人が亡くなった際に、葬儀や埋葬(遺骨供養)をするのはいつが正解なのか、すぐ答えられる方はどれほどいるでしょうか?意外にそれほど多くはないと思います。
そこでここでは、滞りなくよりスムーズな葬儀、埋葬をするために、亡くなってからの流れや日程について紹介します。
- いつ葬儀を行うかは、故人が亡くなった時間帯や時期により異なる
- 葬儀の具体的な日程は、参列者も含めた関係者の方々や関係施設の予定、地域の習俗などによって決める
- 火葬(埋葬)は、故人の死亡後24時間後以降でないと行ってはいけない
- 葬儀の段取りは、早くから(場合によっては生前から)葬儀会社に相談できる
今日亡くなったらいつ葬儀(葬式)を行う?
ある方が亡くなった場合、葬儀はいつ行うことになるのでしょうか。
葬儀をいつ行うかは、仕事や学校などを何日休めば良いのかなど、都合を合わせるのに気がかりなことです。
結論から申しますと、亡くなった時間帯・時期などで葬儀の日程は変わります。
以下で、故人が事件事故や感染症以外の原因で亡くなった場合、故人が亡くなった時間帯・時期に応じてシミュレーションしてみましょう。
一般的な場合
故人が亡くなったのが年末年始やゴールデンウーク、お盆期間ではない時期の、9〜18時台までの間とすると、よほどのことがない限り、亡くなった日を1日目として、2日目(翌日)に通夜、3日目(翌々日)に葬儀や告別式、火葬が行われることになります。
後述しますが、故人が火葬される予定の火葬場に空きがあるかどうかにもよって、スケジュールは変わります。また、故人あるいは遺族が仏式、その他何らかの宗教宗派による葬儀を希望していた場合、葬儀を司式することになる宗教家の予定などの条件により、スムーズにはいかない場合があることに注意しましょう。このことは他の時期・時間帯に亡くなった場合も同様です。
早朝に亡くなった場合
故人が早朝(8時台頃まで)に亡くなった場合は、亡くなった日の翌日に通夜を行い、翌々日に葬儀・告別式や火葬を行うケースが多いです。
より急いでいる場合には、亡くなった当日の夕方に通夜を行い、亡くなった翌日に葬儀や火葬を行うケースもありますが、ご遺族、その他関係者の負担が重くなってしまうので、あまりおすすめできません。
夜中に亡くなった場合
故人が亡くなった時間帯が夜間(19時〜翌日の3時頃)の場合、その翌晩に通夜を行い、通夜の次の日に葬儀や火葬を行うケースが一般的です。
年末年始に亡くなった場合
故人が年末年始(ここでは12月29日〜1月3日の間とします)に、亡くなったとします。
しかし、葬祭場(多くの場合、私営火葬場を併設)や、公営の火葬場は1月1〜3日を休みにしているケースが多いです。また年末年始期には葬儀社や、もし宗教宗派による葬儀を希望する場合だと宗教家が多忙になり、すぐに応じられないこともあります。ほとんどの場合、通夜・葬儀・火葬は1月4日以降になると考えましょう。
また、たとえ葬祭場や火葬場が稼働している時期に入っても、仕事始めの時期に葬儀を行うのは参列者に迷惑がかかる、と考える方もいます。そうした場合には、遺体に特殊な防腐処置であるエンバーミングが必要になるかもしれません。
なお、ゴールデンウィークやお盆期間に亡くなった場合も、関係各機関が休みに入ることがあるので、こうした問題が出ることも想定しておくべきです。
亡くなってから葬儀(葬式)までの流れは
故人が亡くなってから、葬儀を行うまでの一般的な流れについて紹介します。なお、かかる日数は先述のように年末年始、またその他関係機関の長期休みが想定される時期以外では、大体亡くなった当日を入れて3日間以内と考えましょう。
死亡診断書の発行
まず、故人が亡くなった当日に遺族がやることのひとつは、死亡診断書を発行してもらうことです。死亡診断書は複数の手続きで必要なので、複数枚のコピーをとっておきましょう。
なお、亡くなったのが病院か自宅かによって死亡診断書発行の流れは異なり、亡くなったのが病院である場合、故人を担当した医師が死亡診断書を書きます。
一方、故人が自宅で亡くなり、かかりつけ医もいなかった場合、たとえ老衰やそれに極めて近い病死であっても、法的には「不審死」と見なされるので、警察に連絡しましょう。そこで自宅に来た警察医が検視を行ない、死亡診断書(この場合法律上の正確な名称は「死体検案書」)を書く流れになります。
