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相続税対策が叶う特例や非課税枠を徹底解説!小規模宅地等の特例や住宅資金贈与などを紹介

相続税対策が叶う特例や非課税枠を徹底解説!小規模宅地等の特例や住宅資金贈与などを紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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家族が自分の遺産を相続する際にかかる相続税を、可能な限り抑えたいと悩んでいる方も多いでしょう。

相続税にはさまざまな特例や非課税枠がありますが、活用するには適用要件をすべて満たす必要があります。正しく理解しておかないと、無駄な税金を支払うことになるでしょう。

そこで本記事では、相続税対策が叶う特例や非課税枠を解説します。本記事を読めば、具体的な相続税対策がわかり、税金の負担を軽減できるでしょう。

この記事を読んでわかること

  • 相続税における基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出できる
  • 住宅取得・結婚や子育て・教育資金の贈与には非課税枠が設けられている
  • 生前贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の2つの方法がある
  • できる限り早いタイミングで生前贈与を開始すると、節税効果が高くなる
  • 効果的に相続税対策を講じたい方は、「セゾンの相続 相続対策サポート」など専門家に相談しましょう
相続対策サポート
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相続税対策の重要性

相続税対策の重要性

2015年度の税制改正により、相続税の非課税枠が縮小し大幅に増税されました。一方で、2023年度の税制改正により、相続時精算課税制度に110万円の基礎控除が追加されたり、生前贈与の持ち戻し期間が7年に延長されるなど、ご自身の大切な財産や生活を守るためにも、しっかりと理解し相続税対策を行うことが重要です。

本章では、相続税の税率や控除について詳しく解説します。

遺産に適用できる基礎控除額

相続税とは、課税対象となる遺産が基礎控除額を上回っていると発生する税金です。つまり、基礎控除額の範囲内であれば相続税は発生しません。

基礎控除額は、以下の計算式で算出できます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続する権利がある方のことです。配偶者がいれば法定相続人に該当し、相続人の数が多いほど基礎控除額も以下のように大きくなります。

法定相続人が2人のケース:基礎控除額=3,000万円+600万円×2人=4,200万円

法定相続人が3人のケース:基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円

配偶者以外の相続順位は、以下のとおりです。

  • 第1順位:子(亡くなっている場合は孫)
  • 第2順位:父母や祖父母などの直系尊属(第1順位がいない場合)
  • 第3順位:兄弟姉妹(第2順位がいない場合・亡くなっている場合は甥姪)

相続順位は、被相続人との血族関係によって定められています。

相続税にかかる税率と控除額

相続税にかかる税率と控除額は以下のとおりです。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

相続税額の計算について詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご確認ください。

一般的な相続税対策は贈与税の非課税枠を利用した生前贈与

一般的な相続税対策は贈与税の非課税枠を利用した生前贈与

一般的な相続税対策として、贈与税の非課税枠を利用した生前贈与があります。生前贈与をするには、2つの方法があります。

  • 暦年課税制度を利用して毎年110万円ずつ贈与する
  • 相続時精算課税制度を利用する

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

暦年課税制度を利用して毎年110万円ずつ贈与する

暦年課税制度では、1年間で贈与の合計額が110万円以下であれば贈与税が発生しません。暦年課税制度を利用し、毎年110万円ずつ贈与して相続財産を減らすことで、相続税対策になります。

財産の受贈者が特に何も手続きをしなければ、暦年課税制度によって贈与税が計算されます。

相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度では、ひとりの贈与者から合計2,500万円になるまで何回贈与を受けても課税されません。

この制度は、原則60歳以上の父母または祖父母が、18歳以上の子ども・孫に対して財産を贈与する場合に選択でき、税務署に申告書を提出することで贈与税が控除されます。ただし、将来的に生前贈与を受けた財産にも、相続税はかかるため注意が必要です。

相続時精算課税制度は、後述する「小規模宅地等の特例」とは併用できません。暦年課税との併用もこれまではできませんでしたが、2023年度の税制改正により、2024年1月から相続時精算課税制度に新たに110万円の基礎控除が設けられます。

