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宗派が違うお墓への納骨は可能?改宗に必要な手続きなどをご紹介

宗派が違うお墓への納骨は可能?改宗に必要な手続きなどをご紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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今とは宗派の違うお墓に入りたいと考えている方は、どう手続きしたらよいかと悩んでいるのではないでしょうか。宗派の違うお墓に入りたいなら、改宗が必要になります。改宗そのものに複雑な手続きはありませんが、今あるお墓を取り壊したり、新しいお墓を求めたりしなければなりません。改宗したい方に向けて、改宗の手続き方法やメリット・デメリット、日本仏教主要7宗派の特徴について解説します。

この記事を読んでわかること

  • 宗教の自由が許された日本で、改宗に複雑な手続きはない
  • 今のお墓を取り壊し新しいお墓に遺骨を移す「改葬」が必要になる
  • 必ずしも新しいお寺の檀家になる必要はない
  • 家族、親族への事前相談がトラブルを回避する
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宗派の違うお墓への納骨は可能?

宗派の違うお墓への納骨は可能?

夫婦によっては、信仰している宗教宗派が違う場合もあり得ます。また、菩提寺があるということは、菩提寺の属する宗派を信仰しているということになりますから、その自覚がないまま特定の宗派に所属しているという方も多いでしょう。ひとりっ子同士の結婚などで夫婦それぞれの両親が所属していた菩提寺が違うなら、「信仰宗派が違う」ということになります。

宗派が違う場合、同じひとつのお墓に納骨されることは可能なのでしょうか。結論からいえば、可能な場合と、そうではない場合があります。墓地の管理者次第という面も否めませんが、もしかしたら霊園を変える必要があるかもしれません。

また、「この霊園のお墓に入りたい」と感じ、管理寺院を調べてみたら今の菩提寺とは違う宗派だったということもありえます。今までの菩提寺と違う宗派のお墓に入るのは可能ですが、手続きを踏まなければなりません。

宗派の違うお墓に入るには、改宗が必要

宗派の違うお墓に入れるかどうかは、「改宗」がキーワードになります。この際、費用的な面はあまり関係ありません。改宗とは自分がそれまで信仰していた宗教や宗派から、違う宗教や宗派へと信仰替えすることです。

宗教の自由が認められている日本では、宗派を変えることはとくに問題ありません。誰でも自由に自分の好きな宗派に属することが可能です。改宗しても構わないのであれば、検討してみましょう。

宗派の違うお墓に入るための2ステップ

宗派の違うお墓に入るための2ステップ

宗教の違うお墓に入るには、2つのステップを踏む必要があります。それぞれ、詳しく解説します。

ステップ1 現在の宗派を離檀する

まずは現在の宗派を離檀します。離檀とは、檀家をやめることです。菩提寺に檀家をやめる旨の連絡を入れましょう。

離檀の理由を尋ねられたら、「改宗」もしくは「宗旨替え」と答えます。「改宗」も「宗旨替え」も同じ意味です。離檀を告げるときには、必ず今までお世話になったことへの感謝の気持ちを添えましょう。長らく先祖代々のお墓を守ってきてくれたお寺に対して、心からのお礼を伝えます。

離檀したら、それまで使っていた菩提寺のお墓は使えなくなります。お墓を撤去し更地にして菩提寺に返還する「墓じまい」が必要になるため、手続きを進めましょう。ご住職に離檀を告げたら、墓じまいの打ち合わせも同時に行います。菩提寺に指定石材店があったら連絡先を紹介してもらい、ご住職には「埋蔵証明書」を発行してもらいます。

「埋蔵証明書」とは、遺骨をお墓から取り出して新しいお墓へ移動させる「改葬」をするとき必要になる書類です。証明書の形式は任意ですが、自治体がフォーマットを用意している場合もあるため確認してみましょう。

ステップ2 新しく信仰する宗派の入門手続きを行う

菩提寺に離檀の意思を告げたら、新しく信仰する宗教宗派に入門するにはどうすればよいかを調べます。

もし配偶者側の先祖代々のお墓に入るのだとしたら、仏教の場合は檀家の家族であれば改まった手続きなく入門できます。神道の場合も、信仰は家族単位となるため、家族であれば入門手続きは必要ありません。キリスト教の場合は、配偶者の所属教会に尋ねてみましょう。洗礼を受けなければならない可能性があります。