警察医も含めた警察の到着までは、ご遺族でも遺体を動かしてはいけません。
喪主を決める
ご遺族あるいはそれに準ずる方の中から、喪主を決めます。故人を普段からよく知っている方が、喪主を務めましょう。
葬儀会社を決める
葬儀会社を決定し、葬儀の手配を依頼します。故人の近親者や、故人と特に親しい方がいた場合には、この時点で訃報を伝えましょう。
死亡届・火葬許可証の手続き
死亡届の提出及び、死体火葬許可証取得の手続きは早めにした方が、葬儀の段取りをスムーズに行えます。また、法的にこの手続きの期限は、死亡後7日以内という定めがあります。
死亡届は一般に先述の死亡診断書を添えて提出しますが、葬儀会社職員が死亡届提出を代行することも可能です。その際、火葬場も葬儀会社に頼んで予約してもらいましょう。一般的に最寄りの役所から、死体火葬許可証をもらう必要があります。
これがスムーズにいくと、逆算して通夜・葬儀の日程を決めることもできるでしょう。
葬儀会社と打ち合わせ
葬儀会社との打ち合わせが始まったら、少なくとも、以下の点を伝えましょう。
- 通夜と葬儀を両方行うか、葬儀のみにするか
- 参列者の概数と支出総額はどれくらいにするか
- 葬儀は一般的な葬儀か、それともいわゆる家族葬や直葬か
- 葬儀の会場は自宅か葬儀場か、あるいは寺院や教会か
- 葬儀は仏式、神式、キリスト教式、あるいは無宗教式か
- 故人は特定の寺院・神社・教会に信徒(寺院の場合は檀家あるいは檀徒、浄土真宗では門徒)として所属していたか
この際には、葬儀を主宰するご自身の考えをはっきりと伝えることが大切です。またつい忘れがちですが、事前に葬儀の見積もりをきちんと取りましょう。
遺影を決める
遺影には故人らしさが表れている、健康的な印象を与える写真を選ぶのが大切です。
なお、故人が生前に遺影を決めている場合には、極力それを尊重しましょう。例えば、故人が高齢者だった場合、遺影に決めた写真が故人の青年期のもの、という場合もあります。その際には、できるだけ故人の気持ちを汲みとれるよう検討しましょう。
訃報・葬儀日程や場所の連絡をする
参列が見込まれる親族や友人、知人、あるいは仕事などでつながりのあった方たちに、訃報及び葬儀日程や場所を連絡します。早めに連絡して集まってきた近親者や特に親密な友人、知人の方たちには、是非とも手分けして連絡してもらいましょう。
香典・供花を辞退する場合は、このときに一緒にお伝えします。
葬儀(葬式)の日程の決め方
ここでは葬儀日程を決める際に、注意しなければならないポイントについて解説します。
火葬場に空きがあるか
葬儀を希望する日に、火葬場に空きがあるかを確認しましょう。複数の自治体によって運営されている火葬場の場合、予約が埋まりやすいので注意です。
また、火葬炉改修工事が行われている場合も、火葬できる人数が限られてしまいます。それから、後述しますが、六曜の「友引」の日には、火葬場を含めた葬祭場が休業日になっていることもあります。
僧侶(神職、神父・牧師など)の予定
近年では、特に大規模な都市部では無宗教式もあまり珍しくありませんが、仏式など特定の宗教宗派にもとづく葬儀も健在です。こうした葬儀を希望する場合、葬儀を司式する宗教家(僧侶や神職、神父・牧師など)の予定を確認する必要があります。
特定の宗教機関(寺院や神社、教会など)に所属している故人の葬儀をその宗教宗派で行う場合、必然的にその宗教機関の宗教家に司式をお願いすることになるので、その点も考慮しましょう。
参列者や家族の予定
遺族も含め、参列者の方たちの仕事や学校の予定にも、注意を払わなければいけません。
遠方から来る方や、高齢者や子ども、ハンディキャップを持つ方などが参列するケースもあるでしょう。そうした短時間での移動や長距離の移動が、負担になりやすい方がいることも想定しましょう。
地域の決まりを確認
地域の決まりや葬儀に関するさまざまな習俗も、葬儀日程を決める際に考慮すべき事柄です。
例えば北海道や東北地方、その他本州の一部の地域では、通夜の後に火葬を行い、その後祭壇に故人の遺骨を安置して葬儀・告別式を行う、いわゆる「骨葬」の習俗があります。そうした風習を確認しながら進めましょう。
葬儀(葬式)にまつわるよくある質問
ここでは、葬儀関連の習俗について、よくある疑問点を紹介していきます。
仏滅や友引に葬儀を行うのはダメ?