この改正により、年間110万円までの贈与であれば贈与税がかからず申告も不要になり、相続税もかからなくなります。

詳しい内容は、税務署のホームページをご確認ください。

相続税対策になる特例や非課税枠

相続税対策になる特例や非課税枠

相続税、贈与税には、相続人に対する過度な税負担の軽減や社会政策的配慮から、以下のような特例控除や非課税枠が設けられています。

  • 小規模宅地等の特例
  • 住宅取得等資金の贈与の非課税枠
  • 結婚・子育て資金(一括贈与)の非課税枠
  • 教育資金(一括贈与)の非課税枠

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住宅などで使用していた土地および建物(特定居住用宅地等)を相続した場合、330㎡までの部分の評価を8割減額できる特例です。

宅地の用途によって、限度面積や減額割合は以下のように変動します。

対象の宅地限度面積減額割合
特定居住用宅地等330㎡80%
特定事業用宅地等400㎡80%
貸付事業用宅地等200㎡50%

特定事業用宅地等とは、被相続人が事業用として使っていた宅地のことです。貸付事業用宅地等とは、被相続人が賃貸や月極駐車場などの貸付事業用として使っていた宅地のことです。

小規模宅地等の特例の適用要件

小規模宅地等の特例の適用要件は、宅地の用途によって異なります。特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の適用要件は以下のとおりです。

【特定居住用宅地等】

取得者特例の適用要件
被相続人の配偶者・なし
被相続人と同居していた親族・相続開始直前から相続税の申告期限までその宅地に居住し所有していること
相続開始前の3年間が借り家住まいの相続人 (被相続人に配偶者や同居人がいない場合)・日本国籍を有していること
・被相続人に配偶者や同居人がいないこと
・被相続人の家屋の所有歴がないこと
・相続開始時から相続税の申告期限までその宅地を所有していること

【特定事業用宅地等】

区分特例の適用要件
被相続人の事業用宅地・(保有継続要件)相続税の申告期限までその宅地を所有していること
・(事業承継要件)相続税の申告期限までに事業を引継ぎ営んでいること
被相続人と同一生計の親族が利用する事業用宅地・(保有継続要件)相続税の申告期限までその宅地を所有していること
・(事業継続要件)相続開始直前から相続税の申告期限までその宅地で事業を営んでいること

二世帯住宅に居住していた場合や、被相続人が老人ホームなどに入居しており居住していなかった宅地等についても、一定の要件を満たせば適用できる特例措置があります。

小規模宅地等の特例を詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご確認ください。

住宅取得等資金の贈与の非課税枠

住宅取得等資金の贈与の非課税枠

2022年1月1日〜2023年12月31日の間に(2026年12月31日まで延長)、父母や祖父母(直系尊属)から住宅取得の資金として贈与を受けた場合、住宅の種類によって以下の非課税枠があります。

  • 省エネ等住宅:1,000万円
  • それ以外の住宅:500万円

省エネ等住宅とは、断熱性能や耐震等級などの省エネ等基準に適合する住宅のことです。ご自身の子どもが住宅の購入を検討している場合は、この非課税枠を活用すれば税負担を抑えて子どもに贈与できます。

住宅資金贈与の受贈者の要件

住宅資金の贈与の非課税枠を活用するには、受け取る方(受贈者)が以下の要件を満たす必要があります。

  • 贈与者の直系卑属(子や孫)である
  • 贈与を受けた年の1月1日時点において18歳以上である
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下である(新築等をした住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
  • 2009年から2021年までに住宅取得等資金について贈与税の非課税措置を受けていない
  • 親族など特別の関係がある方から住宅を取得していない
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与全額を充てて住宅の新築等をして居住する
  • 贈与を受けたときに日本に住所があり日本国籍を有している

取得する住宅においても、さまざまな要件があります。詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご確認ください。

結婚・子育て資金(一括贈与)の非課税枠

2015年4月1日〜2025年3月31日の間に、結婚・子育て資金として父母や祖父母などの直系尊属から一括で贈与を受けた場合、1,000万円まで非課税になります。

受贈者の対象は18歳以上50歳未満で、結婚子育て資金専用の口座を開設する必要があります。

結婚・子育て資金に該当する使い道

結婚・子育て資金に該当する使い道は、主に以下のとおりです。

<結婚にかかる費用(上限300万円)>

  • 挙式や衣装代など結婚披露のための費用
  • 家賃・敷金等の新居や転居にかかる費用

<妊娠・出産・子育てにかかる費用>

  • 不妊治療・妊婦健診にかかる費用
  • 分娩費等・産後ケアにかかる費用
  • 子どもの医療費・幼稚園や保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)