新しくお墓を購入するために改宗するとしたら、希望する墓地を管理しているお寺などに連絡し、改宗手続きの有無を尋ねましょう。

古いお墓に眠っている遺骨を新しいお墓へ移す改葬手続きには、受け入れ先となる墓地の管理者から発行してもらう「受入証明書」が必要になります。受入証明書は任意の形式で構いませんが、自治体がフォーマットを用意しているかもしれません。確認してみましょう。

埋蔵証明書と受入証明書が揃ったら、役所に出向いて改葬許可申請を行います。申請が許可されて改葬許可証を入手できたら、墓じまいが可能になります。遺骨を取り出すための法要を行い、お墓を解体し、新しい墓地へ遺骨を持参します。納骨式を行い、遺骨を新しいお墓に埋葬して終了です。

宗派の違うお墓に納骨する際に気をつけるポイント

宗派の違うお墓に納骨する際に気をつけるポイント

宗派の違うお墓に納骨する際には、以下の2点に注意しましょう。

必ずしも檀家になる必要はない

改宗しても、必ずしも新しいお寺の檀家になる必要はありません。新しいお墓を利用するための契約書をよく読み、檀家になるのが必須なのか、そうではないのかを理解しましょう。

もし檀家になる必要がなければ、「墓前檀家制度」を活用するのもおすすめです。墓前檀家制度とは、お墓の前で行う法要だけを決まったお寺にお願いできるシステムです。檀家になって寄進などでお寺を支える必要がない上、法要が生じるたびにお経をあげてくれる僧侶を探す必要がなくなります。

なるべく葬儀の前に改宗する

他の宗派で葬儀を行った後、他の宗派のお墓に移すのはあまり良いことではありません。かなり前に亡くなったご先祖の遺骨であれば構いませんが、没後四十九日法要も終えていないような故人の遺骨を他宗派のお墓へ移そうとすると、改葬先のお墓からNGが出ることもあります。

もし葬儀後間もない故人の遺骨を改葬したい場合は、改葬先のお寺にどうしたらよいか尋ねてみましょう。「戒名をつけ直せばOK」「簡単な葬儀をやり直しさせてくれればOK」など、お寺によって対応が違います。

宗派の種類によるさまざまな違い

宗派の種類によるさまざまな違い

日本の仏教には数々の宗派があります。代表的なのは次の7宗派です。

  • 浄土真宗
  • 浄土宗
  • 天台宗
  • 真言宗
  • 曹洞宗
  • 臨済宗
  • 日蓮宗

供養方法や法要で唱えるお経の種類、お墓の文字といった特徴があり、それぞれ違いがあります。以下で具体的に解説します。

法要や供養の方法が異なる

日本の仏教では、三十三回忌が弔い上げとされています。弔い上げとは、個別の年忌法要を終了することです。三十三回忌をもって故人に向けた法要を終わらせ、以後はご先祖様として供養します。ただし、曹洞宗や真言宗では五十回忌を弔いあげとすることがあります。弔い上げの時期は、地域によっても違います。

なお、7宗派の中でも浄土真宗は供養に対して少し異なる考え方をします。浄土真宗では人が亡くなったらすぐ極楽浄土へ行けると考えるため、故人が浄土へ行くための追善供養はなくてもよいとされます。

よって卒塔婆(そとば。細長い一枚の木板に題目や戒名を書いたもの)を立てて供養するようなことはあまり行われません。法要は、遺族が阿弥陀仏の教えを聞く場であるとされています。故人の魂を込めるための位牌もつくりません。

唱えるお経が異なる

葬儀や法要の際に唱えるお経が違います。浄土真宗や浄土宗は阿弥陀仏を信仰しているため、「南無阿弥陀仏」というフレーズが何回も出てきます。

「南無」とは「帰依する」の意味で、信仰し、教えに心から従うことを指します。「南無阿弥陀仏」は「阿弥陀仏を信じます。その教えに心から従います」という意味です。特に浄土真宗ではお経だけでなく、教祖親鸞が説いた内容も読まれるため、私たちがいつも使う言葉に近い和文が登場します。

天台宗や真言宗は密教系の宗派であり、お経には原始的な仏典に使われるサンスクリット語がよく登場します。「おん あぼぎゃ」「まかほんだら」といった印象的なフレーズが特徴です。

