメリットもあります。ここではお葬式の生前予約のデメリットと、その対処策を取り上げていきます。
家族に反対される可能性がある
お葬式の生前予約をしようとしても、「生きているうちから死んだ後のことを考えるなんて、縁起でもない」として、ご家族から反対される可能性は否定できません。また、自分が希望する葬儀のと、ご家族の葬儀に対する意向が異なることもあります。
対処法
このような場合は、ご家族としっかり対話の時間を持つことが何よりも重要です。なぜ自分はその葬儀プランを選ぼうとしているのか、そもそもなぜお葬式の生前予約に踏み切りたいと考えたのかを、丁寧に伝えていきましょう。
予約していた葬儀会社がなんらかの理由で利用できなくなるケースもある
「お葬式の生前予約をしたのに、予約していた葬儀会社が倒産してしまった」というケースもゼロではありません。
一般的に、生前に契約を結んでお金を預けた場合は、それを保護するかどうかは事業者の考えに委ねられると考えられています。
つまり、契約を結んでお金を払っても、相手側が倒産やトラブルが起きた場合はサービスが履行されない可能性があるうえ、お金が返ってこない可能性もあるということです。
対処法
お葬式の生前予約を結ぶ場合は、事前にその葬儀会社が信頼のおける会社かどうかを確認する必要があります。また葬儀会社が信託銀行などを利用していれば安全性は高いといえます。
もっとも安全なのは、生前契約ではなく、少額あるいは無料で契約できる範囲の契約に留めておくことです。
生前予約したことを家族が忘れてしまった
「お葬式の生前予約をしていたことを、家族が知らなかった」「お葬式の生前予約をしたことを話してあったが、家族が忘れてしまっていた」などの問題も、お葬式の生前予約には起こりえます。
完全に忘れたままほかの葬儀会社で葬儀を行ってしまった場合に、お葬式の生前予約をしていた会社で再度葬儀を行うのは現実的ではありません。そのため、このような事態が起こらないようにするための事前の予防策を講じることが必要です。
対処法
エンディングノートの冒頭に記しておくのが、有効な予防策となりえます。また、人が亡くなった場合、家族は高い確率で故人の携帯電話を見ます。そのため、携帯電話の必ず目に付くところに書いておくのも有用です。
もし、「別の葬儀会社で葬儀を挙げてしまった後に、他の葬儀会社と契約していたことを知った」という場合は、一応お葬式の生前予約をしていた葬儀会社に連絡をしてみましょう。法要などのときになんらかの優遇措置を取ってくれるかもしれません。
お葬式の生前予約の方法と手順
ここからは、お葬式の生前予約の方法と手順について解説していきます。
葬儀会社を決める
まずは、契約する葬儀会社を決めます。このときにもっとも重要なのは、「自分が希望する葬儀を挙げられる葬儀会社かどうか」です。
特に葬儀の形式にこだわりがある(「葬儀会場内を英国ガーデンスタイルにしてほしい」「精進落としの席に高名なシェフを呼びたい」など)場合は、葬儀会社との詳細な打ち合わせや、問い合わせが必要です。また、料金システムなどについてもしっかり説明を受けましょう。
お葬式のプランを決める
「自分が希望する葬儀のプランで葬儀を行おうとした場合、どれくらいの費用がかかるのか」の見積もりを出してもらいます。ちなみに小さがな葬儀であればあるほど費用は安く抑えられる傾向にありますが、特殊な形態を希望した場合はこの限りではありません。
葬儀の基本プランにどんなものが含まれるかは葬儀会社ごとで異なるので、見積もりを見たうえで、「これは追加してほしい、これはそのまま、これはいらない」などのように選定していくのも良いでしょう。
葬儀会社と契約する
葬儀会社との話し合いが済み、納得できたのならば契約に進みます。なお、お葬式の生前予約はするが、『生前予約とは』で挙げた「2の形式の生前契約まではしない」ということであれば、当然実際に葬儀を挙げた際には別途料金が必要となります(ただし、逝去後に決めた場合に比べて数万円程度安くなる場合が多い)。
また、生前契約の形式を取り、事前にお金を支払っていたとしても、追加費用が発生する可能性はあります。参列者の数や、それに関係して必要となる飲食費用などの正確な数値を、お葬式の生前予約の段階で導き出すことは不可能だからです。
【ご家族向け】危篤もしくは亡くなった後の流れ
ここからは、「お葬式の生前予約をしていた方を亡くした家族の立場」に立って、葬儀までの流れを解説していきます。
エンディングノートなどを確認する
まずは、故人のエンディングノートを探し、「お葬式の生前予約をしていたかどうか」「生前予約をしていた場合は、どこの葬儀会社か」を確認します。
「お葬式の生前予約をしたことは聞いていたけれど、どこの会社か忘れた」という場合でも、「そもそもお葬式の生前予約をしていたかどうかも知らない」という場合でも、エンディングノートは重要な手がかりとなります。
お葬式の生前予約をするほどに準備の良い方ならば、エンディングノートにお葬式の生前予約の情報を書いていない可能性は極めて低いからです。
予約している葬儀会社に連絡する
お葬式の生前予約をしていた葬儀会社に連絡をします。逝去直後に連絡をしても構いませんが、危篤の段階で連絡しておくとよりスムーズでしょう。
特に、「お葬式の生前予約をしてから随分時間が経っている」という場合は、事前に確認しておくことが推奨されます。
お葬式を執り行う
生前の予約内容や見積もりを改めて確認し、内容に問題がなければそのまま葬儀を執り行います。なお、お葬式の生前予約をしていても、「〇〇をオプションにつけてほしい」「通夜のときに流す音楽に指定はなかったが、この音楽を使ってほしい」などの希望がご家族にあれば、それを伝えてもまったく問題はありません。
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お葬式の生前予約にはデメリットはありますが、それを上回るメリットがあります。自分好みの葬儀を行えますし、ご家族にかかる負担も減らすことができます。
ただ、「お葬式の生前予約をしたいが、何から始めれば良いかわからない」という方も多いことでしょう。そのような場合は、「セゾンの相続 お葬式サポート」にご相談ください。あなたらしい葬儀を行うためのお葬式の生前予約をサポートします。
おわりに
「自分らしい葬儀」「ご家族に負担をかけない葬儀」を考えるのであれば、お葬式の生前予約は非常に有用な選択肢となりえます。終活の一環として、お葬式の生前予約を考えてみてはいかがでしょうか。