六曜の「友引」に葬儀を行うのは良くない、という話を聞いたことがあるかもしれません。また、「仏滅」についても「友引」ほどではありませんが、葬儀には不吉なのでは、と言われることもあります。
六曜は仏教や神道、キリスト教と無関係な迷信で、中世初期に中国大陸で誕生し、日本には14世紀に伝わったものです。中国大陸では早くにすたれ、日本で現代のような形式になったのは江戸時代末期とされています。
そもそも六曜自体が、科学的根拠のない迷信に過ぎないのだから、葬儀を行なってはいけないわけではありません。
「友引」については、火葬場も含めた葬祭場が休みになっていることも多いと述べました。これは「友引」の日に葬儀を行うと「友を引く」といって、参列者が冥土に引き寄せられてしまうから、とする俗信のためです。
しかし、これもまた本来は「友を引く」とは何の関係もなく、「共引き=中世中国語では留連あるいは立連。勝負事の決着がつかない良くも悪くもない日」の意味であり、かつそもそも単なる迷信なのです。
結論をいうと、六曜は迷信に過ぎず、浄土真宗やプロテスタント諸派ではこの種の迷信には否定的なので、「友引」や「仏滅」に葬儀を行なってはいけない、ということはありません。
ただ人によっては気にすることもあるので、故人と特に親しい方にそうした六曜を気にする方がいる場合には、できる限りそうした日に葬儀を行わない工夫をするのも思いやりのひとつです。
葬儀以外の法要はいつ行うべき?
仏式では、故人の冥福を祈るために故人が亡くなった当年に行う法要として、初七日法要と四十九日法要があります。
初七日とは、故人が亡くなって7日目の法要という意味でありますが、特に首都圏・京阪神圏で仏式葬儀を行う場合には、葬儀あるいは火葬の直後に行なうことが一般的です。そのため、正確に「故人が亡くなって7日目」である必要はありません。
四十九日とは、故人が亡くなって49日目に行う法要という意味です。多くの仏教宗派で、故人はこの日に成仏して浄土に入るとされます。こちらも、現代では参列者の都合もあるため、あくまで大体の日数で行われるのが一般的。
なお仏式でも浄土真宗では、故人は亡くなるとすぐに成仏して浄土に入るという信仰があるため、初七日や四十九日は、故人の冥福を祈るためのものではありません。本尊仏の阿弥陀如来に感謝して信仰を深めるための法要です。
葬儀は亡くなった当日にはできない?
現在の日本では、故人が死亡してから24時間後以降でなければ火葬(埋葬)は行えないことが、法律で決まっています。そのため故人が亡くなった当日に、たとえいわゆる直葬形式でも葬儀自体を行なうことはできません。
葬儀の段取りは、場合によっては亡くなる前に、あらかじめ相談することが可能です。葬儀会社をお決めになる際には、「セゾンの相続 お葬式サポート」にご相談ください。経験豊富な提携専門家のご紹介も可能です。
おわりに
当記事では故人が亡くなってからの流れや、葬儀などの日程の決め方について、説明しました。
人が亡くなるというのはセンシティブで、遺族や親しい人にとっては一大事です。だからこそ手厚く、またスムーズに執り行いたいものです。いざというときに慌てないよう、この記事を参考にしていただければ幸いです。
<参考文献>
加藤長『令和の葬送 戒名はいらない!』同時代社、2019
水藤真『中世の葬送・墓制 石塔を造立すること』吉川弘文館、2009
柳田国男『葬送習俗事典 葬儀の民俗学手帳』河出書房新社、2014
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