臨済宗や曹洞宗は禅宗系の宗派であり、ブッダが座禅を組んだ姿で悟りを開いたことから、自らも座禅を組んで自己の内部を見つめ、ブッダの境地に近づこうとします。漢文のお経をそのまま音読するか、訓読するお経が多いのが特徴です。

日蓮宗は法華経を聖典とし、法華経の一部や「南無妙法蓮華経」というフレーズがよく唱えられます。

お墓に刻む文字が異なる

お墓に刻む文字が異なる

お墓の形に宗派ごとの大きな違いはありませんが、お墓に刻まれる文字には特徴があります。浄土真宗や浄土宗なら「南無阿弥陀仏」や「倶会一処」(極楽浄土でともに会おう)、日蓮宗は「南無妙法蓮華経」、曹洞宗や臨済宗では円相(○)が一番上に刻まれることが多いでしょう。天台宗や真言宗では一番上に大日如来を表す「ア」の梵字(サンスクリット語)を入れます。

これらの文字は刻まなくても全く問題はありません。シンプルに「○○家之墓」と刻んで結構です。最近では「愛」や「和」など故人が好きな文字を刻んだお墓も増えています。しかし、違う宗派が好んで使う文字を彫るのは避けたいものです。

数珠の種類や線香のあげ方

数珠の種類や線香のあげ方にも、若干の違いがあります。数珠はシンプルな一連の略式念珠であればどんな宗派でも使えますが、本格的な供養をしたい場合には正式な数珠である本式念珠を買い求めるのも良いでしょう。

宗派本式念珠の特徴線香のあげ方
浄土真宗男性:18~27玉の一連念珠
女性:86~108玉の二連念珠
線香を1本、半分に折って火をつけ、香炉に寝かせて供える
浄土宗2つの輪を1つにつないだような形状をした108玉の二連念珠線香を1本立てる
天台宗そろばん玉のような楕円形の玉を使った108玉の二連念珠線香を1本、もしくは3本立てる
真言宗108玉の二連念珠線香を3本立てる
曹洞宗金属の輪がついた二連念珠線香を1本立てる
臨済宗二連念珠線香を1本立てる
日蓮宗二連念珠で、房部分が長い傾向がある線香を3本立てる

宗派を変えるとどのような影響がある?

宗派を変えるとどのような影響がある?

宗派を変えると、どんなメリットやデメリットが生じるでしょうか。考えられる影響について解説します。

宗派を変えた時のメリット

宗派を変えて墓地を変えると、管理費が安くなるケースがあります。檀家を抜けるということは、それまで納めていた年間管理費や寄進代を納めなくても良くなるということです。また、檀家になるとしても、新しいお寺の管理費用のほうが割安かもしれません。

もし信仰を示すため檀家になったとしたら、お盆やお彼岸などの繁忙期にあっても優先的に法要を行ってくれるかもしれません。また、檀家であれば法要や日々の供養についての疑問を直接ご住職に尋ねることができます。仏教の熱心な信者でありたいと考えるなら、お寺とつながりを持つために檀家となるのもひとつの方法です。

夫婦でひとつのお墓に入りたいがために改宗したとしたら、お墓の心配はなくなり、夫婦の一体感がより高まるでしょう。

宗派を変えた時のデメリット

宗派を変えると、お墓を撤去したり新しく作ったりするための費用がかかります。お墓そのものにかかる費用だけでなく、納骨法要や離檀料、入壇料などお布施も納めるため、合計するとけっこうな金額になることもあるでしょう。

なお、先祖の遺骨の改葬を行うときは他の親族の許可を事前に得ることが重要です。親族にとっても、大切なご先祖様。急にお墓が引っ越ししてしまうと知ったらびっくりする方も多いでしょう。なかには離檀を快く思わない人もいるかもしれません。今後トラブルに発展しないためにも事前に相談し、了解を得ておきましょう。

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おわりに

宗派の違うお墓に入りたいと考える方の事情はそれぞれです。新しいお墓を探すときには、お墓を管理しているお寺の宗派をしっかり確認し、檀家にならなければならないか否かはもちろんのこと、お寺としての考え方に共鳴できるところを選びましょう。

また、事前に家族と相談を重ねることも重要です。家族の誰かが納得しなければ新しいお墓は買えず、自分ひとりが眠れるお墓を探さなければならないかも知れません。自分の亡き後、弔ってくれる子世代などとじっくり希望を語りあい、家族みんなが納得できるお墓を探しましょう。

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