使い道などさらに詳しく知りたい方は、子ども家庭庁 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置をご確認ください。

教育資金(一括贈与)の非課税枠

2013年4月1日〜2026年3月31日の間に、教育資金として一括で贈与を受けた場合、1,500万円まで非課税になります。

受贈者の対象は30歳未満の方で、教育資金口座を開設する必要があります。そして、受贈者が口座を開設した金融機関を経由して、書類(教育資金非課税申告書)を所轄の税務署長に提出しなければなりません。

教育資金に該当する使い道

教育資金に該当する使い道は、主に以下のとおりです。

  • 入学金・授業料・入園料・保育料・施設設備費または入学(園)試験の検定料など
  • 学用品の購入費
  • 学習塾やそろばんなど教育施設の使用料や使用する物品の購入など
  • スポーツや芸術に関する活動費
  • 通学定期券代・留学のための渡航費などの交通費

さらに詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご確認ください。

生前贈与で効果的に相続税対策する3つのポイント

生前贈与で効果的に相続税対策する3つのポイント

生前贈与で効果的に相続税対策を講じる3つのポイントを紹介します。

  • できるだけ早いタイミングで生前贈与を開始する
  • なるべく多くの額・多くの人数へ贈与する
  • 相続税対策についてプロに相談する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

できるだけ早いタイミングで生前贈与を開始する

相続税対策で生前贈与をするには、できる限り早いタイミングで開始しましょう。

相続税は、これまでは被相続人が亡くなった日からさかのぼって3年前の贈与から課税されていました。しかし、2023年度の税制改正によって、生前贈与加算が相続開始3年前の贈与からではなく7年前から課税されるようになりました。

ただし、課税期間が延長した4年分は、総額100万円までは遺産に加算されません。この税制改正は、2024年1月1日から施行されます。適用されるのは2024年以降の贈与からのため、2027年以降に発生する相続から持ち戻し期間が加算されます。

早めに贈与しておかなければ、贈与税の発生リスクが高くなります。できる限り早いタイミングから計画的に生前贈与を始めましょう。

なるべく多くの額・多くの人数へ贈与する

暦年課税の基礎控除110万円は、贈与を受けるひとりに対する1年ごとの金額であるため、できる限り多くの金額を多くの人数へ贈与することで節税になります。

例えば、110万円を10人に贈与すれば、1年で1,100万円の相続財産を減らせます。ただし、2024年1月1日以降は、相続発生時からさかのぼって7年以内の贈与は、相続税の課税対象となるため注意が必要です。

暦年課税を有効に活用して生前贈与すれば、相続財産を減らし相続税の負担を軽減できます。

相続税対策についてプロに相談する

より効果的に相続税対策を講じたい方は、プロに相談しましょう。プロに相談することで、一人ひとりに合った対策やアドバイスなどがもらえます。

セゾンの相続 相続対策サポート」では、生前の相続対策から遺産相続後の手続きまで、幅広いお悩みをサポートします。相続対策サポートを活用すれば、相続を専門にしたファイナンシャルプランナー(FP)への無料相談や、最適なプランの提案を受けることが可能です。

今すぐに依頼を考えておらず、相談だけしたい方でも問題ありません。まずはお気軽にご相談ください。

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おわりに

相続税の負担を抑えるには、特例や非課税枠を活用することが重要です。例えば、住宅取得・結婚や子育て・教育資金の贈与には非課税枠が設けられており、活用することで相続財産を減らせます。

暦年課税による生前贈与は、できる限り早く多くの方に贈与することで、相続税を効率良く抑えられます。ご自身に合う相続税対策やアドバイスを聞きたい方は、セゾンの相続を活用しましょう。

本記事で紹介した相続税の特例や非課税枠、生前贈与のポイントを理解して、相続税対策をしっかりと講じましょう。

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