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墓石に刻む文字のルールや規則は?文字入れの注意点や費用も紹介

墓石に刻む文字のルールや規則は?文字入れの注意点や費用も紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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お墓を新しく建てる方が頭を悩ませることのひとつとして、「墓石にどんな文字を入れるか」があります。

ここではこの「墓石に入れる文字」について取り上げ、宗教・宗派別の文字の違いや洋型墓石の場合お墓に文字を刻む方法やそのときの注意点、墓石に文字を入れるときにかかる費用などについて解説していきます。

この記事のまとめ

このコラムを読むことで、「どんな文字を入れたら良いのか」と悩みがちな「墓石に入れる文字」について理解することができます。まずは仏教の宗派別の文字入れについて説明し、キリスト教や神道の文字入れ、現在的なお墓の文字の入れ方についても解説していきます。

またお墓に文字を刻む方法やその注意点、お墓に文字を刻む場合にかかる費用についても取り上げていきます。 お墓の文字入れは、一度行うと消すことはなかなかできません。そのため、事前にしっかりと確認しておくことが必要です。

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墓石にどんな文字を刻めばいい?

墓石にどんな文字を刻めばいい?

墓石に刻む文字に、決まりはありません。その墓石を購入する方が自由に言葉を入れても構わないとされています。

ただ、宗教や宗派によってある程度一般的な書き方も存在します。それについて解説しつつ、個性豊かな文字入れについても解説していきます。

どの宗教・宗派、どのようなお墓でも、お墓に刻む文字は「正字」と呼ばれるもっとも正式な漢字が使われるのが一般的です。

仏教の文字入れについて

仏教を信じる方の場合は、和形の縦型の従来型の墓石を選ぶことが多いといえます。「〇〇家先祖代々之墓」という表記は、どの宗派でも比較的よく使われていますが、仏教には多くの宗派があり、宗派によって異なる文字を入れることもあります。なお、文字の字体に決まりはありません。楷書や行書、草書など、幅広く使われています。

また、宗派・地域によって異なりますが、「〇〇家先祖代々之墓」などの表記の上に、古代インドの言語サンスクリット語の文字である梵字(ぼんじ)が刻まれている場合があります。

 浄土真宗

「念仏を唱えさえすれば、人は救われる」とする浄土真宗では、墓石にも「南無阿弥陀仏」とよく彫り込みます。また、「同じ阿弥陀様とまた極楽で会える」という意味を持つ「倶會一處(くえいっしょう)」という文字を彫り込むこともあります。

 天台宗

「南無阿弥陀仏」という題目がよく彫刻されます。なお、「先祖代々之墓」の上に梵字を入れることもよくあります。

 浄土宗

「南無阿弥陀仏」の表記がもっとも一般的です。また、梵字を入れることもあります。

 真言宗

「南無大師遍照金剛」という表記がよく使われます。これは真言宗の題目です。また、梵字(ぼんじ)を入れることもあります。

 日蓮宗

「南無妙法蓮華経」という題目を彫り込むことがよくあります。また、「〇〇家先祖代々之墓」の上に「妙法」と配することもあります。

 臨済宗・曹洞宗・黄檗宗

「南無釈迦牟尼佛」の表記を使います。ちなみに「禅宗」に分類されるこれらの宗派の場合、「〇〇家先祖代々之墓」の上に、丸い円を配することもあります。これは「完全な悟りにいたったこと」を示す印です。

神道やキリスト教の文字入れについて

上記では仏教の宗派別の文字入れについて解説してきましたが、ここからは他の宗教についても見ていきましょう。

神道の場合は、「〇〇家奥都城(おくつき)」という表記をよく用います。これは仏教における「〇〇家先祖代々之墓」とほぼ同じ意味です。

キリスト教では、十字架や聖書の一説が彫り込まれることがよくあります。なお日本では「ひとつのお墓に家族全員が入る」という形式が一般的であるため、家の名前を入れることもあります。

 多様化する墓石の文字入れ~個性豊かな文字について

現在は墓石の形や文字入れも多様化していて、従来の形式にとらわれない文字もよく入れられるようになっています。これらは、故人と縁の深かった文字を用いるのが一般的です。

 1文字の場合

「魂」「心」「愛」「絆」などの文字が好んで使われます。明るい印象の文字を選ぶのが一般的ですが、故人が好んでいた漢字を用いることもあります。

 2文字以上の場合

「誠実」「希望」「一期一会」などが代表例です。故人を象徴する文字や、故人が好きだったことわざを選ぶとよいでしょう。

 ひとつの句の場合

「心やすらかに」「また会う日まで」などがよく使われます。上で挙げたように聖書の一説を選んだり、お墓に足を運ぶ人に対するメッセージを彫り込んだりすることもよくあります。

棹石の側面や裏側、墓誌には何を刻む?

墓石の側面や裏側には、埋葬者の戒名・没年月日・俗名・享年・お墓の建立年月日・建立者名などが刻まれます。

また、墓石の隣に四角い「墓誌」と呼ばれる石が置かれることもよくあります。この墓誌には、亡くなり、そこに埋葬された人の情報(上で挙げたもの)を刻むことになります。

お墓に文字を刻む方法

お墓に文字を刻む方法

同じ文字を彫り込むにしても、どのような手法で彫り込むかによって印象は大きく異なります。そのため、お墓の文字入れを考えているのであれば、事前にどのような手法を用いるかを考えておくと良いでしょう。

  • 通常彫り
  • 線彫り
  • 霞彫り
  • 影彫り
  • 浮かし彫り

お墓に入れる文字の方法の種類について、それぞれ紹介します。

通常彫り

もっとも一般的な彫り込み方です。文字が非常に読みやすいのが特徴で、特に最初の1画目を強く彫ります。

ちなみにこれには地方差があり、関東の方が関西に比べてやや彫りが浅いといえます。

線彫り

「文字」を入れるときに使う手法というよりは、その周りの絵部分を彫るときによく使われるものです。非常に繊細な線となるため、凝ったデザインを彫り込みたいときによく用いられます。

霞彫り

輪郭のみを彫り込み、文字の中には彫りを入れない方法です。崩した字体を作るときによく用いられるもので、上品で高級な印象に仕上がります。

影彫り

専用のノミを強弱を使って打ち込むことで、鮮やかで独特の陰影を持たせる彫刻方法です。主に絵を描くときのために使われるもので、非常にリアルな質感に仕上がります。

全国でも非常に限られた方しか習得していない技術であるため、これを希望する場合は事前の打ち合わせが必須です。

浮かし彫り

文字部分を直接彫り込むのではなく、その周囲を彫り込むことによってデザインを仕上げていく方法をいいます。

文字だけでなく家紋を彫り込むときにもよく用いられる方法で、自然にその部分を目立たせることができる方法として重宝されています。

お墓に文字を刻む際の注意点

お墓に文字を刻む際の注意点

 お墓に刻む文字は基本的には自由ですが、法に反したり避けた方が良い文字や知っておきたい注意点もあります。

著作権に気をつける

お墓に刻む文字は原則として好きな文字列を選んでも構いません。しかし流行の曲や小説の一部など、他者に著作権がある文字列を彫り込んでしまうと法律的なトラブルに発展してしまう可能性があります。

もちろん実際に裁判などにいたる可能性は非常に低いといえますが、念のため、この点には注意しておきましょう。

家紋は名称で依頼する

日本の「家紋」のデザインは、世界的にも高く評価されています。ただこの家紋の種類は非常に多種多様であり、似たものも数多く存在します。

そのためお墓に家紋を入れる場合は、「ざっくりしたデザインを伝えれば大丈夫だろう」と考えることはやめて、正式な名称で伝えるようにしましょう。

加えて、画像などでやりとりできればなお良いでしょう。

宗派や墓地の規定を確認する

上でも述べたように、宗教や宗派によって彫り込む文字は異なります。もちろん宗教・宗派に合わない文字を彫ったからといって法的に罰されるわけではありませんが、注意しておく必要はあるでしょう。特に菩提寺があり、そこの墓地でお世話になるという場合は注意が必要です。

また墓地によっては出入りする墓石店や墓石のデザインに制限を設けているところもあります。実際の彫り込み作業にかかる前に、確認しておくようにしてください。

タブーな言葉に注意

墓石に彫る文字に、不吉な言葉は相応しくありません。たとえば「うたかた」「終焉」などの言葉は避ける方が良いでしょう。また、あまりにも奇抜すぎる文字を入れた場合、後々悔やむことになりかねませんから、判断は慎重に行いましょう。

お墓に文字を刻む費用はどれくらい?

お墓に文字を刻む費用はどれくらい?

ここまでお墓の文字入れについて解説してきましたが、最後にお墓に文字を刻むのにはどれくらいの費用が掛かるのかについて説明していきます。

新規でお墓を建てた場合の文字入れの費用

新規でお墓を建てて、そこに文字を彫る場合の費用の目安は、40,000円~100,000円程度です。

なお民間の霊園の場合は提携している墓石店があるため、墓石の購入から文字入れは指定先に頼むのが一般的です。

文字入れのタイミングに明確な縛りはありませんが、納骨までに済ませると良いでしょう。納骨のときに彫り込んでもらうこともあります。

既存のお墓に新しく文字入れをする場合の費用

「すでにお墓があり、そこに新しく文字を追加する」という場合にかかる費用の相場は、50,000円程度です。ただし複雑な彫り込みを希望した場合は、費用がもっと掛かることもあります。

なお墓誌に追加で文字を入れるときには必要ありませんが、棹石に文字を彫り込む場合は厳密には「魂抜き」の儀式が必要となります。

絵を刻むときにかかる費用

絵を入れるときにかかる費用は、絵のデザインの複雑さや手法によって異なります。

しかし文字以上に繊細な作業が必要になるため、100,000円~200,000円程度かかると考えておきましょう。

一度入れた文字を修正する場合の費用

「文字を修正したい」という場合は、多額の費用がかかることを覚えておかなければなりません。削って書き直すのであれば200,000円程度かかりますし、パテなどで埋め込む場合であっても数万円単位でお金がかかります。また、違和感のある見た目になることもあります。

このようなリスクがあるため、墓石に文字入れをする場合は「まず現段階での間違いはないか」をよく確認します。

墓石全体を磨き直して新しく文字を入れる場合の費用

「墓石が汚れているうえに古く、昔のご先祖様の名前が消えかけている」という場合は、墓石自体をクリーニングしてもらったのちに新しく文字を入れる必要が出てきます。

この一連の作業にかかる費用は、おおよそ300,000円~といったところでしょう。

お墓を探している方は「セゾンの相続 お墓探しサポート」にご相談を!

「お墓」は長く残り続けるものですし、そこに刻まれた文字も長く消えることはありません。そのため、初めの段階で間違いのないようにきちんと選ぶことが重要です。

クレディセゾングループの「セゾンの相続 お墓探しサポート」ではお墓選びのお手伝いができる専門家のご紹介も可能です。「自分ひとりでお墓周りのことを行うのは不安だ」という方は、ぜひご相談ください。

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おわりに

信仰心の表れとして、あるいは亡くなった方の記録として彫り込まれる「墓碑の文字」は、非常に大切にするべきもののうちのひとつです。

万が一間違ってしまったら後での対応が大変になりますから、慎重に「どんな文字を入れるか」「この文字で問題はないか」を文字の彫り込み前に確認するようにしてください。

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